
「AKAI professional / M-Audio モニタ・スピーカについて語る」野村ケンジ氏
現在販売中のinMusicブランドの小型モニタ・スピーカ「AKAI professional RPM500」「M-Audio BX5 Carbon」「M-Audio M3-6」を、オーディオ&ビジュアル・ライタの野村ケンジさんに試聴いただきました。
野村ケンジ
ホームシアタやヘッドフォン、音楽関連、カーAVまで、AV関連を中心に幅広いジャンルを手掛けているオーディオ&ビジュアル・ライタ。PCオーディオやヘッドフォンの音質リポートも数多く手がけている。現在はネットメディアを中心に執筆するほか、AV系専門誌にも寄稿している。
AKAI professional RPM500
現代音楽の再生をメインに据えて設計されたという、新モデルのパワード・モニタスピーカ。緩やかなホーンガイド付のシルクドーム・トゥイータと5.25インチウーファを、強固なサイドパネルを持つ、やや大きめのボディに搭載しているのが特徴だ。
その音を一聴して、驚いた。フォーカス感の高い、とてつもなくクリアなサウンドで、楽器のひとつひとつを細部まで細やかに、そしてリアルに再現してくれるのだ。きめ細やかな抑揚表現や揺るぎのないステージングなど、モニタスピーカとしての正確性や基礎体力はかなり高いのだが、それ以上に魅力的なのが、音楽が持つ魅力を素直に伝えてくれるストレートな表現だ。Yesを聴けば厚みのある力強いギターのフレーズに感動し、パフュームを聴けば中田ヤスタカならではのグルーブ感にとことん酔いしれることができる。忠実で正確なサウンドが、こんなにも心を揺さぶってくれるモノだったことを、改めて知らしめてくれるのだ。しかも、スタジオモニタとしてはエントリークラスといっていい価格帯で、ここまでのサウンドクォリティと“感動”を持ち合わせているのだから恐れ入る。名機と呼びたくなる、素晴らしい製品だ。
ちなみに、8インチウーファを搭載する「RPM800」は、さらに自然な音色とウェルバランスな帯域特性を持ち合わせており、こちらは20畳くらいまでのメインスピーカとしても使用可能。どちらのサウンドが自分にとってぴったりなのか、聴き比べてみるのもオススメだ。
AKAI professional RPM500:製品ページ
M-Audio BX5 Carbon
いわゆる、プロフェッショナル向けのパワード・モニタスピーカだけれども、5インチウーファ採用モデルならではの「大きすぎない」ボディサイズによる設置のしやすさや、スタンダードクラスならではの手頃なプライスタグもあって、PC純正スピーカからの「いきなり」ステップアップとしてもオススメ。本格派プロモニタのサウンドが、手間なく気軽に実現できる点は大いに魅力だ。
さて、実際のサウンドはというと、モニタスピーカらしいというべきが、端正でバランスのよい音。低域はそれほど量感があるわけではないが、ベースとドラムが一体感のあるリズムを奏でてくれるので、存在感はしっかりと保たれているし、女性ヴォーカルなどは、高域側にピンとしたハリのある印象的な歌声を聴かせてくれる。そのいっぽうで、モニタスピーカにありがちな高域のキツさやザラザラした聴き心地の悪さは一切なく、リスニング用としても十分に楽しめる。どちらかというと、客観的で素直な音楽表現が好き、という人にはぴったりのモデルだ。
M-Audio BX5 Carbon:製品ページ
M-Audio M3-6
イマドキのパワード・モニタスピーカとしては珍しい、木製バッフル採用を強くアピールするデザインがユニーク。また、ミッドウーファ&トゥイータに同軸ユニットを採用している点も興味が引かれる。サイズ感としては、デスクトップで活用するにはやや大きなテーブルサイズが必要そうだ。
同軸ユニット+6インチウーファという構成によるものか、中高域の表現がとても丁寧。クラシックなどと相性がよく、シンフォニーの音圧感と共にボーイングの様子までしっかり伝わってくる。音場感もなかなか雄大なイメージを持ち合わせており、レコーディングされたホールの大きさまで伝わってくるかのよう。いっぽう、クラブミュージック系を聴くと、最低域のフォーカスにちょっとした甘さを感じるものの、6インチウーファとしては望外のボリューム感を持ち合わせており、これはこれで魅力的。モニタスピーカならではの正確さを保ちつつも、ウォーミーで聴き心地のよい音がすき、という人に好まれるかもしれない。
M-Audio M3-6:製品ページ
