デノン プロダクトレビュー
伸びやかに両翼にレンジを広げた高密度のフラットバランス
プリメインアンプ
PMA-SA1
¥693,000(税込)
レポート/斎藤宏嗣
伸びやかに両翼にレンジを広げた高密度のフラットバランス
ブランドを代表するフラッグシップモデルには、セパレートアンプの登場が当然のように思われるが、デノンではあくまでもプリメインを重視している。確かにセパレートアンプはシンボリックで華やかなイメージを持つが、実質的な運用面ではプリメインアンプにも理がある。
PMA-SA1の出力部は、同社が長年育てた大電流型増幅素子のパワートランジスターUHC-MOSのシングルプッシュプルで構成されている。この大容量パワートランジスターは、MOS-FETの35倍、通常のバイポーラトランジスターと比べ3倍の電流面のリニアリティを持った、画期的な電流素子である。一般的な大出力パワー部は、多数個のパワー素子をパラレル接続することで電流容量を確保しているが、本機では2個のUHC-MOSでシングルプッシュプル回路を構成、あたかも管球アンプのようだ。このファイナルステージの温度特性を含めた安定性を確保するため、独自のカスコードブートストラップ接続を採用している。
本機の総合的な再生音の印象は、伸びやかに両翼にレンジを広げた高密度のフラットバランスという、近年のデノンのコンポーネント機器に共通したパターンをベースにしてはいるが、低域から中低域に快いアコースティックな膨らみがあり、音楽の底辺を支えていて、独特の安心感を演出している。中域音像はエネルギーの肉づきが良好で、豊潤だがゆるみは感じられず、独特の立体感に溢れた定位である。
本機の背面端子部
【SPEC】
【SPEC】●定格出力:50W/ch(8Ω) ●全高調波歪率:0.007% ●イコライザーアンプ出力:150mV ●入力感度/インピーダンス:MM 2.5mV/47kΩ、BALANCE 105mV/100kΩ、LINE 105mV/47kΩ ●RIAA偏差:MM 20Hz〜20kHz±0.3dB ●SN比:MM 89dB、BALANCED 105dB、LINE 105dB ●消費電力:230W ●外形寸法:434W×181H×508Dmm ●質量:30kg ●問い合わせ先:デノン 宣伝部 TEL/044-670-6612