まとまりと存在感を感じるサウンド
上級機種の開発で培われた技術やノウハウを受け継ぎクラス最高の音質を目指す「Advanced Evolution」シリーズとして登場した、ミドルクラスのプリメインアンプ。大電流型増幅素子UHC-MOSを用いたシングルプッシュ回路はデノンアンプの定番だ。上級機と同様のショットキー・バリア・ダイオードと高音質大容量コンデンサーによる整流回路からの安定して低ノイズな電源を受け、繊細さとハイパワーの両立を実現する。電源部では、2つのトランスが漏れ磁束の影響を互いにキャンセルする「L.C.マウント・ツイントランス」も低ノイズ化のポイントだ。
マイコン回路とオーディオ回路の電源トランスを別々に用意、さらにマイコンの動作を随時停止する「マイコンストップモード」を搭載することで、マイコン回路からオーディオ回路へのノイズ流入を徹底排除している点にも注目したい。こういった細部の配慮の積み重ねが音質の到達点を決めるのだろう。パワーアンプダイレクト端子、プリアウト端子も用意されており、拡張性も確保されている。
同シリーズのSACD/CDプレーヤー「DCD-1500AE」との組み合わせで試聴を行った。シンバルの透明感や輝き、ウッドベースの骨太な低域の感触などはさすがにハイエンド機には及ばないものの、バランスの良さは見事だ。様々な楽器がそれぞれに役割を与えられ配置されているポップスでは、全体を聴けばまとまりがよく、各パートに耳を向ければそれぞれの音を楽しめた。後方に控えめに配されたストリングスに耳を向けると、それが音場を広げ、そのフレーズが曲のスピード感を増していることを感じられるといった具合だ。解像感や定位もしっかりしているからこその「まとまり」と「存在感」である。自然でバランスの良い音は、たしかに上位クラス製品に近しい傾向にある。コストパフォーマンスの光る製品だ。
本機の背面パネル
【SPEC】
【SPEC】<パワーアンプ部>●定格出力:両チャンネル駆動(CD→SP OUT)70W+70W(負荷8Ω、20Hz〜20kHz、T.H.D. 0.07%) ●実用最大出力:140W+140W(負荷4Ω、1kHz、T.H.D. 0.7%) ●全高調波歪率:0.01%(定格出力-3dB時、負荷8Ω、1kHz)<プリアンプ部>●入力感度/インピーダンス:LINE→150mV/47kΩ(ソースダイレクトOFF)、 150mV/12kΩ(ソースダイレクトON)、PHONO MM→2.5mV/47kΩ、PHONO MC→0.2mV/100Ω <総合特性部>●周波数特性:5Hz〜100kHz(0〜−3dB) ●SN比(Aネットワーク):LINE→108dB(入力端子短絡時)、PHONO MM→89dB(入力端子短絡時、入力信号5mV時)、PHONO MC→74dB(入力端子短絡時、入力信号0.5mV時) ●消費電力: 250W(スタンバイ時約2W) ●外形寸法:434W×134H×410Dmm ●質量:14.6kg ●問い合わせ先:デノン TEL/03-6731-5540