デノン プロダクトレビュー
思い切った2チャンネル専用機の構成が高い再生能力を実現
SACD/CDプレーヤー
DCD-SA1
¥525,000(税込)
レポート/井上千岳
思い切った2チャンネル専用機の構成が高い再生能力を実現
デノンのSACDプレーヤーとして最高峰のモデル。2チャンネル専用機という思い切った構成を採っている。ドライブ・メカニズムは制御系も含めて、他社へのOEM供給でも実績のあるオリジナルである。シャフトの振動抑制、各部の平面度の維持、モーターシャフトの傾き補正を行うスキュー調整など再生精度の向上を図ったのがその内容だ。
信号回路ではアドバンストAL24プロセッシングを搭載。ビット創生に加えてアップコンバートも行い、精度を高めている。マスタークロックに高精度な発振器を採用。一般の水晶振動子よりも安定性に優れた出力を得ている。またDA変換はチャンネル当たり2DACの差動構成。完全バランス回路として位相のずれを解消した。電源トランスはアルミ砂型鋳物のケースや緩衝材によるトリプル・フローティング構造で、徹底した防振を行っている。その他筐体自体のあらゆる細部にわたって振動排除に努めた設計である。
ディテールや音像の明確さが際立つ。定位が非常によく、実在感が極めて高い。ボーイソプラノは声の質感が極限的と言えるほどきめ細かく描かれる。ハーモニーも実に精密。声楽もステージのイメージが正確に再現される。濁りがなく、加工のないほとんど生の形で声の質感が出てくる。焦点がぴったりと合って音場が見えるようだ。
ピアノもフレーズの全てが生き生きとしている。音に埃っぽさがなく、表情が鮮やかだ。タッチの把握力が強く、存在感がしっかりしている。コーラスはたっぷりした響きの中に明快な声部の動きが聴かれる。余韻の軽さもハーモニーの厚みも備え、あらゆる音が揃って出てくる印象だ。オーケストラは弾力があって厚みにも優れ、しなやかな音調を示す。彫りが深くダイナミズムも十分だが、ただ起伏が大きいだけでなく表情の変化が生々しい。現代を代表するプレーヤーと言うべきである。
本機の背面パネル
【SPEC】
【SPEC】●再生周波数特性:2Hz〜50kHz(-3dB)[SACD]、2Hz〜20kHz[CD] ●SN比:117dB(可聴帯域)[SACD]、120dB[CD] ●高調波歪率:0.0005%(1kHz、可聴帯域)[SACD]、0.0015%(1kHz)[CD] ●サンプリング周波数:2.822MHz[SACD]、44.1kHz[CD] ●消費電力:30W ●外形寸法:434W×150H×410Dmm ●質量:21.8kg ●問い合わせ先:(株)デノン TEL/044-670-6612