CX3シリーズのコンパクト・デジタルプレーヤー
圧倒的なコンパクトさだが、十分に質感が高く操作フィーリングも満足させようという新提案のサイズである。プレーヤー部は回転するドライブメカを持つが、その振動をいかに押さえ込むか、これが大きく性能や音質に関わる。しかし小さいということは剛性を高めるために有利に作用する。それらにも配慮してメカベースにはアルミの約3倍もの比重を持つ亜鉛ダイキャストが使われている。ディスクを装着するためのトレイは、アルミダイキャストで質感を高めたのと同時に剛性をも高め、振動の影響を徹底的に抑えて、筐体は金属部品で囲み込まれ、精密に組み立てられて美しい。
自社開発のメカは既に上位機種で実績を持つ。ピックアップの読み取り精度そのものの綿密な調整がされディスク情報を余すところなく読み取ろう、というものである。またデノンではお馴染みのアナログ波形再現技術AL24Processingが搭載されている。
今回は同時期に発売されるシリーズ機、プリメインアンプPMA-CX3、スピーカーSC-CX303と一緒に試聴を行った。それぞれが独立したコンポだが、DCD-CX3とPMA-CX3はデザイン的な調和や設計思想から、併せて使うことで最大の魅力が発揮されそうだ。スピーカーは必ずしもCX303に拘ることはなさそうだが、こうして組み合わせるとコンポから醸し出される独特な雰囲気がこれまでのコンポとは明らかに異なり、より生活空間にしっくり溶け込みそうである。ひたすら良い音を追求するよりも、日常生活の必需品として満足度の高さを提供しようというものであろう。
実際の音のクオリティだが、少なくともこれまでのデノン製品を含めて同価格帯のコンポにヒケを取るものではなく、先進性とそれを支える新技術を味わうことができる。十分に厚みのある中低域から低域にかけての豊かさや、音楽全体のスムーズさ、のびやかさなど、広いステレオ空間を感じさせる。音楽を身近に感じさせると同時に音質の高さで聴き手を納得させそうである。
DCD-CX3については、徹底的に振動を抑えた構造で、リアパネルもサイドパネルも二重構造。電源に関してはアンプとは別な技術によるアプローチがとられている。デジタル系とアナログ系を独立させた2電源トランスで、コンベンショナルなタイプ、音質重視のためディスプレイ駆動用とデジタルデータのパルス信号をオフにするピュアダイレクトモードを持ち、音質面、特に中低域での音の密度感を高めて十分に安定感のあるバランスである。
本機の背面端子部
【SPEC】
【SPEC】●チャンネル:2チャンネル ●再生周波数範囲:SACD→2Hz〜100kHz、CD→2Hz〜20kHz ●再生周波数特性:2Hz〜50kHz(-3dB)、CD→2Hz〜20kHz ●SN比:SACD→112dB(可聴帯域)、CD→118dB ●サンプリング周波数:SACD→2.822MHz、CD→44.1kHz ●消費電力:22W(スタンバイ時約0.2W以下) ●外形寸法:300W×80H×310Dmm(突起物含む) ●質量:7.0kg ●問い合わせ先:(株)デノンコンシューマーマーケティング TEL/044-670-6612