製品情報
SONY
TA-DA5300ES
¥220,000(税抜)
独自の高音質ロスレスデコードエンジンを搭載した7.1ch AVアンプ
ビジュアルグランプリ2008 SUMMER ≪ロングラン金賞≫受賞モデル
ビジュアルグランプリ2008 ≪銀賞≫受賞モデル
ビジュアルグランプリ2008 ≪ホームシアター大賞≫受賞モデル
ビジュアルグランプリ2008 ≪AVアンプ(中級タイプ/15万円以上50万円未満)部門≫受賞モデル
【SPEC】●定格出力(20Hz〜20kHz、8Ω):120W×7ch ●実用最大出力(JEITA 4/8Ω):150W×7ch ●映像入力:コンポーネント×3、S端子×5、コンポジット×5 ●映像出力:コンポーネント×1(モニター)、S端子×2(モニター×1)、コンポジット×2(モニター×1) ●音声入力:デジタル(同軸×3/光×6)、アナログ×11、マルチチャンネル7.1ch×1 ●音声出力:デジタル(光×1)、アナログ×3、ヘッドホン×1、プリアウト7.1ch×1 ●HDMI端子:入力×6、出力×1 ●消費電力:300W ●外形寸法:約430W×175H×430Dmm ●質量:約17kg
※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。
ソニーがHDオーディオ対応を実現するうえで一番こだわった点はHDMI接続の音質をぎりぎりまで追い込むことである。デジタル接続とはいっても、情報量の多いマルチチャンネル信号はジッターなど様々な要因に少なからぬ影響を受け、音質が劣化することがあるし、基板レイアウトや配線を変更すればそれだけで音の純度や質感が変化する。バージョン1.3aへの対応を機にそれらの課題に徹底してメスを入れ、原信号への忠実度を高めることが、設計陣に課されたテーマであった。
高精度な信号伝送とデコードを経た音楽信号のクオリティを、オーディオアンプのステージで劣化させず、忠実に増幅することが次の課題だが、本機は昨年発売されたヒットモデルTA-DA3200ESをベースに、その音質をさらにブラッシュアップ。位相特性を再度見直すなど、時間をかけてパワーアンプ回路の完成度を高めることに成功したという。
CDとSACDでアンプの基本性能を確認する段階で、本機の際立った資質が素直に浮かび上がってきた。ダイナミックレンジの広いオーケストラの演奏は、前後方向だけでなく上下方向まで空間の広がりが伸びやかで、思いがけないほど遠くまで見通すことができる。ディスクごとの空間再現の違いも鮮明に聴き取れるし、なによりも最後の一音まで余韻を曖昧にしないので、フレーズが自然に先につながり、音楽の緊張感が切れ目なく持続する。当たり前のことのようだが、これが意外に難しい。たとえピュアオーディオのコンポーネントでも、そうした高次元の要求を満足できる水準で実現できている製品はそう多くはない。
マルチチャンネル音源は瞬発力ときれいに整ったハーモニーの美しさが両立し、こちらも凡庸さとは対極にある。
まずはPS3と組み合わせて試聴した。ドルビーTrueHDからPCMに変換した『サハラ』のサラウンド音声は低音域の解像感と厚みが両立し、どの効果音も本物に近いと思わせる。音楽ではパーカッションやベース、効果音ではヘリの移動音に太さではなく芯のある力があふれているし、オーケストラはスピード感が他機に比べて明らかに優れており、リズムの躍動感が際立つ。ピアノは切れの良さとハーモニーの美しさに感心した。『エネミー・ライン』は緊迫感が緩まず張り詰めた雰囲気のサラウンド音場が展開した。効果音のリアリティは非常に高水準の表現で、環境音として収録されている風の音や鳥の鳴き声も思わず後ろを振り向くほどリアルだ。子供の声の距離感も生々しく、映像と音が緻密にリンクする。『イノセンス』はささやき声や店内の細かい効果音の音数が多く、銃声やガラスが砕け落ちる音のスピード感も聴きどころ。
続いてパイオニアのBDプレーヤー「BDP-LX80」と組み合わせた。『サハラ』はすべての方向のエネルギー密度が高い印象を受けた。圧縮音声で聴き慣れたバランスに比べると、爆発音にもう少し厚みが欲しいと思う瞬間があるが、スピードが格段に速いので、衝撃度はこちらの方が大きい。オーケストラは弦楽器、ピアノ、管楽器すべてに勢いがあり、音の透明感が高い。奏法の特徴がよく出てくるので、聴いていて面白みがある。低弦のピチカートは重さがあるがタイミングはけっして遅れない。『エネミー・ライン』は冒頭の風の音から高さ方向の広がりが出て、質感と純度の高さが実感できる。背景の環境音の見通しもよい。地雷のシーンは微小レベルの効果音がクリアでフォーカスがよく、背景で鳴っているオケの金管、打楽器のサウンドまでもが圧倒的存在感で迫ってくる。エンジンの始動音だけでもクオリティの違いがわかるほどだ。『デジャヴ』は厚みのある重心の低いサウンド。チャプター9の深みのあるサウンドの特徴が満喫できる。
(山之内正/「AVレビュー(2007年11月号)」より転載)
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