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VICTOR
SX-M3
¥95,000(税抜)
イニシャル“M”を冠したピュアオーディオ志向のスピーカー
価格は1本
ビジュアルグランプリ2009 ≪スピーカーシステム(中級タイプ/ペア10万円以上20万円未満)部門≫受賞モデル
ビジュアルグランプリ2008 SUMMER ≪銅賞≫受賞モデル
【SPEC】●形式:2ウェイバスレフ型 ●スピーカーユニット:高域用1.9cmドーム型スピーカー、低域用14.5cmコーン型スピーカー ●定格入力(JIS):30W ●最大入力(JIS):120W ●定格インピーダンス:6Ω ●再生周波数帯域:50Hz〜65kHz ●出力音圧レベル:88.0dB/W・m ●クロスオーバー周波数:3.5kHz ●外形寸法:217W×358H×276.5Dmm ●質量:11.5kg
※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。
新“SX-M”シリーズのブックシェルフモデルが登場
ビクターの新しいラインアップとなるSX-Mシリーズの、最もベーシックなモデルとして開発された製品である。その外観も使用されているユニットも、これまでの同社にはないスタイルとなっているのが興味深い。
構成は2ウェイで、いずれもオブリコーンないしオブリドームと呼ばれる偏芯型振動板を採用している。オブリコーンはビクターが独自に開発したユニークな振動板で、通常はその中央に駆動軸が設定されるところを、わざわざ中心をずらして偏芯させたものである。これによって振動板各部の半径が均一でなくなり、分割共振を大幅に排除することが可能となる。すでにSX-Lシリーズなどで実績を挙げてきたが、ここではトゥイーターにもウーファーにも従来とは違うマグネシウムを素材に使用しているのが注目される。
特にトゥイーターは周囲にやや深めのホーンロードをかけ、さらに幅広のフランジで強固に取り付けている。またウーファーは磁気ギャップの対称性など磁気回路の見直し、エッジやダンパーの形状改良などによって、いっそう付帯音のない再現性の実現を図った構造である。
キャビネットは背面を斜めにカットしたテーパード型とし、定在波を排除。底面に鋳鉄製ベースと鋳鉄フットを装着し、新開発メカニカル・ベース・マウント構造によって磁気回路の安定化も実現している。
これらいくつもの新機軸によって、音の面でも極めてつながりのいい滑らかなレスポンスを獲得している。付帯音がないことはジャズのドラムやベースが非常に澄んだ質感で伸びやかに沈んでいることでもわかる。ぼこぼこした低音とは根本的に違う実在感に溢れた低音である。
またトゥイーターも澄み切って歪みがなく、アカペラのソプラノや少年合唱などの厳しい高域を楽々と再現する。帯域とダイナミックスの広いオーケストラなどのソースでは、反応の速さとディテールの緻密さが生き、充実した響きと豊かな起伏でリアリティを高めている。頼もしいニューフェースが誕生したものである。
(text:井上千岳)