前面フィルターのガラスを取り除いた「ダイレクトカラーフィルター」を採用

パイオニアの「第5世代プラズマテレビ」は､テレビとしての完成度が煮詰まってきたことをうかがわせる。新たに発表されたのはPDP-505HDL、PDP-505HDS、PDP-435HDL、PDP-435HDS、PDP-435SXの5モデル。PDP-435SXのみは一体型で、他の4モデルはチューナー部が分離されたセパレート型だ。各サイズの「HDL」は、スイング式（首振り式）スピーカーを搭載。「HDS」の方はショートサイズのスピーカーを搭載した。

いずれもP.U.R.E.ドライブとP.U.R.E.パネル、そしてHDMI端子を新製品全モデルに装備しているのが特徴。独自の画像処理技術であるP.U.R.E.ドライブは「アドバンスドスーパーCLEAR駆動法」が注目される。これは映像の平均輝度や明るさの分布、つまり明部が目立つのか暗部が支配的なのかなどの絵柄を判断して、パネル輝度の中間部を持ち上げるように駆動する方式だ。プラズマパネルの駆動パルスを操作して特定の明るさの部分だけ点灯期間を長くするのだから、映像信号自体をいじらず、またパネルの消費電力を増やさずに鮮明さを向上させられるのである。

これはビデオ撮影の映像で効果があり、明るい絵柄でさっとコントラストや鮮度が向上して見える。ブラウン管方式でいえば、CRT自体の駆動回路を絵柄によって制御することで鮮度を強化するようなものだ。パネルの駆動技術にゆとりが出てきたから出来る技なのだろう。

HDMI端子については、DVDプレーヤーでいち早くこのデジタル伝送を採用したメーカーとして当然の流れだろう。P.U.R.E.パネルは断面図をごらんいただくと一目瞭然だ。従来はパネルの前にガラス板やフィルターを置いて保護パネルとし、コントラストや色純度の改善などを行っていた。しかしパネルと前面ガラスとの間の空気層によって発光の損失があり、また厚いフィルター類による透過損失も加わり映像の鮮度を損なっていたのである。本機では前面のフィルターをガラス基材から複合フィルム化することに成功して、この問題を解決したのである。世界初の技術だという。

この「ダイレクトカラーフィルター」によりパネル発光の光学的な損失が少なくなり、輝度表現のダイナミックレンジが拡大した効果は大きな画質改善効果をもたらしている。細部まで明瞭になり、階調表現まで向上したかのようだ。総合的な質感や立体感がこれほど充実したPDPは初めて見るものだ。明るさやコントラストの訴求だけでなく、光学的な損失にまで目を向けて質感向上を果たしたところに、このメーカーの画質に対する志がうかがえる。

（TEXT：村瀬孝矢）