巻頭言

革命

和田光征
WADA KOHSEI

社長になって5年経った1990年に社を一変させる大改革をやり、新生音元出版を創り上げ、それがその後の成長のベースとなった。丁度バブル期に入社した面々はひとことで言えばいい加減な面があり、自分勝手がはなはだしい。当時、日本のすべての企業が味わった人災と言えよう。結局、私は彼らを一掃し、新生音元出版の構築を構想し走り出した。

その時から入社試験を厳しくして、面接でも念押しした。バブル崩壊で就職氷河期が始まろうとしたタイミングだったので厳しく強く出た。素晴らしい人達が入社してきた。そして週に一回全員と時間をとり、私の思想、本質とは何か、仕事とは何か、諸々語り合い一致団結を図った。結果、新生音元出版は成長を重ね、20年の時が流れたのである。

その間は順調に推移してきたものの、リーマン・ショックですべてが一変する。そこで「いつもお客様のそばに」の理念のもと、店頭誌などを手がけるSP事業をスタートさせた。しかしその後も東日本大震災、円高やタイの洪水等々と負の連鎖が続き、とりわけ民主党政権の無能さは輪をかけて日本経済にダメージを与え、我々を疲弊させていった。

私は本欄で2011年に、2013年から景況は回復すると指摘している。それは陰陽の世界の「陽」の時代の検証による話である。私はそのことを確信しており、断定的に記したのだった。

実際、2012年の終わりにその予兆は出てきた。2012年12月の総選挙で圧勝、自民党政権となってアベノミクスが発表され、黒田日銀総裁も登場、推進した。この組み合わせに私は狂喜した。アベノミクスの具体的なアクションが始まり、2013年度に向け力強く動き出した。私はこの流れを確信していたので、2012年夏から新生音元出版の構想を練り、それは2013年の新年に完成した。

こうした長年の負の連鎖の後は、総じて既得権益が会社の中枢を蝕んでいるものだ。それはすべての企業の改革で表面化していた。小社でもそれに近い状態があり、私はすべてを変革しようと思った。そのために必要なのは革命である。

小社は社員30数名の小さな出版社だが、珍しいことに年齢分布が正三角形のピラミッドを創り出している。つまり、30歳代以下が3分の2を占める。しかも彼らは90年代の比ではない厳しい入試をクリアして入って来た優秀な面々である。この働き盛りの素晴らしい彼らを中心とした新生音元出版構築の構想を進め、具現化した。私は例によって本質を一生懸命に説き、未来を語り、自分で考え、行動を起こす集団へと彼らを変貌させていった。

2013年度が終わってみると、小社は2012年の赤字から一変して増収増益を果たす見事な結果を生み出した。2013年度のスタートからその目標を共有し、社員全員でチャレンジした金字塔である。事業別に見れば、大成功を果たした事業と一部未達に終わった事業に色分けされる結果となったが…。

しかし、この革命は2013年度で終わることではなく、むしろこれはスタートなのだ。成長していけるしくみができ、それを益々ふくらませながら2020年のオリンピックイヤーを迎える、それが今回の革命なのである。

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