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下野 裕

従来の常識を超えた進化する驚きを連打
買い替えや新規購入の機運を盛り上げる
ソニーマーケティング株式会社
執行役員 プロダクツビジネス本部 本部長
下野 裕
Yutaka Shimono

時代の主役は一眼レフからミラーレスへと急速にシフト。デジタルカメラ市場の盛り上がりも、ミラーレスの活躍が鍵を握ると言って過言ではない。その中でも、牽引役としての熱い視線が注がれるのが、プロカメラマンからの支持を広げ、3月発売のα7Vも大きな話題を集めるソニー。躍進の手応えと今後の取り組みを下野裕氏に聞く。
インタビュアー/竹内 純 Senka21編集部長  写真/柴田のりよし

潮目が大きく変わった
プロが選ぶミラーレス
さらなる躍進に手応え

この一年の間にもミラーレス化の動きはさらに加速し、昨年5月には御社よりα9が登場し、プロカメラマンの間での評価も一段と高まりました。ミラーレス新時代の幕開けを強く印象付ける中での市場での反響や手応えをどのように捉えていらっしゃいますか。

下野全世界的には、2015年8月に発売したα7RUの頃から、ソニーの本気度を理解いただき、真剣にαを選ぶプロの方も目に見えて増えはじめています。その波がようやく日本にも来て、α9の登場を契機にプロユーザーが急増しています。しかも、α9にとどまらず、αシリーズ全体の売れ行きに勢いがついてスケールアップしており、潮目が大きく変わったと実感しています。

α9はプロとハイアマチュアを目指した商品ですが、とりわけ、ゴルフ、テニス、陸上などプロスポーツを撮影するカメラマンから好評です。AF/AE追随最高20コマ/秒の高速連写や高い堅牢性、また、例えばゴルフではインパクトの瞬間にシャッターを切ることはこれまでできませんでしたが、そうしたシーンも切り出せる無音・無振動の電子シャッターによるサイレント撮影など、プロカメラマンが撮る写真の幅、表現の幅をさらに広げたことに高い評価をいただいています。

五輪やサッカーW杯では超望遠レンズを装着したデジタル一眼レフカメラの放列が話題になりますが、そうした見馴れた光景が当たり前でなくなるかもしれません。

下野世界中の注目が集まる舞台で、プロカメラマンに使っていただくことはひとつの目標でもあります。まずは2020年の東京オリンピックに向けて、よいポジションを獲得していきたいですね。

プロに対するサービスやアフターフォローの拠点として、全国5カ所のソニーストアに設けられた「αプラザ」が活況を呈しているとお聞きします。

下野お陰様で、17年度にはプロサポート会員の方がおよそ2倍と急増しています。さらに満足度を高めるいろいろな工夫を継続的に続けており、例えば、プロからのご要望も、「メールで済ませられること」「直接電話で話すべきこと」「αプラザへの来店が必要なこと」と内容が異なりますから、きちんと切り分けた対応が大切です。ひとつひとつ勉強しながら、運営のノウハウも着実に身につきつつあります。きちんと製品を使用していただくためには、サポート体制の充実が欠かせません。プロの皆様からの信頼を得るクルマの両輪ですから、さらに力を入れて参ります。

Youtubeはじめ動画がより身近なものになりましたが、ビデオグラファーの方は増えていますか。

下野前述のプロスポーツを撮るカメラマンとビデオグラファーの方が増えているのが特に目につきます。写真と動画との境界のボーダーレス化が進んでいます。動画市場の拡大に伴い、写真に加えて動画撮影に取り組まれるプロにとって、コンパクトボディで写真撮影と高画質な4K動画などの撮影の両方に対応できるαの機動力は大きなアドバンテージになっていると伺っています。

下野 裕
α7Vは写真を趣味にしたい方や大好きな方、皆さんに選んでいただける新ベーシックです

大きな期待を集めるα7V
カメラとレンズを軸とした
リカーリングビジネスを創造

先頃開催された「CP+2018」が各社からのワールドプレミアで盛り上がる中、α7Vがレンズ交換式部門のワールドプレミア・アワードを獲得し、頭一つ抜き出た注目度の高さを示しました。本誌発表「デジタルカメラグランプリ2018 SUMMER」でもミラーレスの総合金賞を獲得しています。

下野プロやハイアマチュアに対し、高速性能を訴えたα9、高解像度の表現領域を実現したα7RVがあり、α7Vはミラーレスに新たな変革をもたらすフルサイズの新ベーシックと位置づけています。α6000シリーズやα6300をお使いで、カメラや写真がどんどん好きになって上達していくと、次の選択肢になるのが、表現力をさらに一段高められるフルサイズです。写真を趣味にしたい方、写真が大好きで向上心を持って楽しまれている方、そうしたすべての方に選んでいただけるのがα7V。従来のベーシックの概念を打ち破り、プロの方にもご使用いただいています。

御社デジタルカメラでは、RXシリーズを含めてラインナップがどんどん厚みを増し、しかも、それぞれが大変息の長いことが特筆されます。

下野α7Vが象徴的ですが、既存モデルを凌駕するハイスペックモデルを市場に投入しますので、あまり陳腐化せずに長い間お客様からご支持いただいています。α6000シリーズなどは発売して丸4年を経ましたが、写真の基本性能やAFの合焦精度は現在でも超一級の商品力と言える、完成度の高い商品です。目先を変えるのではなく、新製品として出すからには本質的に大きく進化するものを提案していきたいと考えています。

しかも値崩れしない。販売店にとってもありがたいですね。

下野メーカーとして商品を大切に販売していきたい。デジタルカメラのマーケットは縮小していますが、魅力的な商品を提供し、お客様に買い替え、買い増していただくことで、マーケットはもう一度活性化できる。かつてのような一人一台とはいかないまでも、いい写真を撮りたい欲求はお客様の心の中に常にあります。そこに応える商品が出せれば、自ずとマーケットの活性化につながっていきます。

新しい時代を開く牽引役がミラーレスですね。

下野17年度第3四半期に、ミラーレスがレンズ交換式カメラの販売台数で初めて50%を超えました。18年度には60%を超えてくるでしょう。そうした流れの中で大事になるのが交換レンズです。ミラーレスに乗り換えたものの、「一眼レフのときに使っていたあのレンズがない」というのは一番あってはならないこと。ソニーはレンズも力を入れて開発を進め、現在、フルサイズで28本、APS-Cで17本、計45本の最新設計の高性能レンズを自前で揃えています。

特約店の皆さんは異口同音に、ミラーレスのカメラを1台売ると、レンズが新規のシステムとなるため、一眼レフを1台売るのとはビジネス・ボリュームが段違いだとおっしゃいます。新たなリカーリングビジネスの創造という観点からも着目されているわけです。交換レンズのラインナップが自前でこれだけ揃っていることの認知徹底、さらに、それぞれのレンズの高性能を訴求していくことが大切なテーマだと認識しています。

レンズ専業メーカーの動きも俄かに活発になってきました。

下野CPプラスの会場でも、これは凄いことになってきたぞという思いでした。

デジタルカメラ市場の縮小の要因のひとつにスマートフォンの台頭が挙げられますが、御社ではスマートフォンにもXperia(エクスペリア)を展開されています。“撮る”というビジネスをどのように捉えていますか。

下野素軽く撮ってSNSにあげる上ではスマートフォンは物凄く使いやすい。一方、α6000シリーズやα6300のお客様がメインで撮られているのはお子さまの成長記録や家族の思い出です。運動会の写真をスマホで撮ることは考えづらい。成長の節目の“ハレの日”の写真や大事なイベントの写真、ずっとずっととっておきたい写真をどう撮るか。瞳の合焦性やボケ、明るさなど、専用機でないと表現できない世界、スマホでは撮れない写真があります。作例をきちんとお見せして、こうした「よい写真」はどこがどう違うのか、撮るためには何が必要なのか。大変オーソドックスな話ですが、地道に訴え続けていかなければならないポイントだと考えています。

カメラコーナーの一番目に付く場所に一眼レフが陣取り、その後方に控えめにミラーレスのコーナーがある光景が当たり前でしたが、これからは違います。ミラーレスをメインストリートに出して、デジタル一眼は大きくて重いからと躊躇していたお客様を筆頭に、より軽量コンパクトでいい写真を撮れるミラーレスの存在を訴えた積極的なご商売を特約店の皆様にご提案しています。多くのご賛同をいただき、売り場の変化を感じているところです。

テレビでは4K化による大型化・高画素化が進んでいます。ブラビアを擁する御社は、ここでも、連動した提案に力強いリーダーシップが期待されます。

下野12月から新4K8K衛星放送も始まり、テレビの4Kシフトはさらなる加速が予想されます。ミラーレスの特性を活かした高画質な4K動画撮影提案に加えて、大画面・高解像画面を通じてご自分で撮影した動画や写真をより深く楽しんでいただく提案を強化して参ります。

αプラザを核に
プロ向けビジネスを拡大
気づきと啓発を徹底する

「プロカメラマンセミナー」「αアカデミー」「αユニバース」など、αの魅力を訴えるさまざまな活動に注力されています。ホームページでは「一眼、ミラーレス時代。時代の主流は一眼レフからミラーレスへ」と大きく謳われています。今後の市場展望、需要喚起の鍵とその取り組みをお聞かせください。

下野2018年は、ミラーレスが一眼レフより販売台数が増える年になります。ソニーのミラーレスは圧倒的な高性能や連写性能、合焦エリアの広さ、瞳AFなど、従来の常識を超えた進化する驚きをお客様にご提案してきました。その特長をさらに徹底し、お客様の買い替えや新規購入の機運をさらに高めて参ります。

αユニバースでは、いろいろなバナー等からお客様を誘引する取り組みに力を入れています。訪問された方は、ソニーの商品に対して抱く印象が大きく変わることが判明しており、感動する高品質の写真が撮れる高性能なカメラであることをご理解いただけています。αプラザでは、ギャラリーやアカデミー、プロサポートを充実し、商品購入後のお客様の満足度を高める活動を徹底して行っています。買ってそのままではなく、次のステップへと上達できる、もっともっと写真がうまくなれる、豊かな表現の写真が撮れるための活動を進めていきます。一度、ソニーのαを購入いただいたお客様とはこれから長いお付き合いになるわけですから、信頼にきちんとお応えできる存在でありたいと思います。

パスポートサイズで一世を風靡したハンディカムから脈々と取り組まれ、ユーザーの日常にカメラが自然とある光景となった今、身近に寄り添う存在としてソニーが存在します。

下野私自身、カメラにはNEX時代のミラーレス1号機立ち上げ時から携わってきました。やるからには本気でやる。お客様との長いお付き合いとなる商品ですから、あらゆる面から腰を据えてコツコツやっていこうとスタートを切りました。今、お客様からの高い支持をいただき、ミラーレスのマーケットがここまで大きくなり活況を呈していることをとても感慨深く思います。

これからも、特約店の皆様からご支持いただける「商品」と「販売提案」にさらに力を入れ、皆様の信頼にお応えできるメーカーとして、一眼市場創造を牽引して参ります。

本年3月に発売、市場に大きな話題を提供する「α7V」。ミラーレスに対する注目度や躊躇していたお客様の購入に背中を押すなど、市場活性化においても一段と弾みをつける活躍に大きな期待を集める
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◆PROFILE◆

下野 裕 Yutaka Shimono
1961年10月22日 千葉県出身。1985年 ソニー株式会社に入社。AV、IT、デジタルイメージング、TVと一貫してプロダクツマーケティングを担当。2015年よりプロダクツマーケティング担当の執行役員に就任。現在に至る。

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