- マーケットの変化をリードする新しい
価値提案でビジネスの活性化に貢献する
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ソニーマーケティング株式会社
執行役員
プロダクツビジネス本部 本部長
- 下野 裕
新しい時代の到来を実感させる数々のチャレンジで魅了するソニー「ブラビア」。VGP 2018 SUMMERでは4K有機ELテレビ「A8Fシリーズ」が批評家大賞を獲得。ライフスタイルを変える幅広い強力な商品群を要し、夏商戦も市場創造へリーダーシップを発揮する。
インタビュアー/竹内純 Senka21編集部長、写真/柴田のりよし
テレビの定義を変える
3つの訴求ポイント
期待されるテレビ市場は先行きの不透明感もあります。どのように展望されますか。
下野今年は前年比微増の440万台と見ていますが、4Kに限れば引き続き伸長しています。12月開始の新4K8K衛星放送も買い替えを促すチャンスとして、業界をあげて盛り上げていかなければなりません。
買い替えサイクルの長期化や特に若い人を中心としたテレビ離れが、業界活性化への大きな課題となっています。テレビを買い替える動機を喚起するには、画質・音質に徹底的にこだわり進化させることに加え、さまざまな動画コンテンツが増大していく中で、手軽に音声で検索して好きなコンテンツを楽しめるようなネット動画への対応を進めること。また、Googleアシスタントなどとの連携により、これまでのテレビにはなかった使い勝手の価値を訴えること。この3つが大事なポイントになると考えた展開を進めています。ブラビアをお使いのお客様のネット接続率は7割を超え、ネット動画等に魅力を感じ、実際に楽しんでいただいています。特約店様でも店頭でのネット接続を意識し、売り場づくりにも工夫を凝らすなど、取り組みを強化していただいています。
この夏商戦の重点モデルは、4K有機ELモデルではA8F、4K液晶モデルではX9000Fとなります。これらのモデルの販売促進へプロモーションも強化します。6月16日からはブラビアA8FシリーズのテレビCMもスタートしました。VOD各社とコラボした無料視聴キャンペーン等もこれまで以上に大規模に展開して参ります。
今後はより一層、付加価値の高い商品、市場創造型の商品に力を入れていくことが重要になります。社内では「テレビの定義を変える」という表現をよく使います。従来型の放送波を見るものに加え、コンテンツを見るもの、コミュニケーションを楽しむものへと変わっていく。ソニーはその新しい世界を切り開くリーディングカンパニーでありたいと思います。
単なる買い替え、置き換えでなく、進化する価値を伝えることが店頭でも重要です。
下野まず、インチサイズアップですが、さらなる大型サイズの提案として、75V型の75X8500Fを、島展示のエンドで効果的に訴求する展開を大々的に進めています。グレードアップ提案では、X8500Fシリーズから1つ上のX9000Fシリーズへ、比較視聴してグレード差を認識いただける展示・販売提案を推進。要望が高まる壁掛けでは、有機ELテレビA8Fの壁掛けを展示し、提案しています。また、全国のソニーストア直営店舗では、壁掛け設置の実演会を実施し、壁掛けの具体的な施工方法をお見せし、疑問解消などのコンサルティングを行っています。
テレビとのセット販売では、サウンドバーの提案として、液晶テレビX9000Fシリーズのスタンドの中にすっきり収まるデザインマッチングしたサウンドバー「HT-X9000F」によるセット展示を強化しています。ブルーレイディスクレコーダーでは、4Kテレビの映像を堪能できるUltra HDブルーレイ再生対応やハイビジョンの映像を4Kブラビアに最適な映像に調整して出力する「4Kブラビアモード」、新作ドラマやアニメを最長1カ月前から予約できる「先録」を訴求ポイントに据えました。テレビ販売時にサウンドバーやBDレコーダーを併せて提案し、その成約率を高めることも、夏商戦の大切なポイントです。
新しい市場を創る
チャレンジをし続ける
ポータブル超短焦点プロジェクター「LSPX-P1」、肩に載せるウェアラブルネックスピーカー「SRS-WS1」、グラスサウンドスピーカー「LSPX-S1」など従来なかった市場創造型の商品が話題を集めています。
下野新しいマーケットを創る商品として、今、大変ヒットしているのが首掛け集音器の「SMR-10」です。耳の聞こえが少し悪くなったけど補聴器は使用していない、1520万人いると言われる方々に向けた商品です。老眼鏡のようなイメージでしょうか。ご年配のお客様へ向けた使い勝手の配慮、音声にハウリングを起こさせない、外部の音を聴きやすく自分の声が大きく入らないようにするなど、開発段階から苦労を重ねたこだわりの商品です。一見イヤホンのように見えるデザインも大変好評をいただいています。店頭できちんと体感いただいて良さを分かっていただけることで、販売につながる商品です。悩まれている方は説明を聞きたがっており、お客様に知ってもらう努力が大切になります。
SRS-WS1も生産が追いつかずご迷惑をおかけしています。ソニーではマーケットの大小だけではなく、世の中に対して意義あること、お客様のライフスタイルをポジティブに変えること、家族のコミュニケーションをもっと密にすること、そうした観点から商品づくりにチャレンジしていくことが大事であると考えています。それをあきらめずにやり続けているのがソニーらしいところですね。
例えば、グラスサウンドスピーカーでは、長さ約1メートルもの有機ガラス管を振動させる「Sountina」というスピーカーを08年に発売していました。その技術がブラビアA1やA8Fのアコースティックサーフェスにも生きています。要素技術を開発して世の中にない商品を作り出すことは、次の商品へつながる副次的効果にも大きく貢献しています。
オーディオ関連の注力ポイントをお聞かせください。
下野特に力を入れるのはヘッドホン・イヤホン。1〜3万円のブルートゥースイヤホンが前年比170%の伸びになると予想しており、中でもトルゥーワイヤレスの構成比は急拡大しています。ソニーでは、「WF-1000X」「WF-SP700N」「Xperia Ear Duo」の3商品があり、それぞれの特長を活かした売り分けを推奨し、「売り分け勉強会」を開催しています。1000Xは業界最高クラスのノイズキャンセリング性能が特長で通勤・通学にも最適。SP700Nは迫力ある重低音が自慢で、防滴設計によりスポーツシーンでの使用に適しています。Xperia Ear Duoはスマートフォンとの連携で、天気や受信したメッセージを読み上げたり、音声でLINEのメッセージを入力・送信したりできます。単に展示して好きなものを選んでいただくのでなく、成約率を上げるためには違いを明確に説明してお客様にコンサルティングしていくことがポイントです。
最後に夏商戦への意気込みをお願いします。
下野夏商戦に向け、有機ELテレビA8Fをはじめ新しい価値提案のできる魅力ある商品を多数ご用意しました。特約店の皆様と力を合わせ、高付加価値商品の販売により一層力を入れていきたいと思います。
◆PROFILE◆
下野 裕
1961年10月22日生まれ。千葉県出身。1985年 ソニー株式会社入社。AV、IT、デジタルイメージング、TVと一貫してプロダクツマーケティングを担当。2015年よりプロダクツマーケティング担当の執行役員に就任。現在に至る。