録音からマスタリングまで一連の収録作業を取材
【岩井喬の制作現場レポ】デビューアルバム『アマネウタ』SACD化への想いをSuaraさんにきく
6月23日にSuaraさんの3作目となるフルレンス・ライブ作品『Suara LIVE 2010歌始め』のBD/DVD&SACDが発売となった。このときのライブはPhile-web上でチケットプレゼントも行われ、実際に会場へ足を運んだ読者の方も居られたと思う。今回、『Suara LIVE 2010歌始め』についてSuaraさんにお話を聞く機会を得た。
このインタビューをさせていただいた5月某日、都内のレコーディングスタジオ「スタジオ・サウンド・ダリ」にて、Suaraさんのファースト・アルバム『アマネウタ』、SACD化へのリミックス作業が行われていた。そのリミックス過程や後日行われたマスタリング作業も含めて取材させていただけることとなった。
これまでもアルバムやシングル発売時にSuaraさんへのインタビューを敢行してきたが、実作業時の取材は今回が初めてである。実は取材前日に急遽ボーナストラック用のアコースティック版「星座」の一発録り収録が決まり、その録音現場も取材させていただけたので、録音〜リミックス(ミックスダウン)〜マスタリングと、一連の収録作業を見学することが出来た。この新生『アマネウタ』、『Suara LIVE 2010歌始め』についてと構成を分けて収録工程をレポートしていこうと思う。
■会場が一体感で包まれた正月ライブの映像をSACD/BDで発売
まずはSuaraさんに『Suara LIVE 2010歌始め』の見どころ、聴きどころを伺った。
ーー編集作業を通し、改めて『歌始め』のライブを振り返ってみて、いかがでしたか。
Suaraさん:二日間のライブもですが、両日を収録して、しかも映像と音源をそれぞれリリースするのは初めての経験で、贅沢なことですし、とてもありがたいと思っています。SACDに至っては、音だけを聞いて頂くわけですから、細かいところまで鮮明ですし、ドキドキしますね。特にSACDに収録された1日目の後半、歌詞を忘れてしまったところもそのままにしてますし、当日来られた方は思い出しながらニヤニヤしてしまうかもしれませんね(笑)。もちろん来られなかった方も、ライブの臨場感が伝わってくると思いますので、私も含めて、ファンの皆さんと一緒に楽しめるライブ作品になりました。
ーービデオパッケージでは映像に引っぱられてしまいますが、SACDのように音声のみですと、より深い想像と、新たな発見もありそうですよね。
Suaraさん:そうですね、ライブだけでしか出せない歌い方になっていると思いますし、その場の空気感もあるので、是非注意深く聞いていただきたいですね。そして1日目と2日目ではアレンジの違う曲(「キミガタメ」、「星座」)もありますから、両方の違いをそれぞれ楽しんでいただけるはずです。
ーーフルレンスライブはその都度、映像化されていますが、過去のライブと比べて今回のライブではどのような印象の違いがありましたか。
Suaraさん:それぞれ過去のライブ会場は大きさも、その雰囲気も異なるところでしたが、今回はステージの広さからして、“本来の”ライブハウスの音になっているんじゃないかなと思っています。お客さんとの距離感もちょうど良くて、奥行きも深すぎず、会場全体での一体感を得ることができましたね。セットリストとしても前回よりもアップテンポな楽曲が増えたこともあって、バンドサウンドの激しさも良い形で出ていたんじゃないかな。
ーー1日目の後半、歌詞をお客さんが合唱して助けてくれた場面も感動的でしたが、両日ともSuaraさんと観客側との良い相乗効果があったように感じられました。
Suaraさん:そうなんですよね!ライブは私一人だけでは成り立たないですけど、お客さんから瞬時にパワーをもらってそれを力に還元できたような、お客さんとのキャッチボールも含めて良いケミストリーが生まれたライブだったなと思っています。ワンマンライブではたまになることがあるんですが、『今、自分は歌っているのか?』みたいに、邪念が一切なく、我もない、まるで“無我の境地”に至ったようにリラックスして声が出せている瞬間が、今回のライブでは本当に多くあったように思います。自分自身、映像を見返していると『あ、この瞬間、入ってるな』と感じられたのですが、皆さんにもそうしたライブの余韻をじっくりと味わっていただきたいですね。
■唯一SACD化されていなかったデビューアルバムがついにSACD化
今回、Suaraさんだけでなく、プロデューサーである下川直哉さん、リミックスを担当されたエンジニアの橋本まさしさん、マスタリングを担当したエンジニアさんにお話を伺うことができた。まずはSuaraさんに今回の『アマネウタ』リミックスについて、その想いを聞いてみた。
ーー今回のSACD化される『アマネウタ』ですが、デビュー5周年ということで、今ファーストアルバムを振り返って感じていることを教えてください。
Suaraさん:そうですね、デビューから今まで、本当に良い曲に巡り合えてきたんだなって思っています。特に『アマネウタ』は今でもファンの皆さんに支持されていますし、ライブでも欠かせない曲が入っていたり、私自身良い曲だと思える曲がたくさん入っています。もちろん、今改めて聴き直すと、未熟なところもいっぱいあって、気になってしまうんですが・・・(笑)。でも、逆にこのときだからこそできる歌い方、「これが私の歌です!」って、素直にストレートな想いを伝えているところが当時ならではの良いところかなと思うんです。歌の表情には乏しいんですが、素直に声が出せていて、今の私には出せない歌い方ですね。
ーーSACD化に併せて、新曲「天音唄」が収録されるそうですね。同じアルバムに収録するということで、5年前の作品たちに合わせるのは大変だったのではないでしょうか。
Suaraさん:作曲をしてくださった松岡純也さんに、『アマネウタ』路線でとお願いしました(笑)。セカンドアルバム以降でも「夢幻の丘」や「太陽と月」といった『アマネウタ』系の楽曲はありましたが、『これぞSuara!』というような、歌い上げ系のバラードを追加したいと考えていたんです。
作詞は私が担当しました。自分の歌に対する想いを書きたいと思ったんです。『アマネウタ』を出した時、心に響く歌を歌っていきたい、あまねく広がって欲しいという想いがあって、「あまねく響く歌」というところから『アマネウタ』という造語を作ったんですね。今もう一度その原点に立ち返ろうと思って書いた詞になります。
この5年間を一言で言うなら、“彷徨っていた”と思うんです。それでもやっぱり“運命【さだめ】のままに私は歌う”事を選んだというか、使命だとか大それたことではないんですが、今歌える環境にいるのが運命だといえるんじゃないかなと。だから歌を聞いてくれる人がいる限り歌いたいですし、悩んでも何しても歌い続けていきたい!という今の気持ちを書いてみました。
ーーなるほど、完成した楽曲を聞くのが楽しみです。そうすると「天音唄」は単なる新曲追加ということではなく、これまでのSuaraさんの活動を統括するような側面もあるのですね。最後に今後の抱負も含めて、SACD『アマネウタ』に対する想いをお聞かせください。
Suaraさん:そうですね。統括という大きなスパンというより、まだその途中ですけれど、“導かれて、今ここに自分がいて”という感じです。はじめは『アマネウタ』がSACDになるんだぁって、そんなに大きな想いがあったわけではないんですが、ここまで自分を振り返るきっかけになるとは思いもしませんでした。今まで彷徨ってはいたけれど、それは成長したいがための悩みだったりしたので、これまで積み上げてきたものは間違いじゃなかったって、確信することが出来ました。歌ってきて本当に良かったと本当に実感しましたし、これからの自信にもつながりました。7月21日の発売日を是非楽しみにしていてください!
ーー今後のご活躍も期待しています。本日はありがとうございました。
このインタビューをさせていただいた5月某日、都内のレコーディングスタジオ「スタジオ・サウンド・ダリ」にて、Suaraさんのファースト・アルバム『アマネウタ』、SACD化へのリミックス作業が行われていた。そのリミックス過程や後日行われたマスタリング作業も含めて取材させていただけることとなった。
これまでもアルバムやシングル発売時にSuaraさんへのインタビューを敢行してきたが、実作業時の取材は今回が初めてである。実は取材前日に急遽ボーナストラック用のアコースティック版「星座」の一発録り収録が決まり、その録音現場も取材させていただけたので、録音〜リミックス(ミックスダウン)〜マスタリングと、一連の収録作業を見学することが出来た。この新生『アマネウタ』、『Suara LIVE 2010歌始め』についてと構成を分けて収録工程をレポートしていこうと思う。
■会場が一体感で包まれた正月ライブの映像をSACD/BDで発売
『Suara LIVE 2010歌始め』 SACDハイブリット 発売中/KIGA-6/7(2枚組)/¥3,480(税込) BD 発売中/KIXM-1011/¥3,980(税込) 2010年1月2日と3日、Shibuya O-EASTにて開催されたライブを収めた本作は、1日目の内容をSACDハイブリッド・2枚組に、そして2日目の内容をBD/DVDに分けて収録されている。SACD盤はMCをカットして、ライブにおける演奏の良さを堪能できるつくりになっている。マスターは96kHz/24bitで収録されており、ミックスダウンの段階でDSD化されている。BD/DVDのマスターも同一レゾリューションで録音されており、BDでは96kHz/24bitのリニアPCM・2ch仕様と48kHz/16bit・リニアPCM・5.1chサラウンド仕様が収録されている。筆者もライブを両日とも取材させてもらったが、バックバンドが一新されグルーブとラウド感が伴った、ライブ映えするサウンドを軸に、Suaraさんのこれまでの集大成ともいえる素晴らしい公演であった。 |
まずはSuaraさんに『Suara LIVE 2010歌始め』の見どころ、聴きどころを伺った。
ーー編集作業を通し、改めて『歌始め』のライブを振り返ってみて、いかがでしたか。
Suaraさん:二日間のライブもですが、両日を収録して、しかも映像と音源をそれぞれリリースするのは初めての経験で、贅沢なことですし、とてもありがたいと思っています。SACDに至っては、音だけを聞いて頂くわけですから、細かいところまで鮮明ですし、ドキドキしますね。特にSACDに収録された1日目の後半、歌詞を忘れてしまったところもそのままにしてますし、当日来られた方は思い出しながらニヤニヤしてしまうかもしれませんね(笑)。もちろん来られなかった方も、ライブの臨場感が伝わってくると思いますので、私も含めて、ファンの皆さんと一緒に楽しめるライブ作品になりました。
ーービデオパッケージでは映像に引っぱられてしまいますが、SACDのように音声のみですと、より深い想像と、新たな発見もありそうですよね。
Suaraさん:そうですね、ライブだけでしか出せない歌い方になっていると思いますし、その場の空気感もあるので、是非注意深く聞いていただきたいですね。そして1日目と2日目ではアレンジの違う曲(「キミガタメ」、「星座」)もありますから、両方の違いをそれぞれ楽しんでいただけるはずです。
ーーフルレンスライブはその都度、映像化されていますが、過去のライブと比べて今回のライブではどのような印象の違いがありましたか。
Suaraさん:それぞれ過去のライブ会場は大きさも、その雰囲気も異なるところでしたが、今回はステージの広さからして、“本来の”ライブハウスの音になっているんじゃないかなと思っています。お客さんとの距離感もちょうど良くて、奥行きも深すぎず、会場全体での一体感を得ることができましたね。セットリストとしても前回よりもアップテンポな楽曲が増えたこともあって、バンドサウンドの激しさも良い形で出ていたんじゃないかな。
ーー1日目の後半、歌詞をお客さんが合唱して助けてくれた場面も感動的でしたが、両日ともSuaraさんと観客側との良い相乗効果があったように感じられました。
Suaraさん:そうなんですよね!ライブは私一人だけでは成り立たないですけど、お客さんから瞬時にパワーをもらってそれを力に還元できたような、お客さんとのキャッチボールも含めて良いケミストリーが生まれたライブだったなと思っています。ワンマンライブではたまになることがあるんですが、『今、自分は歌っているのか?』みたいに、邪念が一切なく、我もない、まるで“無我の境地”に至ったようにリラックスして声が出せている瞬間が、今回のライブでは本当に多くあったように思います。自分自身、映像を見返していると『あ、この瞬間、入ってるな』と感じられたのですが、皆さんにもそうしたライブの余韻をじっくりと味わっていただきたいですね。
■唯一SACD化されていなかったデビューアルバムがついにSACD化
『アマネウタ』 SACDハイブリット/7月21日発売/KIGA-8/¥2,200(税込) Suaraさんのデビュー・アルバムとして、2005年にリリースされた『アマネウタ』。そのデビューから5周年となる本年、Suaraさんのアルバムの中で唯一SACD化されていなかった『アマネウタ』が、『Pure〜AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS〜』でも録音/ミックスを手がけた、橋本まさしさんによってリミックスされ、新たにSACDとなって7月21日にリリースされることになった。さらに新曲として「天音唄」が、そして冒頭でも述べたように、ボーナストラックとしてSuaraさんとピアノを一発録りした、「星座〜アコースティックバージョン〜」が追加収録されることになり、単なる焼き直しではない、アニバーサリーを飾る作品として、新たな輝きを放つアルバムとなることは間違いないだろう。 |
今回、Suaraさんだけでなく、プロデューサーである下川直哉さん、リミックスを担当されたエンジニアの橋本まさしさん、マスタリングを担当したエンジニアさんにお話を伺うことができた。まずはSuaraさんに今回の『アマネウタ』リミックスについて、その想いを聞いてみた。
ーー今回のSACD化される『アマネウタ』ですが、デビュー5周年ということで、今ファーストアルバムを振り返って感じていることを教えてください。
Suaraさん:そうですね、デビューから今まで、本当に良い曲に巡り合えてきたんだなって思っています。特に『アマネウタ』は今でもファンの皆さんに支持されていますし、ライブでも欠かせない曲が入っていたり、私自身良い曲だと思える曲がたくさん入っています。もちろん、今改めて聴き直すと、未熟なところもいっぱいあって、気になってしまうんですが・・・(笑)。でも、逆にこのときだからこそできる歌い方、「これが私の歌です!」って、素直にストレートな想いを伝えているところが当時ならではの良いところかなと思うんです。歌の表情には乏しいんですが、素直に声が出せていて、今の私には出せない歌い方ですね。
ーーSACD化に併せて、新曲「天音唄」が収録されるそうですね。同じアルバムに収録するということで、5年前の作品たちに合わせるのは大変だったのではないでしょうか。
Suaraさん:作曲をしてくださった松岡純也さんに、『アマネウタ』路線でとお願いしました(笑)。セカンドアルバム以降でも「夢幻の丘」や「太陽と月」といった『アマネウタ』系の楽曲はありましたが、『これぞSuara!』というような、歌い上げ系のバラードを追加したいと考えていたんです。
作詞は私が担当しました。自分の歌に対する想いを書きたいと思ったんです。『アマネウタ』を出した時、心に響く歌を歌っていきたい、あまねく広がって欲しいという想いがあって、「あまねく響く歌」というところから『アマネウタ』という造語を作ったんですね。今もう一度その原点に立ち返ろうと思って書いた詞になります。
この5年間を一言で言うなら、“彷徨っていた”と思うんです。それでもやっぱり“運命【さだめ】のままに私は歌う”事を選んだというか、使命だとか大それたことではないんですが、今歌える環境にいるのが運命だといえるんじゃないかなと。だから歌を聞いてくれる人がいる限り歌いたいですし、悩んでも何しても歌い続けていきたい!という今の気持ちを書いてみました。
ーーなるほど、完成した楽曲を聞くのが楽しみです。そうすると「天音唄」は単なる新曲追加ということではなく、これまでのSuaraさんの活動を統括するような側面もあるのですね。最後に今後の抱負も含めて、SACD『アマネウタ』に対する想いをお聞かせください。
Suaraさん:そうですね。統括という大きなスパンというより、まだその途中ですけれど、“導かれて、今ここに自分がいて”という感じです。はじめは『アマネウタ』がSACDになるんだぁって、そんなに大きな想いがあったわけではないんですが、ここまで自分を振り返るきっかけになるとは思いもしませんでした。今まで彷徨ってはいたけれど、それは成長したいがための悩みだったりしたので、これまで積み上げてきたものは間違いじゃなかったって、確信することが出来ました。歌ってきて本当に良かったと本当に実感しましたし、これからの自信にもつながりました。7月21日の発売日を是非楽しみにしていてください!
ーー今後のご活躍も期待しています。本日はありがとうございました。
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