「ホームシアターグランプリ2012」総合金賞受賞 - ホームシアター工房東京・山岡裕和氏インタビュー
「ホームシアターグランプリ2012」インストール部門では、ホームシアター工房東京とダイナミックスカスタマイズがインストールを担った、静岡県A邸が最多得票を集めて、総合金賞を受賞した。静岡県A邸のホームシアターインストールのリーダーはホームシアター工房東京の山岡裕和氏。今回、総合金賞受賞を記念して、山岡氏にインタビューを行った。

ホームシアター工房東京 山岡裕和氏
そんな山岡氏が手がけた静岡県A邸のホームシアターは、映画館をダウンサイジングしたような本格的な造りであり、映像・音響から照明シーン、コントロールに至るまで、完璧なインストールが施されている。その臨場感は本物の映画館を凌駕するほど、迫力に満ちあふれたものである。

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◆インタビュアー:『ホームシアターファイル』編集長 川嶋隆寛
ー「ホームシアターグランプリ2012」総合金賞受賞おめでとうございます。
山岡氏(以下 敬称略) ありがとうございます。A邸のホームシアターは、建築のごく初期、基本設計の段階からかかわり、さまざまな経験をさせていただきました。施主と設計の先生と綿密な打ち合わせを何度も重ねて、長い時間をかけて完成しました。私たちにとって、非常に印象深いホームシアターですので、総合金賞受賞はとてもうれしいです。
ー 施主のAさんからはどういうホームシアターをつくってほしいという依頼を受けたのですか?
山岡 Aさんは昔から映画がお好きで、「映画館がほしい」という夢をお持ちでした。
ー 映画館がレファレンスだったと。
山岡 そうですね。「映画館」を基準に、では具体的なイメージをつくってみましょう、ということからはじまりました。具体的には、CEDIAアワードブックなど、北米で刊行されているホームシアターの事例集をお見せして、Aさんに具体的なイメージをつくっていただき、そのイメージをもとに肉付けしていきました。空間の色のイメージや座席の数、デザインなどを事例集からセレクトしていただき、それを組み合わせて、お薦めのプランを複数提案させていただきました。
ー 設計のごく初期からかかわったということですが、間取りもまだできていなかった頃ですか?
山岡 ええ、このあたりをホームシアターにするというプランはありましたが。設計を担当された芦屋先生(アシヤアーキテクツ)も本格的なホームシアターは初めてだということで、どのくらいの広さが必要なのか、天井高はどのくらいにすればよいのかなどもわからないということでしたので、たとえば音響的に天井高は3メートル程度は必要だとか、そうしたアドバイスをさせていただきました。
ー プロジェクトの開始はいつごろですか?
山岡 2年前です。今年の夏に完成しましたから、丸2年かかりました。
ー 今回のプロジェクトで難しかったこと、苦労された点はございますか?
山岡 苦労ということはありませんでしたが、施主のAさんの音に対するこだわりは半端ではなく、たいへんシビアなので、音環境の整備に関しては、細心の注意を払いました。
ー フロントスピーカー周囲に吸音材をたくさん詰めていますね。
山岡 B&Wの800SDはいいスピーカーなんですが、鳴らしきるにはテクニックが必要なんですよね。スピーカーをしっかりと鳴らすためにはフラットに吸音する必要がありますので、吸音材はかなり使いましたね。
ー サラウンドにダイポールを使っていますし。
山岡 ええ、広い空間なので、サラウンド側の音場をつくるために、敢えてダイポールを使いました。
ー コントロール系も充実しています。
山岡 リビングではiPad、ホームシアターではマランツのRC9001を使っています。オートメーションシステムはクレストロンです。AV機器や照明はもちろんのこと、リビングの電動カーテンもつないで制御しています。
ー インターフェイスもわかりやすいですし、だれでも簡単に使えるようになっています。
山岡 できるだけ簡単に操作できるように心がけました。ホームシアターでRC9001を選んだのは、真っ暗なホームシアター専用ルームではiPadは明るすぎるからです。
ー 映像、音響、照明、コントロール系、すべてが高い水準にあるので、感嘆しました。私は創刊から『ホームシアターファイル』に在籍していますが、ここまでレベルの高いホームシアターに出会ったのは、片手で数えられるくらいです。来年も素晴らしいインストールを期待しています。ありがとうございました。