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「余計なものを排除する」のがコンセプト

AIR Studiosテクニカルディレクターに聞く、パイオニア「SC-LX87/77」の音作り

公開日 2013/08/07 13:05 ファイル・ウェブ編集部
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本日発表されたパイオニアの新AVアンプ「SC-LX87」「SC-LX77」は、イギリスの名門スタジオ「AIR Studios」と共同チューニングを行っている。長年にわたってパイオニアと共同作業を行っている同スタジオのテクニカルディレクター ティム・ヴァン-ロット氏にお話しをうかがった。


ティム・ヴァン=ロット氏
ヴァン-ロット氏:AIR Studiosは、録音やマスタリングを行う世界有数の音楽スタジオです。ビートルズの音楽プロデューサーを務めたジョージ・マーティン卿を中心に、ジョン・バージェス、ペーター・サリバン、ロン・リチャーズなど当時EMIに籍を置いていた優れた技術者たちが集まって、1969年にオックスフォードに設立されました。

当時のEMIの体制は厳格でした。各部門に専門の人間がいて、それぞれの仕事に明確な棲み分けがありました。録音の現場でも「アレを触るな」「これはダメだ」という風に業務のテリトリーが非常に限られていたのです。ジョージ・マーティンはこれを、クリエイティビティに欠けていると感じました。そして、技術はスタジオのためにあるのではなく、アーティストの意向を再現するものであるべきだ、という考えに至ったのです。

そこで彼らは1965年にEMIを離れ、AIR Studiosを設立しました。「AIR Studios」の「AIR」は、、Associated Independent Record Producersの頭文字を取ったもの。つまり"クリエイティビティを持ち独立した録音エンジニアたちの集まったスタジオ"という意味が込められています。

・最良のテクノロジーを駆使すること
・テクノロジーがアーティストのためにあること
・テクノロジーが透明性のあるものであること

これがAIR Studiosの音づくりの根幹にある哲学です。

-- パイオニアとはどういったセッションを行っているのでしょうか?

ヴァン-ロット氏:まずパイオニアが制作したテストプロダクションのサンプルをじっくり試聴し、問題点をリストアップします。そしてパイオニアの技術者と一緒に、AIR Studiosとパイオニア双方の方向性を確認しながら試聴して、直して、また試聴して、直して…という作業を何度も行います。音質に影響があると判断すれば、ネジひとつまで取り替えることもあります。パイオニアの技術者が来英することもありますし、今回のように私が日本を訪れることもあります。SC-LX81以来何度も一緒にセッションしていますので、パイオニアの技術者は私の求めるものをよく分かってくれています。

パイオニア製品のチューニングをする際念頭に置いているのは、「余計なものを排除する」ということ。それは、我々AIRStudiosの思想である“アーティストが出したいと思う音を表現する”ということとも重なります。

-- 今回の新モデルにも採用されているESS社の新素子についてはどう感じていますか?

ヴァン-ロット氏:新しい素子はノイズが少なく、オープンでクリア。調整がとてもしやすかったですね。従来より”枠が広くなった”感じがします。広くなると表現力が増えるので、2ch再生はもちろん、マルチチャンネル再生もだいぶ印象が変わったと思います。チューニングは2ch中心で行いましたが、結果的にマルチも良くなったという感じです。

-- 昨今ハイレゾ再生がフィーチャーされています。今回の新モデルも、ハイレゾ再生対応を強化していますね。AIR Studiosでは、ハイレゾに対してどのような考えでいらっしゃるのでしょうか?

ヴァン-ロット氏:ハイレゾ再生というフィーチャーが登場してから、サウンドチューニングは明らかに変わりました。より大きな差が現れてしまうので、44.1kHz/16bit時よりさらに慎重に、音の再現性を判断するようになっています。

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