豊富な商品群を有機的につなぎ |
世界初となる4倍速表示を実現した「モーションフロー240コマ」搭載の液晶テレビ・ブラビアをはじめ、AV総合メーカーに相応しく多くのカテゴリーで金賞を受賞したソニー。注力してきたカテゴリーを横断した機器の連携機能、ネットワーク機能は確実に商品に反映されており、新しい付加価値を生み出している。今後の展開に大きな期待がかかる同社の方向性について坂本氏にお話を伺った。 インタビュアー:音元出版社長 和田光征 |
■主役となる液晶テレビは3本の柱を軸に展開 ――ビジュアルグランプリ2010では、御社の数多くの商品が金賞を受賞されています。年末に向け各カテゴリーの戦略をお聞かせ願えますか。 坂本 昨今はAV機器のデジタル化が一層進展し、HDMIのリンク機能や、DLNAなどネットワーク機能等、AV機器のカテゴリーを横断したつながりが顕著です。これにより、従来にはなかった新たな付加価値を提供できる環境が整ってきました。当社はAV総合メーカーとしての強みを最大限に活かし、豊富な商品群を組み合わせることで、1+1を2ではなく3にも4にもしていけるような付加価値提案をしていきたいと考えています。 まず、中心となる液晶テレビですが、今年末商戦においては3つの柱を掲げています。1つ目は“モーションフロー240コマ"の訴求です。これはコマ数4倍での表示により、動きの早い映像を滑らかにする技術で、当社液晶テレビの基本性能の向上に大きく貢献していますが、それだけではありません。このモーションフロー240コマの開発で得た画作りの技術やノウハウは、来年の発売を予定している3Dテレビにもつながっています。この技術が持つ魅力や優位性をきっちりとお客様にご理解いただき、今後拡がりゆく3Dの世界においてもアドバンテージとしていきたいと考えています。 続いて2つ目は省エネ。昨今、省エネ性能向上への要望は、テレビに限らず多岐にわたるカテゴリーで高まっています。当社では単に消費電力が少ないというだけの訴求に止まらず、省エネ性能が一目で伝わる“人感センサー"を搭載した機種など、“賢く省エネ"をアピールしていきます。 また、お客様のライフスタイルに合わせたレイアウトを実現する超薄型ワイヤレスタイプには、モーションフロー240コマを搭載したZX5シリーズをこの秋よりラインナップに追加しました。レイアウトの自由度が非常に高く、壁掛け、壁寄せ、スタンド設置に対応する他、液晶画面とチューナーボックスの接続がワイヤレスなので、お客様の生活に寄り添い、インテリアを損ねることなく、むしろインテリアの一部となるフラットTVだと自信を持っています。このように“多様なライフスタイルに合致する商品構成"を揃えることが3つ目の柱となります。 ――多様なライフスタイルに対応するという面では、好みに合わせてカラーや設置スタイルをカスタマイズできる“ブラビア・プレミアムオーダー"も展開もされています。こちらの動向はいかがでしょうか。 坂本 まだまだ数量的には大きな割合を占めているわけではりません。しかしながら、お客様が好みに合わせて商品をカスタマイズできるということは大きな付加価値だという手応えは確実に得ています。薄型テレビが当たり前のものとなる中、次のステップとして、部屋のインテリアを考えながら、商品を自分好みにカスタマイズできることが、お客様のメリット、満足度ともに高まると考えています。 ――デザイン面での訴求は御社の強力な武器の一つ。このブラビア・プレミアムオーダーは新たな付加価値はもちろんですが、液晶テレビの新しい可能性も多分に感じており、大きな期待を寄せています。 ■BDレコーダーを中心に広がりゆく楽しみを訴求 ――一方、テレビと共に市場拡大が期待されるBDレコーダーですが、こちらはいかがでしょうか。 坂本 今年のBDレコーダー新機種群には様々な新機能が盛り込まれています。進化した自動録画機能“x-おまかせ・まる録"も強力な機能の一つですが、中でも特にお伝えしていきたいのは全機種に搭載されたデジタルスチルカメラ“サイバーショット"、カムコーダー“ハンディカム"との連動機能です。BDレコーダーとUSBケーブルでつなぎ、ボタンを一押しするだけで、撮影した写真や動画を簡単に取り込むことができます。また、取り込んだパーソナルコンテンツは“x-Pict Story(エックスピクトストーリー)"というアプリケーションにより音楽付の印象的なスライドショーをBDディスクに簡単に残すことができ、撮影後の楽しみまで含めて提供できる自信の機能です。 これまでレコーダーの使い方はタイムシフトがメインでした。昨今、市場では録画機能付きのテレビが大きな話題を集めていますが、こちらも従来のタイムシフト目的の延長だと感じています。私達がレコーダーで目指すのはその一歩先の広がる楽しさ。現在はパーソナルなものから、インターネット上のものを含めた様々なコンテンツで溢れています。その豊富なコンテンツを思う存分楽しんでいただき、さらに加工して思い出にしたり、家族や仲間とシェアする。これをPCレスで実現していくホームサーバー的な存在こそ、ソニーの考える新たなレコーダーの在り方であり、BDレコーダー新商品群はその象徴だと自負しています。 ――豊富なコンテンツをBDレコーダーに集約して楽しめると色々な可能性が拡がりますね。 坂本 さらにその一歩先には、DLNA機能の提案があります。家庭内にBDレコーダーが一台あれば、録り貯めたコンテンツをベットルームや書斎、子供部屋に設置した対応のブラビアで楽しむことができます。また、BDレコーダー新商品群は録画した映像の持ち出し機能の強化も図っており、これまでウォークマンや携帯電話、PSPに加えてポータブルナビゲーションシステム“ナブ・ユー"も対応しました。これら“いつでも、どこでも、もっと楽しく"という提案は幅広い商品群を持つ当社にしかできない提案であり、今後さらに追求していかなければならない課題でもあります。 ■映像商品を追求すればこそ音周りの商品にも注力 ――薄型テレビとBDレコーダーの組合わせが市民権を得た今、テレビの音周り商品にも期待できる環境が整いました。音周り商品の今後の展開についてお聞かせ下さい。 坂本 美しい映像に良い音があればさらなる感動を生む、これは自明の理です。現在はシアターラック、フロントサラウンドシステム、AVアンプとスピーカーの組み合わせというように、シンプルなものから本格的なものまで様々なホームシアターの形がありますが、このカテゴリーには映像商品を追求するソニーだからこそ、さらに注力していかなくてはならないと認識しています。 一方で、ポータブルオーディオプレーヤーの市場が拡大していますが、ここからハイファイオーディオへとお客様を誘導していくことも業界の大きな課題。小さい頃から音楽には親しんでいても、ハイファイオーディオに触れた経験がない方、PCで音楽を聴いている方が増えていると聞きます。私達の世代では親にラジカセを買ってもらい、そこから次のステップ、さらに次のステップという流れがまだありましたし、ハイファイオーディオで音楽を聴いた時は感動したものです。そういった感動を体感できる場作りまで視野にいれて取り組んでいきます。 ――それでは、最後に販売店様にメッセージをお願いします。 坂本 例えばデジタルカメラとカムコーダーは異なるカテゴリーの商品ですが、どちらの商品も静止画、HD動画が撮れ、できることは似通っています。しかし、それぞれに得意な撮影シーンや記録方式が違いますから、お客様が何をどのようなロケーションで撮影し、撮影後はどのように楽しむのかまでを聞くことでお薦めする商品も変わってきます。 カテゴリーを横断した機器連動により、その傾向はますます強まり、店頭販売員様の役割も今以上に重要になってくると感じています。当社としても勉強会や店頭展示の提案などをこれまで以上に積極的に実施しサポート体制を強化して参りますので、お客様の満足度向上を図るべく今後も一層のご協力を賜りたくお願い申し上げます。 |
ビジュアルグランプリ ■ディスプレイ製品■
薄型テレビ |
坂本桂一氏 プロフィール |
Keiichi Sakamoto 1961年7月10日生まれ。1984年4月ソニー(株)入社。ソニーマーケティング(株)ホームAV マーケティング部 統括部長、コンスーマーAV マーケティング企画部 統括部長等を歴任後、08年10月コンスーマーAV マーケティング部門 部門長に就任、09年4月執行役員に就任し、現在に至る。 |
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