−− 水平分業が当たり前となるテレビで、オリジナリティの高いものづくりを実現した「S-LED」の開発と製品化に対し、高い評価が集まりました。
須藤 日立はもともとプラズマを先行させてきたメーカーですから、液晶で何か新しい技術が必要だと考えていました。また、テレビづくりを進めていく上でも、その時点で一番メジャーなデバイスを用いて、どれだけいい映像作りができるか。その回答のひとつとして開発したのが、ブロックごとに光をコントロールし、高コントラストとキレのある動画を実現する「S-LED」という手法でした。技術大賞として評価いただけたことを大変うれしく思っています。
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「S-LED」のエリアコントロールイメージ |
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今、テレビはエコポイントの駆け込みで大変な状況ですが、一番の問題は、単価があまりにも下がり過ぎてしまっていること。そこを、お客様に認めてもらえる価値の提案で少しでもあげていかなくてはなりません。
テレビの基本はやはり画質です。画質のいい商品をまずつくり、3Dや録画機能は、その上でさらに単価アップしていくトッピングのようなものではないでしょうか。画質というベースでお客様に納得していただき、一定のお金をお支払いいただく。そのためにも、これからの柱となる技術が必要でした。
日立の技術を結集したZP05シリーズは、付加価値の高いテレビのひとつであると自負しています。安易な価格競争の中に放り込むつもりなど毛頭ありませんし、来年8月のアナログ停波以降を見据えて、この商品の価値をお客様にきちんとご理解いただくことが重要であり、そこへ力を入れていきたいと思います。
−− お客様の反応はいかがですか。
須藤 価格面から動きも鈍いかと思っていたのですが、特に地域店ではお客様に説明する時間があり、高画質をきちんと訴求できているところです。また量販店では、きちんと比較展示できるところでは、お客様にも納得いただき、予想を上回る実売をあげています。やはり、一番いい画質のものを欲する気持ちが根本にはあることを改めて実感しました。
画質というのはメーカーの自己満足も強く、例えば、細かな岩肌を示して、「ほらきれいでしょう」とデモをしたりすることがあるわけですが、ほとんどのお客様には関係ない。
一方、ZP05シリーズでは、映画でも黒がしっかり黒く出るとか、見えなかった光がきちんと見えるとか、非常に説明がしやすいポイントがあります。店頭からも、お客様にもご理解いただきやすいとの言葉をいただいています。
−− 店頭での説明のしやすさはこれから重要になりますね。
須藤 今回はわかりやすいデモ映像も用意しました。映像にあわせて部分ごとに明るさを緻密にコントロールしているのがわかりますから、技術に詳しい方ほどびっくりされると思います。思い切ってビジュアル的なブロック表記を出したことも一目瞭然でよかったですね。当初エンジニアは消極的だったのですが、今では、こちらが出すのを躊躇するほど、いろいろ材料を用意してくれるほど協力的です。これから先、コストをいかに下げていけるか。そして、ラインナップをどのように増やしていけるかが一番の大きなテーマになります。
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ウェブにも「S-LED」の動作イメージが確認できる動画を用意している(クリックで動画ページへ) |
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