付加価値提案をしっかり行い
納得の買い替えを促進する

ソニーマーケティング(株)
執行役員
コンスーマーAVマーケティング部門
部門長
坂本桂一


ビジュアルグランプリ2011で審査員特別大賞を受賞したソニーの製品群。左から液晶テレビ"BRAVIA"HXシリーズ(KDL-52HX900)BDレコーダー「BDZ-AX2000」、AVアンプ「TA-DA5600ES」。ほか、テレビ13ジャンル中9ジャンルでBRAVIAが金賞を受賞するという快挙をなし遂げた。

 
薄型テレビ<ブラビア>で、ビジュアルグランプリにおいて多くの金賞を射止めたソニー。3Dの推進、そして来年はネットワークに本腰を入れ、ホームシアターやライフスタイル提案と相まった付加価値の積極訴求を図っていく。受賞の声と2011年の展望を、ソニーマーケティングの坂本氏に聞く。
 
ネットワークなどの新提案で大きな需要を掘り起こす

−− 今回のビジュアルグランプリでは、テレビの13ジャンル中9ジャンルにおいて<ブラビア>が金賞を受賞しています。

坂本 今年は3Dの立ち上げを大きく推進していますが、このようにご評価いただけて嬉しく思っております。エコポイントでテレビの需要が非常に高まっている中、幅広い商品をご評価いただきありがたく思っております。

−− テレビ販売は未曾有の状況が続いています。こうした中で需要はすでに2台目・3台目需要にシフトしているのでしょうか。

坂本 予想以上に2台目・3台目需要が増えており、特に32インチを中心とした小型モデルの需要が急拡大しています。

それら小型サイズ商品への需要に対応する一方で、我々は今年、3D対応商品ならびに大画面商品の訴求に力を注いでいます。3Dの大迫力・臨場感をご体感いただくためには、最低でも40インチ以上が必要と考え店頭で大型モデルによる訴求を行っていますが、我々の意図を十分理解しご購入いただいているお客様も数多くいらっしゃいます。

−− 3Dはコンテンツの動向も注目されます。

坂本 コンテンツに対する不安を払拭するため、3D対応<ブラビア>を対象に、映画やゲーム、音楽など合計8つの3Dソフトをプレゼントするキャンペーンを行なっています。3D番組の放送については、残念ながら、今年、日本国内全部で300時間あるかどうかといったところですが、ソニーでは放送局様とタイアップして、放送の中の3Dコンテンツを充実させていけるようなアプローチも図っています。これらのことにより、3Dコンテンツをお客様により身近なものにしていければと思います。

−− 来年の7月まではテレビの駆け込み需要が続きますし、録画機の買い替えもありますからこれまでのような売り方が継続できますが、いよいよアナログ停波となった後はテレビの売り方が大きく変わってくると思います。

坂本 今はとにかく地デジへの買い替え需要が先行していますが、この動きが一段落した後は、お客様視点で新たな付加価値提案を行っていくことが必要です。

その1つに、テレビをリビングルームにおけるインターネットの窓とする考え方があります。テレビの在り方そのものを変えていく、そこをしっかりとお客様にお伝えしたいと思います。現在発売している<ブラビア>全モデルがネットワーク対応となっておりますし、ネットワーク接続を容易にするWi-Fi対応も進めています。

"ネットワーク"という言葉は先行しがちですが、お客様視点でみると、たとえばネットショッピングをテレビで楽しむ場合、大画面で商品を確認できたり、リビングルームで気軽に楽しめるといったメリットにつながります。ソニーとしてはそういった快適さ、利便性を追求する方向で付加価値提案に取り組んでいきたいと思っています。

また一方で、ライフスタイルという視点から付加価値提案を行う考え方があります。昨今のテレビがますます軽く、薄くなる方向になって、ハードディスクも内蔵となると、周辺機器も少なくできます。そうなるとテレビ本体をいっそう壁寄せ・壁掛けしやすくなるといった、お客様の生活空間をより快適にする訴求が今まで以上にしやすくなります。我々は来年以降、こういった新しい提案でテレビの需要を喚起していきたいと考えます。

今は地デジを見ることを優先し、あまり多くを求めず、お求め易い価格の商品を購入されるといったお客様もいらっしゃいますが、そこに我々が付加価値提案をしっかりと行い、お客様に納得していただいた上での買い替えを促進することが必要です。テレビの買い替えサイクルは5年、7年と長いですが、デジタル機器というものの進化は著しく、商品サイクルも短くなってきています。テレビに関しても同様に、お客様が新しい技術を生活に取り込み恩恵を享受していただくための提案をして、新たな需要を掘り起こしていきたいと思います。

 
3D対応プロジェクター「VPL-VW90ES」も登場した   3D対応の録画テレビHX80Rシリーズも市場に投入。さらに3Dワールドを広げていく

−− 地デジ移行後は、音まわりなどのジャンルにもチャンスが広がります。

坂本 そうですね。テレビを壁寄せ・壁掛けして生まれたスペースを使ってホームシアターというコンセプトを打ち出し、新たに購入されたテレビとの組み合わせをより効果的に楽しんでいただく、といった提案もできると思います。今年以降はテレビの付加価値を高める商品群として、我々も音の部分を強調していきたいと考えます。

現在はテレビ購入が優先しており、音の商品のテレビとの同時購入率は一時期よりも下回っている状態にあります。しかし逆に言えばそこにはポテンシャルがあるということですから、積極的な訴求を図っていきます。いかにお求め易く、お客様のニーズに合った提案ができるかが鍵です。これまで我々はテレビの買い足し商品として5.1chのホームシアターセットをメインに推奨してきましたが、幅広くお客様のライフスタイルに対応していくことを考えると、3.1ch、2.1chといった提案も必要です。バリエーションをしっかりと用意して、個々のお客様のニーズに合うようラインナップを充実させていくつもりです。

 

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坂本桂一氏 プロフィール

1961年7月10日生まれ。1984年4月ソニー(株)入社。タイやサウジアラビアへの赴任後、ソニーマーケティング(株)ホームAV マーケティング部 統括部長、コンスーマーAV マーケティング企画部 統括部長等を歴任。その後、08年10月コンスーマーAV マーケティング部門 部門長に就任、2009年4月執行役員に就任し、現在に至る。