VGP2012 金賞受賞メーカー特別インタビュー
新潮流を創造する
フリースタイルAQUOS シャープ(株)
AVシステム事業本部
液晶デジタルシステム第1事業部
副事業部長 兼 商品企画部長
宗俊昭広氏
テレビの常識を越える! 壁掛け率は20%を突破
−− フリースタイルAQUOSの提案が大きな注目を集めていますが、今年はテレビを取り巻く環境が大きく変化しました。
宗俊 地デジ完全移行前の今年前半は、値ごろ感のバリューを評価いただき、主に買い替えのお客様を中心に、行列をつくってまで買っていただきました。7月24日を過ぎて、市場もしばらく落ち着いた状況でしたが、11月に入ってから大型サイズの伸びが目立ってきています。また一方では、2台目、3台目の中小型という需要もあり、サイズとしては二極化の傾向が出てきています。
年末商戦の取り組みのひとつは、この大型化の流れに注目しています。AQUOSでは、70V型のLC-70X5を市場投入しています。この商品では、今から7、8年前に50V型の大画面テレビを100万円ほどの価格でご購入いただいたユーザーからの買い替えが顕著に見受けられます。BDレコーダーとシアターラックをセットでお買い求めになられるケースが多く、当時50V型テレビと同じ購入価格帯の約100万円で、セットがご購入いただけるようになりました。
また、19V型や20V型の2台目を求めてご来店されるお客様のケースでも、50V型や60V型クラスの省エネでフルHDの高画質、さらに価格もお求め安くなっている点をご紹介すると、一週間後にまたご来店いただき、50V型や60V型クラスの大画面テレビのご購入を決断されるケースも少なくありません。
今後、こうした動きがもっと加速してくると思います。現在、力を入れているフリースタイルAQUOSにも60V型を投入しました。これで60V型は、X/L/Z/Fの4シリーズのラインナップになります。
−− Fシリーズについては大型化とはまた違うラインで、売り場で今求められている、提案型の流れを創造できる商品ですね。
宗俊 メーカーもご販売店様ともう一度、原点に立ち返り、提案型の売り場づくりを一緒につくっていただいております。その中でFシリーズは、新しいライフスタイルや生活空間を提案することで、従来のテレビとは違う魅力を訴求していく商品になっています。その提案に対しては、ご販売店様からも大きな賛同をいただいております。
−− LC-20FE1の投入から半年以上になりますが、市場でのお客様の反響をどのように受け止めていますか。
宗俊 売れ筋商品には大きな特徴があります。まず、Fシリーズでも大変人気の高い60V型ですが、こちらをお買い求めになられているのは、60歳を超える団塊世代が中心です。少しお金をかけて生活のしやすい家へリフォームを行う際に、一緒に購入されるケースが目立ちます。色は黒で据え置き設置がほとんどです。一方、32V型や40V型になると、中心は30代・40代へ移行し、その多くが壁掛けで使用になります。壁の色にあわせた白の選択がほとんどです。
テレビの新規需要を開拓するためにも大きく期待される商品で、和室等へもさらに用途を広げていく狙いから、年末には漆調の雰囲気を持たせた新色のレッド系モデルをF5シリーズに追加しました。また、よりお求めやすい価格帯で、幅広い層のお客様にお使いいただくために、スタンダードモデルとして、12月1日からF3シリーズを発売し、ラインナップを拡充しました。
−− フリースタイルという新しい提案についての手応えはいかがですか。
宗俊 発売前の調査では、テレビの壁掛け率は約1〜2%でしたが、フリースタイルAQUOSでは約20%にのぼっています。将来的には、約40%までは高めることができると予測していますので、今後、店頭での壁掛け展示やCMでのメッセージにより、新たなユーザーの獲得をねらっていきたいと思います。
−− どこでも見られるフリースタイルAQUOSの特長とも関連性の高いテレビのネットワーク化についてはどのような取り組みを行っていかれますか。
宗俊 今年に入って、機器間連携についてはある程度進めており、お客様の反響を確認しているところです。次のステージではクラウドを介した機器間連携も立ち上げってくると思いますので、そこでの新しい視聴スタイルのご提案も積極的に取り組んでいきます。ネットワークサービスの中では、「見守りサービス」や「AQUOSインフォメーション」など、AQUOSならではの独自サービスを取り入れながら、さらなる差別化を図っていきます。
−− 今年のCEATECでは4Kテレビをはじめとする次世代高画質の展示が注目を集めました。御社でもアイキューブドと共同開発された4Kテレビをアピールされていましたね。
宗俊 4Kテレビは間違いなく、来年のひとつのトレンドになってくると考えています。今まで見ていた映像とは次元が違う、より感動的な映像表現が可能になるわけですから、その価値をお客様に、どうわかりやすく伝えていくかが、今後の大きなテーマになってくると思います。
テレビを取り巻く環境は大きく変化しています。メーカーがじっくり納得のいくモノづくりをし、お客様には厳しい目でじっくり商品を選んでいただく。これからは、今まで以上に、いいものが選ばれる時代になっていくと確信しています。そうした、お客様の期待に応えることができる、また、市場をリードしていけるモノづくりに、今後もさらに力を入れていきたいと思います。