VGP2013 金賞受賞メーカー特別インタビュー
加速する進化に目が離せない東芝レグザ (株)東芝
デジタルプロダクツ&サービス社
デジタルプロダクツ&サービス第一事業部
事業部長附
岡田 淳氏
充実するテレビ番組。もっと楽しまないともったいない
−− テレビ番組をとことん楽しむことができる新しいクラウドサービス「TimeOn(タイムオン)」や「ざんまいプレイ」を搭載した「レグザ Z7シリーズ」が総合金賞を受賞しました。
岡田 「スマートテレビ」という言葉もよく耳にするようになりましたが、テレビはあくまで受動的に楽しむもの。テレビが“家電の王様”と呼ばれるのも、冷蔵庫や洗濯機と同様、むずかしい説明書などなしに、誰もがすぐに楽しめるからです。インターネットで自ら深掘りできることもひとつの方向性としてはありますが、リビングのソファでくつろぎながら、テレビの側からどんどん見たい番組を提案してくれたら、テレビはもっと楽しくなるはずです。そうした、私どもが考えるテレビの視聴スタイルを高くご評価いただけたことを、大変うれしく思います。
−− 東芝ではいち早くタイムシフトマシン機能も提案されました。
岡田 昔と違い、ご家族やご夫婦のなかでも嗜好が多様化し、番組に求められるものも違ってきています。それに応えられるようにテレビも進化していかなくてはなりません。テレビ番組は大変充実していますが、皆さん意外と決まったものしか見ていない。知らない番組、気付かない番組はたくさんあり、それらをもっと楽しまないともったいないですね。
−− そこで、複数のチャンネルの番組をまるごと保管してしまい、知らなかった番組と出会うチャンスを与えてくれたのが「タイムシフトマシン」。今回、「ざんまいプレイ」や「TimeOn」でさらに進化しました。
岡田 録画される番組の量も膨大になりますから、検索機能をアップし、利便性をさらに高めました。たくさんの番組の中から、テレビが好みに合った番組をお薦めしてくれたり、さらに細かくシーン単位で検索して視聴することもできます。例えば、様々な情報番組の中から見たい場面や必要な情報を探したい場合、これまでは早送りをしながら、時間をかけて見つけ出さなければなりませんでした。それが、シーン別のタグ情報から、見たいシーンをすぐに見つけ出すことができるようになりました。
「ざんまいプレイ」は発表以来、販売店様からも「これはわかりやすい」「お客様に説明しやすい」と大きな反響をいただいています。それは、これまで面倒だった“見たい番組を探し出す”ことや“新たな番組に出会う”ことが簡単になるという分かりやすい提案であったことや、直感的に使いこなせることが大きなポイントです。スマートテレビがなかなか普及していかない原因は、それができていなかったことにあると思います。大切なのはお客様のベネフィット。その背景にある技術の訴求ではなく、それを使ってお客様にどう楽しんでいただけるかをお伝えしていくことが重要です。
−− お客様が受け身でテレビをもっと楽しめるように、やれることはまだまだありますね。
岡田 今回新しくご提案させていただいた、レグザクラウドサービス「TimeOn」によって、お客様はテレビ本体を買い替えなくても、テレビがどんどん進化していくということが可能になります。これを利用したサービス展開をもっと加速させていきたいですね。まだ始まったばかりですから、これから様々なアイデアが出てくると思います。
−− 今回は使い勝手に大変注目が集まっていますが、実は画質も相当に進化していますし、デザインも非常に洗練されています。
岡田 いっぺんにあれもこれもではお客様が混乱してしまいますので、「TimeOn」と「ざんまいプレイ」を中心に特長を説明することが多いですが、実は画質もかなり進化しています。また、今回はデザイン界の巨匠、ヤコブ・イェンセンとのコラボレーションにより、デザインという切り口からも、これまで以上に若いお客様の間でご好評をいただいています。
−− Z7シリーズは、これからテレビ市場が元気を取り戻す上での大きなメッセージを提供したと言えるのではないでしょうか。
岡田 お客様が本当にテレビを買いたくなるような、「こんな楽しみ方もできるんですよ」という新しい魅力を、わかりやすい表現できちんと伝えられないとプラスαの付加価値はご理解いただけません。
また、テレビは子どもからお年寄りまで、誰もが使うものですから、幅広いわがままな要望にお応えできなければなりません。「ざんまいプレイ」やレグザクラウドサービス「TimeOn」は、そのような様々なお客様の好みやスタイルにあわせた楽しみ方を実現してくれるものです。テレビCMでもこのような特長をお客様にわかりやすく伝えていきたいと考えています。
−− 年末商戦も目前に迫りましたが、テレビのマーケット展望をお聞かせください。
岡田 数量ベースで縮小したと指摘されますが、それでも年間で700〜800万台の規模があると思います。しかも、より大型化するトレンドが見えてきていますし、買い替えサイクルも進化のスピードに合わせて短期化しています。5、6年前には20万円の予算で40インチの大きさが手に入りましたが、いまなら同じ予算で50インチ以上のテレビを手に入れられます。その時に、単に大きいというだけでなく、“4K”というところまで視野に入れて、お客様にどのような提案ができるか。周辺機器を含め、単価をあげていくこともできるはずです。来春の発売を予定している4K対応テレビでも、50インチ台・60インチ台では数を狙っていきたいと思います。そこでの仕掛けを成功体験として、世界市場へ向けて発信していきます。