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インタビュー

VGP2012 金賞受賞メーカー特別インタビュー

強力商品を基点に動き出した正の連鎖
鍵を握る体感の場の充実へ全力を注ぐ

ソニーマーケティング(株)
代表取締役
執行役員社長
河野弘
VGP2014 批評家大賞
SXRDプロジェクター「VPL-VW500ES」
VGP2014 音響特別賞
オーディオプレーヤー「HAP-Z1ES」「HAP-S1」、“WALKMAN”「NW-ZX1」「NW-F880」
VGP2014 技術賞
DSDリマスタリングエンジン
VGP2014 ヘッドホン特別賞
ヘッドホン “MDR-10R series”
VGP2014 ライフスタイル特別賞
ポータブルヘッドホンアンプ「PHA-2」
VGP2014 金賞受賞モデル
KD-55X9200A/ KDL-32W600A/HMZ-T3シリーズ/VPL-VW1100ES/VPL-VW500ES/STR-DN1040/UDA-1/HAP-Z1ES/TA-A1ES/BDV-N1WL/HT-ST7/XBA-H2/MDR-10R/MDR-1RNCMK2/MDR-HW700DS/MDR-1RBTMK2/PHA-2/NW-F880シリーズ
(VGP各部門の詳細はこちらをクリック)
「4K」「ハイレゾ」など市場創造のキーワードを具現化し、こだわりの付加価値商品を次々に市場に送り込むソニー。お客様の心に火をつけ、店頭には活気が呼び戻される。次なるステージは体感の場。攻勢に出たソニーの一手に注目が集まる。

商品にとことん こだわる

−− 4Kプロジェクターの「VPL-VW500ES」がVGP2014の批評家大賞、「HAP-Z1ES」をはじめとするハイレゾ製品群が「音響特別賞」の受賞となりました。

河野 4Kとハイレゾという2つのテーマでの受賞となり光栄に思います。

−− 地デジ化後に勢いを失っていたマーケットも大きな転換点を迎えようとしています。その流れを鮮明にしているのが、まさに、御社が力を入れる「4K」と「ハイレゾ」のキーワードではないでしょうか。

河野 4Kプロジェクターの分野では、VPL-VW500ESの投入により、4Kをより身近に感じていただけるようになりました。一方、4Kテレビではやはり、55、65V型が登場したことで市場の動きが本格化してきました。テレビがどんどん多機能化していく中で、忘れてはならない原点である映像の美しさに対し、直球勝負で感動をお届けできる画質に挑んだのがソニーの4Kテレビです。映像だけではなく、同時にそれに負けない臨場感たっぷりの高音質を実現し、ソニーらしい差異化のできる製品として高い評価をいただいています。

4K対応で55/65型をラインナップする“X9200A”シリーズ。現在ソニーの4Kテレビラインナップは、全部で5モデルに拡充している。

コストダウンが叫ばれる市場環境のもと、社内でも画作りで勝負できる、技術へ挑戦できる製品として、エンジニアのモチベーションもぐんと高まっています。単価のダウンに苦しめられてきた店頭でもこれまでになかった活気が感じられるようになりました。

ソニーではこの数年、標準的とされている価格レンジから多少逸脱してでも、ソニーらしい付加価値の訴求を強く意識して商品化に取り組んできました。ここにきて多くの製品カテゴリでそれが形となり市場でも高い評価をいただき、社内での士気の高まりも強く感じられます。

−− 日本市場はとりわけ、そのような価値提案を認めてくれます。

河野 多くのお客様が満足するもの、自身の価値を見出せるものを探しています。メーカーも流通の皆様も改めてその重要性を認識しています。私がソニーマーケティング社長に就任した時、まず掲げたのは、「メーカーの立ち位置に戻る」「商品にこだわる」ということです。

−− 来年は大きなスポーツイベントも控え、こだわりの付加価値商品の普及にもさらに弾みがつきそうです。

河野 4Kの映像美は、いろいろな映像ソースを楽しみたい気持ちを掻き立てます。旅番組などは空気感があり、本当にその場にいるような錯覚にすら陥ります。スポーツや音楽ライブなどもそうですね。リビングの真ん中にあり、使用頻度も大変高いテレビが、毎日の生活の中で占める価値観の高さを改めて認識いただけるよう、画質も音質も、もっと豊かなものにしていきたいですね。

最近では販売店様との商談の場でも、価値ある商品をどのように販売すればよいかといった話題が大変多くなりました。どのような伝え方をすれば効果的なのか。そのためにメーカーが担うべき役割、販売店が担うべき役割などについて、しっかりと議論できる環境に大きく変わってきました。店頭でお客様に新しい発見をしていただくためには、さらに工夫した売り場づくりをしていかなければならない。そうした危機感があります。

−− それは、お客様の心を動かせる商品が出てきている証でもあります。

河野 提案して新しいジャンルを創っていかなければなりません。4Kテレビでも、売り場をどのように演出していくべきなのか。当社では、どんなデモで効果があったのかなど、現場からお客様対応の際のさまざまな情報が毎週フィードバックされてきます。それらをチェックして、全国の現場で共有化していきます。

画質に対するこだわりにはじまり、お客様にお話しすることは山ほどあります。営業担当者にしても、本来ならなぜこの商品が高価なのか、その理由をきちんと伝えられなくてはいけないはずが、いつのまにか価格による売りやすさが優先されていました。4Kテレビが登場した今では、これを何が何でも立ち上げる意気込みで、本当に気合が入っていますし、皆の表情が生き生きとしています。

心に火を付けたハイレゾ

−− オーディオ市場では、ハイレゾへの期待が俄然、高まっています。

河野 十分な手応えがあります。ハイレゾの登場により、音の世界はここまで深いものだったのかと、改めて気付かれたお客様も大変多いと思います。それは、既存のオーディオファンに限られるのではなく、ゲームミュージックやアニソンなど、予想を越える分野まで関心が拡がっています。

これから大切なのは、より多くのお客様にハイレゾを体験いただくことです。ソニーでは「音楽は“聴く”から“感じる”楽しみへ」をスローガンに掲げて取り組んでいますが、まさに全身で感じていただけるような、そんな売り場を販売店様と一緒になって実現していきます。それが実現できれば、ハイレゾを取り巻く輪は着実に拡がっていくはずです。

「あのお店の売り場へ行けば、何か凄くいい音の音楽が聴ける」。お客様にそんな関心を持っていただけるような、“発見のある売り場”が求められています。これは、4Kについても同じことがいえると思います。

ハイレゾ対応製品群の発売に伴い設定された、ソニー「Hi-Res AUDIO」ロゴ(左)。WALKMAN公式ミュージックストア「mora」でも、192kHz/24bit FLAC形式のハイレゾ配信がスタート。ハイレゾ対応ウォークマン「NW-ZX1」「F880シリーズ」から直接購入できる(右)。

−− 「いい音を音楽で聴きたい」という思いに火がつきました。とりわけ、ソニーが本格的にハイレゾ商品群を一気に投入するというニュースが市場に大きなインパクトを与えました。

河野 商品に対する問合せも大変多いですね。ハイレゾという新しいトレンドを創造していく上で、ソニーとしての大きな役割を強く感じています。年末商戦も目前に迫りましたが、今年は、「4K」「ハイレゾ」をはじめ、デジタルカメラやスマートフォンなど、多くの分野に強力な製品を揃えることができ、大変楽しみにしています。期待に応えるための準備も着実に進めており、数多くのお客様を店頭へ呼び込むことができる年末商戦にしていきます。

河野弘氏 プロフィール

1962年6月11日生まれ。1985年4月 ソニー鞄社。03年4月 ソニー・エレクトロニクス・インク(米国)Consumer Sales Company担当SVP、05年5月 Sony Style担当SVP、09年4月 Home Division担当SVP、10年4月 潟\ニー・コンピュータエンタテインメント ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)プレジデント、12年4月 ソニーマーケティング椛纒\取締役 執行役員社長(現職)、12年6月 ソニー潟Oループ役員(現職)、12年6月 潟\ニー・コンピュータエンタテインメント取締役(現職)、2013 年 4 月 潟\ニー・コンピュータエンタテインメント ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA) プレジデント(現職)