VGP2013 金賞受賞メーカー特別インタビュー

お客様へ魅力を伝える術をとことん極める 東芝ライフスタイル(株)
ビジュアルソリューション事業本部
VS第一事業部 事業部長附
岡田 淳氏

新たな突破口を開く40V型の新境地
-- 4Kテレビ「Z9Xシリーズ」と「40J9X」が総合金賞を受賞しました。おめでとうございます。

岡田 高画質性能に高い評価をいただきましたが、その訴求には明るさが大切なポイントになると考えています。ただ明るいのではなく、“明”“暗”をどう描くか。明るいところを明るく、暗い所を暗くよりリアルに映し出すことで、奥行感のある、立体的な映像を実現しました。
この4K映像の魅力をどのようにしてお客様に伝えていくか。店頭でお客様にお見せするコンテンツにも、今回はかなりの力を入れています。大画面のリアルで立体感のある4K映像には、“あたかもその場にいるような”錯覚を覚えるのが大きな特長のひとつです。そこで、これまでのコンテンツでは海外での撮影が多かったのですが、今回は京都の美しさを取り上げています。
-- 東京スカイツリーの映像も大変美しいですね。
岡田 上から見た時にどう見えるのだろうかと空撮も行いましたが、非常に立体感の出た映像に仕上がりました。夜景のシーンでは、先ほど申し上げた明暗を、直下型LEDを採用した差も含めてしっかりと確認することができます。
将来、4Kの放送や配信があればこんなに素晴らしい映像が楽しめる。もちろん現在の2K映像でも現存する最高の画質で再現します。このことをご納得いただければ、「いいものを買ったな」とお客様にも実感いただけるはずです。
-- 発売から1ヵ月半が経過しました。
岡田 4K市場拡大を目指して、もう一度原点に帰り、今、われわれが持っている全ての技術を投入した最高のものを提供しようと開発・商品化したのが今回の新商品です。前回以上に高い評価をいただいており、売れ行きも3倍近い伸びを示しています。まだまだ高価な買い物ですが、中には、退職されて年金暮らしのご年配の方が、生活の中でテレビは大きなウエイトを占める大切なものだから、やはり、一番キレイに見られるものを買いたいと購入されるケースなども見られます。

意外だったのは、50V型が58V型をはるかに超える勢いで売れていること。地デジバブル期に購入されたテレビの中心は37V~42V型で、買い替えを検討されているお客様の中には、58V型だとスペースに収まらないケースが多いそうです。
-- さらに、40V型もラインナップされました。
岡田 大変好評です。1つには、最近増えている独身層・単身層の存在が挙げられます。一人暮らしで部屋はあまり広くなく、テレビも大きいものは入らないが、やはりいいものが欲しい。こういう方からの予約がかなりありました。
また、写真の好きな方。お気に入りの写真を大きく伸ばして細部まで確認したいのですが、レグザなら、広色域で直下型バクライト搭載ですので、大きな画面で高画質で確認できる。実際に撮影したときと同じような感覚で見ることができます。
4Kのコンテンツの撮影も増えており、実際にどう見えるのか確認するため、編集用としてのニーズも拡大しています。40V型は今までと違う切り口からもお客様に訴求できる。こうしたポイントをきちんとアピールしていきたいと考えています。
-- 価格も30万円を切り26万円前後。多くのお客様にとって手の届かない商品ではなくなりました。
岡田 4Kなんてまだまだ先のことだと思っていらっしゃる方に、もうすでに身近な存在であることを実感いただくことの意味が何より大きいですね。
多様化する4Kの楽しみに周辺機器拡充でアピール
-- スピーカーシステム「RSS-AZ77」がライフスタイル特別賞を獲得しました。テレビ後方のスペースを活かしてサラウンドを実現するアイデアに、審査会でも高い評価が集まりました。

岡田 映像と音は表裏一体です。音がいいと映像の迫力の感じ方もまるで違ってきます。ただ、今のテレビはベゼルレスで1枚のガラスを理想形としてスタイルが追求されています。薄型化によって、スペースを必要とするスピーカーにとっては、二律背反のむずかしい状況にあります。
市場でもサウンドバーが大変人気を集めているように、薄型テレビの音に対する不満感は少なくありません。そこで、商品化へ向けて検討を重ねていく中で、結果として高音質であれば、テレビの前に設置するスタイルでなくてもいいのではないか。実際には、邪魔になるから置けないというケースもあり、そこで、テレビの後ろに隠してしまう“ステルスサラウンド"という新発想が生まれました。見せない“ステルス"の特長をどうやって店頭で訴えるかがこれからのテーマになります。
レグザとの映像連動型で、映画やライブなど映像のシーンに合わせた音に自動で変わる機能を入れているのも特長のひとつです。テレビ本体に搭載していた機能を強化し、臨場感もさらに増しています。堅苦しいオーディオではなく、誰もがもっと手軽に音の良さを楽しんでいただくことが狙いです。
4Kの楽しみ方は多様化していきますから、今後、こうした周辺機器をさらに拡充していくことが必要となり、新しい提案も次から次へと行っていきます。
-- 4Kの普及拡大へ店頭強化が鍵を握ります。流通の皆様へメッセージをお願いします。
岡田 今回は4Kテレビの新商品5機種を投入します。お客様にお薦めしやすい環境を創るコンテンツや、新発想のサウンドバーなど周辺機器を含めて提案力をさらに高めました。お客様の満足度を高められれば、単価アップにつなげていくことができます。流通の皆様と力を合わせて、お客様に「いい買い物をしたな」と思っていただける満足感を、一人でも多くの方に広げていきたいと思います。