前回のAVナビ第7回では、デノンのAVアンプ「AVC-4320」に搭載されているホームネットワーク機能をご紹介した。今回は本機の設置と実機使用レポートを中心にお伝えしよう。
AVC-4320の特徴は優れた音響特性の他に、インターネットやLANを介したホームネットワーク機能の充実が挙げられる。音質や画質についてはPhile-webに既に掲載された評価記事でも紹介されていると思うが、本コラムではネットワーク機能の使い勝手を確かめつつ、その魅力と可能性について考えてみた。
はじめにデノンのAVC-4320が対応するネットワーク機能などをおさらいしておこう。
「ミュージックサーバー機能」
LAN上にあるパソコンに保存した音楽データ(MP3/WMA/WAV)を読み込んでアンプ側で再生する機能。iPodなどの携帯型音楽プレーヤーを使っていると、CDなどをデータ化してパソコンに保存する事が増えるが、それらをアンプ側からアクセスして操作・再生できるのが便利だ。
「ネットラジオ機能」
本機から直接インターネットラジオの放送局にアクセスして、番組を楽しむ機能。世界中にある100以上の国で放送される数千のステーションが利用できるvTuner(
vチューナー)に対応している。パソコンで利用する場合は約18ドルのシェアウエアが必要だが、AVC-4320にはvTunerの再生機能が備わっているので、無料で利用できるようになっている。ただしvTunerに登録されているすべてのネットラジオを再生できるわけではなく、デノンのAVアンプ用にピックアップされたサイトから選んで本体に登録して使用する。本体に登録(プリセット)できるネットラジオ局は56局で、本体、もしくはパソコンからの操作で登録の変更が可能だ。
「Webコントロール機能」
パソコンのWebブラウザ(インターネットエクスプローラーなど)を使って、アンプ本体の設定を行う「AV Amp Network Setup(Webコントロール機能)」に対応する。サラウンドの微妙な調整などをパソコンに表示された画面から簡単に行える便利な機能だ。
まずミュージックサーバー機能を使ってみた。ミュージックサーバー機能は、まるでジュークボックスのようにパソコンに保存した音楽を、高音質で再生できる。ただしその前に準備が必要だ。AVC-4320に接続するパソコンに「Windows Media Connect(ウィンドウズ・メディア・コネクト)」というソフトがインストールされているか確認をしよう。このソフトは対応する機器どうしをLANに接続し、お互いに音楽や動画などのコンテンツを共用するために使うものだ。Windows Vista以外のパソコンなら、マイクロソフトのマルチメディア再生ソフト「Windows Media Player 11」をインストールすれば、同時にこのソフトも利用できるようになる。
設定終了後ミュージックサーバー機能を試してみた。パソコンをプレーヤーにした音楽再生といえば、アンプ内蔵スピーカーと接続して楽しむ方法が最近は一般的かもしれない。しかし、AVC-4320をメインとした環境では、MP3、WMAなどの圧縮音楽でも解像感が増し、よりCDに近い音質で楽しめた。ハイ・ミドルクラスのアンプと、デノンの本格派コンパクトスピーカー「
SC-CX101」との組み合わせなのだから、いい音がするのは当たり前なのだが、それがわかっていてもあらためて驚いたほどだ。AVC-4320には192kHz/24bit対応のD/Aコンバーターが搭載されているので、その効果も大きかったのだろう。
インターネットラジオを利用するには、本体の左側にある「入力ファンクションツマミ」を回転させて「AUX/Net」を選択。その後、画面上にプリセットしたネットラジオを選択すれば再生が始まる。vTunerは海外のサービスなので、今回のテスト期間では日本語のラジオ局を見つけられなかったが、これから少し力を入れて探してみようと思っている。
アンプの細かな機能設定に欠かせない「Webブラウザ機能」を使ってみた。URLの入力欄にAVC-4320のセットアップで表示されたIP Addressを入力するだけで操作画面が表示されるのだが…、筆者のテスト環境にはレコーダーのRDシリーズだけで5台接続されており、そのほかにテレビ、パソコン4台、ゲーム機3台など、かなりのネットワーク機器が稼働中だったためか、今回のレポート時点で本機能への接続がうまくできなかった。本件は現在解決中なので、機能の詳細については後日あらためてお伝えしたい。
本機のホームネットワーク機能のセットアップは、初めて触れる場合は多少コツがいるかもしれない。やはりAV機器の上級者向けの製品ということなのか、付属しているマニュアルがとても簡素なので、ユーザーにもそれなりのスキルが必要だろう。例えばミュージックサーバー機能に必要な、Windows Media Connectについても、マニュアルでは「Windows Media Connectをインストールする」としか書かれていない。付属ソフトはついていないのだから、初心者はここで多少とまどってしまうかもしれない。これについては検索サイトを使って「Windows Media Connect」を見つけ出して使用するパソコンにインストールすればよいのだが、このあたりの手順がわかっていれば、簡単にセットアップができるはずだ。
AVC-4320のネットワーク機能は実にユニークで、AVアンプの新しい方向性を見いだした製品だと感じた。現時点では本体のディスプレイ、オンスクリーン表示が日本語表示に対応していない点が残念だが、こちらはPCに接続している状態でGUIに日本語で表示することが可能だ。今後日本語表示対応を拡大して行けば、今回テストしてみたミュージックサーバー機能の魅力もより高まるだろう。
また、AVC-4320にはDOCKコネクタを装備した第3世代以降のiPodを接続して、iPodに保存した音楽を再生して楽しめる機能も搭載されている。この機能を楽しむためには専用のケーブルが必要だが、いつも使っているiPodの音楽をAVアンプ経由で高音質に楽しめるのはなかなか快適な体験だった。
−次号の掲載は5月8日(火)を予定しています。どうぞお楽しみに!−