■録画機能搭載の“レコーダーテレビ”はとても便利
これからハイビジョン録画を楽しむなら、ダンゼン録画機能付きの“レコーダーテレビ”がオススメだ!筆者は過去に本連載でもご紹介した通り、東芝REGZAの“
Z2000シリーズ”や日立Woooの「
L32-HR01」使ってからというもの、“テレビで録画”することにヤミツキになっている。とにかくテレビの番組表から直感的に録画できるカンタン操作がバツグンに優れていて、10台近いレコーダー専用機を同時に扱いながらも、録って見てすぐに消す番組はテレビを中心に録画している。さらにAV機器の操作がまったくと言っていいほど苦手な家族でも、難無く操作して録画できるというのもありがたい。家族がAV機器に対して興味を持つだけでなく、筆者の不在中、不意に放送された番組を気を利かせて録画してもらえるというメリットもある。ここまで生活になじんでしまうと、もう録画機能の付いていない“非レコーダーテレビ”には、なんら魅力を感じないようになってしまった。
これまではテレビで録画できるという快適な操作感の魅力がなかなか広がってこなかったようで、過去数年間の薄型テレビのメインストリームは録画機能無しの薄型テレビだったように思う。しかし、最近は東芝、日立に続き、パナソニック、シャープ(BD録画)からも“レコーダーテレビ”が登場し、いっそう盛り上がりそうな気配を感じている。
■課題はHDDに録画したハイビジョン番組の長期保存
“レコーダーテレビ”の弱点は、テレビ側に録画した番組の長期保存にあった。見たら消す番組の録画用に限定して使っているつもりでも、何かの拍子に長期保存したい番組に出会ってしまうことがある。こんな時が厄介だ。
シャープ以外の“レコーダーテレビ”はHDDをメインに録画する方式だ。HDDは長時間・大容量の録画ができるというメリットがある反面、消耗品であり、いつかクラッシュするおそれもあるため、やはり長期保存を考えるならBDやDVDなどの光ディスクに保存したい。ちなみにシャープの
AQUOS DXシリーズはHDDを搭載せず、書き換え可能なBD-REへのレコーダー機能を搭載している。余談だが'09年3月初旬に秋葉原のメディア専門店「
エフ商会本店」で取材したところ、シャープのBD録画機能付きAQUOS DXシリーズが登場して以降、BD-REの売れ行きが好調で、メディアの価格も下がってきているという。さすがAQUOSブランドの影響力といったところだろう。
筆者はこのBD録画機能について不満がある。ちょっとした番組の録画が気軽に楽しめ、いざとなれば長期保存もできるというBD録画のメリットは評価するが、HDDに比べて録画時間が極端に短いところに課題があると思っている。片面一層のBD-REの場合、DRモードでBSハイビジョンを約2時間10分、5倍モードで約10時間50分しか録画できない。
ドライブの耐久性にも不安を感じる。BDドライブとHDDの耐久時間を考えると、どちらがより長期間安心して使えるのだろうか?これでシャープがHDDとBDをダブルで搭載すれば、録画ファンにとって理想的な“レコーダーテレビ”になるはずなのだが、現在はまだこのようなタイプのモデルを製品化する予定はないという。
HDD搭載“レコーダーテレビ”の弱点を解決したのがパナソニックのVIERA“PZR900シリーズ”が搭載する、「VIERA→DIGA ダビング機能」だ。テレビとレコーダーをi.Linkで接続することで、テレビ内蔵のHDDに録画した番組をレコーダーのHDDに転送して、BDに保存できるのだ。これならテレビに保存した番組をBDやDVDに長期保存もできる。その詳しい使い勝手については
以前にご紹介した記事を参考にしていただきたい。
毎度ながら前置きが長くなったが、現在長期間に渡って使用している東芝REGZA「46ZH7000」にも、同社のVARDIA「RD-X8」などビデオレコーダーへの転送機能「レグザリンク・ダビング」の機能が備わっている。レグザリンク・ダビング機能とはREGZAの内蔵/USB/LANハードディスクに録画した番組をLAN上に接続したVARDIAの対応機種に無劣化でダビングする機能だ。RDシリーズのユーザーなら「ネットdeダビング」と同じ使い勝手だと考えていただけばわかりやすい。
しかしDVDレコーダーの「RD-X8」では互換性を保ちながらDRモードのままハイビジョン番組を光ディスクに保存できない。将来のことを考えるならハイビジョン番組はBDにDRモードのままの高画質で保存しておきたい。そこで今回はちょっとした“裏ワザ”的な使い方で、「REGZA→VARDIA→DIGA」の連携で、REGZAに保存したハイビジョン番組をBDに書き込んでみたいと思う。
◆レグザリンク・ダビング対応機器
・REGZA:
ZH7000/
Z7000/
ZH500/
ZV500シリーズ
・VARDIA:
RD-X8/
S503/
S303
※対応機器は2009年3月31日記事掲載時点の一覧です
■REGZAに保存したハイビジョン番組をBDに残す
用意したのは東芝の薄型テレビREGZA「46ZH7000」、HDD&DVDレコーダー「RD-X8」、ならびにパナソニックのBDレコーダー「DMR-BW850」だ。接続はREGZAとRD-X8をLAN経由でつなぎ、はじめにREGZAの「レグザリンク・ダビング」機能を使ってHDD内のハイビジョン録画番組をRD-X8へダビングする。このときダビング10番組はREGZA上のダビングカウントが1回分減り、RD-X8上には移動(ムーブ)のみ可能なコンテンツとして保存される。なおダビングには実時間が必要だ。
次にRD-X8とパナソニックのBDレコーダー「DMR-BW850」をi.Linkケーブルで接続する。このときDMR-BW850側のi.Link設定を変更してRD-X8からの信号を受け入れるようにしておく。あとはRD-X8側を操作してi.Link機器へのダビングを行う。またここでも実時間が必要になる。
RD-X8から送られてきた番組は、DMR-BW850のHDD上に保存される。これをBDへダビングすれば、REGZAに保存した番組を無事に無劣化でBD化できる。
ちょっと手間と時間がかかるが、REGZAに録画した番組をBDディスクに保存できるメリットは大きい。REGZAにはi.Link端子が備わっているが、この端子はI-Oデータ機器のRec-POTシリーズのような特定のi.Link機器との接続に使う端子で、REGZA側のHDDに録画した番組をダビング用として送り出すことはできない。上手くすればREGZAとDIGAを直接接続できるのでは?と考えたがそれは無理なようだった。もちろんこんな手間を省きたいなら、パナソニックの“PZR900シリーズ”を購入すればVIERAからDIGAに直接ダビングができて、BDにも残せるので便利だ。
しかしREGZAシリーズの柔軟性のある録画機能に大きな魅力を感じる人も多いと思う。なんといってもレグザリンク・ダビング対応のREGZAシリーズは、USBなどの外付けHDDを増設・交換できるので、格安で長時間の録画が可能だ。家族でそれぞれのHDDに番組を保存して、必要な番組だけ今回のような方法で光ディスクに保存すればいいだろう。もちろん最初から光ディスクへ保存するつもりなら、直接レコーダーで録画すればいい。
今後REGZAが直接DIGAなどのBDレコーダーにi.Link等で接続できるようになるか、或いはUSB接続のパソコン用BDドライブとの接続に対応することが、いち録画ファンとしての希望だが、なかなか実現は難しそうだ。一方で、今回テストしてみてREGZAとRD-X8の組み合わせだけでも十分に便利だと感じた。ハイビジョン画質のまま光ディスクへ保存する用途にこだわらないなら、REGZA&VARDIAの組み合わせだけで十分に快適な録画生活が送れるはずだ。今後どうしてもBD化したい番組を録画したら、追加でi.Linkダビング機能付きのDIGAの購入を検討すれば良いだろう。
(鈴木桂水)