東芝のレコーダーに復活の兆しが見えてきた。HDD&DVDレコーダー“VARDIA”の新シリーズは、録画番組を内蔵HDDだけでなくパソコン用の外付HDDにも保存できる機能を搭載した。対応機種は「RD-X9」(HDD 2TB内蔵)、「RD-S1004K」(HDD 1TB内蔵)、「RD-S304K(HDD 320GB内蔵)の3モデルだ。
突然のHD DVD規格の打ち切り以降、光ディスクへの記録はDVDメディアに限られてしまった東芝のレコーダー。データを圧縮することで、ハイビジョン画質の映像をDVDメディアに記録する「HD Rec」に対応するが、やはりフルデータを記録できるBlu-rayに比べると見劣りする。
VARDIAシリーズの便利な使い方として、筆者は同社のレコーダーテレビの“REGZA”シリーズとの連携方法をテストし、推奨してきた。REGZAはLAN経由で録画番組をVARDIAへダビングでき、さらにVARDIAはi.Linkを使うことで録画番組をパナソニックの“DIGA”シリーズにダビングできる。DIGAに番組が転送できれば、その先はBDへの記録が可能だ。詳細については
過去記事を参照していただきたい。
今回はその“逆”をやってみよう考えた。VARDIAとDIGAはi.Linkで接続できるので、双方向で録画番組のやりとりが可能だ。それなら「VARDIAを介して、DIGAに録画した番組をパソコン用外付HDDに保存できないか」というテストだ。このところはBDメディアの値下がりが続いており、いまでは1枚200円程度で購入できるので、そんな手間をかける必要があるか疑問だが、映画などをまとめて保存するには使えそうだ。
RD-X9に手持ちの外付けHDDを接続しダビングをはじめようとしたのだが…、エラー表示が出てしまい先に進めない。外付けHDDをフォーマットしなければならないのだが、メニューを見てもそれらしい画面は出てこない。東芝に問い合せたところ、「対応する製品でないと、認識しないかもしれません」とのこと。筆者はHDDケースに余っているHDDを入れて使おうと思ったのだが、それは無理なのだろうか?
「でもそれじゃ、パソコン用HDDに保存を使うメリットが薄いなぁ」と腐っていたら、解決法について連絡が入った。
RD-X9を含む今回のラインアップで外付けHDDを使う場合は、あらかじめHDDからのダビング先をDVDドライブもしくは外付けHDDのどちらかに指定しなければならない。要は外付けHDDをDVDメディアのように使うのだ。ただし、注意したい点がある。外付けHDDに記録した番組は、著作権保護機能でガードされているので他のVARDIAに接続しても再生できない。HDDを使って録画コレクションを作ったとしても、本体が故障したら再生できなくなる。
ドライブの切り替えは「クイックメニュー」から行う。ドライブの切り替えが終われば、設定メニューからHDDをフォーマットすればVARDIAで使用できるようになった。このあたりのメニューはわかりやすくしてほしい。ちなみに1台のVARDIAには最大8台のHDDを登録でき、取り替えることで使い分けができる。家族で1台のレコーダーを使うなら重宝する機能だ。
いろいろ手間はかかったが、パナソニックのDIGAを使ってDRモードで録画した番組は、VARDIAを介して安価な外付HDDに保存できることが検証された。なお、逆方向の「外付けHDD→VARDIA→DIGA」という流れでもダビングは可能なので、RD-X9などの対応機種を購入し、外付けHDDに保存した番組をBDとして保存することもできる。将来、東芝からBDレコーダーが発売されるなら、きっとこの外付けHDDに保存した番組も同社のBDレコーダーでBDアーカイブできるものだろうと、予想している。
あまり録画しない人には外付けHDDを活用するメリットはさほど感じられないかもしれないが、単体でBDに記録できない東芝ファンとしては、「TS(DR)モード」で録画保存し、将来のBD化へ望みを託したいところだ。それまでの中継ぎ機能としては、外付けHDD対応はとても便利に思える。
筆者はよくBS-hiで放送されているドキュメンタリーやWOWOWデジタルを録画し、BDに記録している。このとき25GBという容量だと、10GBとか中途半端に容量が余るので不満を感じることが多い。カジュアルな録画コレクションは外付HDDのように安くて大容量なメディアへの保存が望ましいように思う。とくにRD-X9は10月から録画が可能になる「スカパー!HD」にも対応している。現在、従来のスカパー!用に3台のRD-X5をローテーションしながら、録画→ディスク保存を繰り返している筆者のような人間には、本格的なスカパー!HD録画時代に向けて福音ともいえる機能だと感じている。ただし、HDDは光ディスクに比べて壊れやすいので、このあたりをどう考えて使うか、今後悩みそうだ。
今回紹介したVARDIAのラインアップだが、録画好きならやはり2TBのHDDを搭載するRD-X9を購入するのがベストだろう。本体価格を抑えて外付けHDDを活用するというなら、5万円台で購入できるRD-S304Kがおすすめだ。それにしても、次回の東芝レコーダーはBD搭載になるのだろうか?とても楽しみなところだ。
(レポート/鈴木桂水)