この冬、録画ファンに注目していただきたいのがスカパー!のハイビジョン放送「スカパー!HD」だ。2009年10月1日以降、HD番組が楽しめるチャンネル数が増え、2009年12月現在で61チャンネルのHD放送を楽しむことができる。2010年春頃にはさらにチャンネル数が増え、合計70チャンネルが受信可能になる。人気の海外ドラマを放送するAXN、FOX、音楽番組専門局MTVやスペースシャワーTVなど、主要なチャンネルはHD画質で楽しめるのだ。それだけではない。スカパー!HDに対応する録画機があればハイビジョン画質のまま録画保存できるようになった。
まずスカパー!HDについて説明しよう。スカパー!HDは、従来のSD放送の「スカパー!SD」とは別方式のデジタル放送だ。そのためスカパー!HDを受信するには専用のチューナーが必要だ。画質は従来のスカパー!の放送がSD画質だったのに比べ、スカパー!HDはもちろんHD画質になっている。ただ全ての番組がHD画質なのではなく、一部の番組は画面の両脇に帯が入るSD画質で放送されている。
利用料金は加入料2,940円と月額基本料410円/月は同じだが、チューナーレンタル料が異なっており、スカパー!HDは630円/月で、スカパー!は240円/月と差が出ている。そのほかに視聴用のコンテンツパックを契約する。チューナーは販売もされており、購入すれば月額のレンタル料は発生しない。
■スカパー!HDを快適に楽しむためには?
筆者はSD放送のスカパー!に加入しており、毎週20以上の番組を録画している。3台の東芝「RD-X5」をローテーションさせることで、1台のHDDがいっぱいになったら、レコーダーを交換してダビングに専念させ、DVDに保存してせっせとコレクションを増やしている。地上波、BSの番組も見なければいけないので、連続して毎週視聴できているのは1/3にも満たないのが現実だ。しかしドキュメンタリーなど、貴重な番組が多いので“アーカイブせずにはいられない”衝動に駆られ、不毛に思える作業を日課としてこなしている。まぁ、それだけスカパー!で放送されるコンテンツはリッチなのだ。
しかし、DVDに記録した画像を47型の大画面液晶で見ると、やはりアラが目立ちSD画質の限界を感じずにはいられない。ではスカパー!の番組をハイビジョンで視聴するにはどうすればいいのか?現在、スカパー!の放送には専用アンテナとチューナーを使用する「スカパー!(SD)」、「スカパー!HD」、テレビ内蔵のチューナーとマルチ対応BSアンテナを使用する「スカパー!e2」、インターネットの光回線を使用する「スカパー!光」がある。このうちHD画質で楽しめるのが「スカパー!HD」と「スカパー!e2」だ。
スカパー!HDとスカパー!e2の違いは、受信できるチャンネル数にある。スカパー!HDが約70chのハイビジョンチャンネル、280chのSD画質チャンネルを用意するのに比べ、スカパー!e2はハイビジョン7ch、SD画質61chしか受信できない。
スカパー!e2はデジタル対応テレビにチューナーを内蔵しているので、ギャンブル、アダルト系のチャンネルが排除されている。お茶の間向けに限定されたコンテンツが揃っているのがスカパー!e2だ。スカパー!HDはお色気、ギャンブル“なんでもあり”という多チャンネルの楽しさをハイビジョン画質で楽しめるのがメリットだ。このほかに専用アンテナやチューナーの有無などに違いがある。詳細についてはスカパー!の
このページを参考にしていただきたい。より多くの番組をHD画質で楽しむなら、スカパー!HDが選択肢になる。
スカパー!HDの特長はDTCP-IPに対応したことにある。これまではテレビやレコーダーとスカパー!チューナーをRCAケーブルで接続して視聴していた。これではSD画質しか楽しめないというだけでなく、1台のチューナーでテレビとレコーダーといった、最大2台の映像機器までとしか接続ができなかった。
スカパー!HDではDTCP-IPに対応したことで、LANを介すことにより、DTCP-IPに対応したテレビやレコーダーなら、離れた部屋でもスカパー!HDの番組が楽しめるようになった。さらに対応レコーダーならHD画質での録画も可能だ。今回は「スカパー!HD・スタートアップ編」として、チューナーの設置から受信までの手順をご紹介しよう。
■スカパー!HD専用チューナーを設置する
スカパー!HDを受信するには専用アンテナと専用チューナーが必要だ。これまでスカパー!SDを利用していた場合、チューナーを取り替えるだけで受信できる場合もあるが、筆者のように旧式のアンテナを使っていると交換しなければならない場合がある。
2009年12月時点でチューナーの選択肢はスカパー!製「SP-HR200H」とソニー製「DST-HD1」の2機種のみとなっている。どちらもまったく同じ仕様かと思えば、ソニー製DST-HD1は「東芝製レコーダーVARDIAとの接続は検討中」となっているなど、使い勝手に違いがあるので購入時には注意したい。対応機種などの詳細は
こちらを参考にしていただきたい。
今後の対応などを考えればスカパー!製「SP-HR200H」を選択するのがベストだと筆者は考えた。SP-HR200Hはレンタルと購入の2択で選べる。購入すると2万6,800円、レンタルの場合は月額630円になる。筆者はすでにSP-HR200Hを使っているので、結論から述べると、現時点ではレンタルがベストだ。これから急いで導入する方のために敢えて操作感などの印象をお伝えすると、かなり多機能で値ごろ感すら感じるチューナーだが、操作性でクビをかしげる部分も多々ある。まだ初号機ということもあり、この1〜2年でさらにブラッシュアップされたチューナーが登場することは予想できるだろう。そう考えると2万6,800円で購入するより、月額630円で2年程度(1万5,120円)を支払い、第2世代チューナーの登場を様子見した方がよさそうだ。とにかく、魅力的なハイビジョンコンテンツは逃げるように日々放送されているので、録画ファンなら次世代チューナーの登場を待つよりも1日も早い加入がおすすめだ。
筆者はスカパー!SDの環境はそのままにスカパー!HDの環境を増設することにした。スカパー!HDのチューナーとアンテナのセットを入手したのだが、秀逸なのが「アンテナ」だ。なんとスカパー!HD用に2系統のアンテナ出力があり、さらにBS・110度CS用アンテナ機能も備えている。このアンテナさえあれば、一カ所に設置するだけでスカパー!HDとBS・110度CSの両方が受信できる。ベランダに複数のアンテナを設置して景観を壊したくないと考える向きにはおすすめできる。
アンテナの設置が完了し、チューナーの設定が完了すればあとは視聴するだけ。画面いっぱいの迫力でディスカバリーチャンネルやFOXやATXの海外ドラマが思う存分楽しめる。画質はBShiほどの鮮明さはないが、SD画質よりはずっと美しい。この画質を見てしまうと37型を超える薄型大画面テレビを持っているなら、従来のSD放送には戻れないはずだ。
年末年始は見どころ満載なので、おすすめの番組を見つけたら
筆者のブログで逐次お知らせしようと考えている。次回からはチューナーの使い勝手と録画機能について深掘りする。
(レポート/鈴木桂水)