JBLから60周年記念のフラグシップスピーカー「Project EVEREST DD66000」登場
ハーマンインターナショナル(株)は、JBL創立60周年を記念したフラグシップスピーカー「Project EVEREST DD66000」を9月21日より発売する。
本体色は全4色で、店頭で販売するローズウッド(RW)とチェリー(CH)は1本3,150,000円(税込)、受注生産のエボニー(EB)とメイプル(MA)は1本3,465,000円(税込)。9月21日に発売するのはローズウッドのみで、次回はチェリーが10月末頃入荷する。受注生産品の納期は4ヶ月程度となる。
JBLとして、2001年に発売した「Project K2 S9800」(製品データベース)以来のフラグシップスピーカー。K2 S9800の発売後すぐに開発に着手したという。JBL60周年を記念するスピーカーとしてのみならず、同社社長の安田耕太郎氏が「数十年に一度の製品。これ以上は無理という極限のところまで到達した」というほど力の込められた製品。
DD66000は、「Project EVEREST DD55000」以来、代々のフラグシッププロジェクトに携わった、JBLコンシューマー製品のチーフシステムエンジニアを務めるグレッグ・ティンバース氏、同じく初代EVEREST以来、ハイエンドモデルのデザインを担当するデザイナーのダニエル・アシュクラフト氏など、JBLを代表する技術者が開発した。米JBLの社長であるポール・ヴェンテ氏は「JBLのドリームチームの能力がすべて入っている」とDD66000を形容する。同社の歴史を彩った「HARTSFIELD」「PARAGON」といった名機と肩を並べる最高品位のスピーカーとして、満を持して送り出す。
ユニットの構成は、380mm径のアルニコウーファー「1501AL」を2発、高域用の100mm径コンプレッションドライバー「476Be」、超高域の25mm径ベリリウムドライバー「045Be-1」の4ユニット。2本のウーファーのうち1本と、コンプレッションドライバーを700Hzのミドルレンジクロスオーバーで混合。1本のウーファーとコンプレッションドライバーで全可聴帯域をカバーしている。また、超高域用のコンプレッションドライバー「045Be-1」を加えることで、50kHzを超える超高音域まで再生帯域を拡張。さらに、もう片方のウーファーを150Hz以下で動作させることで、30Hz以下まで低域再生能力を拡張させている。JBLでは、2ウェイを基本に、超高域と低域に再生帯域を拡大させたこの方式を「拡張型2ウェイ」と呼んでいる。
ウーファー「1501AL」
ウーファー「1501AL」は、アルニコ5DGマグネット、大口径ボイスコイルを採用した380mm径パルプコーン・ウーファー。K2 S9800のために開発した「1500AL」の改良版で、ハイインピーダンスにしたほか、ロングボイスコイルに近い長巻きとした。ウーファー単体の許容入力は25%向上したという。
ユニットの根幹となる磁気回路構造は、シミュレーション解析技術を駆使して設計。1.6mm厚のスチールリングを16枚と、0.8mm厚銅リング15枚を交互に積層させたインナーギャップリングをトッププレートに装着し、アルニコマグネットのウィークポイントだった大電力駆動による減磁の問題を解消。また、アルニコ磁気回路のために設計されたJBL伝統のSFG磁気構造を採用し、歪みを徹底的に排除している。
ボイスコイルには新たに設計した100mm径30.5mm巻尺の大口径エッジワイズ巻きアルミリボンボイスコイルを採用。また振動板には、厳選したピュアパルプ・コーンを採用したほか、コーンの表面にコルゲーションリブを設け、裏面の外周部にJBL独自のアクアプラス・コーティングを施すことでコーンの分割振動を排除した。エッジ部はEPDMフォームラバーとし、耐久性と安定性を高めている。
高域ドライバー「476Be」
本機最大のハイライトが、この高域ドライバー「476Be」。世界で初めてベリリウム・ダイアフラムを採用した大型100mmコンプレッションドライバーだ。JBLでは、DD66000の本格的な開発に入る前に、コンプレッションドライバーの振動板に最適な素材を探るべく、アルミニウムやチタン、マグネシウムなどの素材を検証。アルミニウムやマグネシウムでは、18kHz以上の高域信号を入力した際、振動板全域で分割振動が大きく発生したが、ベリリウムは常に正確なピストンモーションを発揮できたことから採用を決めたという。
振動板の円周部にはJBL独自のダイヤモンドを一体成形。また、振動板から発したエネルギーをスローと開口部に集中させるフェーズプラグには、独自のコヒレント・ウェーブ・フェーズプラグを採用した。ボイスコイルは、アルミリボン線によるエッジワイズ巻きボイスコイルを高耐熱ボビンに装着。マグネットには高磁力・高耐熱のハイグレード・ネオジウムマグネットを採用している。
超高域ドライバー「045Be-1」
超高域ユニットには、25mm径ベリリウム振動板と50mm径ネオジウム磁気回路を搭載したコンプレッションドライバー「045Be-1」を採用。K2 S9800に搭載した「045Be」を改良したもので、ダイヤフラムとフェーズプラグの位置調整などを行い、30kHz以上の帯域で5dBの出力改善を果たしている。
SonoGlass製ホーンリップ
ホーン部には、「SonoGlass」素材を採用。K2 S9800や4348などに採用したものと同じ素材だ。グラスファイバーを用いて特殊な高音高圧モールド成形技術により製造される高比重熱硬化樹脂で、ベースとなる素材は、スペースシャトルのメインエンジンなどにも用いられている。共振・共鳴が少なく、適度な内部損失を持ちダンピング特性にも優れているという。高域ホーンを構成する上下リップ部とスロート部、また超高域ホーンにこのSonoGlass素材が使われている。
ネットワーク/コントロールユニット/ターミナル
ネットワークは4つのユニット毎に独立して配置。ファスト・ポリプロピレン・キャパシター、メタルオキサイド・レジスター、大型空芯コイルなどの高品位パーツを備える。また、9VバッテリーでキャパシターにDCバイアスを加え、クラスA動作させることで、ゼロ電位でのクロスオーバー歪みの発生を抑える同社独自のチャージカップル・リニアディフィニッシュ方式を採用している。
ウーファーバッフル下部にはコントロール部を備え、ユニットの出力レベルをハイ/ローの2段階で切り換えることが可能。また、高域ドライバー「476Be」の出力レベルを、-0.5/0/+0.5dBで調整できるスイッチも備える。背面に装備したスピーカーターミナルは2組で、バイアンプやバイワイヤに対応。金メッキを施している。
キャビネット
キャビネット外側の平面パネルは25mm厚のMDF製。曲面のパネルは、厚みの異なる2枚のMDFパネルで構成する。曲面を多用することでキャビネット剛性を高め、内部定在波の発生を抑えている。内部には複雑なブレーシング構造を採用し、振動によるカラーレーションを排除している。さらに、バッフル表面に天然レザーを貼っており、バッフル表面での音の吸収・拡散を図っている。
【問い合わせ先】
ハーマンインターナショナル(株)
マーケティング部
TEL/03-3836-5660
(Phile-web編集部)
本体色は全4色で、店頭で販売するローズウッド(RW)とチェリー(CH)は1本3,150,000円(税込)、受注生産のエボニー(EB)とメイプル(MA)は1本3,465,000円(税込)。9月21日に発売するのはローズウッドのみで、次回はチェリーが10月末頃入荷する。受注生産品の納期は4ヶ月程度となる。
JBLとして、2001年に発売した「Project K2 S9800」(製品データベース)以来のフラグシップスピーカー。K2 S9800の発売後すぐに開発に着手したという。JBL60周年を記念するスピーカーとしてのみならず、同社社長の安田耕太郎氏が「数十年に一度の製品。これ以上は無理という極限のところまで到達した」というほど力の込められた製品。
DD66000は、「Project EVEREST DD55000」以来、代々のフラグシッププロジェクトに携わった、JBLコンシューマー製品のチーフシステムエンジニアを務めるグレッグ・ティンバース氏、同じく初代EVEREST以来、ハイエンドモデルのデザインを担当するデザイナーのダニエル・アシュクラフト氏など、JBLを代表する技術者が開発した。米JBLの社長であるポール・ヴェンテ氏は「JBLのドリームチームの能力がすべて入っている」とDD66000を形容する。同社の歴史を彩った「HARTSFIELD」「PARAGON」といった名機と肩を並べる最高品位のスピーカーとして、満を持して送り出す。
ユニットの構成は、380mm径のアルニコウーファー「1501AL」を2発、高域用の100mm径コンプレッションドライバー「476Be」、超高域の25mm径ベリリウムドライバー「045Be-1」の4ユニット。2本のウーファーのうち1本と、コンプレッションドライバーを700Hzのミドルレンジクロスオーバーで混合。1本のウーファーとコンプレッションドライバーで全可聴帯域をカバーしている。また、超高域用のコンプレッションドライバー「045Be-1」を加えることで、50kHzを超える超高音域まで再生帯域を拡張。さらに、もう片方のウーファーを150Hz以下で動作させることで、30Hz以下まで低域再生能力を拡張させている。JBLでは、2ウェイを基本に、超高域と低域に再生帯域を拡大させたこの方式を「拡張型2ウェイ」と呼んでいる。
ウーファー「1501AL」
ウーファー「1501AL」は、アルニコ5DGマグネット、大口径ボイスコイルを採用した380mm径パルプコーン・ウーファー。K2 S9800のために開発した「1500AL」の改良版で、ハイインピーダンスにしたほか、ロングボイスコイルに近い長巻きとした。ウーファー単体の許容入力は25%向上したという。
ユニットの根幹となる磁気回路構造は、シミュレーション解析技術を駆使して設計。1.6mm厚のスチールリングを16枚と、0.8mm厚銅リング15枚を交互に積層させたインナーギャップリングをトッププレートに装着し、アルニコマグネットのウィークポイントだった大電力駆動による減磁の問題を解消。また、アルニコ磁気回路のために設計されたJBL伝統のSFG磁気構造を採用し、歪みを徹底的に排除している。
ボイスコイルには新たに設計した100mm径30.5mm巻尺の大口径エッジワイズ巻きアルミリボンボイスコイルを採用。また振動板には、厳選したピュアパルプ・コーンを採用したほか、コーンの表面にコルゲーションリブを設け、裏面の外周部にJBL独自のアクアプラス・コーティングを施すことでコーンの分割振動を排除した。エッジ部はEPDMフォームラバーとし、耐久性と安定性を高めている。
高域ドライバー「476Be」
本機最大のハイライトが、この高域ドライバー「476Be」。世界で初めてベリリウム・ダイアフラムを採用した大型100mmコンプレッションドライバーだ。JBLでは、DD66000の本格的な開発に入る前に、コンプレッションドライバーの振動板に最適な素材を探るべく、アルミニウムやチタン、マグネシウムなどの素材を検証。アルミニウムやマグネシウムでは、18kHz以上の高域信号を入力した際、振動板全域で分割振動が大きく発生したが、ベリリウムは常に正確なピストンモーションを発揮できたことから採用を決めたという。
振動板の円周部にはJBL独自のダイヤモンドを一体成形。また、振動板から発したエネルギーをスローと開口部に集中させるフェーズプラグには、独自のコヒレント・ウェーブ・フェーズプラグを採用した。ボイスコイルは、アルミリボン線によるエッジワイズ巻きボイスコイルを高耐熱ボビンに装着。マグネットには高磁力・高耐熱のハイグレード・ネオジウムマグネットを採用している。
超高域ドライバー「045Be-1」
超高域ユニットには、25mm径ベリリウム振動板と50mm径ネオジウム磁気回路を搭載したコンプレッションドライバー「045Be-1」を採用。K2 S9800に搭載した「045Be」を改良したもので、ダイヤフラムとフェーズプラグの位置調整などを行い、30kHz以上の帯域で5dBの出力改善を果たしている。
SonoGlass製ホーンリップ
ホーン部には、「SonoGlass」素材を採用。K2 S9800や4348などに採用したものと同じ素材だ。グラスファイバーを用いて特殊な高音高圧モールド成形技術により製造される高比重熱硬化樹脂で、ベースとなる素材は、スペースシャトルのメインエンジンなどにも用いられている。共振・共鳴が少なく、適度な内部損失を持ちダンピング特性にも優れているという。高域ホーンを構成する上下リップ部とスロート部、また超高域ホーンにこのSonoGlass素材が使われている。
ネットワーク/コントロールユニット/ターミナル
ネットワークは4つのユニット毎に独立して配置。ファスト・ポリプロピレン・キャパシター、メタルオキサイド・レジスター、大型空芯コイルなどの高品位パーツを備える。また、9VバッテリーでキャパシターにDCバイアスを加え、クラスA動作させることで、ゼロ電位でのクロスオーバー歪みの発生を抑える同社独自のチャージカップル・リニアディフィニッシュ方式を採用している。
ウーファーバッフル下部にはコントロール部を備え、ユニットの出力レベルをハイ/ローの2段階で切り換えることが可能。また、高域ドライバー「476Be」の出力レベルを、-0.5/0/+0.5dBで調整できるスイッチも備える。背面に装備したスピーカーターミナルは2組で、バイアンプやバイワイヤに対応。金メッキを施している。
キャビネット
キャビネット外側の平面パネルは25mm厚のMDF製。曲面のパネルは、厚みの異なる2枚のMDFパネルで構成する。曲面を多用することでキャビネット剛性を高め、内部定在波の発生を抑えている。内部には複雑なブレーシング構造を採用し、振動によるカラーレーションを排除している。さらに、バッフル表面に天然レザーを貼っており、バッフル表面での音の吸収・拡散を図っている。
【問い合わせ先】
ハーマンインターナショナル(株)
マーケティング部
TEL/03-3836-5660
(Phile-web編集部)
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