「TAD Reference One」が正式発表 ― ハイエンドスピーカーの頂点を目指す
パイオニア(株)は、同社が展開するハイエンドスピーカー・TAD(Technical Audio Devices)シリーズの新フラグシップモデルとして、「TAD Reference One」を4月上旬より発売する。価格は3,150,000円(1本・税込)。
本機は、2003年に発売されたコンシューマー用のフラグシップモデル「TAD-M1」の後継機。今年1月に行われたCESでは、ほぼ完成型がお披露目されていた(関連ニュース)。
「音像と音場の高次元での両立」を目指した本機は、採算を度外視し、同社の技術と理論の粋を投入して製作されたという。同社の説明員は、「ハイエンドスピーカーの頂点を目指した。とにかく理論を追求し、こうすればいい音になる、という技術を全て投入している。従来の測定器ではカバーできないデータを測るため、測定器自体を作り直したこともあった。これからますます高品位化するソースを再現するに相応しいスピーカー。まさしく『オーディオのパイオニア』復活を象徴する製品だ」と語った。
スピーカーの構成は3ウェイ・バスレフ型で、広帯域にわたり駆動ユニットの位相と指向性をコントロールする同軸スピーカードライバー「CST(Coherent Source Transducer)」を採用。250Hzから100kHzまでの帯域再生を可能にするとともに、明確な定位と自然な音場表現を実現するという。
トゥイータードームとミッドレンジコーンには、軽さと堅牢さを兼ね備えるベリリウム振動板を採用。蒸気化したベリリウムを媒体(銅)に付着させ、100ミクロン程度まで霜柱状に堆積させた後、媒体を溶かし、型押しして製造するという、同社独自の蒸着法を用いて作られている。打ち出し法で作られた振動板と比較すると、材料強度や均一性に優れるほか、内部損失が大きく、卓越した減衰特性を持つという。
また、2つの25cmウーファーには、駆動リニアリティに優れたOFGMS回路を搭載。振動板には3層構造のアラミドクロスを採用しており、豊かな低音と素直な中域再生を実現する。本体下部には、楽器のホーンを意識したという、フレア形状のバスレフポートを設置。風切り音を低減しノイズの少ない低音を再生する。
エンクロージャーには、21mmの樺合板とCNC加工合板を組み合わせて使用し、強度を高めた。音響工学に加え、飛行機の翼からヒントを得たという流体力学の発想を融合したティアドロップ形状を採用することで、音の回折を低減し、不要共振を軽減するという。
全体を4度傾斜させるスラントレイアウトを採用することで、重心を最適化し、安定性を向上させている。また、外観には高級家具や楽器などに使用されるポメラサペリを採用し、高級感を演出。ハイグロス塗装を施し、熟練した職人がひとつひとつ手作業で磨き上げるこのエンクロージャーは、作成に1カ月以上を要するという。
本日行われた発表会では、同社スピーカー事業部 部長の西 国晴氏があいさつ。西氏は、「パイオニア初のスピーカー『A-8』は1937年に生まれた。今年は、それから70周年にあたる記念すべき年だ」と述べ、続いてTADの歴史をかんたんに振り返った。
スピーカーメーカーにとって、あらゆる音の基準となるモニタースピーカーを作るのは目標の一つであり、これにチャレンジしたいとTADのプロジェクトを開始したのが1975年のこと。「モニタースピーカーは、スタジオなどで一昼夜二昼夜連続で鳴らすこともあり、家庭用スピーカーと比べ、求められる耐久性や精度は比べものにならない。しかもTADは点音源にこだわっていたので、ひとつのユニットにかかる負担はさらに大きくなる」。このような理由から開発は困難を極めたが、1978年にはTADプロフェッショナル用ユニットの代名詞となる「TD-4001」をリリース。世界初のベリリウム振動板を採用したコンプレッションドライバーだ。
完成したTD-4001は、まずアメリカ本土で販売した。「当時の日本のモニタースピーカーは海外メーカーが優勢で、国内メーカーは相手にされなかった。本当に良いものが評価されるアメリカで評価を取ろうとかけずり回った」。
努力の甲斐あってTD-4001の採用は順調に進んだ。さらに、イーグルスが来日した際にTADが使用され、国内でも注目を浴びるようになった。以来、30年間に渡り同ユニットは作り続けられ、今でも300台以上が世界中で使われている。西氏は「手前味噌だが、30年間に渡り使われ続けるというのはすごいこと。このTAD直系の音を、より多くの人に楽しんでもらいたいと作ったのが、今回のTAD Refernce Oneだ」と紹介。製品の出来栄えに自信を示した。
【問い合わせ先】
パイオニア(株)
カスタマーサポートセンター
TEL/0070-800-8181-22
(Phile-web編集部)
本機は、2003年に発売されたコンシューマー用のフラグシップモデル「TAD-M1」の後継機。今年1月に行われたCESでは、ほぼ完成型がお披露目されていた(関連ニュース)。
「音像と音場の高次元での両立」を目指した本機は、採算を度外視し、同社の技術と理論の粋を投入して製作されたという。同社の説明員は、「ハイエンドスピーカーの頂点を目指した。とにかく理論を追求し、こうすればいい音になる、という技術を全て投入している。従来の測定器ではカバーできないデータを測るため、測定器自体を作り直したこともあった。これからますます高品位化するソースを再現するに相応しいスピーカー。まさしく『オーディオのパイオニア』復活を象徴する製品だ」と語った。
スピーカーの構成は3ウェイ・バスレフ型で、広帯域にわたり駆動ユニットの位相と指向性をコントロールする同軸スピーカードライバー「CST(Coherent Source Transducer)」を採用。250Hzから100kHzまでの帯域再生を可能にするとともに、明確な定位と自然な音場表現を実現するという。
トゥイータードームとミッドレンジコーンには、軽さと堅牢さを兼ね備えるベリリウム振動板を採用。蒸気化したベリリウムを媒体(銅)に付着させ、100ミクロン程度まで霜柱状に堆積させた後、媒体を溶かし、型押しして製造するという、同社独自の蒸着法を用いて作られている。打ち出し法で作られた振動板と比較すると、材料強度や均一性に優れるほか、内部損失が大きく、卓越した減衰特性を持つという。
また、2つの25cmウーファーには、駆動リニアリティに優れたOFGMS回路を搭載。振動板には3層構造のアラミドクロスを採用しており、豊かな低音と素直な中域再生を実現する。本体下部には、楽器のホーンを意識したという、フレア形状のバスレフポートを設置。風切り音を低減しノイズの少ない低音を再生する。
エンクロージャーには、21mmの樺合板とCNC加工合板を組み合わせて使用し、強度を高めた。音響工学に加え、飛行機の翼からヒントを得たという流体力学の発想を融合したティアドロップ形状を採用することで、音の回折を低減し、不要共振を軽減するという。
全体を4度傾斜させるスラントレイアウトを採用することで、重心を最適化し、安定性を向上させている。また、外観には高級家具や楽器などに使用されるポメラサペリを採用し、高級感を演出。ハイグロス塗装を施し、熟練した職人がひとつひとつ手作業で磨き上げるこのエンクロージャーは、作成に1カ月以上を要するという。
本日行われた発表会では、同社スピーカー事業部 部長の西 国晴氏があいさつ。西氏は、「パイオニア初のスピーカー『A-8』は1937年に生まれた。今年は、それから70周年にあたる記念すべき年だ」と述べ、続いてTADの歴史をかんたんに振り返った。
スピーカーメーカーにとって、あらゆる音の基準となるモニタースピーカーを作るのは目標の一つであり、これにチャレンジしたいとTADのプロジェクトを開始したのが1975年のこと。「モニタースピーカーは、スタジオなどで一昼夜二昼夜連続で鳴らすこともあり、家庭用スピーカーと比べ、求められる耐久性や精度は比べものにならない。しかもTADは点音源にこだわっていたので、ひとつのユニットにかかる負担はさらに大きくなる」。このような理由から開発は困難を極めたが、1978年にはTADプロフェッショナル用ユニットの代名詞となる「TD-4001」をリリース。世界初のベリリウム振動板を採用したコンプレッションドライバーだ。
完成したTD-4001は、まずアメリカ本土で販売した。「当時の日本のモニタースピーカーは海外メーカーが優勢で、国内メーカーは相手にされなかった。本当に良いものが評価されるアメリカで評価を取ろうとかけずり回った」。
努力の甲斐あってTD-4001の採用は順調に進んだ。さらに、イーグルスが来日した際にTADが使用され、国内でも注目を浴びるようになった。以来、30年間に渡り同ユニットは作り続けられ、今でも300台以上が世界中で使われている。西氏は「手前味噌だが、30年間に渡り使われ続けるというのはすごいこと。このTAD直系の音を、より多くの人に楽しんでもらいたいと作ったのが、今回のTAD Refernce Oneだ」と紹介。製品の出来栄えに自信を示した。
【問い合わせ先】
パイオニア(株)
カスタマーサポートセンター
TEL/0070-800-8181-22
(Phile-web編集部)
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