2012 International CESで注目を集めた技術
Dirac Research、音質・音場補正のためのソフトウェアのベータ版を公開中
現地時間の1月10〜13日まで、アメリカ・ラスベガスで開催された2012 International CES。
今年も多くの注目企業から登場した製品が大きな話題となっていたが、ネットオーディオ、特にUSBオーディオを楽しむユーザーにとって注目したい企業が出展していた。スウェーデンのDirac Research(ディラックリサーチ)である。
同社は、北欧最古の国立大学であるウプサラ大の研究機関を母体とする企業で、音質・音場補正技術を開発する会社である。すでに海外では、 アストンマーチンやBMWなどの高級車、dtsデジタルシネマ、ネイムオーディオを始めとして、テレビメーカーもディラックの技術を採用するなど高い評価を獲得している。また、日本にも今後徐々に展開を開始する予定となっているなど、その事業規模を着実に拡大している。
前述のようにご説明すると”メーカー向けの技術提供企業”というイメージであるが、同社はコンシューマーに対しても高いプライオリティを置いている。特にいま大きな盛り上がりを見せるネットオーディオ分野において同社は、注目したい製品・ソフトウェアの開発に乗り出している。それが今年のCESのブースでメインとなっていた、WindowsとMacの両方に対応する音質・音場補正改善ソフトウェア「Dirac LiveRoom Correction Suite(以下Dirac Live)」である。本ソフトウェアは現在ベータ版がスウェーデンの本国サイトで公開されている。
Dirac Liveの特徴は、リスニングポジションの環境を測定し周波数特性を補正することに加え、スピーカーのインパルス応答を改善できることにある。このインパルス応答の改善は同社のコアテクノロジーとなっている。
同社のCEOであるマティアス・ヨハンソン氏は「スピーカーユニットから発せられる音の振幅は、波形とした時に直線に近くなることが理想です。しかし、これをスピーカー開発時に追求しすぎてしまうと、部材、サイズなど現実的な製品像からかけ離れたものになってしまうのが一般的です。」
「特に開発コストの制約が強いコンパクトスピーカーの開発では、理想的なインパルス特性の実現はさらに厳しいものとなるでしょう。Dirac Researchでは長年、慢性的なこのスピーカーが持つ問題点を解決するための技術を開発しています」と語る。Dirac Liveは、これを家庭内で簡単に行うことを可能としたソフトウェアなのである。
現時点では全て英語でのユーザーインターフェースとなっているが、使い方は簡単だ。必要となるのは計測用マイクとUSBオーディオインターフェース、そしてDirac Liveをインストールしたパソコンである。これらを接続したのち、Dirac Liveを起動。あとは画面に表示される順番に設定を行っていけばよい。マイクのセッティング位置なども画面上で案内が表示されるので、迷うこともないだろう。最後に計測信号を再生し、マウスで補正を行うという直感的な操作となっている。
加えて、計測して補正をしたデータは同梱の「Dirac Audio Processor」で4つまで保存することも可能だ。つまり試聴環境が大きく変化しない限り、次回からは再生ソフトウェアとこのDirac Audio Processorを立ち上げて任意のプリセットを選んで再生するだけで、常に最適な環境で音楽が楽しめるのである。
Dirac Researchのマーケティングを担当するクリストファー・アーレン氏は「多くのメーカーが優れたスピーカーを開発していますが、リスニングの環境によってその特性に変化が出てしまいます。そんなデメリットを解消することができるのが我々の技術であり、Dirac Liveなのです。さまざまなオーディオ&ビジュアル製品への搭載はもちろんですが、コンピューター・オーディオファイルの方々が、もっと手軽にこの技術に触れていただけるのは大きな魅力だと考えております」と語る。
こうしたソフトウェア上で簡単に音場・音質改善が行えることは、いま急速に大きな盛り上がりを見せるネットオーディオならではの魅力のひとつだろう。
現在Dirac Researchでは、世界的に大きな盛り上がりを見せているヘッドフォン関連にもフォーカスしたiOS用のアプリを開発しているなど、ますます高い開発意欲を見せている。同社の展開にぜひご注目いただきたい。
なお、Dirac LiveRoom Correction Suiteは下記URLよりダウンロードすることが可能となっている。
http://www.dirac.se/en/consumer-products.aspx
今年も多くの注目企業から登場した製品が大きな話題となっていたが、ネットオーディオ、特にUSBオーディオを楽しむユーザーにとって注目したい企業が出展していた。スウェーデンのDirac Research(ディラックリサーチ)である。
同社は、北欧最古の国立大学であるウプサラ大の研究機関を母体とする企業で、音質・音場補正技術を開発する会社である。すでに海外では、 アストンマーチンやBMWなどの高級車、dtsデジタルシネマ、ネイムオーディオを始めとして、テレビメーカーもディラックの技術を採用するなど高い評価を獲得している。また、日本にも今後徐々に展開を開始する予定となっているなど、その事業規模を着実に拡大している。
前述のようにご説明すると”メーカー向けの技術提供企業”というイメージであるが、同社はコンシューマーに対しても高いプライオリティを置いている。特にいま大きな盛り上がりを見せるネットオーディオ分野において同社は、注目したい製品・ソフトウェアの開発に乗り出している。それが今年のCESのブースでメインとなっていた、WindowsとMacの両方に対応する音質・音場補正改善ソフトウェア「Dirac LiveRoom Correction Suite(以下Dirac Live)」である。本ソフトウェアは現在ベータ版がスウェーデンの本国サイトで公開されている。
Dirac Liveの特徴は、リスニングポジションの環境を測定し周波数特性を補正することに加え、スピーカーのインパルス応答を改善できることにある。このインパルス応答の改善は同社のコアテクノロジーとなっている。
同社のCEOであるマティアス・ヨハンソン氏は「スピーカーユニットから発せられる音の振幅は、波形とした時に直線に近くなることが理想です。しかし、これをスピーカー開発時に追求しすぎてしまうと、部材、サイズなど現実的な製品像からかけ離れたものになってしまうのが一般的です。」
「特に開発コストの制約が強いコンパクトスピーカーの開発では、理想的なインパルス特性の実現はさらに厳しいものとなるでしょう。Dirac Researchでは長年、慢性的なこのスピーカーが持つ問題点を解決するための技術を開発しています」と語る。Dirac Liveは、これを家庭内で簡単に行うことを可能としたソフトウェアなのである。
現時点では全て英語でのユーザーインターフェースとなっているが、使い方は簡単だ。必要となるのは計測用マイクとUSBオーディオインターフェース、そしてDirac Liveをインストールしたパソコンである。これらを接続したのち、Dirac Liveを起動。あとは画面に表示される順番に設定を行っていけばよい。マイクのセッティング位置なども画面上で案内が表示されるので、迷うこともないだろう。最後に計測信号を再生し、マウスで補正を行うという直感的な操作となっている。
加えて、計測して補正をしたデータは同梱の「Dirac Audio Processor」で4つまで保存することも可能だ。つまり試聴環境が大きく変化しない限り、次回からは再生ソフトウェアとこのDirac Audio Processorを立ち上げて任意のプリセットを選んで再生するだけで、常に最適な環境で音楽が楽しめるのである。
Dirac Researchのマーケティングを担当するクリストファー・アーレン氏は「多くのメーカーが優れたスピーカーを開発していますが、リスニングの環境によってその特性に変化が出てしまいます。そんなデメリットを解消することができるのが我々の技術であり、Dirac Liveなのです。さまざまなオーディオ&ビジュアル製品への搭載はもちろんですが、コンピューター・オーディオファイルの方々が、もっと手軽にこの技術に触れていただけるのは大きな魅力だと考えております」と語る。
こうしたソフトウェア上で簡単に音場・音質改善が行えることは、いま急速に大きな盛り上がりを見せるネットオーディオならではの魅力のひとつだろう。
現在Dirac Researchでは、世界的に大きな盛り上がりを見せているヘッドフォン関連にもフォーカスしたiOS用のアプリを開発しているなど、ますます高い開発意欲を見せている。同社の展開にぜひご注目いただきたい。
なお、Dirac LiveRoom Correction Suiteは下記URLよりダウンロードすることが可能となっている。
http://www.dirac.se/en/consumer-products.aspx