エンジニアのロバート・ワッツ氏も来日
タイムロード、CHORDのDSD対応ポタアン「Hugo」を発売 ー 想定売価は24万円前後
タイムロードはフジヤエービック主催のイベント「ポタ研」にて、CHORDのUSB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ「Hugo」の発表会を開催。本日から受注を開始した。価格はオープンだが、予想実売価格は24万円前後になる見込み。
本機は英CHORD Electronics初のポータブルヘッドホンアンプ。昨年末に開催されたポタフェスに出展し、タイムロードのブースにも展示された(関連ニュース)。またPhile-webでは速報レポートも紹介している(関連ニュース)。
■カスタム設計のパルスアレイDAC搭載で多彩なDSD・PCM信号に対応
DAコンバーターにはCHORD Electronicsのエンジニアであるロバート・ワッツ氏の設計による、カスタマイズされた独自のアルゴリズムを組み込んだ第6世代のFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)「Xilinx Spartan-6」を搭載。自由度の高いプログラムを記述して組み込めるFPGAのメリットを活かしたディスクリート構成のパルスアレイDACにより、汎用のDACチップよりも高精度かつ低ノイズなDA変換を実現できるのが強みであるという。
USB入力は2系統を搭載。USB2.0対応の「HD USB入力」は、最大384kHz/32bitのPCM信号、また最大5.6MHzのDSDファイルの入力を実現。DSD再生にはDoP方式を採用。アシンクロナス伝送に対応する。Macはドライバーレスで駆動、Windowsは専用ドライバーが必要。ポータブルデバイスによるハイレゾ再生にも対応。なお、HD USB入力での使用時には本体をバッテリーに接続する必要がある。
もう一つの「SD USB入力」はUSB 1.0対応で、最大48kHz/16bitまでのPCM信号の入力をサポートする。本端子側ではiPhoneやiPadなどモバイル端末へ、本体内蔵のリチウムイオン充電池からUSBバスパワーでバッテリーを供給しながらリスニングが行える。
他にも入出力端子を豊富に搭載している。同軸/光入力は最大192kHz/24bitのPCM信号に対応。aptX対応のBluetoothデジタル入力も備えている。
出力はRCAアナログ音声を1系統備え、外部オーディオコンポーネントに組み込んで単体DACとして利用することもできる。ヘッドホン出力は6.3mm標準/3.5mmステレオミニを備え、両方へのパラレル出力も可能。
FPGAの強大なキャパシティを活かした高精度なデジタルボリュームも搭載した。航空機グレードのアルミ削り出し素材を使ったリジッドなシャーシのトップパネルには、LED搭載のボリュームダイヤルを装備。ダイヤルを回すと赤色→白色までレインボーカラーのイルミネーションが変化し、音量の現在位置が点灯色で判別できるようになっているほか、入力サンプリングレートやバッテリー残量、クロスフィード・フィルターのステータスも点灯色で知らせる。シャーシの表面は細かなビーズショットで仕上げ、手に取った際のフィット感も高めた。
なお背面のファンクションボタンからクロスフィード・フィルターの切り替えや、本機をバッテリー駆動の単体DACとして使うためのボリューム固定機能が選択できる。スイッチを押した状態で電源を投入することでボリュームが固定される仕組みだ。
本体には大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載。4時間のフル充電で、44.1kHzデータで連続8〜12時間の音楽再生が可能。
■エンジニアのロバート・ワッツ氏も来日
イベントでの新製品発表の機会に合わせて、CHORD Electronics社からファウンダーであるCEOのジョン・フランクス氏、エンジニアのロバート・ワッツ氏が来日した。
ワッツ氏はCHORD初のDAコンバーター「DAC64」の誕生以来、20年間にわたって同社製品のデジタルアルゴリズムの設計に関わってきた。20年目のアニバーサリーモデルにあたるHugoまで、汎用DACチップを使わずにカスタマイズ設計が可能なディスクリート構成のパルスアレイDACを採用するスタンスは一貫している。
「一般的にオーディオ用を謳っているDACチップも、大半は決まった基準に合わせてつくっただけのもので、音響品質について深く考察して出来たものではありません。そのため音質的に様々な問題を持っています。それをどのようにして修正するか考えた時に、私はカスタムプログラムが組み込める、自由度の高いFPGAを使うというアプローチを選択しました。FPGAには多くのゲートアレイがあり、その細かなゲートを管理することで独自のプログラムができます。最近のFPGAのキャパシティはとても大きくなっており、自由度が飛躍的に高まっています」(ワッツ氏)
FPGAを使うことで、ディスクリートのアナログ回路が使えるようになり、これによる音質向上効果も期待できるという。本体に組み込むデジタル・アナログ回路は全てプログラミング後にリスニングを繰り返し、丁寧に音質を評価していることもCHORD独自のスタンスだとワッツ氏は説明を続ける。
208MHzで動作する16コアのDSPプロセッサーを使って26,368タップの高精度なフィルタリングを行う「WTAフィルター」により、力強い低域再生、奥行き感、正確なタイミングの再現を可能にした。「正確な再生タイミングを再現することで、楽器一つ一つの音もしっかりとわかるようになり、自然でエモーショナルかつ音楽的なサウンドが実現されます。また可聴範囲外のノイズなどが脳に与える負担が軽減されることで、聴感が向上するメリットがもたらされます」(ワッツ氏)。
ワッツ氏はまた、ノイズフロアの変化が音に与える影響にも着目する。Hugoに搭載されているパルスアレイDACは非常にノイズフロアが低く設計されている。2,048倍のオーバーサンプリングを行い、アナログに近い波形を生成。ノイズフロアの主な生成源であるジッターをフィルターで丁寧に取り除き、電磁波ノイズや高周波ノイズを抑えた信号を続くアナログ出力段に送り込むことで、アナログ側でのフィルター配置を不要として、ピュアな音楽再生を可能にしている。なおHugoにはDSPコントロールによる3種類のデジタルクロスフィード・フィルターが設けられている。
Hugoはポータブルオーディオの中で世界最先端のDAC技術を搭載した製品であるとワッツ氏は語る。「特にポータブルDACの中で、再生同期を補正する機能を設けているのは本機だけです。私は以前まではPCで音楽を聴いていましたが、今ではリスニングはHugoだけを使っています。Hugoを使い始めてから、音楽を聴く機会が増えました。いままで聴こえなかった音を見つけたり、音楽を聴くときの感覚、考え方が変わったことも私にとって意外なことでした」というワッツ氏。なおCHORD製品の音づくりのコンセプトは「演奏現場で聴く音を、自然に再現できるオーディオ」であるとのことだ。
Hugoはヘッドホンアンプとしてだけでなく、ぜひ据え置きのコンポーネントとの組み合わせでも聴いて欲しい、とフランクス氏が続ける。フランクス氏は「据え置き接続は、プリアンプを通さずに、ダイレクトにパワーアンプに入れた方が良いと思う。ヘッドホンで聴く場合も、必ずHugoに直接つないで欲しい」と、HugoがCHORDにとってリファレンスクラスのコンポーネントであることを強調した。
本機は英CHORD Electronics初のポータブルヘッドホンアンプ。昨年末に開催されたポタフェスに出展し、タイムロードのブースにも展示された(関連ニュース)。またPhile-webでは速報レポートも紹介している(関連ニュース)。
■カスタム設計のパルスアレイDAC搭載で多彩なDSD・PCM信号に対応
DAコンバーターにはCHORD Electronicsのエンジニアであるロバート・ワッツ氏の設計による、カスタマイズされた独自のアルゴリズムを組み込んだ第6世代のFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)「Xilinx Spartan-6」を搭載。自由度の高いプログラムを記述して組み込めるFPGAのメリットを活かしたディスクリート構成のパルスアレイDACにより、汎用のDACチップよりも高精度かつ低ノイズなDA変換を実現できるのが強みであるという。
USB入力は2系統を搭載。USB2.0対応の「HD USB入力」は、最大384kHz/32bitのPCM信号、また最大5.6MHzのDSDファイルの入力を実現。DSD再生にはDoP方式を採用。アシンクロナス伝送に対応する。Macはドライバーレスで駆動、Windowsは専用ドライバーが必要。ポータブルデバイスによるハイレゾ再生にも対応。なお、HD USB入力での使用時には本体をバッテリーに接続する必要がある。
もう一つの「SD USB入力」はUSB 1.0対応で、最大48kHz/16bitまでのPCM信号の入力をサポートする。本端子側ではiPhoneやiPadなどモバイル端末へ、本体内蔵のリチウムイオン充電池からUSBバスパワーでバッテリーを供給しながらリスニングが行える。
他にも入出力端子を豊富に搭載している。同軸/光入力は最大192kHz/24bitのPCM信号に対応。aptX対応のBluetoothデジタル入力も備えている。
出力はRCAアナログ音声を1系統備え、外部オーディオコンポーネントに組み込んで単体DACとして利用することもできる。ヘッドホン出力は6.3mm標準/3.5mmステレオミニを備え、両方へのパラレル出力も可能。
FPGAの強大なキャパシティを活かした高精度なデジタルボリュームも搭載した。航空機グレードのアルミ削り出し素材を使ったリジッドなシャーシのトップパネルには、LED搭載のボリュームダイヤルを装備。ダイヤルを回すと赤色→白色までレインボーカラーのイルミネーションが変化し、音量の現在位置が点灯色で判別できるようになっているほか、入力サンプリングレートやバッテリー残量、クロスフィード・フィルターのステータスも点灯色で知らせる。シャーシの表面は細かなビーズショットで仕上げ、手に取った際のフィット感も高めた。
なお背面のファンクションボタンからクロスフィード・フィルターの切り替えや、本機をバッテリー駆動の単体DACとして使うためのボリューム固定機能が選択できる。スイッチを押した状態で電源を投入することでボリュームが固定される仕組みだ。
本体には大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載。4時間のフル充電で、44.1kHzデータで連続8〜12時間の音楽再生が可能。
■エンジニアのロバート・ワッツ氏も来日
イベントでの新製品発表の機会に合わせて、CHORD Electronics社からファウンダーであるCEOのジョン・フランクス氏、エンジニアのロバート・ワッツ氏が来日した。
ワッツ氏はCHORD初のDAコンバーター「DAC64」の誕生以来、20年間にわたって同社製品のデジタルアルゴリズムの設計に関わってきた。20年目のアニバーサリーモデルにあたるHugoまで、汎用DACチップを使わずにカスタマイズ設計が可能なディスクリート構成のパルスアレイDACを採用するスタンスは一貫している。
「一般的にオーディオ用を謳っているDACチップも、大半は決まった基準に合わせてつくっただけのもので、音響品質について深く考察して出来たものではありません。そのため音質的に様々な問題を持っています。それをどのようにして修正するか考えた時に、私はカスタムプログラムが組み込める、自由度の高いFPGAを使うというアプローチを選択しました。FPGAには多くのゲートアレイがあり、その細かなゲートを管理することで独自のプログラムができます。最近のFPGAのキャパシティはとても大きくなっており、自由度が飛躍的に高まっています」(ワッツ氏)
FPGAを使うことで、ディスクリートのアナログ回路が使えるようになり、これによる音質向上効果も期待できるという。本体に組み込むデジタル・アナログ回路は全てプログラミング後にリスニングを繰り返し、丁寧に音質を評価していることもCHORD独自のスタンスだとワッツ氏は説明を続ける。
208MHzで動作する16コアのDSPプロセッサーを使って26,368タップの高精度なフィルタリングを行う「WTAフィルター」により、力強い低域再生、奥行き感、正確なタイミングの再現を可能にした。「正確な再生タイミングを再現することで、楽器一つ一つの音もしっかりとわかるようになり、自然でエモーショナルかつ音楽的なサウンドが実現されます。また可聴範囲外のノイズなどが脳に与える負担が軽減されることで、聴感が向上するメリットがもたらされます」(ワッツ氏)。
ワッツ氏はまた、ノイズフロアの変化が音に与える影響にも着目する。Hugoに搭載されているパルスアレイDACは非常にノイズフロアが低く設計されている。2,048倍のオーバーサンプリングを行い、アナログに近い波形を生成。ノイズフロアの主な生成源であるジッターをフィルターで丁寧に取り除き、電磁波ノイズや高周波ノイズを抑えた信号を続くアナログ出力段に送り込むことで、アナログ側でのフィルター配置を不要として、ピュアな音楽再生を可能にしている。なおHugoにはDSPコントロールによる3種類のデジタルクロスフィード・フィルターが設けられている。
Hugoはポータブルオーディオの中で世界最先端のDAC技術を搭載した製品であるとワッツ氏は語る。「特にポータブルDACの中で、再生同期を補正する機能を設けているのは本機だけです。私は以前まではPCで音楽を聴いていましたが、今ではリスニングはHugoだけを使っています。Hugoを使い始めてから、音楽を聴く機会が増えました。いままで聴こえなかった音を見つけたり、音楽を聴くときの感覚、考え方が変わったことも私にとって意外なことでした」というワッツ氏。なおCHORD製品の音づくりのコンセプトは「演奏現場で聴く音を、自然に再現できるオーディオ」であるとのことだ。
Hugoはヘッドホンアンプとしてだけでなく、ぜひ据え置きのコンポーネントとの組み合わせでも聴いて欲しい、とフランクス氏が続ける。フランクス氏は「据え置き接続は、プリアンプを通さずに、ダイレクトにパワーアンプに入れた方が良いと思う。ヘッドホンで聴く場合も、必ずHugoに直接つないで欲しい」と、HugoがCHORDにとってリファレンスクラスのコンポーネントであることを強調した。