TIASで公開。新素材Zylon搭載
ヤマハ、スピーカー新フラグシップ「NS-5000」開発を告知。'16年7月発売、ペア150万円
ヤマハは、同社製スピーカーシステムの新しいフラグシップモデル「NS-5000」を開発中であることを発表した。現時点では、発売時期が2016年7月で、価格が75万円(税抜・1台)であることが明かされている。なお、販売はペアのみで単体販売は行わない予定とのこと。さらに、専用スピーカースタンド「SPS-5000」も75,000円(税抜・1台)でラインナップする。
明日25日から開催される「2015東京インターナショナルオーディオショウ」のヤマハブースでは、本機が一般向けに初披露される予定だ。試聴デモも予定している。
■新素材Zylonを採用し、音色の統一を実現
今回発表されたNS-5000は、ヤマハが1974年に発売したモニタースピーカー「NS-1000M」を彷彿とさせるユニット配置とした3ウェイ・スピーカー。本体サイズは395W×690H×422Dmm(突起部含む)。バスレフ型で、背面にはヤマハ独自のツイステッド・フレア形状のバスレフポートを採用している。
内部には、3cm口径のトゥイーター、8cm口径のミッドレンジ、30cm口径のウーファーを搭載する。クロスオーバー周波数は750Hz/4.5kHz。再生周波数は23Hz〜40kHzで、許容入力は200W、出力音圧は88dB/m/2.83V。インピーダンスは6Ω(最小3.2Ω)となる。フィルター特性はトゥイーターが-18dB、ミッドレンジが12dB(Low)/-6dB(High)、ウーファーが-6dB。
サウンドコンセプトは「音色・音速の統一/ピュアサウンドの追求」。3基のユニット全てにZylon振動板を使用することで、全体域の音色と音速を揃えて音に一体感を出し、「3ウェイユニットで自然なフルレンジサウンドの実現」を狙った。なお、本機は2007年に登場した同社のHi-Fiスピーカー「Soavo-2」と同じ担当者が開発を手掛けている。
■新素材Zylonとは?
各ユニットの振動板に採用された新素材Zylonは、東洋紡が開発し、特許を有している繊維。650度まで耐えられる耐熱性を有し、引っぱり強度に優れているとされる。
一般には、消防用の耐火服や、熱気球、人工衛星やレーシングスーツなどに使用されている素材。このZylonは音速の早さが特徴とのことで、スピーカーの振動板に採用することで、ベリリウムやケブラーなどの素材よりもさらに理想的な音響特性を得られるとしている。
なお、Zylonは繊維素材であるため、そのままユニットに使用すると繊維同士のこすれる音が発生してしまう。そこでNS-5000では、500円硬貨などに使われる素材「モネル合金」をイオン化し、ビームでZylonの表面に真空蒸着させることで薄膜を形成。これによって駆動時にも素材自体のこすれる音を抑えるようにしている。金管楽器の華やかさをより良く表現できるようにした。
■新開発バックチャンバーやJ字型共鳴管で、吸音材量を抑えて高い共鳴対策を実現
NS-5000は微細な音まで再現性を高めるため、箱から発生する共振ノイズをできる限り低減する構造としている。内部には、7本の補強桟と2本の隅木を配置する。
さらにトゥイーターとミッドレンジのユニットには、新開発のバックチャンバーを採用している。その特徴は、内部に配置する吸音材の数を最小限に抑えられるようにする「A.Damp構造」を採用すること。
従来のバックチャンバーは、内部に吸音材を充填させる一般的な方法だった。ヤマハによれば、この方法ではピーク・ディップの無いなめらかな周波数特性が得られる一方、エネルギーの過剰吸収により暗くこもった聴感になる課題があったという。そこで新開発のバックチャンバーでは、2本の特殊形状管を配置して管共鳴を打ち消す「A.Damp構造」を搭載することで、内部の吸音材量を従来の約3分の1まで抑えた。これによって、こもった聴感をなくすようにした。
また、新開発のJ字型共鳴管を左右ユニットの内部側面に1基ずつ配置した。このJ字型共鳴管は、左右で長さが異なっており、内部に微量の吸音材を入れている。これによって内部に発生する定在波を吸音できるようにした。これら、新開発バックチャンバーやJ字型共鳴管などを採用する構造により、吸音材をできる限り使わずに、共鳴を抑えられるように工夫している。
なおヤマハによれば、本機をオーソドックスな箱形としたのは、こういった形状であれば定在波が1つの周波数帯のみで出るため、そのピークだけを低減する仕組みにできるからだという。スピーカー自体が立体的な形状だと、複数の周波数帯で定在波が出るようになるので、こういったコントロールが難しくなるとのこと。
また、ネットワーク基板は、両面に銅箔パターンを配置して配線を最短化。さらに銅箔の厚みを通常の4倍である140ミクロンにして、電流を流れやすくすることで情報量のロスを抑えた。磁気歪みが発生しにくいように配置している。パーツにもこだわっており、ドイツ ムンドルフ社製オーディオコンデンサー「MCap SUPREME EVO」、同じくムンドルフ社製アッテネーター「MResist SUPREME」、単体質量1.6kgのウーファー用コイルなどを投入している。
キャビネットには、国内産の無垢白樺素材畜層合板を採用。バッフル面は19層の31mm厚で、他5面は13層の21mm厚。ヤマハ伝統の三方留め技術で接合強度を高めた。また、楽器メーカーならではの精度の高いピアノ塗装で、筐体の表面強度を向上させている。なお、ピアノ塗装は厚み1.2mmで、突き板仕上げよりも表面の鳴きを抑えられるという。
そのほか、スピーカー端子は真鍮切削のシングル端子を装備する。また、ユニット部にはグリルではなく、マグネットで取り付けられる保護用のプロテクターを付属。なお、ヤマハではこのプロテクターは外した状態でチューニングを行っている。
本機は5年保証を付属する予定。
■専用スピーカースタンドSPS-5000
専用スピーカースタンドSPS-5000は、微細な音まで表現するため、スタンド自体の振動を抑制する形状を投入した。4本の脚部にはアルミ無垢材を採用し、天板・スパイク・スペーサーはスチール製としている。
本体サイズは392W×309H×375Dmmで、質量は8kg。スピーカーの音を反射する面積を最小限にするため、曲面の脚部をバッフル面に対して45度の角度に配置。加えて、高さを持たせることで床面からの反射も軽減している。スタンドの高さは、トゥイーター部が床から92cmの位置にくるよう低めに設定している。
■東京インターナショナルオーディオショウで試聴デモ
なお上述の通り、明日から開催される2015東京インターナショナルオーディオショウにて実機を公開予定だが、現在も音質はチューニング中。ヤマハでは、TIASを皮切りに様々なイベント等で本機のデモを行い、試聴環境による音質の違いや試聴者からのフィードバックを元にして、来年の発売までにサウンドを完成させていくとしている。
【問い合わせ先】
ヤマハお客様コミュニケーションセンター
オーディオ・ビジュアル機器ご相談窓口
TEL/0570-01-1808(ナビダイヤル)
TEL/053-460-3409(携帯電話、PHS)
明日25日から開催される「2015東京インターナショナルオーディオショウ」のヤマハブースでは、本機が一般向けに初披露される予定だ。試聴デモも予定している。
■新素材Zylonを採用し、音色の統一を実現
今回発表されたNS-5000は、ヤマハが1974年に発売したモニタースピーカー「NS-1000M」を彷彿とさせるユニット配置とした3ウェイ・スピーカー。本体サイズは395W×690H×422Dmm(突起部含む)。バスレフ型で、背面にはヤマハ独自のツイステッド・フレア形状のバスレフポートを採用している。
内部には、3cm口径のトゥイーター、8cm口径のミッドレンジ、30cm口径のウーファーを搭載する。クロスオーバー周波数は750Hz/4.5kHz。再生周波数は23Hz〜40kHzで、許容入力は200W、出力音圧は88dB/m/2.83V。インピーダンスは6Ω(最小3.2Ω)となる。フィルター特性はトゥイーターが-18dB、ミッドレンジが12dB(Low)/-6dB(High)、ウーファーが-6dB。
サウンドコンセプトは「音色・音速の統一/ピュアサウンドの追求」。3基のユニット全てにZylon振動板を使用することで、全体域の音色と音速を揃えて音に一体感を出し、「3ウェイユニットで自然なフルレンジサウンドの実現」を狙った。なお、本機は2007年に登場した同社のHi-Fiスピーカー「Soavo-2」と同じ担当者が開発を手掛けている。
■新素材Zylonとは?
各ユニットの振動板に採用された新素材Zylonは、東洋紡が開発し、特許を有している繊維。650度まで耐えられる耐熱性を有し、引っぱり強度に優れているとされる。
一般には、消防用の耐火服や、熱気球、人工衛星やレーシングスーツなどに使用されている素材。このZylonは音速の早さが特徴とのことで、スピーカーの振動板に採用することで、ベリリウムやケブラーなどの素材よりもさらに理想的な音響特性を得られるとしている。
なお、Zylonは繊維素材であるため、そのままユニットに使用すると繊維同士のこすれる音が発生してしまう。そこでNS-5000では、500円硬貨などに使われる素材「モネル合金」をイオン化し、ビームでZylonの表面に真空蒸着させることで薄膜を形成。これによって駆動時にも素材自体のこすれる音を抑えるようにしている。金管楽器の華やかさをより良く表現できるようにした。
■新開発バックチャンバーやJ字型共鳴管で、吸音材量を抑えて高い共鳴対策を実現
NS-5000は微細な音まで再現性を高めるため、箱から発生する共振ノイズをできる限り低減する構造としている。内部には、7本の補強桟と2本の隅木を配置する。
さらにトゥイーターとミッドレンジのユニットには、新開発のバックチャンバーを採用している。その特徴は、内部に配置する吸音材の数を最小限に抑えられるようにする「A.Damp構造」を採用すること。
従来のバックチャンバーは、内部に吸音材を充填させる一般的な方法だった。ヤマハによれば、この方法ではピーク・ディップの無いなめらかな周波数特性が得られる一方、エネルギーの過剰吸収により暗くこもった聴感になる課題があったという。そこで新開発のバックチャンバーでは、2本の特殊形状管を配置して管共鳴を打ち消す「A.Damp構造」を搭載することで、内部の吸音材量を従来の約3分の1まで抑えた。これによって、こもった聴感をなくすようにした。
また、新開発のJ字型共鳴管を左右ユニットの内部側面に1基ずつ配置した。このJ字型共鳴管は、左右で長さが異なっており、内部に微量の吸音材を入れている。これによって内部に発生する定在波を吸音できるようにした。これら、新開発バックチャンバーやJ字型共鳴管などを採用する構造により、吸音材をできる限り使わずに、共鳴を抑えられるように工夫している。
なおヤマハによれば、本機をオーソドックスな箱形としたのは、こういった形状であれば定在波が1つの周波数帯のみで出るため、そのピークだけを低減する仕組みにできるからだという。スピーカー自体が立体的な形状だと、複数の周波数帯で定在波が出るようになるので、こういったコントロールが難しくなるとのこと。
また、ネットワーク基板は、両面に銅箔パターンを配置して配線を最短化。さらに銅箔の厚みを通常の4倍である140ミクロンにして、電流を流れやすくすることで情報量のロスを抑えた。磁気歪みが発生しにくいように配置している。パーツにもこだわっており、ドイツ ムンドルフ社製オーディオコンデンサー「MCap SUPREME EVO」、同じくムンドルフ社製アッテネーター「MResist SUPREME」、単体質量1.6kgのウーファー用コイルなどを投入している。
キャビネットには、国内産の無垢白樺素材畜層合板を採用。バッフル面は19層の31mm厚で、他5面は13層の21mm厚。ヤマハ伝統の三方留め技術で接合強度を高めた。また、楽器メーカーならではの精度の高いピアノ塗装で、筐体の表面強度を向上させている。なお、ピアノ塗装は厚み1.2mmで、突き板仕上げよりも表面の鳴きを抑えられるという。
そのほか、スピーカー端子は真鍮切削のシングル端子を装備する。また、ユニット部にはグリルではなく、マグネットで取り付けられる保護用のプロテクターを付属。なお、ヤマハではこのプロテクターは外した状態でチューニングを行っている。
本機は5年保証を付属する予定。
■専用スピーカースタンドSPS-5000
専用スピーカースタンドSPS-5000は、微細な音まで表現するため、スタンド自体の振動を抑制する形状を投入した。4本の脚部にはアルミ無垢材を採用し、天板・スパイク・スペーサーはスチール製としている。
本体サイズは392W×309H×375Dmmで、質量は8kg。スピーカーの音を反射する面積を最小限にするため、曲面の脚部をバッフル面に対して45度の角度に配置。加えて、高さを持たせることで床面からの反射も軽減している。スタンドの高さは、トゥイーター部が床から92cmの位置にくるよう低めに設定している。
■東京インターナショナルオーディオショウで試聴デモ
なお上述の通り、明日から開催される2015東京インターナショナルオーディオショウにて実機を公開予定だが、現在も音質はチューニング中。ヤマハでは、TIASを皮切りに様々なイベント等で本機のデモを行い、試聴環境による音質の違いや試聴者からのフィードバックを元にして、来年の発売までにサウンドを完成させていくとしている。
【問い合わせ先】
ヤマハお客様コミュニケーションセンター
オーディオ・ビジュアル機器ご相談窓口
TEL/0570-01-1808(ナビダイヤル)
TEL/053-460-3409(携帯電話、PHS)
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