ローンチパーティーを都内で開催
ゼンハイザー、超弩級ヘッドホン「HE-1」を国内で披露。名機「Orpheus」の後継機
ゼンハイザージャパンは、超弩級ヘッドホン「HE-1」のローンチパーティーを東京都内で開催した。
本機は当初、海外で「Orpheus」という名称で報道発表され、日本では「HE 1060」「HEV 1060」という名称で発表されていたが、グローバルでモデル名を統一し、「HE-1」として展開していく。ヨーロッパでの販売価格は約5万ユーロ。日本での販売開始時期や価格は明らかにされていない。生産できるのは1日1台程度という。
HE-1は静電型ヘッドホン部と真空管ヘッドホンアンプ部を統合したヘッドホンシステム。開発には10年程度の期間を要した。
1991年に同社は、当時としては超高価な12,900ドルという価格で初代Orpheus「HE90」「HEV90」を発売したが、今回のHE-1はそれをさらに上回る超弩級モデルとなる。なお、山本敦による音質レビューはこちら。
HE-1のアンプ部は真空管アンプとトランジスターアンプの長所を組み合わせた、革新的な構成を採用。 部品は6,000以上で、いずれも細心の注意を持って選択されたという。本機の詳細については、独本社から来日した、プロダクトマネージャーのマニュエル・リック氏が紹介した。
まずリック氏はHE-1の大きな特徴を紹介。「初代Orpheusではアンプとヘッドホン、トランスデューサーがそれぞれ別になっていたが、HE-1はこの3つを1つに統合した」とアピールした。
アンプのハウジングには、イタリアのカラーラで採れた大理石を採用している。ボリュームは真鍮削り出しで、クロームメッキが施されている。
真空管は前に6本、後ろに2本を搭載。チェコのJJ ELECTORONICの真空管を採用。もともとはドイツのテレフンケンで作られていたもの。
リック氏はさらに、1991年のOrpheusと比べ音質面で大きく変わった点として、低電圧のケーブルなどを採用することで、高出力なアンプのパワーをより効率よく伝えられることになったことを挙げた。初代Orpheusではハイボルテージの電気を伝える構造となっておらず、70〜80%の電力損失があったというが、HE-1ではアンプのパワーを効率的に活用できる。
さらに、今回はヘッドホンの左右のイヤーカップ内にアンプを備え、さらにベースとなる台座にもアンプを装備。これもあいまってパワフルな駆動が可能になったという。
アンプ部の背面にはデジタル入力として4系統を装備。同軸、光、USB、HEADPHONE 2端子を備えている。またアナログ入力はXLRバランスとRCAアンバランスを装備。アナログ出力も同じくXLRバランスとRCAアンバランスを搭載している。
ヘッドホン部には金を蒸着させたセラミック電極や、プラチナを蒸着させたダイヤフラムなどを採用している。歪み率が非常に低いことが特徴で、リック氏は「他社製の静電型ヘッドホンが0.1%程度、HD 800が0.02%の低い歪み率を実現した」と紹介し、そして今回のHE-1は、0.01%の歪み率を実現したことをアピールした。
本体はスイッチを入れると各種パーツが動いて出てくることも特徴で、ボタンを押すと前面のボタンがせり出し、真空管が上に現れる。さらにヘッドホンを覆うカバーが開かれ、ヘッドホンが登場する。
■ゲストに高橋克典氏が登場。「良いもので聴くとこんなことになるのか」
本日同社は、プレス・メディア向けにHE-1の試聴会を開催。ゲストとしてオーディオマニアとしても知られる高橋克典氏が登場した。
高橋氏は開口一番「オーディオ大好きです。ケーブルを秋葉原に買いに行って、音源によって変えたり。自宅には電柱(マイ柱)も立てていて、生活用電源とオーディオ用電源を別に分けています」とガチのオーディオファンぶりを披露。
高橋氏がオーディオに凝りだしたのは、そもそもゼンハイザーのヘッドホンがきっかけだったという。「20年ほど前にオーディオ好きなスタッフが買ってきたゼンハイザーのヘッドホンを聴いたところ、なんだこれ、と。こんな音聴いたことないよ」と、すぐさまそのヘッドホンを買いに行き、そこからハマってしまったという。
HE-1を聴いてみた感想を尋ねられた高橋氏は「え〜…」と一瞬言葉に詰まり、「すごいっすね」とポツリ。会場の報道陣の笑いを誘った。
「ハイエンドオーディオは深みにはまると、すごくお金を使うんですけど、ゼンハイザーは音場感がずば抜けていると想います。オーディオで、かなりお金をつかってやり尽くしたことが、この1台だけでできてしまいます」。
さらに高橋氏は「ゼンハイザーのすごいところは、耳に音を詰め込んでくるのではなく、空気が音を伝えてくる感じを再現するところ。良いもので聴くとこんなことになるのか、と想います。時空を変える気がするんですよね」と最大級の賛辞を送った。
そのうえで高橋氏は「ここからエージングしていくと音が柔らかくなっていって、さらに心地良くなると思う」と、ここでもガチなコメントで会場を沸かせた。
またデザインについては、最近ヨーロッパ旅行に行ったことを紹介し、「ギリシャの古い遺跡に叡智の結集を感じるというか、そういうイメージをHE-1に感じます。大理石も神殿のような雰囲気で、対峙して聴いていると、まるで神殿と宇宙の交信のよう。ボタンが動いたり真空管がせり出したりといった仰々しさもたまらない。少年の心をそそられます」と興奮を隠せない様子だった。
高橋氏はさらに「オーディオマニアはいろんなブランドに移っていくけど、これは一生ものですね。子供にも孫にも残せます」と笑顔でコメントした。
■「これからも、いつまでもパーフェクトな音を追求する」
なお説明会では冒頭、ゼンハイザージャパン社長の久保昌三氏が挨拶。久保氏はゼンハイザーが昨年、創業70周年を迎えたことに触れながら、「THE PURSUIT OF PERFECT SOUND」(完璧な音を追求する)という同社のビジョンを改めて紹介。「これからも、いつまでもパーフェクトを求めて進んでいく」と述べた。
また久保氏は、現在のゼンハイザーの経営状況についても紹介。同社は2013年、ダニエル・ゼンハイザー氏、アンドレアス・ゼンハイザー氏が3代目のCEOとして就任した。「若い経営者が、現代の市場に合う製品を開発している。この方針の流れのなかで、デジタルワイヤレスマイクやMOMENTUMシリーズ、ビジネスコミュニケーションエリア分野の開発なども行われている」と述べた。
続いてゼンハイザージャパンの山本和聖氏が、ゼンハイザーの歴史や現状について、スライドを使ってプレゼンした。
山本氏は、ゼンハイザーが現在3つの製品カテゴリーを軸に事業を展開していることを紹介。1つはコンシューマー向けヘッドホンで。2つめは業務用機器。そして3つ目の軸として、最近最も力を入れているのが会議用マイクだという。
さらに山本氏は、同社が2014年次点で8億3400万ユーロの売上高があること、従業員は約2,600名でそのうち半分がドイツで働いていること、そして工場はハノーファーとアイルランド、米ニューメキシコの3カ所に持ち、HE-1やHD 800などハイエンドヘッドホンはハノーファーで開発していることも紹介した。なお、ハノーファーの本社と工場訪問記はこちらで紹介している。
そして山本氏は、ゼンハイザーの歴史についてもかんたんに紹介。1945年に創業したゼンハイザーは、1947年に「DM-2」、1957年に世界初のワイヤレスマイク、1960年に「MD 421」といった、マイクの大ヒット製品や画期的な製品を次々に投入していった。
ヘッドホンでは1968年に 世界初のオープンエア型ヘッドホン「HD 414」を投入し、現在までに1,000万台が売れる大ヒットモデルとなった。さらに1988年にはこちらもロングセラーモデルとなっているヘッドホン「HD 25」を発売。モニターヘッドホンの定番となっている。
さらに1991年にはHE-1の前身である初代「Orpheus」を300台限定で販売し、すぐに売り切れたという。
山本氏は最後に、ゼンハイザーの理念を紹介「技術資産とイノベーションカルチャーをベースにオーディオの未来を切り開く」と力強くアピールした。
同社のマーケティング活動については、ゼンハイザージャパン(株)マーケティングマネージャーの新井庸志氏が紹介した。
新井氏はマーケティングの根底に「一人でも多くの日本人に良い音を知って欲しい、良い音で楽しんで欲しい」という想いがあると紹介。それを実現するため、以前行っていたファンミーティングの規模をさらに拡大し、「SENNHEISER EXHIBITION」として、この6月から東京・大阪・名古屋・福岡・札幌・広島・仙台の全国7カ所で順次実施するという。
EXHIBITIONと銘打っていることもあり、ヘッドホン・イヤホンだけでなく、マイクやビジネス分野の製品も試せるイベントとして企画しているとのことだ。
さらに異業種コラボを強化することも紹介。同社は今回、アパレルショップ「nano universe」とコラボしてカタログを制作したが、こういっった活動を続けていくと語った。
本機は当初、海外で「Orpheus」という名称で報道発表され、日本では「HE 1060」「HEV 1060」という名称で発表されていたが、グローバルでモデル名を統一し、「HE-1」として展開していく。ヨーロッパでの販売価格は約5万ユーロ。日本での販売開始時期や価格は明らかにされていない。生産できるのは1日1台程度という。
HE-1は静電型ヘッドホン部と真空管ヘッドホンアンプ部を統合したヘッドホンシステム。開発には10年程度の期間を要した。
1991年に同社は、当時としては超高価な12,900ドルという価格で初代Orpheus「HE90」「HEV90」を発売したが、今回のHE-1はそれをさらに上回る超弩級モデルとなる。なお、山本敦による音質レビューはこちら。
HE-1のアンプ部は真空管アンプとトランジスターアンプの長所を組み合わせた、革新的な構成を採用。 部品は6,000以上で、いずれも細心の注意を持って選択されたという。本機の詳細については、独本社から来日した、プロダクトマネージャーのマニュエル・リック氏が紹介した。
まずリック氏はHE-1の大きな特徴を紹介。「初代Orpheusではアンプとヘッドホン、トランスデューサーがそれぞれ別になっていたが、HE-1はこの3つを1つに統合した」とアピールした。
アンプのハウジングには、イタリアのカラーラで採れた大理石を採用している。ボリュームは真鍮削り出しで、クロームメッキが施されている。
真空管は前に6本、後ろに2本を搭載。チェコのJJ ELECTORONICの真空管を採用。もともとはドイツのテレフンケンで作られていたもの。
リック氏はさらに、1991年のOrpheusと比べ音質面で大きく変わった点として、低電圧のケーブルなどを採用することで、高出力なアンプのパワーをより効率よく伝えられることになったことを挙げた。初代Orpheusではハイボルテージの電気を伝える構造となっておらず、70〜80%の電力損失があったというが、HE-1ではアンプのパワーを効率的に活用できる。
さらに、今回はヘッドホンの左右のイヤーカップ内にアンプを備え、さらにベースとなる台座にもアンプを装備。これもあいまってパワフルな駆動が可能になったという。
アンプ部の背面にはデジタル入力として4系統を装備。同軸、光、USB、HEADPHONE 2端子を備えている。またアナログ入力はXLRバランスとRCAアンバランスを装備。アナログ出力も同じくXLRバランスとRCAアンバランスを搭載している。
ヘッドホン部には金を蒸着させたセラミック電極や、プラチナを蒸着させたダイヤフラムなどを採用している。歪み率が非常に低いことが特徴で、リック氏は「他社製の静電型ヘッドホンが0.1%程度、HD 800が0.02%の低い歪み率を実現した」と紹介し、そして今回のHE-1は、0.01%の歪み率を実現したことをアピールした。
本体はスイッチを入れると各種パーツが動いて出てくることも特徴で、ボタンを押すと前面のボタンがせり出し、真空管が上に現れる。さらにヘッドホンを覆うカバーが開かれ、ヘッドホンが登場する。
■ゲストに高橋克典氏が登場。「良いもので聴くとこんなことになるのか」
本日同社は、プレス・メディア向けにHE-1の試聴会を開催。ゲストとしてオーディオマニアとしても知られる高橋克典氏が登場した。
高橋氏は開口一番「オーディオ大好きです。ケーブルを秋葉原に買いに行って、音源によって変えたり。自宅には電柱(マイ柱)も立てていて、生活用電源とオーディオ用電源を別に分けています」とガチのオーディオファンぶりを披露。
高橋氏がオーディオに凝りだしたのは、そもそもゼンハイザーのヘッドホンがきっかけだったという。「20年ほど前にオーディオ好きなスタッフが買ってきたゼンハイザーのヘッドホンを聴いたところ、なんだこれ、と。こんな音聴いたことないよ」と、すぐさまそのヘッドホンを買いに行き、そこからハマってしまったという。
HE-1を聴いてみた感想を尋ねられた高橋氏は「え〜…」と一瞬言葉に詰まり、「すごいっすね」とポツリ。会場の報道陣の笑いを誘った。
「ハイエンドオーディオは深みにはまると、すごくお金を使うんですけど、ゼンハイザーは音場感がずば抜けていると想います。オーディオで、かなりお金をつかってやり尽くしたことが、この1台だけでできてしまいます」。
さらに高橋氏は「ゼンハイザーのすごいところは、耳に音を詰め込んでくるのではなく、空気が音を伝えてくる感じを再現するところ。良いもので聴くとこんなことになるのか、と想います。時空を変える気がするんですよね」と最大級の賛辞を送った。
そのうえで高橋氏は「ここからエージングしていくと音が柔らかくなっていって、さらに心地良くなると思う」と、ここでもガチなコメントで会場を沸かせた。
またデザインについては、最近ヨーロッパ旅行に行ったことを紹介し、「ギリシャの古い遺跡に叡智の結集を感じるというか、そういうイメージをHE-1に感じます。大理石も神殿のような雰囲気で、対峙して聴いていると、まるで神殿と宇宙の交信のよう。ボタンが動いたり真空管がせり出したりといった仰々しさもたまらない。少年の心をそそられます」と興奮を隠せない様子だった。
高橋氏はさらに「オーディオマニアはいろんなブランドに移っていくけど、これは一生ものですね。子供にも孫にも残せます」と笑顔でコメントした。
■「これからも、いつまでもパーフェクトな音を追求する」
なお説明会では冒頭、ゼンハイザージャパン社長の久保昌三氏が挨拶。久保氏はゼンハイザーが昨年、創業70周年を迎えたことに触れながら、「THE PURSUIT OF PERFECT SOUND」(完璧な音を追求する)という同社のビジョンを改めて紹介。「これからも、いつまでもパーフェクトを求めて進んでいく」と述べた。
また久保氏は、現在のゼンハイザーの経営状況についても紹介。同社は2013年、ダニエル・ゼンハイザー氏、アンドレアス・ゼンハイザー氏が3代目のCEOとして就任した。「若い経営者が、現代の市場に合う製品を開発している。この方針の流れのなかで、デジタルワイヤレスマイクやMOMENTUMシリーズ、ビジネスコミュニケーションエリア分野の開発なども行われている」と述べた。
続いてゼンハイザージャパンの山本和聖氏が、ゼンハイザーの歴史や現状について、スライドを使ってプレゼンした。
山本氏は、ゼンハイザーが現在3つの製品カテゴリーを軸に事業を展開していることを紹介。1つはコンシューマー向けヘッドホンで。2つめは業務用機器。そして3つ目の軸として、最近最も力を入れているのが会議用マイクだという。
さらに山本氏は、同社が2014年次点で8億3400万ユーロの売上高があること、従業員は約2,600名でそのうち半分がドイツで働いていること、そして工場はハノーファーとアイルランド、米ニューメキシコの3カ所に持ち、HE-1やHD 800などハイエンドヘッドホンはハノーファーで開発していることも紹介した。なお、ハノーファーの本社と工場訪問記はこちらで紹介している。
そして山本氏は、ゼンハイザーの歴史についてもかんたんに紹介。1945年に創業したゼンハイザーは、1947年に「DM-2」、1957年に世界初のワイヤレスマイク、1960年に「MD 421」といった、マイクの大ヒット製品や画期的な製品を次々に投入していった。
ヘッドホンでは1968年に 世界初のオープンエア型ヘッドホン「HD 414」を投入し、現在までに1,000万台が売れる大ヒットモデルとなった。さらに1988年にはこちらもロングセラーモデルとなっているヘッドホン「HD 25」を発売。モニターヘッドホンの定番となっている。
さらに1991年にはHE-1の前身である初代「Orpheus」を300台限定で販売し、すぐに売り切れたという。
山本氏は最後に、ゼンハイザーの理念を紹介「技術資産とイノベーションカルチャーをベースにオーディオの未来を切り開く」と力強くアピールした。
同社のマーケティング活動については、ゼンハイザージャパン(株)マーケティングマネージャーの新井庸志氏が紹介した。
新井氏はマーケティングの根底に「一人でも多くの日本人に良い音を知って欲しい、良い音で楽しんで欲しい」という想いがあると紹介。それを実現するため、以前行っていたファンミーティングの規模をさらに拡大し、「SENNHEISER EXHIBITION」として、この6月から東京・大阪・名古屋・福岡・札幌・広島・仙台の全国7カ所で順次実施するという。
EXHIBITIONと銘打っていることもあり、ヘッドホン・イヤホンだけでなく、マイクやビジネス分野の製品も試せるイベントとして企画しているとのことだ。
さらに異業種コラボを強化することも紹介。同社は今回、アパレルショップ「nano universe」とコラボしてカタログを制作したが、こういっった活動を続けていくと語った。
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