オーディオ評論家・山之内正氏による現地レポート

<HIGH END>ダリ「RUBIKOREシリーズ」を発表。フラグシップのキーテクノロジーを継承

公開日 2024/05/14 19:12 山之内 正
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デンマークのダリはミュンヘン・ハイエンドで新製品を公開することが多く、2022年はフラグシップの「KORE」、創業40周年を迎えた2023年は「EPIKORE 11」を発表した。2024年のハイライトは計5機種で構成される「RUBIKOREシリーズ」。KOREの発表後、2年連続してKOREのキーテクノロジーを継承する重要な製品を投入したことになる。積極的な開発姿勢が目を引くと同時に、上位機種の技術を順次下位モデルに導入することで前に進んでいく堅実さも垣間見える。

ダリ「RUBIKORE 8」

5機種の内訳を紹介しよう。フロア型の「RUBIKORE 8」と「RUBIKORE 6」、ブックシェルフ型の「RUBIKORE 2」がHi-Fi用途のメイン機種で、さらにセンタースピーカーとオンウォールスピーカーを揃えてホームシアターへの展開を視野に入れている。今回のプレス発表ではサラウンド再生ではなくステレオ再生のデモンストレーションを行った。

RUBIKOREシリーズはKOREの設計思想を継承、発展させてドライバーユニット群を一新している。そのことからも同シリーズへの並々ならぬ力の入れ方がうかがえる。新技術のなかではダブルマグネットを導入したウーファーユニットの「クラリティ・コーンテクノロジー」と、クロスオーバーネットワークに「SMC-Koreコア・コイル」を導入したことが特に重要だ。ウッドファイバーとペーパーを用いた振動板は軽量でトランジェントが優秀な素材だが、それを適切に制御することで他の音域と正確にタイミングが揃ったトランジェントの良い低音を引き出すことができる。今回の新技術は、中域の明瞭度改善に加え、低音の質感向上に最大の狙いがあるという。

新技術「クラリティ・コーンテクノロジー」が導入されたウーファーユニット

会場では大音量で音源を流すデモが行われた

低域用ローパスフィルターのコイルの鉄心にSMC材を導入したこともダリならではの工夫の一つ。これまでドライバーユニットの磁気回路にさまざまな形で導入し、渦電流の発生を抑えた歪みの少ない中低域の再現に貢献してきた。今回はコイルのコア部分の素材変更によって透明度の高い再生音の再現を狙っている。そのほか、磁性流体を用いない新開発の低損失トゥイーター、開口部になめらかな形状を採用して不要な共振と風切り音を抑えたバスレフポートなど、改良は多岐に及んでいる。

開発部門を率いるエンジニアのKrestian Pedersen氏は、RUBIKOREについて「KOREの革新的な技術を導入することで、これまでのよりもさらに多くのリスナーにダリの優れた音楽性を体験していただけると確信しています」と語った。

エンジニアのKrestian Pedersen氏

例年のように最後に低音のビートの効いた音源を大音量で再生するデモもあったが、3基のウーファーを内蔵するRUBIKON 8のベースの反応の良さは確かに特筆に値するもので、ヴォーカルやギターの澄んだ音色を際立たせる効果が顕著だ。ハイエンドスピーカーで培った技術を抽出し、一気に身近な価格帯に投入した注目のシリーズである。欧州の価格はRUBIKORE 8が6998ユーロ、RUBIKORE 6が4998ユーロ、RUBIKORE 2が2598ユーロとなっている。

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