規格策定団体CSAの日本支部会長に訊く

押さえておきたい次世代オーディオのキーワード。スマートホームの規格「Matter」とは?

公開日 2025/04/01 07:00 筑井真奈
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スマートホームと連携するオーディオの可能性

スマートホームの規格として、昨今注目を集めているMatter。昨年11月には最新の「Matter 1.4」が策定、テレビや冷蔵庫、エアコンといった家電はもちろん、エネルギー関連機器やルーターといったさまざまな機器との連携の可能性が広がっている。

なぜMatterが次世代オーディオのキーワードとしても注目なのか。JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)は2月、オーディオビジュアルならびにIT機器の2029年までの需要予測について発表したが、その中で日本市場における「スピーカーシステム」に大きな伸びを予測している。その背景には、Matterに対応したスマートスピーカーに大きな可能性を見出していることがあるようだ。

JEITAが発表した「AV&IT機器世界需要動向調査〜2029年までの展望〜」より

Matterとはどのような規格なのか?Matterを策定するCSA(Connectivity Standards Alliance)日本支部の会長を務めている、スマートホームのプロ集団・X-HEMISTRYの新貝さんに、Matterの意義と今後の展開の可能性について教えていただいた。

CSAの日本支部会長を務める、X-HEMISTRYの代表取締役/CEOの新貝文将さん

スマートホームの共通規格として立ち上がったMatter

新貝さんによると、スマートホームは日本ではまだ普及の発展途上にあるが、アメリカではすでに大きな市場となっている。とくにスマートロックやスマートドアベルなどの普及率が非常に高く、45%以上のユーザーが何らかのスマートホームアイテムを自宅で活用している、という調査データもあるという。

しかし、これまでのスマートホームにおけるデータ伝送方式においては、zigbeeとZWAVEという二つの規格が併存しており、それぞれに互換性がなかった。それ以外にもBluetoothやWi-Fi経由で繋がる製品もあり、消費者の混乱を招いていた側面があったという。

今後スマートホームをさらに普及させていくためには何らかの共通プロトコルが必要だと考えのもと、2021年にMatterという規格が立ち上がった。当初からApple、Google、amazon、サムスン等のビッグITテックが関わっており、企業の垣根をこえた共通プラットフォームとして立ち上げよう、という強い思いを感じられる。

Matterのプロモーター会員。アップル、アマゾンのほか、IKEAや通信企業などが加わっていることも興味深い

Matterの利点について新貝さんは、以下の4つのメリットがあると教えてくれた。「iOSとAndroidスマートフォンが標準対応していること」「セットアップが容易なこと」「対応機器には「Matter」のロゴマークが貼られてわかりやすいこと」「セキュリティに配慮した設計になっていること」だ。

また、Bluetooth、Wi-Fiはもちろん、先述のzigbeeとZWAVEにも対応。また低遅延かつ低消費電力で動くネットワーク規格のThreadにも対応している。

低遅延かつ低消費電力で動く「Thread」という新しいネットワーク規格も登場

では、Matter対応機器によって生活がどう変化するのか? 違うメーカーのデバイスを、ひとつのアプリで操作できるということが大きなポイントだ。例えばiPhoneのリモコンアプリで照明のオンオフやテレビのオンオフ、ドアの開け閉めなどなど、スマートホーム関連デバイスを一元的に管理できることになる。現状日本では対応デバイスが非常に限られているためなかなか想像しにくいが、今後対応機器やジャンルはますます増えていくと予測される。

Matterにも対応する照明やカメラといったスマートデバイス

スピーカーが家庭内の“ハブ”になる?

Matter対応機器を操作するためには、別途「Matterコントローラー」を用意する必要がある。Matter対応機器へ指令を飛ばすためのハブ、司令塔的な役割である。

現在日本で入手できるMatterコントローラー機器には、 Amazonの「Echo Show」Googleの「Google Nest」、アップルの「HomePod」などがある。これらはいずれも「スピーカー」であることに注目したい。つまり、スピーカーが、スマートホームの“ハブ”となる可能性が大いに期待できる、ということだ。(ちなみに日本ではまだ入手できないが、サムスンの一部テレビもMatterコントローラーに対応している)

Matterコントローラーとして使用できる代表的なモデル。左からアップルの「Home Pod」、アマゾンの「Echo Show」「Echo Pop」。このほかGoogleの「Google Nest」等も対応する

これらスマートスピーカーはマイクも搭載しており、音声入力にも対応する。つまり、スマートフォンのアプリだけではなく、音声によって自宅のスマートホーム関連デバイスを一挙に操作する、といったことも可能になるのだ。スピーカーが家庭内の「デバイスセンター」的な地位を獲得する、JEITAの予測についても、そういった期待を込めていると想像できる。

Matterはまだまだ発展途上の規格であることに加え、日本ではスマートホーム関連機器の対応は遅れを取っているというのが現状だ。しかし、Matterのチームにはすでにパナソニックやシャープ、日立なども加わっており、今後これらのメーカーから出てくるテレビや冷蔵庫といった家電製品もMatter対応になっていくかもしれない。

Xiaomiが先日「WiFi対応イヤホン」と「Bluetooth対応イヤホン」の2種類を出して話題となっていた。オーディオメディアに携わる者としては、「Threadイヤホン」「Threadスピーカー」なども期待したい。低遅延はオーディオ的にもメリットがあるし、音質的にはどうなのだろう。新しい規格がオーディオ市場をどれほど豊かにしてくれるか、楽しみである。

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