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[2003年度 松下電器経営方針] 質疑応答の全問・全答をご紹介

公開日 2003/01/10 20:45
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松下電器産業(株)代表取締役社長 中村邦夫氏
●本日、大阪と東京の3会場を衛星回線で結び、松下電器産業(株)の2003年度経営方針説明会が開催された。大阪の本会場で行われた同社社長の中村邦夫氏の会見後に行われた質疑応答の全問・全答をご紹介する。

Q.14のドメインがそれぞれ自主計画を持つことで放任にはならないか?また、事業の重複などは起こらないか?
A.今回は思い切って自主性を尊重させることにしました。ヒアリングの機会を設けたり、各々の方針を明確にすることで重複は避けられます。

Q.松下にとって、国内に生産施設はなぜ必要か?また、どうやって国内の製造業の競争力を維持しているのか?
A.日本は製造立国です。材料を輸入し、ものを作り、輸出するという形で成り立っており、松下は70%を国内生産しています。他社、他国にない技術を開発するためにも国内生産という形は重要視しています。

Q.ドメインごとの業績評価基準をCCMとキャッシュフローという結果指標に一本化したが、その評価は誰が行い、またそれは個人賃金に反映されるのか?異動などの人事業務はどこが行うのか?
A.評価は本社が行います。将来、ドメインごとに成長の違いが出ると思うので、それは賃金にも反映させなければならないと考えていますが、まず社員の同意を得ることが必要で、すぐには行えません。異動や採用などの業務も本社が行います。

Q.エンパワーメントしたあとの本社の仕事の方針は?
A.戦略本社として、各ドメインにはできない仕事、提携、買収などを行っていきます。本社の役割が減るようなことはありません。

Q.「創生21計画」では、売り上げ高営業利益率5%という目標を掲げているが、2003年度に達成するのは諦めたのか?
A.2003年度に達成することは難しい情勢ですが、この目標は持ち続けています。

Q.ドメインが高いCCM、キャッシュフロー数値を得るために、リストラなどを行うのではないか?
A.大きな人員整理を行う予定はありません。松下では会社がつぶれるか、早期退職プランを行う場合以外には人員整理をすることはありません。また、早期退職プランはすでに適用しております。

Q.ブラックボックス技術には具体的にどういったものがあるのか?また、その投資効果はどれほどのものなのか。
A.ブラックボックス技術は一朝一夕にできるものではありません。例えばIHクッキングヒーターの技術や冷蔵庫の断熱材の技術には10年近く、DVD-RAMドライブの開発に関しても5年ほどの歳月を費やしています。技術に対する投資により、分散していたものを統合し、技術者達の知財を強化することができます。

Q.コーポレートガバナンスの変更はあるのか?
A.いまのコーポレートガバナンスは透明性があり、今のところ何の不都合もありませんので、いまは変更を考えていません。必要であれば改革を行うという可能性もありますが、これは取締役会が決定することです。

Q.来期はリストラによるベネフィットがないが、営業利益を出す対策はあるのか?海外での事業がポイントとなるのか?
A.最大のポイントは海外となります。また、各分社を黒字化していくことが必要となってきますが、これは見込みが立っています。

Q.今期、営業利益が1000億円だったが、来期の具体的なイメージは?
A.当然増収増益を目指します。

Q.液晶テレビが伸びてきているが、どういった方針を打ち出しているのか?
A.32インチあたりに分岐点があると思います。32インチまでが液晶で、37インチ以上になるとプラズマのメリットが出てきます。液晶テレビも充実強化していきたいと考えています。東芝松下ディスプレイテクノロジー(株)の生産体制には変更はないと思います。

Q.社長の今後の役割は?
A.ドメイン間の調整や、ドメインではできないことを行います。社長としての役割は、従来より大きくなると思います。

Q.IT革新プロジェクトの現状と今後は?
A.現在はきわめてスムーズに進んでいます。プロジェクトにはここ3年間で1,400億円の投資を行っており、社内情報システムの革新も視野に入っています。「速くて軽い松下」を実現するにはITは欠かせないものです。

Q.2002年はV商品であるHS2やLUMIXなど、単価を下げて数量を売るという方針に見えたが、2003年も同様の方針でいくのか?
A.V商品を前面に打ち出し、シェアアップしていくために、安価というわけではなく、お客様が納得できる適正な価格帯をねらっています。安易な価格競争をすることは無いと思います。

Q.5社のプライベート化による効果をどれくらい期待しているか?
A.CCMゼロ以上を達成したいです。それは、ドメインを明確かつクリアにすることで数字に表れてくるのではないでしょうか?

Q.中国でのマーケティングに何を期待しているのか? また、国内生産にこだわっているようだが、中国での生産は重視していないのか?

A.松下は、中国市場におけるインサイダーです。すでに42の生産向上をもち、様々な商品を販売しています。中国市場で狙うのは「圧倒的な規模を誇るドメスティックマーケット」「世界の工場としての役割」「日本の10倍程度の数を毎年輩出する理系人材の獲得」の3点です。

Q.2005年に中国で1兆円の事業を行うということだが、どんな商品を販売する予定か?
A.一言で申し上げて、最先端商品を持っていこうと考えています。上海にPDP工場を新設したのもそのための戦略の一つです。

Q.赤字のドメインを無くすとのことだが、赤字の事業はいくつあって、赤字額はどのくらいか?
A.まず、携帯電話とPDPが大きな赤字を出しました。ただし、いずれも03年度には黒字化できると考えております。もう一つ、産業用機械事業は、世界的に需要が低迷しています。こちらは、03年度中の黒字回復は難しいかも知れません。赤字額については、いま数字が手元にありません。

Q.各地域別の生産比率のうち、中国が占める割合はどの程度になるか?
A.海外生産比率は30%で、その内訳はアジアが50%、アメリカが20%、欧州が10%、中国が20%です。アメリカをもう少し下げる予定で、さらにアジアからも中国にシフトさせます。中国の占める割合が高くなるものと思います。

Q.株主配当の基準は?
A.単純に、株主資本に対して一定比率を掛けます。

Q.3年連続で赤字が続くと事業の凍結もあるとのことだが、過去そのような事業はあったのか?
A.「3年連続で赤字」というのは、基準として示したものです。ただし、事業は生き物なので、判断を硬直化させて、事業を途中で投げ出してしまうのは無責任です。資本回収に時間がかかる事業もあるので、あくまで基準と考えて下さい。

(Phile-web編集部)

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