ソニー「QUALIA(クオリア)」新商品発表会〜発表会・質疑応答編〜
左)ソニー(株)会長兼CEO 出井伸之氏 右)同社副社長 高篠静雄氏 |
本日行われた発表会では、始めに同社副社長である高篠静雄氏が登壇し、プロジェクトの全容を説明、QUALIAブランドから登場する新製品の魅力を明らかにした。高篠氏は、これまでに安易な価格競争とマーケットシェア競争を単純に追い続け、現在商品そのものの価値を見失ってしまっている国内製造業界の現状を指摘し、その中においてソニーのモノづくりにおける姿勢も今問い直されていると語った。この現状を受けて、今後のソニーはモノづくりの原点を回帰し、経済価値から感動価値へ、さらには無から有を生み出す「創造」の価値基準に立ちながら、ソニー・スピリットが生きる魅力的な製品の数々を、QUALIAプロジェクトのもとに誕生させて行くという方向性を示した。
本日はプロジェクト初の商品シリーズとなる、フルHD SXRDパネルを搭載したプロジェクター「Q004-R1」、SACDシステム&スピーカー「Q007-SCD/SSS」、トリニトロンカラーモニター「Q015-KX36」、デジタルカメラ「Q016-WE1」の4製品が発表された。それぞれの製品は、オーディオビジュアルのハイエンドファンをターゲットにした高いクオリティを備えた製品であるが、高篠氏は「スペックや効率を超えた、感動を手にすることのできる製品ばかりである」と、どれもQUALIAブランドの大いなる価値基準に基づいた傑作であると語り、各製品の魅力を説明していった。各製品の詳細については、本日のニュースの別頁にて取り上げていく。
今回発表されたQUALIAブランドの製品については、これらを専門に取り扱う店舗として、同社が東京・銀座のソニービル内に開店する「QUALIA Tokyo(クオリア トウキョウ)」(本日オープン)、および大阪のソニータワー内「QUALIA Osaka(クオリアオオサカ)」(7月オープン予定)を通じ、完全受注生産にて販売される。遠隔地のカスタマーには「QUALIA コールカウンター」を設け、電話での販売も行う。店舗およびコールカウンターでは、ブランド製品の購入相談から販売、インストール、購入後のサポートまでを一括して担当する「コンシェルジュ」と呼ぶ専任スタッフを配置し、サポートサービスにも注力していく考えであるという。
発表会の後半では、本日開店した「QUALIA Tokyo(クオリア トウキョウ)」の店舗が集まった報道関係者に向けて公開された。店舗のオープニングイベントには同社の会長兼CEOである出井伸之氏も駆けつけ挨拶を行った。出井氏は自らが押し進めてきたQUALIAプロジェクトの原点には、「“純粋な感動の創造”というモノづくりの基本に立ち返り、ソニーグループが一丸となって新しい歩みを進めたい」という考えがあったのだという。出井氏はまた、「日本のモノづくりの原点には、創造・感動・夢を追い続けようとする姿勢がいつもそこにあったはずだ。“売れるかどうか”だけではなく、夢のある魅力的な商品を創ることがQUALIAブランドの原点であるし、ソニーがソニーである証であると考えている。たとえば、最近時計のバーゼルフェアに行く機会があったが、時計産業は、低価格化の波から見事に盛り返した恒例だと思う。同じようなモノばかりのAV業界に、QUALIAからイノベーションを起こしたい。ここから生まれた技術が世界に広がって行くならば、これほど嬉しいことはない」と語った。
今回発表された製品については、「4製品ともに、エンジニアたちの魂がこもったとても良いものが完成したと思う」と喜びを明かにした。「今回の製品では、その売上げ台数よりも、どういった市場やお客様を獲得していくことができるかがとても楽しみだ。モノづくりにひたむきなソニーをお客様に見ていただきたい」と、ブランドに寄せる期待を語った。
最後に本日の発表会にて行われた質疑応答の内容を以下にお伝えしていこう。
***<「QUALIA(クオリア)」発表会・質疑応答>*****
Q:今回発表された4製品は、いずれもハイエンドファンに向けた価格帯の製品ばかりだが、今後携帯電話やウォークマンなど、コンシューマー向けに安い価格の商品をQUALIAブランドで展開していく予定はあるか。
A:将来はQUALIAブランドのビジネスをより多方面に広げていきたいと考えている。ブランドより培った技術を基に、より安価な製品も含めた広範囲なジャンルの製品にも活かして行きたいし、またQUALIAの感動を持つ商品なら全ての商品にブランドのネームとコンセプトをあてはめていきたい。
Q:年内にQUALIAブランドから登場する製品はあとどのくらいあるのか。今回の製品の売り上げ目標は。
A:QUALIAブランドの製品については今のところ全17モデルが企画されていて、今回はその内の4製品が発売となる。年内にあと幾つかの製品の発表・発売も視野に入れているが、何分技術や仕上げに時間がかかるブランド商品であり、じっくりと良いものを完成させるための時間をかけながら製品化を推し進めていきたい。今回のブランド製品に関する売上げ計画については、ソニーの売上げ全体の数パーセントを上げられるよう努力していきたいと考えている。
Q:QUALIAブランド製品の北米展開は
A:海外での販売予定は今のところ未定。日本をモデルケースに、北米、欧州など世界のターゲットを順次追加していきたい
Q:製品の販売価格にサポートサービスの付加価値が付属するものと考えてよいか。また、これまでソニーブランドで販売されていた製品に関しては、本ブランドの立ち上げの際に指摘された「価格競争・シェア競争」の問題にどのように対応するのか。
A:QUALIAブランドのサービスについては、商品に関する説明、インストールサービス、ご購入後のサポートまで、商品の価格に含まれた付加価値と考えていただきたい。新たに全体のサービスを弊社で行うという、ブランドにおけるもう一つの挑戦である。現在の価格デフレ現象の中で、ソニーブランドの商品は経済的バランス価値のある製品群としてとらえ、「量より質」を追求したQUALIAブランドとの相乗効果でうまく市場全体における価値を立て直していきたい。その中で、ソニーが創る製品全体の差別化を確立し、トータルでの底上げを実現していきたい。
Q:販売はQUALIAショップのみか? また、ネット販売は行わないのか?
A:ブランドが定着するまでは、ソニーマーケティングがQUALIAショップやコールセンターを通じて、直接販売していきたい。ネット販売は基本的に行わない。
Q:受注製品とのことだが、納期はどのくらいか?
A:製品によってずいぶん異なるが、早いもので1週間、時間のかかるもので1ヶ月程度を想定している。
Q:現在17のQUALIA製品の開発が進行しているとのことだが、今後はどんな製品が登場するのか?
A:まだ発表できる段階ではない。今後のお楽しみということにしてほしい。
Q:QUALIA製品から一般製品に技術をフィードバックすることはあるか?
A:一般製品に採り入れられるものはぜひそうしたい。
Q:技術の発展で製品が陳腐化することもあるかと思うが、その場合、ブランドコンセプトが崩れるのでは?
A:バージョンアップできるものはする方向で検討したい。
Q:ソニーでQUALIA製品を下取りする可能性は?
A:まだそこまで考えていないが、お客様とは末永いおつき合いをしたいと考えている。色々な方策を考えていきたい。
Q:QUALIAブランドでPCを作る可能性はあるか? もし作る場合、VAIOとの関係はどうなる?
A:基本性能を高めたり、製品の目的を特化したりすることで、永く使える魅力的なPCが作れるのではないかと考えている。「何でもできるPC」からの脱却をQUALIAブランドで実現できたら素晴らしいと思う。ただし、現在進行中の17製品には含まれていない。
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