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“音束ビーム”でリアル5.1ch ヤマハから「デジタルサウンドプロジェクター」登場

公開日 2004/11/16 17:50
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●ヤマハ(株)は、ワンボディでリアル5.1サラウンドを再生できる、新たなスタイルのホームシアターシステム“デジタル・サウンド・プロジェクター”「YSP-1」を12月上旬より発売する。価格は157,500円(税込)。

YSP-1

本機は、デジタルアンプ、小型スピーカー40個、ウーファー2個をワンボディに一体化。新開発のデジタル・サウンド・プロジェクター・テクノロジーにより、ひとつひとつのスピーカーを時間制御して音をビーム状に再生することで、マルチチャンネル音声の到来方向を自由にコントロールする。

このビーム化された音声を壁に反射させて仮想スピーカーを作りだし、5.1サラウンドを再生する。これによりリアル5.1サラウンドが、フロント側1ボディのシステムだけで楽しめる。

なお、この「デジタル・サウンド・プロジェクター・テクノロジー」技術は、イギリスの技術開発会社「1Limited」社 (ケンブリッジ)との共同開発により実現したもの。

1Limited社の会社概要

今回の共同開発の役割分担

部屋の壁面の真ん中に置く通常の設置方法に加え、コーナー設置にも対応できるよう、メニューからプリセットされた設定を選択するだけで、視聴環境に合った設定が簡単に行える。

プリセット設定は「6畳から16畳、壁の中心置き」「6畳から16畳、壁のコーナー置き」「横長12畳より大きな部屋、壁の中心置き」の3つ。そのほか、部屋形状、設置位置、部屋サイズを個別に選択することにより、「特殊な形状の部屋では稀に5.1ch再生ができないこともあるが、ほとんど全ての部屋でリアル5.1ch再生が可能」とのことだ。テストトーンを聴きながら音の細かな調整を行うこともできる。

上記のような細かい設定も可能

ビームモードは4種類から選べる

また、「5ビームモード」や「3ビームモード」、「ステレオモード」、「ステレオ+3ビームモード」の4種類のビームモードを、鑑賞するソフトや使用する環境に合わせて選べる。

また、周囲への音漏れを低減するナイトリスニングモードも装備する。

サラウンドフォーマットはドルビーデジタル、DTS、AAC、ドルビープロロジックIIに対応している。

外形寸法はW1030×H194×D113mmで、42インチの薄型テレビの幅、奥行きとほぼ同じ。省スペースで高いインテリア性を実現している。オプションとして壁掛け用金具(SPM-K1)、YSP-1をすっきり収納できる専用ラック(YLC-SP1)も用意する。

本日、東京都内で本機の発表会が行われた。

冒頭に挨拶したヤマハ(株)常務取締役の前嶋邦啓氏は、現在のホームシアター市場について「シアターコンポから映像中心のシステムソリューションにシフトしている」とし、さらに「PDP・液晶に加え、リアプロや薄型CRTも登場するなど、薄型テレビは需要拡大に加え多様化も始まっている」と分析。同氏はYSP-1について「このように多角化するホームシアター事業を勝ち抜くための一つの答えだ」と宣言した。

ヤマハ(株)常務取締役の前嶋氏

YSP-1のターゲットには、薄型大画面テレビのユーザーを想定する。「このほか、従来の5.1chサラウンドシステム、バーチャルサラウンドにも引き続き注力し、ホームシアターNO.1戦略を実現する」と述べた。また、売上げに関しては、2007年8月期で年間100億円を目標にしていることを明らかにした。

2007年に売り上げ100億円を目指す

続いて、マーケティング室の安藤貞敏室長が、1Limited社の概要を説明。それによれば、同社はイギリス・ケンブリッジ社に拠点を持ち、全社員の3分の1が博士号を取得するという技術者集団。デジタルサウンドプロジェクター技術のほか、携帯電話のオートフォーカスカメラ、スピーカー技術なども保持している。

今回の製品開発では、1Limited社がビーム制御技術、ソフトウェア、ASICなどを供与。ヤマハ側がデジタル技術、音響設計、音場創生、LSI開発などを担当した。

発表会には、1Limited社のプレジデント トニー・フーリー氏、同CEOのマーク・シェプハード氏、CTOの牧野進一氏が出席。同社の技術的な内容についてはフーリー氏が説明を行った。

1Limited社のプレジデント、トニー・フーリー氏

フーリー氏は、「バーチャルサラウンドとデジタルサウンドプロジェクター技術は全く別のもの」とし、バーチャルサラウンドについて「人間の聴感がまだ完全に解明されておらず、聴感モデルが不完全、頭部モデルが平均に過ぎない、頭部の位置に完全依存しているなどの問題が考えられる」と説明。それに対してデジタルサウンドプロジェクター技術では、「音が正しい方向から聞こえてくるので自然なサラウンドが実現できる」とした。

発表会終了後、別室で本機のデモンストレーションが行われた。まず、森林の中で録音した環境音が再生された。自然な広がりのサラウンドが広がり、時折、鳥の鳴き声が後ろから聞こえてくる。思わず後ろを振り返るほどの臨場感で、「バーチャルと違う」という説明が納得できた。そのあと再生された音楽DVDや映画ソフトでも、周りを包み込むようなサラウンドが堪能できた。

42V型プラズマの下にYSP-1を設置した例

スピーカー下の表示部

以下に、発表会で行われた質疑応答の全問全答をご紹介する。

Q:初年度の売上げ目標が4億円とのことだが、台数の販売目標は?
A:2005年3月までの4ヶ月間で4千台を販売したい。

Q:07年で売上げ100億円が目標だが、OEMなども検討しているのか?
A:もちろんアライアンスの可能性は検討している。

Q:バーチャルサラウンドと違う方式であるというのがセールスポイントかと思うが、店頭でのアピールの仕方を教えてほしい。
A:主な各拠点で体験会を催すのを検討している。なるべく多くの方に体験してもらいたい。

Q:コーナー置きでも5.1ch再生が可能なのか?
A:可能だ。

Q:5.1chを超える、6.1chや7.1chの再生はできるのか?
A:現段階では5.1chのみだが、今後検討していきたい。

Q:今後の展開として、高級機にシフトするのか、それとも低価格機に力を入れるのか?
A:現在、AVアンプは3〜50万円程度と幅広いラインナップを持っている。このシリーズも幅広く展開したいと考えているが、薄型テレビと組み合わせる商品なので、高すぎるものは受け入れられにくいのではないかと考えている。

Q:42V型に最適なサイズかと思うが、ほかのサイズ、たとえば37V型や32V型などに適したモデルは作らないのか?
A:世界的に見て、42V型が薄型大画面テレビで一番売れている。このことから、今回は42V型サイズを選択した。今後、国内で売れている37V型、32V型サイズも視野に入れている。

Q:このシステムを買うとテレビ付属のスピーカーは不要と思う。この点についてはどう考えているか?
A:現在、スピーカーを取り外しできるモデルとできないモデルは、ほぼ半分ずつと認識している。

【問い合わせ先】
ヤマハ(株)
AVお客様ご相談センター
TEL/0570-01-1808

(Phile-web編集部)

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製品スペックやデータを見る
  • ブランドYAMAHA
  • 型番YSP-1
  • 発売日2004年12月上旬
  • 価格\157,500(税込)
【SPEC】
●実用最大出力(EIAJ):120W (2W×40+20W×2) ●入力端子:<音声>アナログ2系統 <デジタル>光2系統、同軸1系統 ●出力端子:<音声>サブウーファープリアウト <映像>オンスクリーンメニュー出力、システムコントロール端子 ●スピーカー部型式:2ウェイ密閉防磁型 ●スピーカーユニット:ウーファー→11cmコーン防磁型×2個(4Ω)、ビームスピーカー→4cmコーン防磁型×40個(10Ω) ●消費電力:55W ●外形寸法:W1030×H194×D113mm(突起部除く) ●質量:13kg