B&Wより新「800シリーズ」誕生 上位機はダイヤモンドトゥイーターを装備
●日本マランツ(株)は、英B&W(Bowers & Wilkins)社の新スピーカー「800シリーズ」および、同シリーズとの組み合わせに最適なセンタースピーカー、サブウーファーなどを2005年1月下旬より発売すると発表した。各モデルの詳細はこちらでお伝えしている。
本日、同社の恵比寿ショールームで開かれた記者発表会では、まず国内営業本部長の高山敬史氏が登壇。高山氏は1冊のカタログを掲げ、「これは、1993年にマランツがB&Wのスピーカーを販売し始めたときのカタログ。あれから11年が経つと思うと実に感慨深い」と語り、「93年度と03年度を比較すると、国内オーディオの単品コンポーネント市場は、700億円から300億円に縮小した。スピーカーのシェアはこのうち約1/3なので、03年度の高級スピーカー市場は約100億円の計算になる」と説明。高山氏はまた、「このような厳しい環境のもと、B&Wの売上げはそれと反比例して順調に伸びてきた。03年度の売上げは94年度の約15倍にもなる」と誇らしげに語り、「この成長を後押ししたのが、98年に登場したNautilus800シリーズだ。今回導入する800シリーズは、このときに匹敵するインパクトを市場に与えるはずだ」と述べた。
続いて、B&Wグループブランドマネージャー パシフィックリム担当のラース・フンボルグ氏が、B&W社や800シリーズの概要を説明。「1966年に創業したB&W社は、いまではイギリスとデンマークに工場を持ち、約1,000人の従業員を抱える、世界最大級のスピーカーメーカーに成長した。今回の800シリーズの挑戦は『B&Wを乗り越える』こと。外観はほぼ変わっていないが、90%以上のパーツを新規開発し、社内の我々も『アメイジング』と言いたくなるものが出来上がった」と語った。
新製品の技術的な内容については、B&Wで開発を指揮するジョン・ディブ博士が説明を行った。
同氏は、今回の新製品について「Signatureシリーズがスタートポイントだった」と説明。従来モデルから継承した技術として、バスレフの出口にゴルフボールのような凹凸を設け、気流を整える「フローポート」、高い剛性を実現する「マトリックス構造のカーブドキャビネット」を紹介した。
ミッドレンジウーファーは、Signatureのものがベースだが、フレームを新規開発し、2倍の強度を持たせたほか、マグネットにはネオジウムが採用された。素材には立ち上がりが速いケブラーコーンが踏襲されている。
新たに採用された技術も多い。上位機種には、新たにダイヤモンドドーム・トゥイーターを搭載。ディブ博士によると、トゥイーターのダイヤフラムには「強度」と「軽さ」の両立が必要で、ベリリウムなどはこの条件を高いレベルで満たしているという。だが、他社での採用例も多いベリリウムに満足できなかった同氏は、「ダイヤモンドはベリリウムに比べ3倍以上も強度があり、重さもそう大きくない。ダイヤモンドを使ったトゥイーターができれば、ベリリウムよりも理想に近い」と考えた。「どうやってダイヤのダイヤフラムを作るか、と悩んでいたところ、イギリス内でそれが実現できそうな会社に行き当たった。従来、火山の内部並みの温度と気圧がダイヤモンドの成型には必要だが、この会社が持つ『化学気相蒸着』という技術なら、ダイヤモンドを複雑な形状に成型できることがわかった」。「早速、ダイヤモンド・トゥイーターの試作機を作り、スタッフで試聴会を行ったところ、聴き始めてすぐ、みんなの表情に充実感がみなぎっていることがわかった。それでこのプロジェクトにゴーサインを出した」。
実際に、従来のトゥイーターとダイヤモンド・トゥイーターの特性を計測したグラフを見ると、従来は10kHz程度から徐々に下がり始めるのに比べ、ダイヤモンド・トゥイーターでは20kHzくらいまではほぼフラットで、それ以上の帯域でもなだらかに減衰していくのがわかる。
なお、従来機種ではタイムアライメントの観点から、トゥイーターがミッドレンジの後方に置かれていたが、本シリーズではそれがかなり前方に移動し、ミッドレンジとほぼ同じ位置になった。これは、トゥイーターとミッドレンジの間のクロスオーバーを1次スロープにしたことにより、トゥイーターを半オクターブ分前に出すことができるようになったからだという。コンデンサーには独ムンドルフ社の超高品質モデルを使用している。
ベースウーファーユニットも新たに開発された。ディブ博士は、ウーファーに求める要件として「変形しにくい」「内部共振が大きい」「キャビネット内の音を透過させない」の3つを挙げ、これらの要件を満たすため、コーンの間にロハセルという発泡体を挟み込んだと説明。発泡体なので変形しにくく、従来に比べ3倍の強度を持つという。
サブウーファーに関しては、上位モデルの「ASW865」「ASW875」の2機種に搭載された「リスニングルーム最適化」システムがくわしく説明された。これは、リスニングルームの固有の共鳴を電子的に補い、部屋のスペースや部屋での位置に応じてサブウーファーの周波数レスポンスを調整するというもの。システムはサブウーファーのアンプに内蔵され、部屋にテスト信号音を連続して発信し、これをマイクで拾って分析、調整を行う。
発表会の最後に行われたデモ視聴には、802Dが使用された。「先週の金曜日に届いたばかりで全然鳴らせていない」という状況だったが、立ち上がりの速さ、自然な音場表現など、従来のNautilus 800シリーズを凌駕するポテンシャルが確認できた。
【問い合わせ先】
日本マランツ(株)
お客様相談センター
TEL/03-3719-3481
(Phile-web編集部)
本日、同社の恵比寿ショールームで開かれた記者発表会では、まず国内営業本部長の高山敬史氏が登壇。高山氏は1冊のカタログを掲げ、「これは、1993年にマランツがB&Wのスピーカーを販売し始めたときのカタログ。あれから11年が経つと思うと実に感慨深い」と語り、「93年度と03年度を比較すると、国内オーディオの単品コンポーネント市場は、700億円から300億円に縮小した。スピーカーのシェアはこのうち約1/3なので、03年度の高級スピーカー市場は約100億円の計算になる」と説明。高山氏はまた、「このような厳しい環境のもと、B&Wの売上げはそれと反比例して順調に伸びてきた。03年度の売上げは94年度の約15倍にもなる」と誇らしげに語り、「この成長を後押ししたのが、98年に登場したNautilus800シリーズだ。今回導入する800シリーズは、このときに匹敵するインパクトを市場に与えるはずだ」と述べた。
続いて、B&Wグループブランドマネージャー パシフィックリム担当のラース・フンボルグ氏が、B&W社や800シリーズの概要を説明。「1966年に創業したB&W社は、いまではイギリスとデンマークに工場を持ち、約1,000人の従業員を抱える、世界最大級のスピーカーメーカーに成長した。今回の800シリーズの挑戦は『B&Wを乗り越える』こと。外観はほぼ変わっていないが、90%以上のパーツを新規開発し、社内の我々も『アメイジング』と言いたくなるものが出来上がった」と語った。
新製品の技術的な内容については、B&Wで開発を指揮するジョン・ディブ博士が説明を行った。
同氏は、今回の新製品について「Signatureシリーズがスタートポイントだった」と説明。従来モデルから継承した技術として、バスレフの出口にゴルフボールのような凹凸を設け、気流を整える「フローポート」、高い剛性を実現する「マトリックス構造のカーブドキャビネット」を紹介した。
ミッドレンジウーファーは、Signatureのものがベースだが、フレームを新規開発し、2倍の強度を持たせたほか、マグネットにはネオジウムが採用された。素材には立ち上がりが速いケブラーコーンが踏襲されている。
新たに採用された技術も多い。上位機種には、新たにダイヤモンドドーム・トゥイーターを搭載。ディブ博士によると、トゥイーターのダイヤフラムには「強度」と「軽さ」の両立が必要で、ベリリウムなどはこの条件を高いレベルで満たしているという。だが、他社での採用例も多いベリリウムに満足できなかった同氏は、「ダイヤモンドはベリリウムに比べ3倍以上も強度があり、重さもそう大きくない。ダイヤモンドを使ったトゥイーターができれば、ベリリウムよりも理想に近い」と考えた。「どうやってダイヤのダイヤフラムを作るか、と悩んでいたところ、イギリス内でそれが実現できそうな会社に行き当たった。従来、火山の内部並みの温度と気圧がダイヤモンドの成型には必要だが、この会社が持つ『化学気相蒸着』という技術なら、ダイヤモンドを複雑な形状に成型できることがわかった」。「早速、ダイヤモンド・トゥイーターの試作機を作り、スタッフで試聴会を行ったところ、聴き始めてすぐ、みんなの表情に充実感がみなぎっていることがわかった。それでこのプロジェクトにゴーサインを出した」。
実際に、従来のトゥイーターとダイヤモンド・トゥイーターの特性を計測したグラフを見ると、従来は10kHz程度から徐々に下がり始めるのに比べ、ダイヤモンド・トゥイーターでは20kHzくらいまではほぼフラットで、それ以上の帯域でもなだらかに減衰していくのがわかる。
なお、従来機種ではタイムアライメントの観点から、トゥイーターがミッドレンジの後方に置かれていたが、本シリーズではそれがかなり前方に移動し、ミッドレンジとほぼ同じ位置になった。これは、トゥイーターとミッドレンジの間のクロスオーバーを1次スロープにしたことにより、トゥイーターを半オクターブ分前に出すことができるようになったからだという。コンデンサーには独ムンドルフ社の超高品質モデルを使用している。
ベースウーファーユニットも新たに開発された。ディブ博士は、ウーファーに求める要件として「変形しにくい」「内部共振が大きい」「キャビネット内の音を透過させない」の3つを挙げ、これらの要件を満たすため、コーンの間にロハセルという発泡体を挟み込んだと説明。発泡体なので変形しにくく、従来に比べ3倍の強度を持つという。
サブウーファーに関しては、上位モデルの「ASW865」「ASW875」の2機種に搭載された「リスニングルーム最適化」システムがくわしく説明された。これは、リスニングルームの固有の共鳴を電子的に補い、部屋のスペースや部屋での位置に応じてサブウーファーの周波数レスポンスを調整するというもの。システムはサブウーファーのアンプに内蔵され、部屋にテスト信号音を連続して発信し、これをマイクで拾って分析、調整を行う。
発表会の最後に行われたデモ視聴には、802Dが使用された。「先週の金曜日に届いたばかりで全然鳴らせていない」という状況だったが、立ち上がりの速さ、自然な音場表現など、従来のNautilus 800シリーズを凌駕するポテンシャルが確認できた。
【問い合わせ先】
日本マランツ(株)
お客様相談センター
TEL/03-3719-3481
(Phile-web編集部)