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[炭山アキラのCEATEC2005レポート] 会場で見つけた注目のオーディオ系製品と技術に迫る

公開日 2005/10/05 10:20
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■三菱が提案する「DIATONE サラウンド」

三菱の「DIATONE サラウンド」試聴ブース

三菱独自のフロントサラウンド技術を提案

ユビキタス、メモリープレーヤー、薄型テレビなどが華やかに展示される中で、オーディオ関連の展示はあまり多くない。そんな会場でまず目についたのが、三菱のブース片隅に輝いていた「DIATONE surround」の文字だ。何と、サラウンド関連機器で「ダイヤトーン」の金看板が復活するのか!?と早合点し、勢い込んで説明員氏に話をうかがったが、残念ながらそういうことではなく、同社の音声技術の高さを表現するために名前を用いたらしい。展示内容は流行の2chフロントサラウンドで、後方にまでよく音が回り、しっかりと定位する好ましいものだった。

いろいろと話を聞いてみると、ダイヤトーンのブランドは同社としても大切にしていきたいそうで、「長い期間はかかるかもしれませんが、いつか復活させられればと思っています」とのこと。われわれ日本のオーディオ好きには欠かせないブランドだっただけに、復活を心から期待したいところだ。

■海外ブランドの面白い出展製品

WINブランドのミニコンポNE-2520

米BELKIN社の電源レギュレーター

パソコン関連機器のメーカーが本腰を入れてオーディオへ参入してくるか、といった展示がちらほら見られたのも興味深い。まず目についたのは、WINブランドのミニコンポNE-2520だ。これは自作パソコンのシャーシや関連機器などを取り扱うダイナコネクティブ社のオーディオブランドで、瀟洒なトップローディングのDVDプレーヤーとチューナーアンプ、スピーカーから成る3点セットである。スピーカーにはピアノと同じ7層の鏡面仕上げが施されているというから本格的だ。

続いて目に入ったのは、米BELKIN社の電源レギュレーター。パソコンのネットワーク周辺から、最近はi-Podの周辺機器までを扱う同社は、サージフィルターなどで電源保護には実績があるのだという。テクノロジーと開発者の「耳」の良否が音質を大きく左右するジャンルだけに、どういう仕上がりになっているのか、機会があればぜひ一度試してみたいと思った製品である。

■新開発の振動板など、フォスターの興味深い開発製品

フォスターが出品した「エッジレス・ウーファー」

フォスターの高級壁掛けスピーカー高級壁掛けスピーカー

フォスターのブースは毎年訪れているが、ある年に見かけた新開発の振動板などが、2〜3年後にはいろいろな社の製品へフィードバックされていくさまが観察できて面白い。

今年の目玉は「エッジレス・ウーファー」であろう。もう20年近くも前になるだろうか。フォステクスにSLEシリーズというエッジレス・ウーファーがあった。エッジのすき間が少々大きくそこから空気が吹き出すといった不安定要素があったものの、独自の音色を持つ魅力的なユニットだっただけに、問題点を解消して新世代へ生まれ変わってくれることを、個人的にも希望して止まない。

フォスター全体の今年のテーマは「薄型、軽量化」だったので、ピュアオーディオに直結するものではなかったかもしれないが、それでも「薄型で高級、ハイファイ」を狙った壁掛けスピーカーは素晴らしい作りで、早くどこかの社からこのコンセプトが具体化しないかと思わせるものがある。

■京セラケミカル ハニカム振動板

京セラケミカルがNXT用に振動板を開発した

アラミドハニカム材にフェノール樹脂

10年ほど前に華々しく登場、ハイファイスピーカーの姿を変えるかとも期待された新しい動作方式の平面型、NXTスピーカーは、受け入れられるまでに多くの苦労を重ねているようだが、問題の多くは振動板の剛性が満足するまでに至らないことではないかと思っていた。そんなところへもってきて、このたび京セラケミカルがNXT用に振動板を開発、発表した。アラミドハニカム材にフェノール樹脂を含浸し、ガラス基材のシートを張りつけた平面振動板である。

NXTは指向性が極めて広く、また平面振動板の割に壁からの距離もほとんど必要ないので、例えばリアプロの表面パネルをそのままスピーカーにするとか、さらにはプロジェクターのスクリーンをフロント3ch分のスピーカーにする、などといったことも可能になる。もちろんリアSPも際立った省スペース化が実現する。これはホームシアターの一大革命といっていいだろう。

■高性能スピーカーと高性能磁石

ランタン・コバルト系フェライト磁石

高性能スピーカーの開発に欠かせないのが高性能磁石だ。今回の会場では、独自製法により磁性を大幅にアップさせたネオジウム磁石や、数年前に自作用のSPユニットに採用されて話題を呼んだランタン・コバルト系フェライト磁石の新世代製品が展示されていた。これらはハイブリッド自動車などの開発に伴って技術革新が進んでいるようである。オーディオ界にもどんどんフィードバックされてくれればよいのだが。

■新世代への飛躍を模索するデジタルアンプ

サンヨーが出品したデジタルアンプ基板

デジタルアンプの基幹技術は既に一通りの開発が終了し、新世代へ向けて模索中、といったところなのであろう。そんな中で、サンヨーがB&OのICEパワー・モジュールに自社開発のチップを組み合わせた基板を展示していたのが目を引いた。この基板は既に他社へ供給開始、それもミニコンポ用というから驚く。ほんのわずか前まで高級機の代名詞だったICEパワーがもうこれだけ普及するのは、デジタルならではといえるだろう。

(オーディオ評論家・炭山アキラ)

ceatec2005

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