[CEATEC2005:パネルディスカッション] Blu-ray Discが実現する素晴らしき世界
CEATEC JAPAN 2005開催2日目のセッションでもっとも人気を集めていたのがBDAのパネルディスカッションだ。全体の流れを紹介していこう。
パネルディスカッションに参加したのは、ソニー(株)コーポレート・エグゼクティブSVPである西谷清氏、20世紀フォックスホームエンターテイメント ビジネス&テクノロジー ストラテジー部門シニアバイスプレジデントのローイ・キャネル氏、松下電器産業(株)パナソニックAVCネットワークス社蓄積デバイス事業・アライアンス推進室室長 小塚雅之氏。特別ベストとしてAV評論家の麻倉怜士氏も加わった。
パネルセッションの開始に先立って、ソニーの西谷氏からブルーレイディスクについての解説が行われた。また、現在のBDA参加企業は148社と発表された。
●BD-ROMは年内に確定して来年から機器が登場
セッションは麻倉怜士氏の司会により進められた。最初に取り上げられたBD-REではテレビ番組を録画するエアチェックの話題から始まった。麻倉氏は、BSデジタル、WOWOWなどの画質が良いことに加えて、内容も良い作品が多いものが増えていると指摘。これら放送との巡り会いは一期一会であると述べた。
エアチェックにおけるブルーレイの強みについては、「最大の利点は録画したものと放送がまったく変わらない」(ソニー、西谷氏)、「作者がどういう画像を見せたいかを忠実に出せる」(20世紀フォックス、ローイ氏)、「番組を長時間残せて、画質が良い」(松下電器産業、小塚氏)と口々にメリットを挙げた。
2番目に、ハードディスクの存在が取り上げられた。麻倉氏は現在はハードディスクを内蔵したブルーレイレコーダーが1機種しかなく、容量が小さいため良い番組ばかり録画しているとどんどん容量が増えてしまい保存していくのが難しいと語る。そして正常なハードディスク環境とは、タイムリーに保存できるブルーレイドライブを搭載したハードディスクレコーダーが欲しいと製品への希望を展開。これには「年内にはROMの規格が決まるので来年には発売する」(松下電器産業、小塚氏)とコメントを受けていた。
続いて、今年に入り自分でハイビジョン映像を録画する製品が登場してきたと新しいハイビジョンの流れに触れた。麻倉氏の「8cmブルーレイを採用した製品は発売されないのか」という質問には、「カメラで撮影するからには高画質のまま編集できる必要がある。ソニーとしては、それに対応する製品も計画している」(ソニー、西谷氏)、「ハイビジョンはBDでカムコーダも録画もすべて一つのメディアで行え使いやすくなる」(松下電器産業、小塚氏)と前向きな答えを聞くことができた。
●コピーワンスは自由度を高める考えで一致
次に取り上げたのはコピーワンスだ。まずコピーワンスが問題になる理由として
1.ハイビジョン番組があまりに素晴らしい
2.パッケージメディアが壊れたら、永遠に見られない
3.粗悪な色素ディスクからコンテンツが消える
4.将来互換性の問題整理
5.コンピテーションが無理
6.ハードディスクから低いフォーマットにダビングするとハイビジョンが消える
7.犯罪予備者扱い
以上の7点を挙げた。
これらに対してソニーの西谷氏は「きちんとコントロールされれば個人の利便性にかなったやり方がある」とコメントした上で、最新のスゴ録でPSP連携させる方法で用いられている、コピーを予め2つ作っておく方法を紹介した。
20世紀フォックスのローイ氏は「アナログ時代で得られたことが、デジタルに変わって権利が剥奪されることは考えていない」「個人が楽しむことに対する規制は特に考えていない」と述べた上で、海賊版の販売やネットでの流出などを止めたいと語った。
松下電器産業の小塚氏は、モバイル転送など解像度が極端に落ちる転送の例を挙げ「もっとフェアユースを促進するような形でできるとありがたい」と述べ、口々にある程度の自由を認めたいという立場を見せた。
●BD-ROMは画質、音質ともに最高のものとなる
短時間のフルハイビジョン映像上映を挟んだ後半のトークでは、ハイビジョンシアターではBD-R、BD-RE、BD-ROMが主役になると述べた。今年12月には策定されると言われているBD-ROMの規格策定について「フォーマットは既にできており現在では最後の検証を行っている」(松下電器産業、小塚氏)と述べ、DVDの際の互換性問題を教訓に詳しく検証を行っているとのことだ。
BD-ROMにおけるブルーレイのポイントについては、「口で言うより百聞は一見にしかずだが、音質と画質」(ソニー、西谷氏)とVHSからDVDへの移行の際にクオリティが後押しした例に挙げて紹介した。
また、容量が画質に大きな影響を与えているという話題では「映像はもちろん、音声も忠実に音を出そうとすると容量を食ってしまう」(20世紀フォックス、ローイ氏)と、大容量をブルーレイ支持の理由として挙げた。
松下電器産業の小塚氏は「これが最後のディスクだと思っている。映画館の環境を実現できるくらいのキャパを持たせたい」と述べ、ハリウッドの研究室でスタジオのプロが見ても無劣化に見えるような程度まで追い込んでいるという。また同社の推進するMPEG4-AVCはMPEG2の1/3の容量で同程度の高画質を出せるため、空いた容量で音も最高にできるよう、最高のエンコーダーを作っていると画質と音質へのこだわりを語った。
続いてセッションではブルーレイでの圧倒的な音質の向上が、映画にも活かされるという意見で一致した。
●アプリケーション機能はネットにも対応
ブルーレイのアプリケーション機能については、松下電器産業の小塚氏から説明が行われた。
ブルーレイに採用されたJAVAは、既に広く普及しているため開発がしやすいことに加えて、ゲームなど自由度の高いプログラムの作成が可能になるという。またネットとの親和性とセキュリティの高さ、ウィルス対策もJAVAを選んだ一つの理由だという。また、ネット対応機能はコンテンツをダウンロードしての視聴も可能となるため、新たなるビジネスモデルに繋がる可能性もあると述べた。
これらの例として「2年前に見た映像の特典映像をネットからダウンロードできるような仕組みもできる」(ソニー、西谷氏)と述べ、クリエイターが最大に才能を発揮できる無限の可能性を秘めていると語った。
●アナログハイビジョン出力の解像度制限には否定的
コピープロテクトについての話題では、松下電器産業の小塚氏から詳しい説明が行われた。ブルーレイでは、AACSに加えてパソコンのウィルス対策ソフトのように怪しげな動作をするプログラムに対して自動的に撃退するような仕組みが組み込まれているという。
D端子のアナログハイビジョン出力問題については、「ハイビジョンのテレビでは時限があるかもしれないがアナログでも見られるよう働きかけている」(松下電器産業、小塚氏)、「アナログ出力の解像度を落とす対応は考えていない」(20世紀フォックス、ローイ氏)、「最高の画質と最高の音質を楽しんでもらいたいのは我々の目指すところ。ローイ氏のお話は心強い」(ソニー、西谷氏)と制限をかけない方向で一致した。
最後にセッション終わりの言葉から一言を引用して終わりとしよう。
「ハイビジョンワールドを作り、パッケージメディアだけではない新しい映像文化を作る。自分で撮る、放送を録る、それを編集したり楽しみを共有できる環境を作る。ブルーレイディスクを通じて、5年後、10年後の夢を抱いている」(ソニー、西谷氏)
「パッケージメディアでは、配信できないプラスアルファの所を十分に作ってチャレンジしていきたい」(20世紀フォックス、ローイ氏)
「中途半端ではなく本当のキレイな絵を出したい。そのためにブルーレイは録画も含めて必要。ブルーレイは我々のHD戦略でもキーパーツとなる」(松下電器産業、小塚氏)
(折原一也)
ceatec2005
パネルディスカッションに参加したのは、ソニー(株)コーポレート・エグゼクティブSVPである西谷清氏、20世紀フォックスホームエンターテイメント ビジネス&テクノロジー ストラテジー部門シニアバイスプレジデントのローイ・キャネル氏、松下電器産業(株)パナソニックAVCネットワークス社蓄積デバイス事業・アライアンス推進室室長 小塚雅之氏。特別ベストとしてAV評論家の麻倉怜士氏も加わった。
パネルセッションの開始に先立って、ソニーの西谷氏からブルーレイディスクについての解説が行われた。また、現在のBDA参加企業は148社と発表された。
●BD-ROMは年内に確定して来年から機器が登場
セッションは麻倉怜士氏の司会により進められた。最初に取り上げられたBD-REではテレビ番組を録画するエアチェックの話題から始まった。麻倉氏は、BSデジタル、WOWOWなどの画質が良いことに加えて、内容も良い作品が多いものが増えていると指摘。これら放送との巡り会いは一期一会であると述べた。
エアチェックにおけるブルーレイの強みについては、「最大の利点は録画したものと放送がまったく変わらない」(ソニー、西谷氏)、「作者がどういう画像を見せたいかを忠実に出せる」(20世紀フォックス、ローイ氏)、「番組を長時間残せて、画質が良い」(松下電器産業、小塚氏)と口々にメリットを挙げた。
2番目に、ハードディスクの存在が取り上げられた。麻倉氏は現在はハードディスクを内蔵したブルーレイレコーダーが1機種しかなく、容量が小さいため良い番組ばかり録画しているとどんどん容量が増えてしまい保存していくのが難しいと語る。そして正常なハードディスク環境とは、タイムリーに保存できるブルーレイドライブを搭載したハードディスクレコーダーが欲しいと製品への希望を展開。これには「年内にはROMの規格が決まるので来年には発売する」(松下電器産業、小塚氏)とコメントを受けていた。
続いて、今年に入り自分でハイビジョン映像を録画する製品が登場してきたと新しいハイビジョンの流れに触れた。麻倉氏の「8cmブルーレイを採用した製品は発売されないのか」という質問には、「カメラで撮影するからには高画質のまま編集できる必要がある。ソニーとしては、それに対応する製品も計画している」(ソニー、西谷氏)、「ハイビジョンはBDでカムコーダも録画もすべて一つのメディアで行え使いやすくなる」(松下電器産業、小塚氏)と前向きな答えを聞くことができた。
●コピーワンスは自由度を高める考えで一致
次に取り上げたのはコピーワンスだ。まずコピーワンスが問題になる理由として
1.ハイビジョン番組があまりに素晴らしい
2.パッケージメディアが壊れたら、永遠に見られない
3.粗悪な色素ディスクからコンテンツが消える
4.将来互換性の問題整理
5.コンピテーションが無理
6.ハードディスクから低いフォーマットにダビングするとハイビジョンが消える
7.犯罪予備者扱い
以上の7点を挙げた。
これらに対してソニーの西谷氏は「きちんとコントロールされれば個人の利便性にかなったやり方がある」とコメントした上で、最新のスゴ録でPSP連携させる方法で用いられている、コピーを予め2つ作っておく方法を紹介した。
20世紀フォックスのローイ氏は「アナログ時代で得られたことが、デジタルに変わって権利が剥奪されることは考えていない」「個人が楽しむことに対する規制は特に考えていない」と述べた上で、海賊版の販売やネットでの流出などを止めたいと語った。
松下電器産業の小塚氏は、モバイル転送など解像度が極端に落ちる転送の例を挙げ「もっとフェアユースを促進するような形でできるとありがたい」と述べ、口々にある程度の自由を認めたいという立場を見せた。
●BD-ROMは画質、音質ともに最高のものとなる
短時間のフルハイビジョン映像上映を挟んだ後半のトークでは、ハイビジョンシアターではBD-R、BD-RE、BD-ROMが主役になると述べた。今年12月には策定されると言われているBD-ROMの規格策定について「フォーマットは既にできており現在では最後の検証を行っている」(松下電器産業、小塚氏)と述べ、DVDの際の互換性問題を教訓に詳しく検証を行っているとのことだ。
BD-ROMにおけるブルーレイのポイントについては、「口で言うより百聞は一見にしかずだが、音質と画質」(ソニー、西谷氏)とVHSからDVDへの移行の際にクオリティが後押しした例に挙げて紹介した。
また、容量が画質に大きな影響を与えているという話題では「映像はもちろん、音声も忠実に音を出そうとすると容量を食ってしまう」(20世紀フォックス、ローイ氏)と、大容量をブルーレイ支持の理由として挙げた。
松下電器産業の小塚氏は「これが最後のディスクだと思っている。映画館の環境を実現できるくらいのキャパを持たせたい」と述べ、ハリウッドの研究室でスタジオのプロが見ても無劣化に見えるような程度まで追い込んでいるという。また同社の推進するMPEG4-AVCはMPEG2の1/3の容量で同程度の高画質を出せるため、空いた容量で音も最高にできるよう、最高のエンコーダーを作っていると画質と音質へのこだわりを語った。
続いてセッションではブルーレイでの圧倒的な音質の向上が、映画にも活かされるという意見で一致した。
●アプリケーション機能はネットにも対応
ブルーレイのアプリケーション機能については、松下電器産業の小塚氏から説明が行われた。
ブルーレイに採用されたJAVAは、既に広く普及しているため開発がしやすいことに加えて、ゲームなど自由度の高いプログラムの作成が可能になるという。またネットとの親和性とセキュリティの高さ、ウィルス対策もJAVAを選んだ一つの理由だという。また、ネット対応機能はコンテンツをダウンロードしての視聴も可能となるため、新たなるビジネスモデルに繋がる可能性もあると述べた。
これらの例として「2年前に見た映像の特典映像をネットからダウンロードできるような仕組みもできる」(ソニー、西谷氏)と述べ、クリエイターが最大に才能を発揮できる無限の可能性を秘めていると語った。
●アナログハイビジョン出力の解像度制限には否定的
コピープロテクトについての話題では、松下電器産業の小塚氏から詳しい説明が行われた。ブルーレイでは、AACSに加えてパソコンのウィルス対策ソフトのように怪しげな動作をするプログラムに対して自動的に撃退するような仕組みが組み込まれているという。
D端子のアナログハイビジョン出力問題については、「ハイビジョンのテレビでは時限があるかもしれないがアナログでも見られるよう働きかけている」(松下電器産業、小塚氏)、「アナログ出力の解像度を落とす対応は考えていない」(20世紀フォックス、ローイ氏)、「最高の画質と最高の音質を楽しんでもらいたいのは我々の目指すところ。ローイ氏のお話は心強い」(ソニー、西谷氏)と制限をかけない方向で一致した。
最後にセッション終わりの言葉から一言を引用して終わりとしよう。
「ハイビジョンワールドを作り、パッケージメディアだけではない新しい映像文化を作る。自分で撮る、放送を録る、それを編集したり楽しみを共有できる環境を作る。ブルーレイディスクを通じて、5年後、10年後の夢を抱いている」(ソニー、西谷氏)
「パッケージメディアでは、配信できないプラスアルファの所を十分に作ってチャレンジしていきたい」(20世紀フォックス、ローイ氏)
「中途半端ではなく本当のキレイな絵を出したい。そのためにブルーレイは録画も含めて必要。ブルーレイは我々のHD戦略でもキーパーツとなる」(松下電器産業、小塚氏)
(折原一也)
ceatec2005