NHK技研、75周年記念イベントを前にスーパーハイビジョン生中継実験を実施
NHK放送技術研究所(NHK技研)は、75周年記念イベントを明日11月3日(木・祝)に開催する。同イベントでは、スーパーハイビジョンシアターの上映や、放送技術の体験、最新の放送技術の展示などが行われる。本日行われた報道関係者向けのプレスプレビューでは、世界初のスーパーハイビジョン生中継実験が行われた。
本実験は、鴨川シーワールド(千葉県)で撮影したスーパーハイビジョン映像を、約260km離れたNHK技研(東京・世田谷)に非圧縮で伝送し生中継を行うというもの。解像度7680×4320ドットの大容量のデータ伝送には、複数の通信会社の光ファイバーを繋いだ光伝送路を用いている。
鴨川シーワールドには2台のカメラと複数のマイクを用意。NHK技研では映像記録装置を合わせた計3種類の映像をリアルタイムで切り替えを行うとともに、22.2chの立体音響による音場再生を成功させた。また、シーワールド側のアナウンサーとNHK技研側のアナウンサーの会話のやりとりもスムーズに行われ、生中継で懸念される遅延性の低さも証明した。
今回の実験では、収録した音声/映像を16波のHD-SDI信号に分けて波長の異なる16の光信号として多重伝送するDWDM方式を用いることにより、1本の光ファイバーで伝送することが可能となった。HD-SDI信号は1波あたり1.485Gbpsの伝送が可能。16波で約24Gbpsの伝送を実現している。伝送路には、丸山、木更津、白井、新宿の計4箇所の中継路を用意。各中継所に光増幅器を設置することで、約260kmの伝送を実現した。
NHK技研は、一般家庭でのスーパーハイビジョンの放送開始目標を20年後とし、その実現に向け研究・開発を進めている。実験の説明員は世界初の同実験について、「遠くの映像をリアルタイムで映し出すことが可能となり、スーパーハイビジョンがようやく『テレビ』の仲間入りを果たした。16波同時、非圧縮の伝送を実現したことに大きな意味がある」と語った。音声伝送では32本の回線を同時に伝送でき、マイク1本1本の音を送れるようになったことが大きな成果であるとした。またしかし、撮影現場では十分な3次元のマイクセッティングが難しいことや、立体音響を確認できるモニター環境がスタジオにないなどの問題点を挙げ、今後の課題であると説明した。スーパーハイビジョンの実用化に関しては「圧縮技術の開発が進めば数百Mbpsの転送速度で実現できるのではないか。衛星放送の場合、21GHz帯を利用した伝送方法が考えられる」と説明した。
あす開催される75周年イベントでは、450インチの大画面で鴨川シーワールドからの中継番組(収録)を上映するほか、愛知万博スーパーハイビジョンシアター上映番組も見ることができる(要招待券)。また、本年5月に同所で行われた「NHK技研 公開展示」で見ることのできた最新の放送技術の展示も行われる。さらに放送技術の体験コーナーも用意しており、音声を自動認識して字幕化する技術や、「超スローモーションカメラ」を使ってゴルフ・バッティングの瞬間を撮影する体験などを用意している。会場入り口では「75年の歩み」と題した展示を行っており、これまでの研究成果を年表と当時の機材で紹介している。
(Phile-web編集部)
本実験は、鴨川シーワールド(千葉県)で撮影したスーパーハイビジョン映像を、約260km離れたNHK技研(東京・世田谷)に非圧縮で伝送し生中継を行うというもの。解像度7680×4320ドットの大容量のデータ伝送には、複数の通信会社の光ファイバーを繋いだ光伝送路を用いている。
鴨川シーワールドには2台のカメラと複数のマイクを用意。NHK技研では映像記録装置を合わせた計3種類の映像をリアルタイムで切り替えを行うとともに、22.2chの立体音響による音場再生を成功させた。また、シーワールド側のアナウンサーとNHK技研側のアナウンサーの会話のやりとりもスムーズに行われ、生中継で懸念される遅延性の低さも証明した。
今回の実験では、収録した音声/映像を16波のHD-SDI信号に分けて波長の異なる16の光信号として多重伝送するDWDM方式を用いることにより、1本の光ファイバーで伝送することが可能となった。HD-SDI信号は1波あたり1.485Gbpsの伝送が可能。16波で約24Gbpsの伝送を実現している。伝送路には、丸山、木更津、白井、新宿の計4箇所の中継路を用意。各中継所に光増幅器を設置することで、約260kmの伝送を実現した。
NHK技研は、一般家庭でのスーパーハイビジョンの放送開始目標を20年後とし、その実現に向け研究・開発を進めている。実験の説明員は世界初の同実験について、「遠くの映像をリアルタイムで映し出すことが可能となり、スーパーハイビジョンがようやく『テレビ』の仲間入りを果たした。16波同時、非圧縮の伝送を実現したことに大きな意味がある」と語った。音声伝送では32本の回線を同時に伝送でき、マイク1本1本の音を送れるようになったことが大きな成果であるとした。またしかし、撮影現場では十分な3次元のマイクセッティングが難しいことや、立体音響を確認できるモニター環境がスタジオにないなどの問題点を挙げ、今後の課題であると説明した。スーパーハイビジョンの実用化に関しては「圧縮技術の開発が進めば数百Mbpsの転送速度で実現できるのではないか。衛星放送の場合、21GHz帯を利用した伝送方法が考えられる」と説明した。
あす開催される75周年イベントでは、450インチの大画面で鴨川シーワールドからの中継番組(収録)を上映するほか、愛知万博スーパーハイビジョンシアター上映番組も見ることができる(要招待券)。また、本年5月に同所で行われた「NHK技研 公開展示」で見ることのできた最新の放送技術の展示も行われる。さらに放送技術の体験コーナーも用意しており、音声を自動認識して字幕化する技術や、「超スローモーションカメラ」を使ってゴルフ・バッティングの瞬間を撮影する体験などを用意している。会場入り口では「75年の歩み」と題した展示を行っており、これまでの研究成果を年表と当時の機材で紹介している。
(Phile-web編集部)