話題のソフトを“Wooo”で観る − 第2回『アンダーワールド2 エボリューション』
この連載「話題のソフトを“Wooo”で観る」では、AV評論家・大橋伸太郎氏が旬のソフトの見どころや内容をご紹介するとともに、“Wooo”薄型テレビで視聴した際の映像調整のコツなどについてもお伝えします。DVDソフトに限らず、放送や次世代光ディスクなど、様々なコンテンツをご紹介していく予定です。第2回は『アンダーワールド2 エボリューション』をお届けします。
古典と現代性、エロティシズムとアクションを巧みにハイブリッド
映画の創成期から現代までヴァンパイア(吸血鬼)を描いた映画はコンスタントに作り続けられている。近年では1994年公開のニ―ル・ジョーダン監督の『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』が、主演コンビと子役クリスティーン・ダンストの名演で印象深い。一見古めかしいヴァンパイア映画というジャンルは伝説の吸血鬼同様、切っても切っても「死なない」らしい。ヴァンパイアというロマネスクが「血と肉と霊の宗教」であるキリスト教の精神風土と密接な関係があることはいうまでもない。中国の怪異小説集『聊斎志異』や日本の怪談を見渡しても、吸血鬼は筆者の知る限り登場しない。しかし、映画となると国境や文化を超えて人気があるようだ。
前作『アンダーワールド』は2003年に公開され、日本でもヒットした作品である。それはなぜだろうか。思うに、吸血鬼が人間の作り出したモンスターの中で最もセクシャルな本質を持っているからである。性行為とは即物的にみれば「体液の交換」である。また、生者の血液を啜って不死の生命を養い同類を増やす吸血鬼には、生れ落ちると同時に非連続的な個に変わる人間一般の「連続性」回復への渇望が込められていて、これもセックスと深い関わりがある。誰だって一夜だけ吸血鬼になってみたいと思うのではないか。性という人間にとって普遍的なダークサイドがある限り、トランシルバニアの山奥でなくたって世界中のどこでも(ファイル・ウェブ編集部のある秋葉原でも)吸血鬼は棲息していける。だから映画も不滅なのである。
ただし、現代の観客にアピールする映画のスタイルを備えていなければヒットしない。『アンダーワールド』『アンダーワールド2 エボリューション』は、ヴァンパイア映画の本質的な魅力を備えた、スタイリッシュで現代的なヴァイオレンスアクション映画である。古典と現代性、エロティシズムとアクション、クールとホットが巧みにハイブリッドされてシリーズを成功に導いたのである(注1)。
どんな志の高い作品にも負けない「映画らしさ」がある
『アンダーワールド2 エボリューション』の監督・原案・製作者のレン・ワイズマンは、「前作では(作品世界の)一部分を映画化しただけ。クランクアップしてすぐに2作目、3作目の内容についてプランを立てた。」と語っている。実際、第一作を未見の方は『エボリューション』の展開に戸惑うだろうから、ストーリーについてざっと紹介しておこう。
舞台は現代のヨーロッパ、人間のうかがい知れない闇の世界(アンダーワールド)で吸血鬼の種族とライカン(狼男族)の種族は13世紀以来果てしない抗争を続けていた。美貌のヴァンパイアにして処刑人セリーン(ケイト・ベッキンセール)は、ライカンの最近の不穏な動きを追ううちに、両種族の特徴を併せ持つ遺伝子が人間の血筋に受け継がれていることを知る。
その末代が若い医師マイケル(スコット・スピードマン)で、両陣営の間で争奪戦が開始されるが、攻防のさなかにセリーンは自分が孤児となり吸血鬼に保護された数百年前の事件の真実を知り長老の一人ビクターを殺害、マイケルと共に両陣営から追われる身となる。と、ここまでが前作のストーリー。『エボリューション』では、最強の長老吸血鬼マーカスが覚醒して弟である狼男ウィリアムを400年の幽閉から解放し両種族の支配者となることを企てるが、セリーンとマイケルが立ちふさがり、両種族の誕生の秘密が明らかなる。
先にハイブリッドという表現を使ったが、吸血鬼に対抗する勢力としてやはり性的シンボルのモンスターである狼男を劇中に加え両種族のバトルを盛り込むことで、SFXやアクションを拡大したわけである(注2)。
アクション仕立てのヴァンパイア映画の最初は『ブレード』だが、『アンダーワールド』はコミックを映画化した『ブレード』に比べずっとシックでスタイリッシュな出来である。主演女優ケイト・ベッキンセールの起用が成功したのである。ベッキンセールは『アンダーワールド』出演までアクション映画の出演経験がなかったが、ワイヤーアクションや格闘シーンのかなりの部分を自ら演じ、人間の女の心を残したセクシーで魅力的なアウトサイダーを演じきった。『アンダーワールド』のアクションシーンはすべてがスタントマンと俳優の演技を巧みにつないで撮影された実写で、その撮影のアイデアには感心させられる。
第1作、第2作を通じて披露されるセリーンの降下シーンは、実際のビルの屋上からワイヤーを付けたスタンドインが飛び降り、地上高5mの地点でベッキンセールに入れ替わるという離れ技である。『エボリューション』のセリーンとマイケルの乗ったトラックを有翼の吸血鬼マーカスが追跡するシーンでは、荷台からスタンドインを吊具で吊るしたトラックを実際に走行させ撮影している。こうした実写とアクションへの愚直なこだわりが『アンダーワールド』のスタイリッシュで引き締まったルックスを生み出したのである。
DVDソフト『アンダーワールド2 エボリューション コレクターズ・エディション』(8月23日発売/発売・販売:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/TSDD-38547/¥3,990)は、凄惨な場面やエロティックなシーンも多く、筆者はファミリーで一緒に楽しんでくださいとは到底言えないし、実際ウェルメイドな娯楽映画以上の物でもない。しかし、映画というものが俳優の肉体を限界まで使って表現を引き出す人間臭い芸術だとすれば、このシリーズにはどんな志の高い作品にも負けない「映画らしさ」がある。日本映画の『SHINOBI』の軽量ぶりとは大違いであるが、これは映画界の底力の差と言う外ない。ただ、『アンダーワールド2 エボリューション』は、前作のヒットを背景にスケールアップしているが、前作の説明に回った部分があることと、観客に受けたアクションを再現していることで、アクションそしてビジュアルから受ける印象の強さという点で第1作に及ばない部分もある。
レザースーツや髪の黒に塗れたような滑らかさがある
『アンダーワールド』第1作の映像のトーンは終始、ヴァンパイア映画にして荒廃した現代都市を感じさせる寒色系(ブルー)で一貫していたが、『アンダーワールド2 エボリューション』は、中世の再現シーンや修道院の室内を茶系の映像にして加え、作品の時空を視覚的に豊かに広げている。それでも基本のトーンは変わらず、ヴァンパイア映画ゆえデイライトのシーンは皆無、ほぼ全編、薄暮から夜、薄明に終始、あるいは室内の出来事を撮影後、ソフトウェアで寒色系にカラーコレクトしている。ダークな映像であってもコントラストはカリッと強調気味という難物。
日立の42型プラズマテレビ「W42P-HR9000」(製品データベース)で視聴して感心したのは、数年前のプラズマテレビではさぞかし厳しい映像だったろうが、W42P-HR9000が『アンダーワールド』の特徴ある映像美を損なわずに実になめらかに再現してみせたことだ。特に印象的なのは、暗部の黒味、ケイト・ベッキンセールのレザースーツや髪の黒に濡れたような滑らかさと艶があること。これは本作を見るなら基本中の基本である。とにかく、W42P-HR9000で見るケイト・ベッキンセールはきれいだ。
ハリウッド映画(本作は合作なので厳密にはそういえない)は女優を美しく見せることをどんなジャンルの映画も忘れない。吸血鬼に扮した他の俳優のクローズアップでは一転してザラッとした醜さや穢れを生々しく表出してみせる。これはW42P-HR9000のパネルの素性、解像力が優れていることを意味する。42型プラズマディスプレイとして唯一垂直画素1080のALISパネルの持ち味が発揮されたといっていい。サイズとパネル解像度のバランスもよく、DVDの再生に関して、フルハイビジョンの、より大画面のディスプレイより、はるかに緻密で力に満ちた映像が楽しめる。素性のいい製品はセットアップに手古摺らないことはオーディオもビジュアル機器も同様で、W42P-HR9000なら以下の画質調整で『アンダーワールド2 エボリューション』の全編を通して見ることが出来る。
映像モード:シネマティック
明るさ:-15
黒レベル:+3
色の濃さ:-22
色合い:+5
画質:-15
色温度:中
ディテール:黒補正,LTI,CTI,YNR,CNR 切
一箇所難所だったのは、セリーンとマイケルのラブシーンで、ケイト・ベッキンセールとスコット・スピードマンの肌の表現で階調が少し足りず、色むらが乗ってしまうことがある。これは現状のプラズマテレビでは如何ともし難い点かもしれない。W42P-HR9000には、RGBドライブとRGBカットオフの調整機能があり、前者は映像の明るい部分のRGB各色のゲインの調整、後者は暗い部分でのゲインの調整である。この機能を使って色むらを抑えてみた。下記が筆者の調整数値で多少は見やすくなったと思う。なお、『アンダーワールド2 エボリューション』はBD-ROMディスクとして北米で発売された。入手次第W42P-HR9000で改めて視聴してみようと思う。
Rドライブ:-5
Gドライブ:-15
Bドライブ:-2
Rカットオフ:-2
Gカットオフ:-2
Bカットオフ:0
(注1)ケイト・ベッキンセールは本作が『マトリックス』『ターミネーター』といった近年のアクションのテイストを巧みに取り入れた映画なのだと語っている。また、監督のレン・ワイズマンは本シリーズが最も影響を受けたのは『エイリアン』シリーズとも語っている。
(注2)この設定は2004年のやはりケイト・ベッキンセール出演の『ヴァン・ヘルシング』でも踏襲されている。
(大橋伸太郎)
大橋伸太郎 プロフィール
1956 年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。フジサンケイグループにて、美術書、児童書を企画編集後、(株)音元出版に入社、1990年『AV REVIEW』編集長、1998年には日本初にして現在も唯一の定期刊行ホームシアター専門誌『ホームシアターファイル』を刊行した。ホームシアターのオーソリティとして講演多数2006年に評論家に転身。趣味はウィーン、ミラノなど海外都市訪問をふくむコンサート鑑賞、アスレチックジム、ボルドーワイン。
バックナンバー
・第1回『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』
古典と現代性、エロティシズムとアクションを巧みにハイブリッド
映画の創成期から現代までヴァンパイア(吸血鬼)を描いた映画はコンスタントに作り続けられている。近年では1994年公開のニ―ル・ジョーダン監督の『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』が、主演コンビと子役クリスティーン・ダンストの名演で印象深い。一見古めかしいヴァンパイア映画というジャンルは伝説の吸血鬼同様、切っても切っても「死なない」らしい。ヴァンパイアというロマネスクが「血と肉と霊の宗教」であるキリスト教の精神風土と密接な関係があることはいうまでもない。中国の怪異小説集『聊斎志異』や日本の怪談を見渡しても、吸血鬼は筆者の知る限り登場しない。しかし、映画となると国境や文化を超えて人気があるようだ。
前作『アンダーワールド』は2003年に公開され、日本でもヒットした作品である。それはなぜだろうか。思うに、吸血鬼が人間の作り出したモンスターの中で最もセクシャルな本質を持っているからである。性行為とは即物的にみれば「体液の交換」である。また、生者の血液を啜って不死の生命を養い同類を増やす吸血鬼には、生れ落ちると同時に非連続的な個に変わる人間一般の「連続性」回復への渇望が込められていて、これもセックスと深い関わりがある。誰だって一夜だけ吸血鬼になってみたいと思うのではないか。性という人間にとって普遍的なダークサイドがある限り、トランシルバニアの山奥でなくたって世界中のどこでも(ファイル・ウェブ編集部のある秋葉原でも)吸血鬼は棲息していける。だから映画も不滅なのである。
ただし、現代の観客にアピールする映画のスタイルを備えていなければヒットしない。『アンダーワールド』『アンダーワールド2 エボリューション』は、ヴァンパイア映画の本質的な魅力を備えた、スタイリッシュで現代的なヴァイオレンスアクション映画である。古典と現代性、エロティシズムとアクション、クールとホットが巧みにハイブリッドされてシリーズを成功に導いたのである(注1)。
どんな志の高い作品にも負けない「映画らしさ」がある
『アンダーワールド2 エボリューション』の監督・原案・製作者のレン・ワイズマンは、「前作では(作品世界の)一部分を映画化しただけ。クランクアップしてすぐに2作目、3作目の内容についてプランを立てた。」と語っている。実際、第一作を未見の方は『エボリューション』の展開に戸惑うだろうから、ストーリーについてざっと紹介しておこう。
舞台は現代のヨーロッパ、人間のうかがい知れない闇の世界(アンダーワールド)で吸血鬼の種族とライカン(狼男族)の種族は13世紀以来果てしない抗争を続けていた。美貌のヴァンパイアにして処刑人セリーン(ケイト・ベッキンセール)は、ライカンの最近の不穏な動きを追ううちに、両種族の特徴を併せ持つ遺伝子が人間の血筋に受け継がれていることを知る。
その末代が若い医師マイケル(スコット・スピードマン)で、両陣営の間で争奪戦が開始されるが、攻防のさなかにセリーンは自分が孤児となり吸血鬼に保護された数百年前の事件の真実を知り長老の一人ビクターを殺害、マイケルと共に両陣営から追われる身となる。と、ここまでが前作のストーリー。『エボリューション』では、最強の長老吸血鬼マーカスが覚醒して弟である狼男ウィリアムを400年の幽閉から解放し両種族の支配者となることを企てるが、セリーンとマイケルが立ちふさがり、両種族の誕生の秘密が明らかなる。
先にハイブリッドという表現を使ったが、吸血鬼に対抗する勢力としてやはり性的シンボルのモンスターである狼男を劇中に加え両種族のバトルを盛り込むことで、SFXやアクションを拡大したわけである(注2)。
アクション仕立てのヴァンパイア映画の最初は『ブレード』だが、『アンダーワールド』はコミックを映画化した『ブレード』に比べずっとシックでスタイリッシュな出来である。主演女優ケイト・ベッキンセールの起用が成功したのである。ベッキンセールは『アンダーワールド』出演までアクション映画の出演経験がなかったが、ワイヤーアクションや格闘シーンのかなりの部分を自ら演じ、人間の女の心を残したセクシーで魅力的なアウトサイダーを演じきった。『アンダーワールド』のアクションシーンはすべてがスタントマンと俳優の演技を巧みにつないで撮影された実写で、その撮影のアイデアには感心させられる。
第1作、第2作を通じて披露されるセリーンの降下シーンは、実際のビルの屋上からワイヤーを付けたスタンドインが飛び降り、地上高5mの地点でベッキンセールに入れ替わるという離れ技である。『エボリューション』のセリーンとマイケルの乗ったトラックを有翼の吸血鬼マーカスが追跡するシーンでは、荷台からスタンドインを吊具で吊るしたトラックを実際に走行させ撮影している。こうした実写とアクションへの愚直なこだわりが『アンダーワールド』のスタイリッシュで引き締まったルックスを生み出したのである。
DVDソフト『アンダーワールド2 エボリューション コレクターズ・エディション』(8月23日発売/発売・販売:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/TSDD-38547/¥3,990)は、凄惨な場面やエロティックなシーンも多く、筆者はファミリーで一緒に楽しんでくださいとは到底言えないし、実際ウェルメイドな娯楽映画以上の物でもない。しかし、映画というものが俳優の肉体を限界まで使って表現を引き出す人間臭い芸術だとすれば、このシリーズにはどんな志の高い作品にも負けない「映画らしさ」がある。日本映画の『SHINOBI』の軽量ぶりとは大違いであるが、これは映画界の底力の差と言う外ない。ただ、『アンダーワールド2 エボリューション』は、前作のヒットを背景にスケールアップしているが、前作の説明に回った部分があることと、観客に受けたアクションを再現していることで、アクションそしてビジュアルから受ける印象の強さという点で第1作に及ばない部分もある。
レザースーツや髪の黒に塗れたような滑らかさがある
『アンダーワールド』第1作の映像のトーンは終始、ヴァンパイア映画にして荒廃した現代都市を感じさせる寒色系(ブルー)で一貫していたが、『アンダーワールド2 エボリューション』は、中世の再現シーンや修道院の室内を茶系の映像にして加え、作品の時空を視覚的に豊かに広げている。それでも基本のトーンは変わらず、ヴァンパイア映画ゆえデイライトのシーンは皆無、ほぼ全編、薄暮から夜、薄明に終始、あるいは室内の出来事を撮影後、ソフトウェアで寒色系にカラーコレクトしている。ダークな映像であってもコントラストはカリッと強調気味という難物。
日立の42型プラズマテレビ「W42P-HR9000」(製品データベース)で視聴して感心したのは、数年前のプラズマテレビではさぞかし厳しい映像だったろうが、W42P-HR9000が『アンダーワールド』の特徴ある映像美を損なわずに実になめらかに再現してみせたことだ。特に印象的なのは、暗部の黒味、ケイト・ベッキンセールのレザースーツや髪の黒に濡れたような滑らかさと艶があること。これは本作を見るなら基本中の基本である。とにかく、W42P-HR9000で見るケイト・ベッキンセールはきれいだ。
ハリウッド映画(本作は合作なので厳密にはそういえない)は女優を美しく見せることをどんなジャンルの映画も忘れない。吸血鬼に扮した他の俳優のクローズアップでは一転してザラッとした醜さや穢れを生々しく表出してみせる。これはW42P-HR9000のパネルの素性、解像力が優れていることを意味する。42型プラズマディスプレイとして唯一垂直画素1080のALISパネルの持ち味が発揮されたといっていい。サイズとパネル解像度のバランスもよく、DVDの再生に関して、フルハイビジョンの、より大画面のディスプレイより、はるかに緻密で力に満ちた映像が楽しめる。素性のいい製品はセットアップに手古摺らないことはオーディオもビジュアル機器も同様で、W42P-HR9000なら以下の画質調整で『アンダーワールド2 エボリューション』の全編を通して見ることが出来る。
映像モード:シネマティック
明るさ:-15
黒レベル:+3
色の濃さ:-22
色合い:+5
画質:-15
色温度:中
ディテール:黒補正,LTI,CTI,YNR,CNR 切
一箇所難所だったのは、セリーンとマイケルのラブシーンで、ケイト・ベッキンセールとスコット・スピードマンの肌の表現で階調が少し足りず、色むらが乗ってしまうことがある。これは現状のプラズマテレビでは如何ともし難い点かもしれない。W42P-HR9000には、RGBドライブとRGBカットオフの調整機能があり、前者は映像の明るい部分のRGB各色のゲインの調整、後者は暗い部分でのゲインの調整である。この機能を使って色むらを抑えてみた。下記が筆者の調整数値で多少は見やすくなったと思う。なお、『アンダーワールド2 エボリューション』はBD-ROMディスクとして北米で発売された。入手次第W42P-HR9000で改めて視聴してみようと思う。
Rドライブ:-5
Gドライブ:-15
Bドライブ:-2
Rカットオフ:-2
Gカットオフ:-2
Bカットオフ:0
(注1)ケイト・ベッキンセールは本作が『マトリックス』『ターミネーター』といった近年のアクションのテイストを巧みに取り入れた映画なのだと語っている。また、監督のレン・ワイズマンは本シリーズが最も影響を受けたのは『エイリアン』シリーズとも語っている。
(注2)この設定は2004年のやはりケイト・ベッキンセール出演の『ヴァン・ヘルシング』でも踏襲されている。
(大橋伸太郎)
大橋伸太郎 プロフィール
1956 年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。フジサンケイグループにて、美術書、児童書を企画編集後、(株)音元出版に入社、1990年『AV REVIEW』編集長、1998年には日本初にして現在も唯一の定期刊行ホームシアター専門誌『ホームシアターファイル』を刊行した。ホームシアターのオーソリティとして講演多数2006年に評論家に転身。趣味はウィーン、ミラノなど海外都市訪問をふくむコンサート鑑賞、アスレチックジム、ボルドーワイン。
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・第1回『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』