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加賀電子が自社ブランド「TAXAN」でプロジェクター事業参入へ - プラスのノウハウを継承

公開日 2006/11/21 18:42
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加賀電子(株)の生産子会社である加賀コンポーネント(株)は、プラスビジョンより2006年4月に継承したノウハウをベースに、独自ブランド「TAXAN」の新製品を2007年1月10日に発売し、プロジェクター事業に参入する。

今回同社より発売される製品「TAXAN U6シリーズ」は、B to Bでの展開を視野に入れたデータ用DLPプロジェクター。投写デバイスはDLP方式を採用する。同社がこれまでにPC用モニター製品でも展開してきた、オリジナルのブランド名である「TAXAN」の名前がプロジェクターにも冠される。

ラインナップは全3機種。「U6-232」が1,024×768ドットのXGAパネルを搭載する最上位機種となり、価格はオープンだが150,000円前後での販売が予想される。本機の他にも、デザインは共通としながらスペックが異なるXGAパネル搭載「U6-132」、SVGAパネル搭載「U6-112」が発売される。


TAXAN U6シリーズ

U6シリーズの背面端子部
U6-232は2,500ルーメンの輝度を実現するとともに、エコモード時で28dBの静音性が実現されている点が特徴。これらの機能のほかに、会議室等でのプレゼンテーション時にも使いやすいよう、本体サイズの軽量・コンパクト化や操作ボタンの大型化などが図られている。

本日、加賀電子は同社の新製品と、今後のプロジェクター事業戦略に関する記者説明会を開催した。

はじめに加賀電子(株)代表取締役社長の塚本勲氏が登壇し、同社の事業戦略について語った。


加賀電子(株)塚本勲氏
加賀電子は電子部品の製造・販売に始まり、クライアントの要望により電子部品キットの提供から製品開発までをサポートする企業として成長を続け、今年度で年商約2,800億、経常利益約85億円を達成する企業となった。塚本氏は「当社は、“開発からものづくり”までを一環してサポートのできる企業であり、総売上の約30%が製造にかかわる事業を展開している」と自社のビジネスを紹介した。

DLPをキーデバイスとしたフロントプロジェクターの事業については、「3年ほど前からプラスビジョンのプロジェクターについて、当社が製造を行うかたちで協業関係を築き上げてきた。同社からは昨年に事業の売却、継承を打診されたが、当社としてはこれを勝算ありとみて、今年4月に引き受けることとした」と塚本氏は説明する。


加賀電子はプラスからプロジェクター事業を継承し、独自ブランドTAXANでの商品展開を進める
自社ブランドの「TAXAN」について塚本氏は、「かねてよりPC用モニターのブランド名として展開してきた名前だ。今回プラスとの事業継承に関する合意の中には、当社が引き継いだ後もプラスのブランドを2年間使えることを条件として含めていたが、どうせならオリジナルの“TAXAN”の名前で、早期に事業を立ち上げ、全社一丸となって取り組みたいと考え、今回の新製品から採用することとした」とその経緯を振り返った。

今後のビジネス展開について触れた塚本氏は「これまで様々なメーカーのOEMを引き受けてきた成果を活かしながら、フロントプロジェクターはB to Bのフィールドである程度のシェアをとっていきたい。これまで同様、自社製の電子部品を投入し、生産は中国で行うことで、同業他社より製品を安く調達できる点が強み。あとはいかに良い商品を開発して、量で勝負がかけられるかがポイントになろう。狙う市場は、中国やインド、ロシアを中心に、全世界的に拡充していきたい」と意気込みを語った。

続いて新製品のコンセプトと概要について、加賀コンポーネント(株)専務取締役DMS事業部長の青木誠氏が登壇し、説明を行った。


加賀コンポーネント(株)青木誠氏
「現在B to Bのデータプロジェクター市場では2,000から2,500ルーメンの輝度がボリュームゾーンとなっているため、新製品U6-232では画面輝度とコストパフォーマンスをアピールしながら、まずはこのカテゴリーの製品で基礎を固めたい」と青木氏は語る。

今後のプロジェクター製品のビジネスについて、青木氏は「これまで展開してきたEDMS(Electronics Design and Manufacturing Service)事業の手法に乗っ取り、競争力の高い製品を開発するとともに、販路の拡大も狙っていきたい」としながら、来年秋には付加価値の高い製品ラインナップも展開していきたいと語った。今回発表された「TAXAN U6」シリーズの販売目標については、来年に約5万台が掲げられている。


日本テキサス・インスツルメンツ(株)ピーター・ヴァンケッセル氏
今回の記者説明会会場にはDLPデバイスを採用する「TAXAN」ブランド製品のテイク・オフを祝い、日本テキサス・インスツルメンツ(株)DLP事業部 事業部長のピーター・ヴァンケッセル氏が駆け付けた。

ヴァンケッセル氏は「かつてプラスとTIは信頼の置けるパートナーとして、深い関係を築き上げてきた。プラスが提案したマイクロポータブルという、プロジェクターのスタイルは時代に革新をもたらした。今回、同社のプロジェクター事業、加賀電子の持つ技術力と結びつき、新たな方向へ向かうことは、大変エキサイティングなことであると感じている。TIは今後も、加賀電子のプロジェクタービジネスを積極的にサポートしていきたい」とエールを贈った。

以下に本日の発表会で執り行われた質疑応答の模様を掲載する。

:U6シリーズのベーシックなスペックで、大きなシェアを望むのは大変なことだと思うが、今後はどんな製品をかたちにし、先行メーカーとどのように渡り合っていく考えなのか
:今回のモデルではコンパクトさを一番の売りにしている。U6シリーズでは、付加機能を敢えて外しているが、まずはコストの訴求力をつけてシェアを伸ばすことが有線目標だった。来年秋発売のモデルで付加価値商品を考えている

:プラスではLED光源のプロジェクターも開発されていたが、これも事業継承した後に加賀電子として続けていくのか
:当社でも現在検討している段階だ。実際に開発を進めていくに当たっては、プラスの技術をそのまま引き継ぐのではなく、当社で新しいものをつくりたい。一方で、現在のLEDが実用域に達しているかについても検証が必要なので、すぐに大々的な開発を進めるかどうかはわからない

:DLPのデータプロジェクターというと、BenQなど台湾系のメーカーに強力なライバルが存在するが、これらのメーカーとは今後どのような関係を築いていくのか
:海外での販路については、46カ国にある販売店をプラスから引き継ぐ予定だ。それぞれのエリアに合わせたビジネスモデルで展開していく。台湾系のメーカーとは一部競合、一部連携というかたちで発展していきたいと考えている


【問い合わせ先】
加賀電子(株)
TEL/03-4455-3111

(Phile-web編集部)

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