日立“Woooシリーズ”インタビュー − 最上位“XR01”の画質を鈴木桂水氏がチェック
(株)日立製作所の薄型テレビ“Woooシリーズ”の新モデルが、いよいよ4月20日より順次発売される。今回は製品の魅力について、商品企画を担当された尾関氏にうかがうとともに、最上位機種となる“XR01シリーズ”の画質をチェックした。
(インタビュー&製品レポート/鈴木桂水)
■HITACHIの最新“Woooシリーズ”はどこが進化したのか
━━それでは、今回の“Woooシリーズ”について、その特徴を教えていただけますか。
尾関氏:07年春夏の主力商品として、当社が投入する製品はプラズマと液晶を合わせて8種類になります。フルHDパネル搭載の“XRシリーズ”と、HDパネル搭載の“HRシリーズ”では、テレビ単体での録画機能を強化した点に注目していただきたいと思います。当社では従来からHDD内蔵の録画機能を搭載したWoooシリーズを発売していましたが、新たにカートリッジタイプのHDD「iVDR」に対応し、録画番組のアーカイブと、対応機器間での再生互換を実現しました。
━━iVポケットではどのようなことが可能になったのでしょうか。
尾関氏:iVポケットは、従来からカートリッジ式のHDDとして商品化されていた「iVDR」や、著作権保護技術SAFIAを追加した「iVDRーS」を挿入することができるスロットです。デジタル放送のコピーワンス番組をメディアに直接録画できるだけでなく、テレビの内蔵HDDに記録した番組をiVDRーSに何度でもムーブできるのがメリットです。iVポケットに使用するiVDR-Sには“ハードディスク アイヴィ”という愛称を付けていて、日立マクセル(株)からは80GBと160GBのメディアが発売されます。従来はテレビの内蔵型HDDに録画した番組を外部メディアに保存するのには手間がかかりましたが、ハードディスク アイヴィを追加購入することで、保存も簡単にできるようになりました。家族で使うなら、録画番組をそれぞれのHDDに記録して、整理するのも良いと思います。
尾関氏:iVポケットの魅力は他にもあります。“ハードディスク アイヴィ”に録画した番組は、今後発売が予定されるiVDR-S対応機器でも再生が可能になる見込みです。例えばビデオレコーダーやパソコンなどの対応機器でも再生ができるようになります。ハイビジョン放送をそのままの画質で記録できますので、対応機器が増えれば、より気軽にハイビジョン放送の美しい映像を色んな機器間でシームレスかつ手軽に楽しめます。今回は新製品の発売キャンペーンとして、ワーナー・ホーム・ビデオ様とタイアップし、新WoooシリーズのXR01/HR01シリーズを早期購入した方を対象に5,000名様に『The OC』など、話題のドラマを記録したiVDR-Sをプレゼントいたします(関連ニュース)。iVDR-Sは、このようにコンテンツを記録して販売やレンタルすることも可能です。また、例えば将来のビジネスイメージとしては、リムーバブルというメリット活かして、ショップに設置した販売端末にコンテンツをストックして、そこへユーザーが持ち込んだiVDR-Sにコンテンツを提供していくようなことも考えられると思います。
実際にテストをしたところ、放送中の番組を見ながらテレビのリモコンに配置された録画ボタンを押すだけで録画ができる。録画予約は電子番組表を見ながら気になる番組があれば、そのまま「決定」ボタンを押すだけという、この上ない手軽さで行える。予約時には録画先を内蔵HDD、またはiVポケットに挿入したiVDRのいずれかを選ぶこともできる。
録画番組の再生も簡単だ。リモコンの「録画番組」ボタンを押して、録画済み番組のリストからタイトルを選ぶだけで再生が始まる。レコーダーと同じような快適操作が実現できていると感じた。
■最上位モデル“XR01シリーズ”の画質をチェックした
本機の録画機能については、筆者が担当する連載「次世代AVナビ」にて、また別の機会に詳しくご紹介したいと考えている。今回は、新しいWoooの画質について、さらなる詳細を尾関氏に伺ってみた。
━━画質の点では、最新Woooシリーズの魅力となるのはどのような所なのでしょうか。
尾関氏:まず50V型のプラズマ「P50-XR01」では、フルHD表示が可能な「フルHD ALISパネル」を採用しました。このフルHD ALISパネルは宮崎事業所の新工場「三番館」で製造されている最新モデルなので、当社の最新高画質技術がつまっているのが特徴です。明るいリビングでも、ユーザーの方々により見やすく楽しんでいただくために、輝度は1,100cd/2まで明るくしました。コントラストは10,000対1もあるので暗いシーンの多い映画でも見やすく表示します。さらに照明光や外光による影響を軽減する「ファインブラックフィルター」を採用することで、パネルに飛び込んでくるリビングの照明などの影響を極限まで減らし、見やすい画面が実現されています。
尾関氏:液晶テレビは「L37-XR01」に広い視野角と高解像度を実現した、(株)IPSアルファテクノロジ製の「フルHD IPSαパネル」を搭載しました。従来の液晶パネルに比べてブレのない動画表示を実現した「倍速120コマ表示」機能を備え、スポーツなど動きの激しい映像でもスッキリと表示できるようになりました。それだけでなく映画など、秒間24コマのフィルム素材を表示したときに画面がカクカクする点を改善した「なめらかシネマ」機能も備えています。
今回は録画機能付Woooシリーズの最上位モデル「XR01シリーズ」の2機種を駆け足でチェックした。画質の解像感は明らかに高まっていると感じた。
何よりもiVポケットの扱いの良さに大きな期待感を感じた。現在、フルHDで番組録画をして保存しようとするなら、Blu-ray Disc(1層記録25GB、2層記録50GB)、もしくはHD DVD(1層記録15GB、2層記録30GB)しかない。どちらも一長一短があるが、新たにiVポケットという選択肢が増えたことは大いに歓迎できる。録画時間は80GBでBSハイビジョンを7時間、地デジハイビジョンを10時間録画、160GBではBSハイビジョンを15時間、地デジハイビジョンを20時間記録できる。メディア単体の価格を考えればこれから競争力を付けたいところだが、XCodeHD技術を活用したTSEモードでのハイビジョン長時間録画を使えば、可能な録画時間は2倍となり、かなり魅力的な記録メディアであると言える。TESモードの画質はほぼハイビジョン同等のクオリティを保っているので、おそらく目の肥えたユーザーの方々にとっても画質に不満を感じることはないだろう。
iVポケット自体の完成度は高いので、後はいかに早く、他のブランドからも多くの対応機器が発売されるかが、今後注目すべきポイントになるだろう。
鈴木桂水(Keisui Suzuki)
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、日経BP社デジタルARENAにて「使って元取れ! ケースイのAV機器<極限>酷使生活」、徳間書店「GoodsPress」など、AV機器を使いこなすコラムを執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら
(インタビュー&製品レポート/鈴木桂水)
■HITACHIの最新“Woooシリーズ”はどこが進化したのか
━━それでは、今回の“Woooシリーズ”について、その特徴を教えていただけますか。
尾関氏:07年春夏の主力商品として、当社が投入する製品はプラズマと液晶を合わせて8種類になります。フルHDパネル搭載の“XRシリーズ”と、HDパネル搭載の“HRシリーズ”では、テレビ単体での録画機能を強化した点に注目していただきたいと思います。当社では従来からHDD内蔵の録画機能を搭載したWoooシリーズを発売していましたが、新たにカートリッジタイプのHDD「iVDR」に対応し、録画番組のアーカイブと、対応機器間での再生互換を実現しました。
━━iVポケットではどのようなことが可能になったのでしょうか。
尾関氏:iVポケットは、従来からカートリッジ式のHDDとして商品化されていた「iVDR」や、著作権保護技術SAFIAを追加した「iVDRーS」を挿入することができるスロットです。デジタル放送のコピーワンス番組をメディアに直接録画できるだけでなく、テレビの内蔵HDDに記録した番組をiVDRーSに何度でもムーブできるのがメリットです。iVポケットに使用するiVDR-Sには“ハードディスク アイヴィ”という愛称を付けていて、日立マクセル(株)からは80GBと160GBのメディアが発売されます。従来はテレビの内蔵型HDDに録画した番組を外部メディアに保存するのには手間がかかりましたが、ハードディスク アイヴィを追加購入することで、保存も簡単にできるようになりました。家族で使うなら、録画番組をそれぞれのHDDに記録して、整理するのも良いと思います。
尾関氏:iVポケットの魅力は他にもあります。“ハードディスク アイヴィ”に録画した番組は、今後発売が予定されるiVDR-S対応機器でも再生が可能になる見込みです。例えばビデオレコーダーやパソコンなどの対応機器でも再生ができるようになります。ハイビジョン放送をそのままの画質で記録できますので、対応機器が増えれば、より気軽にハイビジョン放送の美しい映像を色んな機器間でシームレスかつ手軽に楽しめます。今回は新製品の発売キャンペーンとして、ワーナー・ホーム・ビデオ様とタイアップし、新WoooシリーズのXR01/HR01シリーズを早期購入した方を対象に5,000名様に『The OC』など、話題のドラマを記録したiVDR-Sをプレゼントいたします(関連ニュース)。iVDR-Sは、このようにコンテンツを記録して販売やレンタルすることも可能です。また、例えば将来のビジネスイメージとしては、リムーバブルというメリット活かして、ショップに設置した販売端末にコンテンツをストックして、そこへユーザーが持ち込んだiVDR-Sにコンテンツを提供していくようなことも考えられると思います。
実際にテストをしたところ、放送中の番組を見ながらテレビのリモコンに配置された録画ボタンを押すだけで録画ができる。録画予約は電子番組表を見ながら気になる番組があれば、そのまま「決定」ボタンを押すだけという、この上ない手軽さで行える。予約時には録画先を内蔵HDD、またはiVポケットに挿入したiVDRのいずれかを選ぶこともできる。
録画番組の再生も簡単だ。リモコンの「録画番組」ボタンを押して、録画済み番組のリストからタイトルを選ぶだけで再生が始まる。レコーダーと同じような快適操作が実現できていると感じた。
■最上位モデル“XR01シリーズ”の画質をチェックした
本機の録画機能については、筆者が担当する連載「次世代AVナビ」にて、また別の機会に詳しくご紹介したいと考えている。今回は、新しいWoooの画質について、さらなる詳細を尾関氏に伺ってみた。
━━画質の点では、最新Woooシリーズの魅力となるのはどのような所なのでしょうか。
尾関氏:まず50V型のプラズマ「P50-XR01」では、フルHD表示が可能な「フルHD ALISパネル」を採用しました。このフルHD ALISパネルは宮崎事業所の新工場「三番館」で製造されている最新モデルなので、当社の最新高画質技術がつまっているのが特徴です。明るいリビングでも、ユーザーの方々により見やすく楽しんでいただくために、輝度は1,100cd/2まで明るくしました。コントラストは10,000対1もあるので暗いシーンの多い映画でも見やすく表示します。さらに照明光や外光による影響を軽減する「ファインブラックフィルター」を採用することで、パネルに飛び込んでくるリビングの照明などの影響を極限まで減らし、見やすい画面が実現されています。
尾関氏:液晶テレビは「L37-XR01」に広い視野角と高解像度を実現した、(株)IPSアルファテクノロジ製の「フルHD IPSαパネル」を搭載しました。従来の液晶パネルに比べてブレのない動画表示を実現した「倍速120コマ表示」機能を備え、スポーツなど動きの激しい映像でもスッキリと表示できるようになりました。それだけでなく映画など、秒間24コマのフィルム素材を表示したときに画面がカクカクする点を改善した「なめらかシネマ」機能も備えています。
今回は録画機能付Woooシリーズの最上位モデル「XR01シリーズ」の2機種を駆け足でチェックした。画質の解像感は明らかに高まっていると感じた。
何よりもiVポケットの扱いの良さに大きな期待感を感じた。現在、フルHDで番組録画をして保存しようとするなら、Blu-ray Disc(1層記録25GB、2層記録50GB)、もしくはHD DVD(1層記録15GB、2層記録30GB)しかない。どちらも一長一短があるが、新たにiVポケットという選択肢が増えたことは大いに歓迎できる。録画時間は80GBでBSハイビジョンを7時間、地デジハイビジョンを10時間録画、160GBではBSハイビジョンを15時間、地デジハイビジョンを20時間記録できる。メディア単体の価格を考えればこれから競争力を付けたいところだが、XCodeHD技術を活用したTSEモードでのハイビジョン長時間録画を使えば、可能な録画時間は2倍となり、かなり魅力的な記録メディアであると言える。TESモードの画質はほぼハイビジョン同等のクオリティを保っているので、おそらく目の肥えたユーザーの方々にとっても画質に不満を感じることはないだろう。
iVポケット自体の完成度は高いので、後はいかに早く、他のブランドからも多くの対応機器が発売されるかが、今後注目すべきポイントになるだろう。
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、日経BP社デジタルARENAにて「使って元取れ! ケースイのAV機器<極限>酷使生活」、徳間書店「GoodsPress」など、AV機器を使いこなすコラムを執筆中。
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