1からわかるホームシアターづくり − 第5回:これからのシアターに必要なものとは
ホームシアターはいつまでもひとつの形を保ち続けるものでなく、一旦完成したあとも、ライフスタイルや嗜好の変化、機器の進化によってどんどんかたちを変えていくものだ。常に理想の環境を実現するためにも、ホームシアターをつくる際は今後の拡張性まで視野に入れておいたほうが良い。そこで第5回目となる今回は、これからのホームシアターで重要となってくる設備などについてみていこう。
■拡張性
マルチチャンネルサラウンドへの対応
Blu-rayやHD DVDなど次世代ディスクでは、ドルビーTrueHDやDTS-HDなど、7.1ch以上のサラウンドフォーマットが採用されている。こういったソースを楽しむためにも、マルチチャンネルサラウンドの再生への対応はしておいた方がよいだろう。具体的には、7.1chアナログ出力対応のAVアンプを購入することなどが挙げられる。
また、最近パイオニアやオンキヨーから発売されたHDMI ver.1.3a搭載のAVアンプは、ドルビーTrueHDなど次世代サラウンドフォーマットのデコードに対応している。これからのホームシアターの姿を大きく様変わりさせる製品と言えそうだ。
スピーカーを設置しておくことも欠かせない。スタンドを使用したオーソドックスな置き方に加え、埋め込む、家具などに入れ込んで隠蔽する…などなど、最適な設置方法を探ろう。
リビングシアターの場合、これからは「地デジに対応すること」が必須だ。ハイビジョン映像に加え、5.1chの音声にも対応している地上デジタル放送。その高品位なコンテンツをたっぷり楽しむためには、テレビを地デジ対応にするだけでなく、MPEG2 AACデコーダーを搭載したAVアンプ(今はほぼ全てのモデルが搭載している)を使用するなど、サラウンド音声の再生に対応できるシステムを組んでおく必要があるだろう。
また、埋め込みスピーカーを活用すれば、リビングでもスピーカーの置き場所を気にすることなく気軽にサラウンドを楽しむことができる。
家庭内LANの必要性
有線LANを各部屋に引いておくことも大切だろう。今後ホームシアター機器にとってスタンダードになっていくと考えられるホームネットワークのためのガイドライン「DLNA」というものがある。松下電器やソニー、マイクロソフトなど加盟各社の機器が互いに互換性を持ち、機器間のネットワークが可能になるというものだ。LAN経由で対応機器内のコンテンツを各部屋に配信することも可能。つまり家庭内LANの環境さえ整っていれば、リビングのレコーダーに録り貯めたコピーワンスのハイビジョン映像を寝室のテレビで観る、という楽しみ方も実現できるのだ。
無線LANでも家庭内ネットワークを構築することは可能だが、現在の規格(IEEE802.11aやIEEE802.11g)だとハイビジョン映像の伝送には帯域が足りない。300Mbpsまでの伝送が可能な「IEEE802.11n」も登場しているが、こちらの規格はまだドラフト版。今後の正式な策定が待たれるところだ。また、電力線を利用してネットワークを構築する「高速電力線通信(PLC)」は、伝送速度などの安定性にまだ不安が残るし、HomePlug、UPA、HD-PLCなど規格も乱立している。まだ過渡期にある方式だと言えるだろう。
家庭内LANは、ホームシアターの新しい楽しみ方や可能性を広げてくれる存在だ。家庭内LANを構築する場合、ハブやルーター、ケーブルなどをどう配置するかはとても大切な問題となってくる。特に新築の場合は、これらの配置をするためにさける自由度が高いため、施工の際はLANについて考慮に入れておくことをお薦めしたい。
トムテックの浅田氏も「これからは通信設備の設置もインストーラーの大事な役割になると考え、いろいろ勉強をしています」と語る。知識とノウハウを持つインストーラーに、気軽に相談してみよう。
■効果的なクオリティアップのために
ホームシアターの効果的なクオリティアップのためには、まず自分のシアタールームにどういう不満を持っていて、それをどうしたいのか、そしてその不満はどういう原因から発生しているのかを突き止めることが必要だ。使用している機器自体に原因がある場合もあるが、床や壁などシアタールームの環境に原因がある場合も少なくない。たとえば壁の吸音性が高すぎて音がくぐもったり、遮光や拡散光対策が不十分なため映像のコントラストが低下するなどといった現象がおこることもあるのだ。こういった場合は、接点のクリーニングや振動対策アクセサリーの導入など、簡単な作業で大きな効果があがることもある。
勿論インストーラーに相談するのも方法のひとつ。定期的に相談を持ちかけ、問題点を洗い出したり、改善策を練り上げたりしよう。
いよいよ最終回となる次回は、今までの内容をまとめ、ホームシアターづくりのいろいろを総覧してみよう。
(Phile-web編集部)
■拡張性
マルチチャンネルサラウンドへの対応
Blu-rayやHD DVDなど次世代ディスクでは、ドルビーTrueHDやDTS-HDなど、7.1ch以上のサラウンドフォーマットが採用されている。こういったソースを楽しむためにも、マルチチャンネルサラウンドの再生への対応はしておいた方がよいだろう。具体的には、7.1chアナログ出力対応のAVアンプを購入することなどが挙げられる。
また、最近パイオニアやオンキヨーから発売されたHDMI ver.1.3a搭載のAVアンプは、ドルビーTrueHDなど次世代サラウンドフォーマットのデコードに対応している。これからのホームシアターの姿を大きく様変わりさせる製品と言えそうだ。
スピーカーを設置しておくことも欠かせない。スタンドを使用したオーソドックスな置き方に加え、埋め込む、家具などに入れ込んで隠蔽する…などなど、最適な設置方法を探ろう。
リビングシアターの場合、これからは「地デジに対応すること」が必須だ。ハイビジョン映像に加え、5.1chの音声にも対応している地上デジタル放送。その高品位なコンテンツをたっぷり楽しむためには、テレビを地デジ対応にするだけでなく、MPEG2 AACデコーダーを搭載したAVアンプ(今はほぼ全てのモデルが搭載している)を使用するなど、サラウンド音声の再生に対応できるシステムを組んでおく必要があるだろう。
また、埋め込みスピーカーを活用すれば、リビングでもスピーカーの置き場所を気にすることなく気軽にサラウンドを楽しむことができる。
家庭内LANの必要性
有線LANを各部屋に引いておくことも大切だろう。今後ホームシアター機器にとってスタンダードになっていくと考えられるホームネットワークのためのガイドライン「DLNA」というものがある。松下電器やソニー、マイクロソフトなど加盟各社の機器が互いに互換性を持ち、機器間のネットワークが可能になるというものだ。LAN経由で対応機器内のコンテンツを各部屋に配信することも可能。つまり家庭内LANの環境さえ整っていれば、リビングのレコーダーに録り貯めたコピーワンスのハイビジョン映像を寝室のテレビで観る、という楽しみ方も実現できるのだ。
無線LANでも家庭内ネットワークを構築することは可能だが、現在の規格(IEEE802.11aやIEEE802.11g)だとハイビジョン映像の伝送には帯域が足りない。300Mbpsまでの伝送が可能な「IEEE802.11n」も登場しているが、こちらの規格はまだドラフト版。今後の正式な策定が待たれるところだ。また、電力線を利用してネットワークを構築する「高速電力線通信(PLC)」は、伝送速度などの安定性にまだ不安が残るし、HomePlug、UPA、HD-PLCなど規格も乱立している。まだ過渡期にある方式だと言えるだろう。
家庭内LANは、ホームシアターの新しい楽しみ方や可能性を広げてくれる存在だ。家庭内LANを構築する場合、ハブやルーター、ケーブルなどをどう配置するかはとても大切な問題となってくる。特に新築の場合は、これらの配置をするためにさける自由度が高いため、施工の際はLANについて考慮に入れておくことをお薦めしたい。
トムテックの浅田氏も「これからは通信設備の設置もインストーラーの大事な役割になると考え、いろいろ勉強をしています」と語る。知識とノウハウを持つインストーラーに、気軽に相談してみよう。
■効果的なクオリティアップのために
ホームシアターの効果的なクオリティアップのためには、まず自分のシアタールームにどういう不満を持っていて、それをどうしたいのか、そしてその不満はどういう原因から発生しているのかを突き止めることが必要だ。使用している機器自体に原因がある場合もあるが、床や壁などシアタールームの環境に原因がある場合も少なくない。たとえば壁の吸音性が高すぎて音がくぐもったり、遮光や拡散光対策が不十分なため映像のコントラストが低下するなどといった現象がおこることもあるのだ。こういった場合は、接点のクリーニングや振動対策アクセサリーの導入など、簡単な作業で大きな効果があがることもある。
勿論インストーラーに相談するのも方法のひとつ。定期的に相談を持ちかけ、問題点を洗い出したり、改善策を練り上げたりしよう。
いよいよ最終回となる次回は、今までの内容をまとめ、ホームシアターづくりのいろいろを総覧してみよう。
(Phile-web編集部)