「対等の精神で経営統合を」 − ビクター、ケンウッド、松下らトップが会見
既報の通り、(株)ケンウッドと日本ビクター(株)は、業務資本提携ならびに経営統合の検討を開始すると発表。本日、両社ならびに松下電器産業(株)、スパークス・グループ(株)の4社が共同で記者会見を行った。
会見には各社の代表が出席し、今回の提携についての各社の立場から説明を行った。
■日本ビクター 代表取締役社長 佐藤国彦氏
まず初めに登壇した佐藤氏は、「先ほど4社で調印を無事終了し、第三者割り当ての新株式をケンウッドならびにスパークス・グループに引き受けてもらえることになった」と報告。
「営業利益では2年連続、最終損益では3年連続の赤字を計上しているが、この様な状況の中、強力なパートナーを得ることができたことを心強く感じると同時に、両社には敬意を表したい」と語った。
今回の取引により同社は松下電器の連結子会社から外れることになる。佐藤氏は「53年間の長きにわたって有形無形の経営支援を頂いたことに対し感謝するとともに、持ち分法適用関連会社として引き続き支援を頂きたいと念願している」と語った。
続けて佐藤氏は、ケンウッドとの資本業務提携に関して具体的な説明を行った。まずこの提携で両社は、「カーエレクトロニクス/オーディオ事業での協業」と「経営統合(共同持株会社の設立)の検討」を開始する。「単なる資本の提携ではなく、競争が激化するカーエレクトロニクス、コンシューマーエレクトロニクスの市場の中で勝ち残っていく提携としたい」と同氏は語った。2007年10月より協業をスタートするカーエレクトロニクス事業は、両社の売り上げを合わせると1,600億円となる。特に市販オーディオ分野では世界ナンバー1になるという。
また佐藤氏はこの資本提携と同時に、ビクターの経営再建計画「アクションプラン2007」を発表した。同社は5月30日に経営再建計画を発表していたが、今回の計画は、さらに踏み込んだ内容となっている。
ディスプレイ事業では、5月30日に発表した計画の「高品位技術差別化の徹底、コスト改革への取り組み、マーケティング戦略の強化」に加え、欧州・国内の不採算モデルの生産販売中止、英国工場の英国内専業化、生産と販売の地域別一元管理による日米欧亜4局経営体制の強化を盛り込んだ。
またオーディオ事業では、同じく5月30日の「ホームシアター、メモリー搭載ミニコンポ等による商品戦略の再構築」に加え、日・米を中心とした地域別販売戦略の立て直しなどを新たに施策として加える。
表示デバイス「ILA」については、これまでフロントプロジェクターの強化に加え、プロジェクションテレビでの再チャレンジを謳っていたが、今回の計画では、プロジェクションテレビについて「次世代機開発を含め基本戦略の抜本的見直しを図る」とし、新機種投入の凍結を示唆した。また、DLA-HD1など、国内外で販売好調な民生用フロントプロジェクターをILA事業の柱に育成する計画を明らかにした。
さらに、部品事業や記録メディア事業についても、これまでの「継続・分社化を前提とした検討」をさらに具体的にし、「事業分野ごとに事業譲渡も含めて再度見直す」と表現を改めた。
ビデオカメラ事業に関しては、「好調なHDDビデオカメラ分野で新メディア競争に勝ち抜き、グローバルトップワンを目指す」とした。また、社内の開発リソースをビデオカメラ事業に集中的に割り当てることで、2008年モデルとして計画していたものを前倒しして投入し、さらに販売を拡大。シェア20%を目指す考えを表明した。
カーエレクトロニクス事業では、CDレシーバーなど既存分野の維持強化や、ビジュアル/ナビ製品へのシフトを加速するだけでなく、今回のケンウッドとの協業により、ソフト開発やコスト競争力の強化を進めるという。また、新興市場やOEM事業への取り組みを強化する考えも明らかにした。
リストラも同時に進める。5月30日の計画では約1,000名の単独人員削減としていたものを、1,150名に増加。また本社のスリム化を目的とし、部門数半減などの本社機構改革を行うという。さらに、一時的に賃金や手当の見直しを行うことも検討する。生産拠点についても、中期的に半減することを視野に入れる、とした。
同社では2007年度に160億円の構造改革費用を予算として計上していたが、今回の計画変更により、これを207億円に増額する。この結果、2007年度の業績予想も下方修正し、純利益は前回予想の70億円から6億円に修正した。
■ケンウッド 代表取締役会長 河原春郎氏
「素晴らしいパートナーを得ることができて大変嬉しいと思っている」と切り出した河原氏は、「カーエレクトロニクス分野の業績が年々悪化している中で、M&Aや戦略的業務提携が必要不可欠と考え、あらゆる面から機会を検討してきた」と説明。今回の提携について同氏は、「日本のコンシューマーエレクトロニクス産業、専業メーカーの存在感が薄れつつある今、専業メーカーの再編が、河原氏にとって構造改革の最後の大仕事であり、今回の提携は歴史的な一歩である」と位置づけた。
提携の第1ステップと位置付けたビクターへの出資では、カーエレクトロニクス、ホーム/ポータブルオーディオ事業での提携を推進する。現在ビクターの市販カーオーディオの売り上げは約600億円。また、ケンウッドも同程度の売り上げとなっており、両社が組むことで売り上げは倍増し、「世界最高のカーオーディオメーカーになる」という。
ホーム/ポータブルオーディオ分野を合わせると、ケンウッドの約2/3の事業で提携を結ぶこととなる。佐藤氏は「共同開発、共同資材調達、相互製造委託、クロスライセンスなどが可能となり、大きなシナジー効果を生み出すことができる」と、提携の価値をアピールした。
そして、第2ステップとして目標に掲げているのが「経営統合」。2008年を目途に統合を目指すとし、ケンウッド、ビクターを100%子会社とする共同持株会社を設立するというのが、経営統合案の一例だ。また、経営統合については「対等の精神で行う」と強調した。
河原氏は、「両社の発展、コンシューマーエレクトロニクス産業の発展を目指し、シナジー効果を発揮していきたい」と意気込みを語った。
■スパークス・グループ 代表取締役社長 阿部修平氏
増資引き受けにより12.8%の持株会社となったスパークスは1989年に創業した投資ファンド。社長の阿部氏は、「提携の趣旨に賛同し、出資を決めた。株主という立場から最大限のサポートを行っていく」とし、「ケンウッドの河原氏を中心としたビクターの中期的な再建に期待している」と語った。また同氏は、今回の支援について「経営統合を視野に入れて決定したもの」と説明した。
■松下電器産業 代表取締役社長 大坪文雄氏
今回の第三者割当による新株式の発行により、松下電器の出資比率が現在の52.4%から36.8%に下がり、ビクターは連結子会社から、持ち分法適用関連会社という位置づけに変わる。大坪氏は「筆頭株主という立場は変わっておらず、アクションプランの完遂に向けサポートを行っていく」と述べた。
松下電器は1954年、ビクターの経営危機に際し同社を子会社化した。「以来ビクターは、自主自立の精神のもと、テレビ、ビデオ、オーディオ、カムコーダーなどを独自ブランドで展開してきた。また、1976年にはVHSの世界標準化を実現し、日本の家電業界の発展に大きく貢献してきた。しかしながら昨今、業績が低迷しており、抜本的な事業再建が不可避だった。成長戦略の一つとしてグループ戦略の見直しを一貫して行ってきた結果、今回のかたちとなった」(大坪氏)。
また同氏は、「ビクターに関しては、私がAV事業の担当の時代からシナジーの発揮を追求してきたが、一方で体質的に相容れないと実感していた。事業重複やダブルブランドの問題もあり、両社のこれまでの関係を見直すことが必須であると考えた。専業メーカー同氏の協業が、ビクターが勝ち残っていくために最適であると判断した。今回、松下電器の連結子会社から外れることとなるが、ビクターは日本の電気機器産業の貴重な財産であると考えている」と語った。
以下に、記者会見で行われた質疑応答の主な内容を掲載する。
Q.長期的にビクターをどういう方向に持って行くのか?
A.(ビクター 佐藤氏)まず今回発表した構造改革を完遂していく。2008年は経営基盤の確立、2009年は成長戦略ということでやっていく。特に「オンリーワン商品」を生み出して量より質の商品と販売戦略を展開していきたい。
(ケンウッド河原氏)日本の専業メーカーがプレゼンスを落としていることに危機感を覚えており、今回の提携を一つの核としながら、大きな枠組みで専業メーカーが大きな力を持てるように力を合わせてやっていきたいと思っている。特にデジタル時代には開発費が膨大になるので、バックにある商品の広がりが重要。そういった面で日本の事業の大きな課題だと思っている。業界のコアになって行ければと思っている。
Q.経営統合は具体的に2008年のいつになるのか?
A.(ビクター 佐藤氏)両社の経営が順調に進んでいることが確認できたときが一つの機転になる。最短でも来年の株主総会以降になる。
Q.経営統合し共同持株会社が出来た際、松下電器やスパークスが持株会社の大株主となるのか?
A.(松下電器 大坪氏)今回のスキームで一番重要なのはビクターが再生するということ。そのためにケンウッドにリーダーシップをとってもらうと同時に、第三社投資をスパークスに引き受けてもらう。松下電器もビクターが再生するということを重要視している。その再生が確実になったあと、とるべき政策を的確にとっていく。
(スパークス 阿部氏)今回最も重要な点は、コンシューマーエレクトロニクス産業を構成する主要メンバーが一つになり、グローバルで展開し、復活を目指していくこと。市場の時間軸と企業のビジネスとしての時間軸には差異があるが、ビジネスとしての時間軸の部分をじっくりと見ながら支援していきたい。
Q.ビクターとの関係の見直しを行うか?
A.(松下電器 大坪氏)ビクターは方針として自主自立を掲げていたが、一方で松下電器にも達成すべき目標があり、我々の参加のもとでは、自主自立でやってもらうということが難しくなった。我々としては、ビクターの価値を高めていくのが最も大切だと考えており、シナジーのとれるケンウッドとやってもらうのが最適だと考えている。
Q.松下電器は最終的に株を売却する予定か?
A.(松下電器 大坪氏)ビクターが再建を果たし、ケンウッドとの統合でさらに発展することが確認できたら、一つの選択肢としてあり得る。
Q.今回ビクターが子会社でなくなることにより、松下電器の中期計画に含まれていた売り上げが減ってしまうと思うが、それを埋め合わせるための対策は?
A.(松下電器 大坪氏)今回の中期計画は2009年度に10兆円を目指すというものだが、この目標を変更する予定はない。
Q.ケンウッドはビクターとどのようにシナジーを生み出していくのか? 松下電器でさえ為し得なかったシナジー発揮を、本当に行うことができるのか?
A.(ケンウッド河原氏)ビクターは技術とそれに対する取り組みに大きな力を持っている。個別の事業を見ていくと、それぞれ良い状況にあるが、たまたまいくつかの事業分野において損失がある。これは手当の仕方次第だと考えている。
(Phile-web編集部)
会見には各社の代表が出席し、今回の提携についての各社の立場から説明を行った。
■日本ビクター 代表取締役社長 佐藤国彦氏
「営業利益では2年連続、最終損益では3年連続の赤字を計上しているが、この様な状況の中、強力なパートナーを得ることができたことを心強く感じると同時に、両社には敬意を表したい」と語った。
今回の取引により同社は松下電器の連結子会社から外れることになる。佐藤氏は「53年間の長きにわたって有形無形の経営支援を頂いたことに対し感謝するとともに、持ち分法適用関連会社として引き続き支援を頂きたいと念願している」と語った。
続けて佐藤氏は、ケンウッドとの資本業務提携に関して具体的な説明を行った。まずこの提携で両社は、「カーエレクトロニクス/オーディオ事業での協業」と「経営統合(共同持株会社の設立)の検討」を開始する。「単なる資本の提携ではなく、競争が激化するカーエレクトロニクス、コンシューマーエレクトロニクスの市場の中で勝ち残っていく提携としたい」と同氏は語った。2007年10月より協業をスタートするカーエレクトロニクス事業は、両社の売り上げを合わせると1,600億円となる。特に市販オーディオ分野では世界ナンバー1になるという。
また佐藤氏はこの資本提携と同時に、ビクターの経営再建計画「アクションプラン2007」を発表した。同社は5月30日に経営再建計画を発表していたが、今回の計画は、さらに踏み込んだ内容となっている。
ディスプレイ事業では、5月30日に発表した計画の「高品位技術差別化の徹底、コスト改革への取り組み、マーケティング戦略の強化」に加え、欧州・国内の不採算モデルの生産販売中止、英国工場の英国内専業化、生産と販売の地域別一元管理による日米欧亜4局経営体制の強化を盛り込んだ。
またオーディオ事業では、同じく5月30日の「ホームシアター、メモリー搭載ミニコンポ等による商品戦略の再構築」に加え、日・米を中心とした地域別販売戦略の立て直しなどを新たに施策として加える。
表示デバイス「ILA」については、これまでフロントプロジェクターの強化に加え、プロジェクションテレビでの再チャレンジを謳っていたが、今回の計画では、プロジェクションテレビについて「次世代機開発を含め基本戦略の抜本的見直しを図る」とし、新機種投入の凍結を示唆した。また、DLA-HD1など、国内外で販売好調な民生用フロントプロジェクターをILA事業の柱に育成する計画を明らかにした。
さらに、部品事業や記録メディア事業についても、これまでの「継続・分社化を前提とした検討」をさらに具体的にし、「事業分野ごとに事業譲渡も含めて再度見直す」と表現を改めた。
ビデオカメラ事業に関しては、「好調なHDDビデオカメラ分野で新メディア競争に勝ち抜き、グローバルトップワンを目指す」とした。また、社内の開発リソースをビデオカメラ事業に集中的に割り当てることで、2008年モデルとして計画していたものを前倒しして投入し、さらに販売を拡大。シェア20%を目指す考えを表明した。
カーエレクトロニクス事業では、CDレシーバーなど既存分野の維持強化や、ビジュアル/ナビ製品へのシフトを加速するだけでなく、今回のケンウッドとの協業により、ソフト開発やコスト競争力の強化を進めるという。また、新興市場やOEM事業への取り組みを強化する考えも明らかにした。
リストラも同時に進める。5月30日の計画では約1,000名の単独人員削減としていたものを、1,150名に増加。また本社のスリム化を目的とし、部門数半減などの本社機構改革を行うという。さらに、一時的に賃金や手当の見直しを行うことも検討する。生産拠点についても、中期的に半減することを視野に入れる、とした。
同社では2007年度に160億円の構造改革費用を予算として計上していたが、今回の計画変更により、これを207億円に増額する。この結果、2007年度の業績予想も下方修正し、純利益は前回予想の70億円から6億円に修正した。
■ケンウッド 代表取締役会長 河原春郎氏
提携の第1ステップと位置付けたビクターへの出資では、カーエレクトロニクス、ホーム/ポータブルオーディオ事業での提携を推進する。現在ビクターの市販カーオーディオの売り上げは約600億円。また、ケンウッドも同程度の売り上げとなっており、両社が組むことで売り上げは倍増し、「世界最高のカーオーディオメーカーになる」という。
ホーム/ポータブルオーディオ分野を合わせると、ケンウッドの約2/3の事業で提携を結ぶこととなる。佐藤氏は「共同開発、共同資材調達、相互製造委託、クロスライセンスなどが可能となり、大きなシナジー効果を生み出すことができる」と、提携の価値をアピールした。
そして、第2ステップとして目標に掲げているのが「経営統合」。2008年を目途に統合を目指すとし、ケンウッド、ビクターを100%子会社とする共同持株会社を設立するというのが、経営統合案の一例だ。また、経営統合については「対等の精神で行う」と強調した。
河原氏は、「両社の発展、コンシューマーエレクトロニクス産業の発展を目指し、シナジー効果を発揮していきたい」と意気込みを語った。
増資引き受けにより12.8%の持株会社となったスパークスは1989年に創業した投資ファンド。社長の阿部氏は、「提携の趣旨に賛同し、出資を決めた。株主という立場から最大限のサポートを行っていく」とし、「ケンウッドの河原氏を中心としたビクターの中期的な再建に期待している」と語った。また同氏は、今回の支援について「経営統合を視野に入れて決定したもの」と説明した。
■松下電器産業 代表取締役社長 大坪文雄氏
今回の第三者割当による新株式の発行により、松下電器の出資比率が現在の52.4%から36.8%に下がり、ビクターは連結子会社から、持ち分法適用関連会社という位置づけに変わる。大坪氏は「筆頭株主という立場は変わっておらず、アクションプランの完遂に向けサポートを行っていく」と述べた。
また同氏は、「ビクターに関しては、私がAV事業の担当の時代からシナジーの発揮を追求してきたが、一方で体質的に相容れないと実感していた。事業重複やダブルブランドの問題もあり、両社のこれまでの関係を見直すことが必須であると考えた。専業メーカー同氏の協業が、ビクターが勝ち残っていくために最適であると判断した。今回、松下電器の連結子会社から外れることとなるが、ビクターは日本の電気機器産業の貴重な財産であると考えている」と語った。
以下に、記者会見で行われた質疑応答の主な内容を掲載する。
Q.長期的にビクターをどういう方向に持って行くのか?
A.(ビクター 佐藤氏)まず今回発表した構造改革を完遂していく。2008年は経営基盤の確立、2009年は成長戦略ということでやっていく。特に「オンリーワン商品」を生み出して量より質の商品と販売戦略を展開していきたい。
(ケンウッド河原氏)日本の専業メーカーがプレゼンスを落としていることに危機感を覚えており、今回の提携を一つの核としながら、大きな枠組みで専業メーカーが大きな力を持てるように力を合わせてやっていきたいと思っている。特にデジタル時代には開発費が膨大になるので、バックにある商品の広がりが重要。そういった面で日本の事業の大きな課題だと思っている。業界のコアになって行ければと思っている。
Q.経営統合は具体的に2008年のいつになるのか?
A.(ビクター 佐藤氏)両社の経営が順調に進んでいることが確認できたときが一つの機転になる。最短でも来年の株主総会以降になる。
Q.経営統合し共同持株会社が出来た際、松下電器やスパークスが持株会社の大株主となるのか?
A.(松下電器 大坪氏)今回のスキームで一番重要なのはビクターが再生するということ。そのためにケンウッドにリーダーシップをとってもらうと同時に、第三社投資をスパークスに引き受けてもらう。松下電器もビクターが再生するということを重要視している。その再生が確実になったあと、とるべき政策を的確にとっていく。
(スパークス 阿部氏)今回最も重要な点は、コンシューマーエレクトロニクス産業を構成する主要メンバーが一つになり、グローバルで展開し、復活を目指していくこと。市場の時間軸と企業のビジネスとしての時間軸には差異があるが、ビジネスとしての時間軸の部分をじっくりと見ながら支援していきたい。
Q.ビクターとの関係の見直しを行うか?
A.(松下電器 大坪氏)ビクターは方針として自主自立を掲げていたが、一方で松下電器にも達成すべき目標があり、我々の参加のもとでは、自主自立でやってもらうということが難しくなった。我々としては、ビクターの価値を高めていくのが最も大切だと考えており、シナジーのとれるケンウッドとやってもらうのが最適だと考えている。
Q.松下電器は最終的に株を売却する予定か?
A.(松下電器 大坪氏)ビクターが再建を果たし、ケンウッドとの統合でさらに発展することが確認できたら、一つの選択肢としてあり得る。
Q.今回ビクターが子会社でなくなることにより、松下電器の中期計画に含まれていた売り上げが減ってしまうと思うが、それを埋め合わせるための対策は?
A.(松下電器 大坪氏)今回の中期計画は2009年度に10兆円を目指すというものだが、この目標を変更する予定はない。
Q.ケンウッドはビクターとどのようにシナジーを生み出していくのか? 松下電器でさえ為し得なかったシナジー発揮を、本当に行うことができるのか?
A.(ケンウッド河原氏)ビクターは技術とそれに対する取り組みに大きな力を持っている。個別の事業を見ていくと、それぞれ良い状況にあるが、たまたまいくつかの事業分野において損失がある。これは手当の仕方次第だと考えている。
(Phile-web編集部)