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東芝、藤井氏「“今年中の戦争終結”は撤回」、RD-X7投入も明言 − 東芝発表会詳報(1)

公開日 2007/10/31 19:03
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別項でお伝えしたとおり、(株)東芝は本日、10万円以下での販売が予想されるHDD+HD DVDレコーダー「RD-A301」を、東京・浜松町の同社本社で発表した。

●東芝・藤井氏「BDは規格の事実について説明を」

初めに登壇した(株)東芝 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏は、「新製品の披露の席なのでおめでたいことを言わないと行けないのだろうが、私がBDの悪口を言わないと収まらない、ということで、今日はあることないこと言ってしまおうかと思う」と述べ、会場は大いに沸いた。

まず同氏は、今年1月のInternational CESでBDAが公表した、BDとHD DVDの需要予測を映し出し、「これによると、今頃の時点で、HD DVDはほとんどなくなっていて、フォーマット戦争は終わっている、というのが今年のCES時点でのBDAの予想だった。いつも言っているが、BDAはこういうことについてきっちりとした説明をする責任があるのではないか。じゃあ、最近の状況はどうなっているか」と述べ、北米でのHD DVDの最新状況について触れた。

東芝DM社 社長の藤井美英氏

BDAが今年1月のCESで発表した需要予測を見せながら反論

次世代DVDの主戦場である北米では、HD DVDの普及が急速に進んでいる、と説明。次世代DVD CE市場において、9月末までの累計シェアのうち、HD DVDが55%程度を占めているという。直近である先週の数字は60対40だったという。さらに、北米でのタイトル数が300タイトルを超えたこと、年末には500タイトルを目標としていることについても言及。さらに、9月には、年末市場に向けた安価なHD DVDプレーヤー「HD-A35」「HD-A30」「HD-A3」の3モデルを投入済みであることにも説明した。

続いて藤井氏は、欧州市場でのHD DVDの現状について話題を移し、9月末までの累計シェアは70%程度を占めているという。この理由について藤井氏は、「ヨーロッパはハリウッドの対抗戦略である独立系の映画会社がある」と説明。年末までに400タイトルが発売予定で、コンテンツ製作コストはBDの半分程度であることも紹介した。このようにコストに差が付く理由については、「主にBD-JAVAのコストの高さが要因」とした。

北米でのHD DVDの最新状況

欧州での状況。北米より多くのタイトルが発売されている

また、HD DVDを搭載したPCが増えていることも強調。「現在、1,000ドル程度のPCにHD DVDドライブが搭載される例が増えている。これはドライブが安くなってきたことが原因で、4Qには20万台のHD DVD搭載PCが北米で販売される」とした。今後、PCにHDMI端子が搭載されることが増えることで、PCでのHDコンテンツ再生機会がさらに増えるとも述べ、「2008年にHD DVD搭載PC市場は500万台へ拡大する。これはかなりの確率でそうなる」とした。

2008年にはHD DVD搭載PCが500万台出荷されると予想

今後、HD DVDを搭載したPCが増えると予想

さらに藤井氏は、HD DVDとBDの違いについて改めて説明。大容量コンテンツの記録にはHDDが最適であり、ストレージメディアは機能やコストに応じて使い分けることが重要、光ディスクはその選択肢の一つであるという、藤井氏がこれまで展開してきた主張を改めて強調した。BDを含めた光メディアについては、「30GB、50GBというのはHDの記録には不足」とし、HDDやHD DVD、CDなど、様々な記録メディアの特徴をまとめた比較表を表示しながら、あくまでハイビジョンコンテンツの録画にはHDDレコーダーが最適であると説明した。

HD DVDとBDの考え方の違い

HD RecはDVDフォーラムで規格化されたもの、と強くアピール

新機種については、「A300の後継」と紹介。ポイントは価格とDVDにハイビジョン記録ができること、と説明した。価格についてはオープン価格だが、「ヒントで言うと、みなさんの期待している値段を実現したい、ということ。予想実売価格は難しくて、基本的にはお店が決めることだが、私の希望では10万円を切って欲しい」とした。また、12月中旬という発売時期については、「私は○日と言い切りたいが、1日遅れても『東芝、また遅延』とやられるので」と、「中旬」という表記になった理由を説明した。

また藤井氏は、国内次世代DVD市場の台数比率は、DVD市場全体の1.8%であるという事実も紹介。この数字を受け、「次世代DVD市場は今後本格的に立ち上がる。ようやくBDも、日本ではマジメにやってくれているので、今後は次世代DVD市場が盛り上がるのではないか」とした。

さらに藤井氏は、HD RecがDVDフォーラムで規格化されたものであることを強調。ふつうのDVDにも、フルハイビジョンコンテンツを保存できるほか、1層DVD-Rにも地デジ放送が約2時間記録できることなども紹介。また、HDiのBD-JAVAに対する優位性、安価なプレーヤーやメディアの実現などについても触れた。ここでもBD陣営に対する不満を爆発させ、「フェアに論争が広がっていくことを期待したい。我々はHD DVDだとこんなことができる、と一貫して主張しており、何も隠すことは無いが、BD陣営もBDの何が優れているのか、正々堂々と主張すべきではないか。最近、プロファイル1.1が出てきたが、これまでの機種とのコンパチビリティなどは全く語られていない」とまくしたてた。

最後に藤井氏は、「これまで土下座発言などもあったが、一つだけ前言を撤回したいのは、『今年中にBD陣営との勝負をつける』と言っていたこと。残念ながらこれはできなかった」と語った。

●東芝・所氏、RD-A102(仮)/RD-X7(仮)の投入を発表

続いて、今回の新製品については、デジタルメディアネットワーク社 デジタルAV事業部長の所寛之氏が説明。まず所氏は、2006年から2010年の国内DVD需要予測を見せ、2010年には次世代レコーダーが190万台程度になると予測。VARDIAのラインナップについては、HD DVD搭載機としてすでに発売しているRD-A600/A300に今回のA301が加わり計3モデルに、DVD搭載機は「RD-S601/S301」、「RD-E301」、「RD-W301」の計5モデルで展開すると紹介した。

東芝DM社 デジタルAV事業部長の所寛之氏

2010年までのレコーダーの需要予測

VARDIAのラインナップ構成

所氏はHD Recの利点についても言及。DVDディスクをHDVRフォーマットで初期化することで、HD DVDディスクと同様、DVDにもHD記録が可能になるとし、TS/VRはもちろん、H.264で記録したTSEタイトルの録画が行え、さらにこれらのタイトルを1枚のディスクに混在することが可能というメリットを紹介した。

ソニーやパナソニックのBDレコーダーでもH.264記録はすでに実現しているが、所氏は東芝ならではのHD Rec/HDトランスコーダーの特徴も説明。解像度については、「A社は解像度が1,440×1,080になるが、A301は1,920×1,080をそのまま記録する」と説明。DVDへの記録についても、1層DVD-Rに約2時間の記録が行える点を強調。「A社はDVDへ記録できず、B社も約1時間40分しか記録できない」と述べた。音声については、「A301はAAC5.1chのまま、最大2ストリーム記録できるが、A社もB社も、ドルビーデジタルに変換し、1ストリームになってしまう」とした。画質レートをマニュアルで47段階設定できる利点にも触れ、「A社もB社も画質レートの設定が少なく、ディスク容量が余ってしまうこともある」などと自社の優位性をアピールした。

また所氏は、CEATECで発表した「RD-A102(仮)」「RD-X7(仮)」(関連ニュース)の発売も宣言。「Xシリーズについては大きな期待の声がある」とし、特徴については、「1080/24p&ディープカラー、高画質アップコン、大容量HDD」などに加え、図で「????」と示した、まだ公表できない新機能が搭載されていることが明らかになった。

さらに所氏は、11月1日から2008年1月31日にかけて、「トランスフォーマー キャンペーン」を行うことも紹介。RD-A301の購入者には「トランスフォーマーHD DVDソフト」、「オリジナルフィギュア」、「HD DVD&DVDディスクセット」がプレゼントされる。また、RD-A600/A300購入者には「トランスフォーマーHD DVDソフト」と「HD DVD&DVDディスクセット」が、HD-XA2/XF2購入者には「トランスフォーマーHD DVDソフト」がプレゼントされる。

RD-X7(仮)も今後正式発表される

トランスフォーマーのキャンペーンも実施する

●パラマウント「北米ではすでにトランスフォームがはじまっている」


パラマウントジャパン(株)セールスディレクターの加茂克也氏
続いて、パラマウントジャパン(株)セールスディレクターの加茂克也氏が、「パラマウントはHD DVD市場をトランスフォームする」という主題で話をした。トランスフォーム=変化という意味だが、加茂氏によると、北米ではすでに変化が起きている、という。先日のニュースでお伝えしたとおり、北米において、HD DVD版「トランスフォーマー」が、発売初日に10万枚、1週間で19万枚という売り上げを達成したことを強調。加茂氏は「出荷ではなく売り上げだ」と強調した。

また加茂氏は、同社がHD DVDに独占供給をはじめた経緯についても改めて説明し、HD DVDを選択した理由については、長期的に複製コストが優位であることや、通常DVDとも互換性があること、廉価なハードウェアの開発、発売が可能であること、さらに消費者が次世代を試しやすいフォーマット、ツインフォーマット、コンボディスクの存在、インタラクティブ機能「HDi」の優位性などについて説明した。

さらに、国内で12月19日に「トランスフォーマー」、「スター・トレック 宇宙大作戦 デジタル・アップグレード版 Season 1」を発売することを改めて説明した。

パラマウントが考えるHD DVDの優位性

12月19日に2つのビッグタイトルを発売する

この後、デジタルメディアネットワーク社 デジタルAV事業部 DAV商品企画部の片岡秀夫氏が登壇し、HD Recなどについて解説したが、これは別項でご紹介する。

以下、発表会の最後に行われた質疑応答の模様をご紹介する。

Q: 2007年はDVDレコーダー市場が縮小しているが、この理由についてどう考えているか。
A: ダビング10による買い控えの影響は少なからずあった。(所氏)

Q: 次世代DVDの普及には何か戦略の変化が必要になるか。
A: 次世代DVDについては、レコーダーとプレーヤーで考え方が違う。アメリカでは、32インチ以上のデジタルテレビの6%程度が次世代DVD買うと思っていたら、2%程度だった。日本市場については申し訳なく思っている。40万台くらい市場があるのではないかと考えていたが、弊社のプレーヤーとレコーダーをあわせて、1万台行っていないのが現状。BDも月2,000台とかその程度だろう。これは反省しなければいけないが、正直まだVHSの方がいいというお客様もいらっしゃる。

一方で、HDDレコーダーの普及率は40%に達していない。この便利さを体験する方が来年は増えるのではないか。2009〜11年度は買い換え時期にあたる。2010年にはレコーダーも次世代に移行するのでは。製品の具体的な仕様で言うと、600GBで10万円を切って、というのが普及の条件ではないか。(藤井氏)

Q: HD Recについて、HD Recで記録したディスクを再生する、対応プレーヤーの今後の発売の見込みは?
A: プレーヤーについては、TSやH.264に対応するのが難しいが、可能性はゼロではない。日本ではレコーダーの普及がまず先に進むだろう。あとは、PCでの再生が可能性としては考えられる。(片岡氏)

Q: 「今年中に戦争を終わりにしたい」と藤井氏が前から言っていたかと思うが、一方でサムスン、LGはBD/HD DVDに両対応したプレーヤーを出している。東芝として、コンボフォーマットプレーヤーを発売する可能性はあるか。
A: 東芝としては可能性はない。BD-JAVAとHDiが問題になるだろう。同時にサポート、メンテナンスしていくのは難しい。我々のように安価なプレーヤーを出していると、LSIもそれなりに安いものを使わなくてはならないなど、色々と制約がある。ただし、コンパチプレーヤーには将来の布石として期待をしている。結局、消費者に決めてもらうのが一番良い。BD陣営も、消費者の観点から見て、規格の事実を伝えて欲しい。(藤井氏)

(Phile-web編集部)

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