【一条真人の体当たり実験室】ダウンロードDVDは2極化する? − 「DVD Burning」使用レポート
以前、紹介した「iDVDt.com」(関連ニュース)に続き、「DVD Burning」というDVDダウンロード販売サービスが開始された。また、DVDフォーラムもDVDダウンロードの規格「DVD Download」を策定した。今回はDVD Burningを紹介するとともに、DVDダウンロードサービス全体の状況を紹介したい。
■DVD Burningとは?
「DVD Burning」は、KDDIが運営するDVDダウンロード販売サービスだ。同じようなサービスだが、iDVD.comとは利用条件がかなり違う。まず、回線速度に条件がないiDVDt.comに対して、6Mbps以上が必要となる。使用できるメディアも異なり、iDVDt.comのDVD-Rに対して、CPRM対応のDVD-RWメディアが必要となり、書き込みや再生に使うドライブもCPRM対応の必要がある。OSに関してはWindowsXP SP2以上に限られる。なお、近日中にVistaにも対応予定だという。
■DVD Burningを使ってみる
利用には会員登録が必要になる。お試し会員は誰でもなれるが、正規会員になりDVDを購入するにはクレジットカードが必要になる。
ライティングソフトのインストールは、「会員メニュー」で「Download KDDI DVD Burner」をクリックして行う。プログラムをダウンロードしてインストールすればいい。
タイトルの検索はジャンルを指定してリスト表示するというものの他に「つながりマップ」という機能が用意されている。これはトップページに表示されているタイトルを適当にクリックすると、それに関係があるタイトルが表示されるというもの。特に目的のタイトルがなくとも、なんとなく関連を見ていても面白い機能だ。
購入したいタイトルを発見したら、「購入手続き」をクリックすればいい。あとはメッセージに従って操作するだけで、DVDがライティングされる。今回、テストした購入タイトルは101分で3.76GB。ダウンロード転送速度約20Mbpsという回線でメディアは2倍速のDVD-RWを使った。そして、書き込み終了まで30分19秒という結果になった。
■そのバランスを納得できるか?
DVD BurningはiDVDt.comと比較すると、タイトルが豊富で、ワーナーなどの大手の新作も購入できるなど、品揃えの面ではアドバンテージがある。しかし、価格面ではiDVDt.comのように衝撃的に安いわけではなく、アマゾンなどと比較してもあまりリーズナブルではない。たとえば、「ゾディアック」などはアマゾンで2,945円であるのに対して、DVD Burningでは2,400円。さらに作品によっては付属する特典ディスクも入手できない。
さらなる問題は、DVD-VR形式なのでDVDメニュー機能がサポートされないこと、そして、2層メディアをサポートしない(これはiDVDt.comも同じだが)ので、多くの場合、画質面でも低下し、オリジナルのDVDビデオを再現できない。DVD Burningは、このようなメリット、デメリットを考えて、納得できるユーザーが使うべきサービスだと言えるだろう。
■DVDフォーラムで規格化された「DVD Download」
さて、このようにいくつものダウンロードDVDサービスが登場するなか、DVDフォーラムでもダウンロードDVDのための規格が最近、策定された。これは「DVD Download」と呼ばれるもので、DVD-Video(DVD-Downloaded Video Disc)とDVD-VR( DVD CPRM Downloadable Video(DVD-DLV))の両タイプの規格が用意される。DVD Downloadでは2層メディアもサポートされる予定なので、DVD-Videoタイプではオリジナルそのものを再現することができる。
著作権保護に関しては、DVD-VR形式の場合、すでに一般的なCPRMを使う。これに対して、DVD-Videoタイプでは「CSS-MR」という新規格を使う。これはダウンロードDVD向けのCSSであり、記録ドライブもメディアもCSS-MRに対応している必要がある。しかし、記録したディスクはDVDプレイヤーで高い互換性を持つことになる。なお、DVD-Rに単にDVD-VideoのCSS保護コンテンツを記録すると、海賊版とみなされて再生することができない。
■ダウンロードDVDの未来
CSS-MRのDVD-Videoを作成するには記録型ドライブ、メディアともにCSS-MR対応のものが必要となり、これらがすぐに普及するとは考えにくい。対応ドライブの普及には時間がかかるだろうし、メディアも初期には高めになりそうだ。このようなPC用途よりも、より見込みがありそうなのがディストリビュータ用途だ。
DVDショップは在庫を持たなくても、ダウンロードDVD作成機1台があれば、どんなDVDビデオでも販売できる。映画会社は、物理的な在庫を考えなくてもいいので、コンテンツの種類を気軽に増やすことができ、ユーザーにとっては選択肢が増えることになる。日本であれば、コンビニや駅ナカなどに専用機を置くことも考えられる。DVDフォーラム側もDVD DownloadにはPC用途に加えて、そのような企業用途を意識している。
ダウンロードDVDサービスは、今後もさまざまなものが登場すると思うが、このように店頭で使われる一般コンシューマー用途と、PCで使われるヘビーユーザー向け用途の2種類に分かれていく可能性がありそうだ。
(一条真人)
執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。
■DVD Burningとは?
「DVD Burning」は、KDDIが運営するDVDダウンロード販売サービスだ。同じようなサービスだが、iDVD.comとは利用条件がかなり違う。まず、回線速度に条件がないiDVDt.comに対して、6Mbps以上が必要となる。使用できるメディアも異なり、iDVDt.comのDVD-Rに対して、CPRM対応のDVD-RWメディアが必要となり、書き込みや再生に使うドライブもCPRM対応の必要がある。OSに関してはWindowsXP SP2以上に限られる。なお、近日中にVistaにも対応予定だという。
■DVD Burningを使ってみる
利用には会員登録が必要になる。お試し会員は誰でもなれるが、正規会員になりDVDを購入するにはクレジットカードが必要になる。
ライティングソフトのインストールは、「会員メニュー」で「Download KDDI DVD Burner」をクリックして行う。プログラムをダウンロードしてインストールすればいい。
タイトルの検索はジャンルを指定してリスト表示するというものの他に「つながりマップ」という機能が用意されている。これはトップページに表示されているタイトルを適当にクリックすると、それに関係があるタイトルが表示されるというもの。特に目的のタイトルがなくとも、なんとなく関連を見ていても面白い機能だ。
購入したいタイトルを発見したら、「購入手続き」をクリックすればいい。あとはメッセージに従って操作するだけで、DVDがライティングされる。今回、テストした購入タイトルは101分で3.76GB。ダウンロード転送速度約20Mbpsという回線でメディアは2倍速のDVD-RWを使った。そして、書き込み終了まで30分19秒という結果になった。
■そのバランスを納得できるか?
DVD BurningはiDVDt.comと比較すると、タイトルが豊富で、ワーナーなどの大手の新作も購入できるなど、品揃えの面ではアドバンテージがある。しかし、価格面ではiDVDt.comのように衝撃的に安いわけではなく、アマゾンなどと比較してもあまりリーズナブルではない。たとえば、「ゾディアック」などはアマゾンで2,945円であるのに対して、DVD Burningでは2,400円。さらに作品によっては付属する特典ディスクも入手できない。
さらなる問題は、DVD-VR形式なのでDVDメニュー機能がサポートされないこと、そして、2層メディアをサポートしない(これはiDVDt.comも同じだが)ので、多くの場合、画質面でも低下し、オリジナルのDVDビデオを再現できない。DVD Burningは、このようなメリット、デメリットを考えて、納得できるユーザーが使うべきサービスだと言えるだろう。
■DVDフォーラムで規格化された「DVD Download」
さて、このようにいくつものダウンロードDVDサービスが登場するなか、DVDフォーラムでもダウンロードDVDのための規格が最近、策定された。これは「DVD Download」と呼ばれるもので、DVD-Video(DVD-Downloaded Video Disc)とDVD-VR( DVD CPRM Downloadable Video(DVD-DLV))の両タイプの規格が用意される。DVD Downloadでは2層メディアもサポートされる予定なので、DVD-Videoタイプではオリジナルそのものを再現することができる。
著作権保護に関しては、DVD-VR形式の場合、すでに一般的なCPRMを使う。これに対して、DVD-Videoタイプでは「CSS-MR」という新規格を使う。これはダウンロードDVD向けのCSSであり、記録ドライブもメディアもCSS-MRに対応している必要がある。しかし、記録したディスクはDVDプレイヤーで高い互換性を持つことになる。なお、DVD-Rに単にDVD-VideoのCSS保護コンテンツを記録すると、海賊版とみなされて再生することができない。
■ダウンロードDVDの未来
CSS-MRのDVD-Videoを作成するには記録型ドライブ、メディアともにCSS-MR対応のものが必要となり、これらがすぐに普及するとは考えにくい。対応ドライブの普及には時間がかかるだろうし、メディアも初期には高めになりそうだ。このようなPC用途よりも、より見込みがありそうなのがディストリビュータ用途だ。
DVDショップは在庫を持たなくても、ダウンロードDVD作成機1台があれば、どんなDVDビデオでも販売できる。映画会社は、物理的な在庫を考えなくてもいいので、コンテンツの種類を気軽に増やすことができ、ユーザーにとっては選択肢が増えることになる。日本であれば、コンビニや駅ナカなどに専用機を置くことも考えられる。DVDフォーラム側もDVD DownloadにはPC用途に加えて、そのような企業用途を意識している。
ダウンロードDVDサービスは、今後もさまざまなものが登場すると思うが、このように店頭で使われる一般コンシューマー用途と、PCで使われるヘビーユーザー向け用途の2種類に分かれていく可能性がありそうだ。
(一条真人)
執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。