折原一也が「スター・チャンネル HV」の実力をチェック − ビットレートは地デジ並み
2007年12月1日、BSデジタル放送に新たな展開があった。民放の無料放送に「BSデジタル11」「TwellV(トゥエルビ)」が新規参入し、有料放送の「スター・チャンネル」も「スター・チャンネル ハイビジョン」としてリニューアルした。既にテレビやデジタルレコーダーの番組表で新顔を見つけた人も数多くいることだろう。
番組ラインナップにも、それぞれ個性がある。新規参入の「BSデジタル11」は家電量販店ビックカメラなどを中心とした日本BS放送による運営で、団塊世代を中心に、30代以上の大人をターゲットとして番組を編成する。『機動戦士ガンダム』『トップをねらえ!』など強力なアニメラインナップや、独自編成のドキュメンタリーなどに期待できそうだ。
「TwellV(トゥエルビ)」(BS12チャンネル)は三井物産が100%出資する子会社による運営。日中と深夜時間帯にテレビ通販の「QVCジャパン」を放送して、旅行番組番組や海外コンテンツなどが揃っている。
●AVファンの注目は映画専用チャンネルの「スター・チャンネル」
AVファンの期待が集まるのは、やはり映画専門チャンネルの「スター・チャンネル ハイビジョン」だ。BS放送で初めて全作品「ピュアハイビジョン」の映画放送を打ち出し、5.1chデジタルサラウンド放送を行う、高画質映画専用チャンネルとして生まれ変わった。
実際の契約形態は、今回開始した「スター・チャンネル ハイビジョン」と、従来の110度CS放送のリニューアルとなる24時間吹き替え映画専門の「スター・チャンネル プラス」、従来の「スターチャンネル クラシック」とのセット契約となり、これら3チャンネルを月額視聴料1,890円ですべて見ることができる。
さて、新規放送のスタートとなれば、やはり気になるのは放送の画質とビットレートだ。筆者は放送開始のサービスで行われた12月1日、12月2日の放送を視聴・録画したので簡単なインプレッションをお届けしよう。
●「スター・チャンネル ハイビジョン」の実力と活用法
今回視聴したのは、無料放送から録画した『スピード』『レディ・イン・ザ・ウォーター』『ユー・ガット・メール』『インサイド・マン』など全6作品。WOWOWとのクオリティ差が気になるところだが、今回は厳密に同一作品を用意して比較することはできなかった。ただし、BD-ROM版で見たことがある『スピード』は、一見してやや解像感が甘いように見えたが、ソースの質は地上デジタル放送と比べると良好で、『インサイド・マン』の解像度志向の映像は見応えを感じた。WOWOWと同一作品で比べたらどういう結果が出るか興味深い。
この疑問はBDへのアーカイブを行って氷解した。スター・チャンネルの、少なくとも今回の放送分はビットレートがやや低めなようで、『インサイド・マン』(2時間11分)で14.1GB、『レディ・イン・ザ・ウォーター』(1時間52分)で10.2GB、『スピード』(1時間53分)で13.1GBしか、それぞれ容量を必要としない。ビットレートは作品ごとに幅があるが、おおむね15Mbps〜19Mbps程度という計算になる。これは、WOWOWの平均ビットレート23Mbps〜25Mbps程度と比べて低く、その差が画質に反映されていると考えられる。
もっとも、ある程度ビットレートが低いことには、録画時間を稼げるというメリットがある。筆者が使っているBDZ-V9は、1層25GBのBDしか使えず、MPEG4 AVC録画もできないが、今回録画した『ユー・ガット・メール』『レディ・イン・ザ・ウォーター』2作品を、まとめて1層25GBのディスク1枚に収めることができた。アーカイブ化の際のコストを抑えられるのは嬉しいポイントだ。
●映画専用チャンネルとして12月から年末年始のラインナップにも期待
「スター・チャンネル ハイビジョン」では今後、「ハイビジョンで観たい 映画史に輝くベストフィルム」として『JAWS/ジョーズ』『ウェスト・サイド物語』『ダイ・ハード』『史上最大の作戦』『ダヴィンチ・コード』など様々な作品の放映を予定している。
HDクオリティの映画を大量にアーカイブしたい人にとって、映画専用で、手軽にアーカイブできるチャンネルの存在はありがたい。現在、BSデジタル10chの「スター・チャンネル ハイビジョン」にチャンネルを合わせると、16日無料体験の申し込みが表示されるので、まずは試しに登録してみて、名作を無料で楽しみながらアーカイブに値するクオリティか確認してみると良いだろう。
(折原一也)
執筆者プロフィール
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。
番組ラインナップにも、それぞれ個性がある。新規参入の「BSデジタル11」は家電量販店ビックカメラなどを中心とした日本BS放送による運営で、団塊世代を中心に、30代以上の大人をターゲットとして番組を編成する。『機動戦士ガンダム』『トップをねらえ!』など強力なアニメラインナップや、独自編成のドキュメンタリーなどに期待できそうだ。
「TwellV(トゥエルビ)」(BS12チャンネル)は三井物産が100%出資する子会社による運営。日中と深夜時間帯にテレビ通販の「QVCジャパン」を放送して、旅行番組番組や海外コンテンツなどが揃っている。
●AVファンの注目は映画専用チャンネルの「スター・チャンネル」
AVファンの期待が集まるのは、やはり映画専門チャンネルの「スター・チャンネル ハイビジョン」だ。BS放送で初めて全作品「ピュアハイビジョン」の映画放送を打ち出し、5.1chデジタルサラウンド放送を行う、高画質映画専用チャンネルとして生まれ変わった。
実際の契約形態は、今回開始した「スター・チャンネル ハイビジョン」と、従来の110度CS放送のリニューアルとなる24時間吹き替え映画専門の「スター・チャンネル プラス」、従来の「スターチャンネル クラシック」とのセット契約となり、これら3チャンネルを月額視聴料1,890円ですべて見ることができる。
さて、新規放送のスタートとなれば、やはり気になるのは放送の画質とビットレートだ。筆者は放送開始のサービスで行われた12月1日、12月2日の放送を視聴・録画したので簡単なインプレッションをお届けしよう。
●「スター・チャンネル ハイビジョン」の実力と活用法
今回視聴したのは、無料放送から録画した『スピード』『レディ・イン・ザ・ウォーター』『ユー・ガット・メール』『インサイド・マン』など全6作品。WOWOWとのクオリティ差が気になるところだが、今回は厳密に同一作品を用意して比較することはできなかった。ただし、BD-ROM版で見たことがある『スピード』は、一見してやや解像感が甘いように見えたが、ソースの質は地上デジタル放送と比べると良好で、『インサイド・マン』の解像度志向の映像は見応えを感じた。WOWOWと同一作品で比べたらどういう結果が出るか興味深い。
この疑問はBDへのアーカイブを行って氷解した。スター・チャンネルの、少なくとも今回の放送分はビットレートがやや低めなようで、『インサイド・マン』(2時間11分)で14.1GB、『レディ・イン・ザ・ウォーター』(1時間52分)で10.2GB、『スピード』(1時間53分)で13.1GBしか、それぞれ容量を必要としない。ビットレートは作品ごとに幅があるが、おおむね15Mbps〜19Mbps程度という計算になる。これは、WOWOWの平均ビットレート23Mbps〜25Mbps程度と比べて低く、その差が画質に反映されていると考えられる。
もっとも、ある程度ビットレートが低いことには、録画時間を稼げるというメリットがある。筆者が使っているBDZ-V9は、1層25GBのBDしか使えず、MPEG4 AVC録画もできないが、今回録画した『ユー・ガット・メール』『レディ・イン・ザ・ウォーター』2作品を、まとめて1層25GBのディスク1枚に収めることができた。アーカイブ化の際のコストを抑えられるのは嬉しいポイントだ。
●映画専用チャンネルとして12月から年末年始のラインナップにも期待
「スター・チャンネル ハイビジョン」では今後、「ハイビジョンで観たい 映画史に輝くベストフィルム」として『JAWS/ジョーズ』『ウェスト・サイド物語』『ダイ・ハード』『史上最大の作戦』『ダヴィンチ・コード』など様々な作品の放映を予定している。
HDクオリティの映画を大量にアーカイブしたい人にとって、映画専用で、手軽にアーカイブできるチャンネルの存在はありがたい。現在、BSデジタル10chの「スター・チャンネル ハイビジョン」にチャンネルを合わせると、16日無料体験の申し込みが表示されるので、まずは試しに登録してみて、名作を無料で楽しみながらアーカイブに値するクオリティか確認してみると良いだろう。
(折原一也)
執筆者プロフィール
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。