<CES2008:ソニー ブースレポート>新BRAVIA 17機種やBD Live対応プレーヤーなど発表
プレスカンファレンスに引き続き、ソニーブースの展示内容をレポートする。今年の同社ブースは「HD」「モビリティ」「クリエイティビティ」という3つのコンセプトゾーンに分かれている。扱う範囲が幅広い同社だけに、展示されている機器も非常に多い。項目別に紹介しよう。
●BRAVIA/有機ELテレビなど
まず日本でも発売が期待される製品群として、BRAVIAの北米における春モデル17機種が挙げられる。国内ではX/W/V/Jの4シリーズで構成されているが、北米ではさらに区分けが細かく、今回発表された17モデルは、Z/W/V/N/Mの各シリーズ、そして高級モデルとしてXBRシリーズがラインナップされている。
XBRシリーズを除いた最上位機種と考えられるZ4100シリーズは、狭ベゼルかつ薄型なのが特徴。画面下のフレーム部が透明になった新デザインを採用している。当然のことながら1080p/120Hz対応で、xvColorやDeepcolorにも対応している。また、新たに3DのGUIを搭載しているという。画面下部にチャンネルのアイコンが立体的に表示され、高速にスクロールするなど、美しさと楽しさが両立したユーザーインターフェースとなっている。この3D GUIはZシリーズだけでなくW/V/XBRシリーズにも搭載されており、日本での採用も期待したいところだ。
そのほか、高級ラインのXBRシリーズに、37V型と32V型のフルHDモデルが加わったのも特筆したい。いずれも120Hz駆動で、24p入力対応、HDMI4入力など、スペックが充実している。現在同社はこの2サイズのフルHD液晶テレビを発売しておらず、国内展開が行われるか興味深い。
北米における新BRAVIA上位機種のスペック欄を見ると、「DMex Ready」という単語が言葉が並んでいる。DMexとは、BRAVIAの背面にアタッチする拡張機器の総称で、「Digital Media Extender」の略称。昨年のCESで公開され、実際に製品が発売されたVOD端末「BRAVIA Internet Video Link」のほか、今回新たに3つのリンク機器が発表された。
順に紹介すると、「BRAVIA DVD Link」は、その名の通り、薄型DVDプレーヤーをBRAVIAの背面に直接取り付けてしまうというもの。BRAVIAのGUIから操作が行えるという。また、「BRAVIA Input Link」は、入力端子ボックスを取り付けるもので、HDMI端子3系統などを拡張できる。HDMI機器が増えている昨今、将来の拡張性を担保するものとしてユーザーの支持を集めそうだ。
3つめの新たなリンク機能は「BRAVIA Wireless Link」。これは5GHz帯を使用した無線伝送機能で、たとえばBDプレーヤーに接続したトランスミッターから送信したHD映像を受信することなどが可能。5GHz帯というと、日立のWooo UTシリーズが採用したUWB方式なのかと思いきや、イスラエルのAMIMON社と共同開発している独自技術を採用しているとのこと。論理転送速度は1.5Gbpsと高速で、HD映像を非圧縮で送受信できるのが最大の特徴。圧縮を行わないので遅延がほぼ無いのも特筆できる。伝送距離は、障害物があっても30〜40m程度は楽に確保できるというから心強い。ボックスタイプの「BRAVIA Wireless Link」は年内の発売を目指しており、将来的にはテレビに内蔵することを検討しているという。
有機ELテレビについては、プレスカンファレンスのレポートにも書いたとおり、11V型の「XEL-1」が1月に北米で発売される。価格はおよそ2,500ドルと、日本よりも割高となっている。また、27V型のフルHDモデルも昨年と同様、参考展示というかたちで出展。同社関係者によると、「デモ用の大型機を作ろうと思えば作れるが、人員もコストも必要になる。現在は量産のための技術開発を最優先させている」とのことだ。
また、参考展示ながら注目を集めていたのが、82V型の4K2K液晶テレビ。4,096×2,400画素という超高精細な画面は圧巻の一言だ。
●BD-Live対応プレーヤーを参考展示
BD関連では、すでに北米で発売している「BDP-S300」「BDP-S500」「BDP-S2000ES」といったプレーヤーはもちろん、新たにBD-Live対応プレーヤー2機種が参考展示された。試作ネームとして「Sapphire3」「Sapphire4」という名前が付けられており、ネットワーク機能やローカルストレージを用いて、インターネットから追加コンテンツやアプリケーション、ゲームなどをダウンロードできる。また、その隣にはBD-Live対応の試作ファームウェアを載せたPS3も動いており、PS3が将来BD-Liveに対応することを期待させる。
●400ドルのノイズキャンセリングヘッドホンを発売
「MDR-NC500D」という名の、日本未発売のノイズキャンセリングヘッドホンも発表された。北米では2月に400ドルで発売される。同社によると、ノイズキャンセリングの正確な測定のために、デジタル技術を用いた世界初のヘッドホンだという。ノイズキャンセルに対応する周波数帯は5〜1,000Hzで、最大で99%のノイズ低減が行えるとのこと。
飛行機/電車・バス/オフィスに対応した3つのモードを持ち、周囲の環境によって自動的にモードを切り替えるという。電源にはリチウムイオン電池を用い、約16時間の使用が可能。
●16機種のカムコーダーを一挙発表、デジタル一眼「α200」も
Handycamは、120GB HDDを搭載したAVCHDカメラ「HDR-SR12」を筆頭に、一挙に16機種の新モデルを発表。記録メディアもHDD、HDDとメモリースティックのハイブリッド、メモリースティックのみ、DVD、DVテープなどと非常に多岐に渡っている。詳細については、会田肇氏が別項で詳しくレポートする。
デジタルカメラでは、デジタル一眼の「α200」を発表。北米では2月に700ドルで発売され、18-70mmレンズが同梱する。2.7インチの液晶ディスプレイ、Bionzエンジン搭載などがメインフィーチャーとなる。
●置くだけでデータを高速転送できる新技術「Transfer Jet」
実用化が待たれる興味深い新技術も見ることができた。「Transfer Jet」という、微弱電波を使った近接無線技術だ。送受信部にデジカメやカムコーダーを載せると、お互いに通信を行い合い、データの転送ができるというもの。375Mbpsのスループットを持っており、ハイビジョン映像の伝送なども行える。
試作機ではPCの上などに送受信部が設けられていたが、送受信用のチップは非常に小さく、携帯電話などにも内蔵できるという。この技術を使えば、2台の携帯電話を触れさせるだけで、瞬時にお互いの情報や映像・音声などを受け渡すことも可能になる。同社説明員によると、ソニーだけでこの技術を囲い込むという考えはなく、技術情報を開示し、他社も含めたオープンな規格に成長させる方針という。また、お年寄りや子供も使いこなせる、非常にかんたんな無線規格を目指しているとのことで、将来の展開が楽しみだ。
(Phile-web編集部・風間)
●BRAVIA/有機ELテレビなど
まず日本でも発売が期待される製品群として、BRAVIAの北米における春モデル17機種が挙げられる。国内ではX/W/V/Jの4シリーズで構成されているが、北米ではさらに区分けが細かく、今回発表された17モデルは、Z/W/V/N/Mの各シリーズ、そして高級モデルとしてXBRシリーズがラインナップされている。
XBRシリーズを除いた最上位機種と考えられるZ4100シリーズは、狭ベゼルかつ薄型なのが特徴。画面下のフレーム部が透明になった新デザインを採用している。当然のことながら1080p/120Hz対応で、xvColorやDeepcolorにも対応している。また、新たに3DのGUIを搭載しているという。画面下部にチャンネルのアイコンが立体的に表示され、高速にスクロールするなど、美しさと楽しさが両立したユーザーインターフェースとなっている。この3D GUIはZシリーズだけでなくW/V/XBRシリーズにも搭載されており、日本での採用も期待したいところだ。
そのほか、高級ラインのXBRシリーズに、37V型と32V型のフルHDモデルが加わったのも特筆したい。いずれも120Hz駆動で、24p入力対応、HDMI4入力など、スペックが充実している。現在同社はこの2サイズのフルHD液晶テレビを発売しておらず、国内展開が行われるか興味深い。
北米における新BRAVIA上位機種のスペック欄を見ると、「DMex Ready」という単語が言葉が並んでいる。DMexとは、BRAVIAの背面にアタッチする拡張機器の総称で、「Digital Media Extender」の略称。昨年のCESで公開され、実際に製品が発売されたVOD端末「BRAVIA Internet Video Link」のほか、今回新たに3つのリンク機器が発表された。
順に紹介すると、「BRAVIA DVD Link」は、その名の通り、薄型DVDプレーヤーをBRAVIAの背面に直接取り付けてしまうというもの。BRAVIAのGUIから操作が行えるという。また、「BRAVIA Input Link」は、入力端子ボックスを取り付けるもので、HDMI端子3系統などを拡張できる。HDMI機器が増えている昨今、将来の拡張性を担保するものとしてユーザーの支持を集めそうだ。
3つめの新たなリンク機能は「BRAVIA Wireless Link」。これは5GHz帯を使用した無線伝送機能で、たとえばBDプレーヤーに接続したトランスミッターから送信したHD映像を受信することなどが可能。5GHz帯というと、日立のWooo UTシリーズが採用したUWB方式なのかと思いきや、イスラエルのAMIMON社と共同開発している独自技術を採用しているとのこと。論理転送速度は1.5Gbpsと高速で、HD映像を非圧縮で送受信できるのが最大の特徴。圧縮を行わないので遅延がほぼ無いのも特筆できる。伝送距離は、障害物があっても30〜40m程度は楽に確保できるというから心強い。ボックスタイプの「BRAVIA Wireless Link」は年内の発売を目指しており、将来的にはテレビに内蔵することを検討しているという。
有機ELテレビについては、プレスカンファレンスのレポートにも書いたとおり、11V型の「XEL-1」が1月に北米で発売される。価格はおよそ2,500ドルと、日本よりも割高となっている。また、27V型のフルHDモデルも昨年と同様、参考展示というかたちで出展。同社関係者によると、「デモ用の大型機を作ろうと思えば作れるが、人員もコストも必要になる。現在は量産のための技術開発を最優先させている」とのことだ。
また、参考展示ながら注目を集めていたのが、82V型の4K2K液晶テレビ。4,096×2,400画素という超高精細な画面は圧巻の一言だ。
●BD-Live対応プレーヤーを参考展示
BD関連では、すでに北米で発売している「BDP-S300」「BDP-S500」「BDP-S2000ES」といったプレーヤーはもちろん、新たにBD-Live対応プレーヤー2機種が参考展示された。試作ネームとして「Sapphire3」「Sapphire4」という名前が付けられており、ネットワーク機能やローカルストレージを用いて、インターネットから追加コンテンツやアプリケーション、ゲームなどをダウンロードできる。また、その隣にはBD-Live対応の試作ファームウェアを載せたPS3も動いており、PS3が将来BD-Liveに対応することを期待させる。
●400ドルのノイズキャンセリングヘッドホンを発売
「MDR-NC500D」という名の、日本未発売のノイズキャンセリングヘッドホンも発表された。北米では2月に400ドルで発売される。同社によると、ノイズキャンセリングの正確な測定のために、デジタル技術を用いた世界初のヘッドホンだという。ノイズキャンセルに対応する周波数帯は5〜1,000Hzで、最大で99%のノイズ低減が行えるとのこと。
飛行機/電車・バス/オフィスに対応した3つのモードを持ち、周囲の環境によって自動的にモードを切り替えるという。電源にはリチウムイオン電池を用い、約16時間の使用が可能。
●16機種のカムコーダーを一挙発表、デジタル一眼「α200」も
Handycamは、120GB HDDを搭載したAVCHDカメラ「HDR-SR12」を筆頭に、一挙に16機種の新モデルを発表。記録メディアもHDD、HDDとメモリースティックのハイブリッド、メモリースティックのみ、DVD、DVテープなどと非常に多岐に渡っている。詳細については、会田肇氏が別項で詳しくレポートする。
デジタルカメラでは、デジタル一眼の「α200」を発表。北米では2月に700ドルで発売され、18-70mmレンズが同梱する。2.7インチの液晶ディスプレイ、Bionzエンジン搭載などがメインフィーチャーとなる。
●置くだけでデータを高速転送できる新技術「Transfer Jet」
実用化が待たれる興味深い新技術も見ることができた。「Transfer Jet」という、微弱電波を使った近接無線技術だ。送受信部にデジカメやカムコーダーを載せると、お互いに通信を行い合い、データの転送ができるというもの。375Mbpsのスループットを持っており、ハイビジョン映像の伝送なども行える。
試作機ではPCの上などに送受信部が設けられていたが、送受信用のチップは非常に小さく、携帯電話などにも内蔵できるという。この技術を使えば、2台の携帯電話を触れさせるだけで、瞬時にお互いの情報や映像・音声などを受け渡すことも可能になる。同社説明員によると、ソニーだけでこの技術を囲い込むという考えはなく、技術情報を開示し、他社も含めたオープンな規格に成長させる方針という。また、お年寄りや子供も使いこなせる、非常にかんたんな無線規格を目指しているとのことで、将来の展開が楽しみだ。
(Phile-web編集部・風間)