「JVC・ケンウッド・ホールディングス」本日設立 − ロケフリ生みの親が“カタ破り"な製品を開発中
日本ビクター(株)と(株)ケンウッドは、本日付で株式移転の方法により、共同持株会社「JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社」を設立し、経営統合を行った。
JVC・ケンウッド・HDは本日付で東証一部に上場し、ビクターとケンウッドの株式を100%保有する完全親会社となった。
両社は昨年7月、両社はカーエレクトロニクス事業とホーム/ポータブルオーディオ事業での協業を発表した(関連ニュース)。また、昨年10月に技術開発の合弁会社、J&Kテクノロジーズを設立し、協業を開始した。さらに、今年5月12日に共同持株会社「JVC・ケンウッド・ホールディングス」を設立し、経営統合することで合意(関連ニュース)。最初の協業発表から1年以上経ち、ついに両社の経営統合が実現した。
さらに既報の通り、両社共通の事業であるカーエレクトロニクスのシナジー早期最大化を図るため、本日付でJ&Kテクノロジーズ(以下JKTE)の業容を共同技術開発から全面的な開発・設計・調達・生産へと拡大し、両社のカーエレクトロニクス事業関連の開発・生産子会社6社はJKTEの子会社となった。
統合後の、JVC・ケンウッド・HDの人員規模はグループ合計で23,000人。内訳を見てみると、ホールディング会社は700名で、ビクターは14,500名。ケンウッドは2,400名となる。さらにビクターとケンウッドからJKTEに人員を移籍させ、JKTEは関係会社を含め6,000名という布陣になる。
本日、都内で設立会見が行われ、JVC・ケンウッド・HD 代表取締役会長兼CEOの河原春郎氏、同代表取締役社長の佐藤国彦氏らが出席した。統合会社の経営方針は河原CEOが行った。
河原氏は、統合会社の企業ビジョンは「カタ破りをカタチに。」、行動指針は「一人一人が主人公となって絶え間ない変革をやり遂げる。」だと説明。これらのもとで新たな付加価値を創造し、これまで経験したことのないケタ違いの体験をお客様へお届けする、と説明した。
JVC・ケンウッド・HDのコーポレートロゴも発表された。大きく弧を描く2本のラインは、成長性と拡張性、発想力と実行力を表現した物という。また、安定した印象のロゴタイプには、品質とお客様へとの信頼の絆への願いを込めた、という。さらにブランドカラーについては、知性と品格を表す「インテリジェントブルー」と、進化し続ける技術力を表す「テクノグレー」を採用した。
また河原氏は、経営統合の目的について「経営統合を出発点として、世界をリードするユニークな専業メーカーに生まれ変わり、統合効果によって付加価値の拡大と創造を図る」と説明。そのために、まず両社の事業セグメントを見直し、ホーム&モバイル、カーエレクトロニクス、業務用システム、エンタテインメントの4事業に再編する。ホーム&モバイル事業にはディスプレイ、ビデオカメラ、ホームオーディオの3ジャンルが含まれる.
さらに河原氏は「ビデオカメラを最大の収益部門と位置づけ、カーエレクトロニクスは最大売り上げの事業分野になる。また、業務用システムも高い成長が見込める」とし、これにエンタテインメントを加えた4つの収益ジャンルに注力し、11年3月期に前者売上高の約7割を稼ぎ出す計画を掲げた。
JKTEの扱いについては、「従来から説明しているとおり、将来的には商品企画や営業機能を含めた独立事業会社化する構想」とし、事業会社に準ずる扱いを行う。
経営方針については、「新しい企業存続基板への進化が何よりも重要。また共通事業におけるシナジー効果の早期最大化を図っていく」と説明。さらに、「世界をリードする事業を複数持つジャンルトップ戦略」や、「両社の技術や資産を融合することでカタ破りな付加価値を創造する」ことも経営方針として掲げた。
一方で河原氏は、「コンシューマー事業の最大の問題は、売りや価格の変動が大きく不安定なこと」と説明。これに対応するのは「マネジメントの精度」とし、生産や在庫管理、人員配置、組織の改良、インフラのシステム化などによりロスを極小化する、と宣言した。
また、統合効果の成果として、ビクターと共同開発したケンウッドブランドのAVアンプ(関連ニュース)や、カーAV機器の相互供給などを紹介。さらに、ビクターのセキュリティカメラとケンウッドの無線機器を組み合わせ、それを昨年買収したZetron社のシステムで管理するシステムを、アムステルダムで開催された国際放送機器展「IBC2008」で展示したこともアピールした。
コーポレートガバナンスについては、「経営の透明性を高め、スピーディーな意志決定を実現するため、シンプルな組織とした」と説明。あわせて取締役や監査役、執行役員、各事業会社の代表取締役などもスライドで紹介した。
また、JVC・ケンウッド・HDの2009年3月期業績については「パーチェス会計により、ケンウッドの通期業績とビクターの下期業績の連結となる」と説明。これにより、09年3月期の予想売上高は4,000億円と単純合算に比べ大幅に減るが、営業利益率は3.1%と高水準になる。さらに、2011年には売上高7,500億円、営業利益率5.2%を目標とすることも説明した。
最後に河原氏は「サブプライムローン問題の中、非常に厳しい状況でのスターとなったが、計画通りの成果を上げ、デジタル時代を勝ち抜いていく」と述べた。
設立会見の後に行われた懇談会では、冒頭に佐藤国彦社長があいさつ。「5月12日の発表以来、準備を重ね、本日を迎えることができた。これも両社の幹部、社員、関係各位の強力があったからだ」とねぎらいながら、「一方で現実に目を向けると、米国や欧州のバブル崩壊、国内の販売不振、さらに材料高などの逆風が吹いている。さらに、デジタル業界は恒常的にオーバーサプライで、価格下落が激しい」と現状を俯瞰した。その上で、「我々は付加価値のあるサービス、商品、マーケティング、さらにリソースの再配分などで、経営目標を果たしていきたい」と力強く抱負を述べた。
■「AV機器はアイデア次第。ネタはいっぱいある」
懇談会で乾杯の音頭を取ったのは、JVC・ケンウッド・HD 執行役員・新事業開発センター長の前田悟氏。前田氏はソニーでロケーションフリーなどの開発を行った人物で、「まだ新入社員」と自己紹介。JVC・ケンウッド・HDが掲げる「『カタ破り』な第5の事業セグメントの創出」の陣頭指揮を執っている。
前田氏は、「この会社に来る際、河原CEOに『ホールディング会社に開発センターを持つべきだ』と進言した。理由は二つある。一つは、ただ単に似た会社が一緒になってシナジー効果を発揮するだけじゃつまらないからだ。どんどん新しい商品を作り出す会社になるべきだ。理由の二つめは、ホールディング会社の傘下には、パッションを持ったエンジニアが多い。これが一つの目標に向かっていけば相乗効果を発揮できる」と、開発センターを作った経緯を説明。
同氏はさらに、「AV機器は“アブない”機器だと考えていて、いまはアイデアがサチって空洞化している状態。これは大手もほとんど同じ。常に新しいことをしないと、資金力を持ち出したアジア勢にキャッチアップされる。AV機器の開発は本当にアイデア次第で、ネタはいっぱいある。この状況を変えられるのはアイデアだけだ」と、アイデアの重要性を強調した。
同氏は、現在2つの製品開発を行っていると明かし、「一つはホームAV機器で、もう一つは“真のモバイル機器"。ホームAVについては、通常のメーカーだとテレビ事業部、オーディオ事業部などの組織の名前に従って商品ができてしまう。カテゴリーを超える商品を考えている」と説明。モバイル機器についても、「現在、モバイル機器は同じ方向に向かっているように見える。そうじゃない商品を作っているところだ」と述べ、製品の発表時期については「1年以内に紹介したい」とした。
最後に同氏は、「AV機器はやり方次第だ」ともう一度繰り返したあと、現在開発中の製品のキーワードを紹介した。「一つは『ネットワーク』。これはネットワーク機能をどう使うかが重要で、たとえば、視聴中のドラマを見て、登場した服を購入するサービスにしても、私などは『篤姫』しか見ないので、買う物がない。そうではなく、『やりたかったけどできないことができるようになる』のが重要だ」と説明。「二つめは『新サービス』で、最後にもう一つあるが、これを言ったら分かっちゃうので言えない」と述べた。ロケフリの開発者がどのような新製品を作っているのか非常に興味深く、期待して続報を待ちたい。
以下、会見で行われた質疑応答の全問全答を紹介する。
Q:薄型テレビ事業について、欧州や北米の景気悪化による年末商戦の影響をどう見ているか。
A:上期はほぼ計画通り。下期は戦略商品を前倒しして投入し、計画を達成したい。
アメリカは非常に厳しく、在庫がだぶついている。付加価値商売だけでは難しい。そのぶん、欧州とアジアでカバーして当初の目標を達成したい。欧州のスリムモデル、北米のiPodモデルなどプレミアム戦略が奏効して、8、9月は販売が盛り返している。北米は前期が大変良かったが、下期の低迷はあらかじめ想定に入れている。
Q:新会社の研究開発費はどの程度か。
A:議論している最中。持株会社の活動として、これまで両社単独では出来なかった開発を行うというものもあり、これも進めていきたいと考えている。
Q:今日東証に上場したが、PBRが1倍を切っている理由をどう分析しているか。
A:純資産から換算した株価は110〜120円だったが、これから考えると大変サプライズな安さ。想像していたのは、ディスプレイ事業の先行きに心配されたのではないか。また、サブプライムの影響が読めないということもあっただろう。だが今期の業績は、単純な従来の合算ではない。持株会社としての株価を付けてもらいたいとお願いしたい。
Q:11年3月期の営業利益390億円だが、これは前回と変わっていない。のれん代が含まれていてこの数字なら、本業の利益は下がるということか。
A:のれん代は営業外利益に計上するので、営業利益には含まれない。
Q:今年度の業績予測がやや弱気のようだが。
A:たしかにやや保守的に予測している。統合効果がどの程度出てくるのかがまだ不透明な部分もあるからだ。サブプライムなどの問題もあるので、現在見える数字をベースに予測を行った。この目標は達成し、できれば上積みしたい。
Q:春に説明された「第5の新しい事業」について、ヒントになるようなものがあれば教えて欲しい。
A:現在進めているが、こういうものがこの時期に出る、ということはまだ言えない。努力してやっているところだ。
(Phile-web編集部)
JVC・ケンウッド・HDは本日付で東証一部に上場し、ビクターとケンウッドの株式を100%保有する完全親会社となった。
両社は昨年7月、両社はカーエレクトロニクス事業とホーム/ポータブルオーディオ事業での協業を発表した(関連ニュース)。また、昨年10月に技術開発の合弁会社、J&Kテクノロジーズを設立し、協業を開始した。さらに、今年5月12日に共同持株会社「JVC・ケンウッド・ホールディングス」を設立し、経営統合することで合意(関連ニュース)。最初の協業発表から1年以上経ち、ついに両社の経営統合が実現した。
さらに既報の通り、両社共通の事業であるカーエレクトロニクスのシナジー早期最大化を図るため、本日付でJ&Kテクノロジーズ(以下JKTE)の業容を共同技術開発から全面的な開発・設計・調達・生産へと拡大し、両社のカーエレクトロニクス事業関連の開発・生産子会社6社はJKTEの子会社となった。
統合後の、JVC・ケンウッド・HDの人員規模はグループ合計で23,000人。内訳を見てみると、ホールディング会社は700名で、ビクターは14,500名。ケンウッドは2,400名となる。さらにビクターとケンウッドからJKTEに人員を移籍させ、JKTEは関係会社を含め6,000名という布陣になる。
本日、都内で設立会見が行われ、JVC・ケンウッド・HD 代表取締役会長兼CEOの河原春郎氏、同代表取締役社長の佐藤国彦氏らが出席した。統合会社の経営方針は河原CEOが行った。
河原氏は、統合会社の企業ビジョンは「カタ破りをカタチに。」、行動指針は「一人一人が主人公となって絶え間ない変革をやり遂げる。」だと説明。これらのもとで新たな付加価値を創造し、これまで経験したことのないケタ違いの体験をお客様へお届けする、と説明した。
JVC・ケンウッド・HDのコーポレートロゴも発表された。大きく弧を描く2本のラインは、成長性と拡張性、発想力と実行力を表現した物という。また、安定した印象のロゴタイプには、品質とお客様へとの信頼の絆への願いを込めた、という。さらにブランドカラーについては、知性と品格を表す「インテリジェントブルー」と、進化し続ける技術力を表す「テクノグレー」を採用した。
また河原氏は、経営統合の目的について「経営統合を出発点として、世界をリードするユニークな専業メーカーに生まれ変わり、統合効果によって付加価値の拡大と創造を図る」と説明。そのために、まず両社の事業セグメントを見直し、ホーム&モバイル、カーエレクトロニクス、業務用システム、エンタテインメントの4事業に再編する。ホーム&モバイル事業にはディスプレイ、ビデオカメラ、ホームオーディオの3ジャンルが含まれる.
さらに河原氏は「ビデオカメラを最大の収益部門と位置づけ、カーエレクトロニクスは最大売り上げの事業分野になる。また、業務用システムも高い成長が見込める」とし、これにエンタテインメントを加えた4つの収益ジャンルに注力し、11年3月期に前者売上高の約7割を稼ぎ出す計画を掲げた。
JKTEの扱いについては、「従来から説明しているとおり、将来的には商品企画や営業機能を含めた独立事業会社化する構想」とし、事業会社に準ずる扱いを行う。
経営方針については、「新しい企業存続基板への進化が何よりも重要。また共通事業におけるシナジー効果の早期最大化を図っていく」と説明。さらに、「世界をリードする事業を複数持つジャンルトップ戦略」や、「両社の技術や資産を融合することでカタ破りな付加価値を創造する」ことも経営方針として掲げた。
一方で河原氏は、「コンシューマー事業の最大の問題は、売りや価格の変動が大きく不安定なこと」と説明。これに対応するのは「マネジメントの精度」とし、生産や在庫管理、人員配置、組織の改良、インフラのシステム化などによりロスを極小化する、と宣言した。
また、統合効果の成果として、ビクターと共同開発したケンウッドブランドのAVアンプ(関連ニュース)や、カーAV機器の相互供給などを紹介。さらに、ビクターのセキュリティカメラとケンウッドの無線機器を組み合わせ、それを昨年買収したZetron社のシステムで管理するシステムを、アムステルダムで開催された国際放送機器展「IBC2008」で展示したこともアピールした。
コーポレートガバナンスについては、「経営の透明性を高め、スピーディーな意志決定を実現するため、シンプルな組織とした」と説明。あわせて取締役や監査役、執行役員、各事業会社の代表取締役などもスライドで紹介した。
また、JVC・ケンウッド・HDの2009年3月期業績については「パーチェス会計により、ケンウッドの通期業績とビクターの下期業績の連結となる」と説明。これにより、09年3月期の予想売上高は4,000億円と単純合算に比べ大幅に減るが、営業利益率は3.1%と高水準になる。さらに、2011年には売上高7,500億円、営業利益率5.2%を目標とすることも説明した。
最後に河原氏は「サブプライムローン問題の中、非常に厳しい状況でのスターとなったが、計画通りの成果を上げ、デジタル時代を勝ち抜いていく」と述べた。
設立会見の後に行われた懇談会では、冒頭に佐藤国彦社長があいさつ。「5月12日の発表以来、準備を重ね、本日を迎えることができた。これも両社の幹部、社員、関係各位の強力があったからだ」とねぎらいながら、「一方で現実に目を向けると、米国や欧州のバブル崩壊、国内の販売不振、さらに材料高などの逆風が吹いている。さらに、デジタル業界は恒常的にオーバーサプライで、価格下落が激しい」と現状を俯瞰した。その上で、「我々は付加価値のあるサービス、商品、マーケティング、さらにリソースの再配分などで、経営目標を果たしていきたい」と力強く抱負を述べた。
■「AV機器はアイデア次第。ネタはいっぱいある」
懇談会で乾杯の音頭を取ったのは、JVC・ケンウッド・HD 執行役員・新事業開発センター長の前田悟氏。前田氏はソニーでロケーションフリーなどの開発を行った人物で、「まだ新入社員」と自己紹介。JVC・ケンウッド・HDが掲げる「『カタ破り』な第5の事業セグメントの創出」の陣頭指揮を執っている。
前田氏は、「この会社に来る際、河原CEOに『ホールディング会社に開発センターを持つべきだ』と進言した。理由は二つある。一つは、ただ単に似た会社が一緒になってシナジー効果を発揮するだけじゃつまらないからだ。どんどん新しい商品を作り出す会社になるべきだ。理由の二つめは、ホールディング会社の傘下には、パッションを持ったエンジニアが多い。これが一つの目標に向かっていけば相乗効果を発揮できる」と、開発センターを作った経緯を説明。
同氏はさらに、「AV機器は“アブない”機器だと考えていて、いまはアイデアがサチって空洞化している状態。これは大手もほとんど同じ。常に新しいことをしないと、資金力を持ち出したアジア勢にキャッチアップされる。AV機器の開発は本当にアイデア次第で、ネタはいっぱいある。この状況を変えられるのはアイデアだけだ」と、アイデアの重要性を強調した。
同氏は、現在2つの製品開発を行っていると明かし、「一つはホームAV機器で、もう一つは“真のモバイル機器"。ホームAVについては、通常のメーカーだとテレビ事業部、オーディオ事業部などの組織の名前に従って商品ができてしまう。カテゴリーを超える商品を考えている」と説明。モバイル機器についても、「現在、モバイル機器は同じ方向に向かっているように見える。そうじゃない商品を作っているところだ」と述べ、製品の発表時期については「1年以内に紹介したい」とした。
最後に同氏は、「AV機器はやり方次第だ」ともう一度繰り返したあと、現在開発中の製品のキーワードを紹介した。「一つは『ネットワーク』。これはネットワーク機能をどう使うかが重要で、たとえば、視聴中のドラマを見て、登場した服を購入するサービスにしても、私などは『篤姫』しか見ないので、買う物がない。そうではなく、『やりたかったけどできないことができるようになる』のが重要だ」と説明。「二つめは『新サービス』で、最後にもう一つあるが、これを言ったら分かっちゃうので言えない」と述べた。ロケフリの開発者がどのような新製品を作っているのか非常に興味深く、期待して続報を待ちたい。
以下、会見で行われた質疑応答の全問全答を紹介する。
Q:薄型テレビ事業について、欧州や北米の景気悪化による年末商戦の影響をどう見ているか。
A:上期はほぼ計画通り。下期は戦略商品を前倒しして投入し、計画を達成したい。
アメリカは非常に厳しく、在庫がだぶついている。付加価値商売だけでは難しい。そのぶん、欧州とアジアでカバーして当初の目標を達成したい。欧州のスリムモデル、北米のiPodモデルなどプレミアム戦略が奏効して、8、9月は販売が盛り返している。北米は前期が大変良かったが、下期の低迷はあらかじめ想定に入れている。
Q:新会社の研究開発費はどの程度か。
A:議論している最中。持株会社の活動として、これまで両社単独では出来なかった開発を行うというものもあり、これも進めていきたいと考えている。
Q:今日東証に上場したが、PBRが1倍を切っている理由をどう分析しているか。
A:純資産から換算した株価は110〜120円だったが、これから考えると大変サプライズな安さ。想像していたのは、ディスプレイ事業の先行きに心配されたのではないか。また、サブプライムの影響が読めないということもあっただろう。だが今期の業績は、単純な従来の合算ではない。持株会社としての株価を付けてもらいたいとお願いしたい。
Q:11年3月期の営業利益390億円だが、これは前回と変わっていない。のれん代が含まれていてこの数字なら、本業の利益は下がるということか。
A:のれん代は営業外利益に計上するので、営業利益には含まれない。
Q:今年度の業績予測がやや弱気のようだが。
A:たしかにやや保守的に予測している。統合効果がどの程度出てくるのかがまだ不透明な部分もあるからだ。サブプライムなどの問題もあるので、現在見える数字をベースに予測を行った。この目標は達成し、できれば上積みしたい。
Q:春に説明された「第5の新しい事業」について、ヒントになるようなものがあれば教えて欲しい。
A:現在進めているが、こういうものがこの時期に出る、ということはまだ言えない。努力してやっているところだ。
(Phile-web編集部)